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大阪公立大学 院試 過去問 解答例

大阪公立大 理学研究科 数学専攻 数学 2024年度春入学 院試 過去問 解答例・解説(全20問)

全20問。微分積分・解析4問・線形代数1問・微分方程式1問。テーマタグは10件(固有値・固有ベクトル・線形空間・基底・重積分と極座標)。2024年度2次募集と共通のテーマは固有値・固有ベクトル・線形空間・基底・重積分と極座標。

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収録6年度分の解答PDF:大阪公立大学 理学研究科 数学専攻 数学(¥3,200・紙面見本あり)

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解説20問と大問1問の途中式・最終答(全20問)
解答PDFに収録
途中式と最終答(最終答つき20問)
問題本文
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大阪公立大 数学 2024年度春入学 院試 過去問の出題内容(全20問)

この20問の分野は微分積分・解析4問・線形代数1問・微分方程式1問です。

大問分野主題解説の小見出し最終答
第1問—列ベクトルの一次関係—あり
第2問線形代数対称行列の直交対角化—あり
第3問—漸近展開とチェザロ平均—あり
第4問微分積分・解析回転体の体積積分—あり
第5問—左乗法の固有空間—あり
第6問—群の基本定理—あり
第7問—尖点曲線の座標環—あり
第8問—三次方程式の分解体—あり
第9問—特殊化順序と既約性—あり
第10問—球面分割とオイラー標数—あり
第11問微分積分・解析楕円座標と微分形式—あり
第12問—単体的複体のホモロジー—あり
第13問—二点を除いた平面の基本群—あり
第14問—弱特異核の連続性—あり
第15問微分積分・解析留数計算による実積分—あり
第16問—閉作用素と商空間—あり
第17問微分方程式連立線形微分方程式—あり
第18問微分積分・解析積分記号下の微分—あり
第19問—正規分布と符号反転—あり
第20問—符号検定と二項分布—あり

この年度の解説には典型ミス19件・検算11件・試験で書くべきポイント10件が付いています。

2024年度春入学の出題テーマと、同じテーマを出した他大学・他年度

この年度は12問に10テーマが出ています。

前年度(2024年度2次募集)との違い

大問数
2024年度2次募集 4問 → 2024年度春入学 20問
2024年度2次募集のページを見る

第1問 — 列ベクトルの一次関係

方針

列空間の問題と核の問題は,同じ行基本変形で同時に処理するのが最も確実である。既約階段形で主列を読むと列空間の基底が得られ,非主変数を自由変数にすると Ax=0Ax=0 の基底が得られる。

検算

実際に 3a1−2a2=(13,2,4,9)T,a1+2a2−a4=(7,−4,5,3)T 3a_1-2a_2=(13,2,4,9)^T,\qquad a_1+2a_2-a_4=(7,-4,5,3)^T である。また A(−3,2,1,0,0)T=−3a1+2a2+a3=0A(-3,2,1,0,0)^T=-3a_1+2a_2+a_3=0, A(−1,−2,0,1,1)T=−a1−2a2+a4+a5=0A(-1,-2,0,1,1)^T=-a_1-2a_2+a_4+a_5=0 なので,核の基底も関係式と一致している。

試験で書くべきポイント

「a3,a5a_3,a_5 が a1,a2,a4a_1,a_2,a_4 の一次結合で書ける」だけでなく,a1,a2,a4a_1,a_2,a_4 が一次独立であることを階段形の主列から明示する。これを書かないと,基底であることの確認が不足する。

解答

列ベクトルを並べた行列を基本変形する。与えられた列を A=(a1 a2 a3 a4 a5) A=(a_1\ a_2\ a_3\ a_4\ a_5) と書くと,行基本変形により (5113070−122−4214−1530903)∼(1030101−2020001−100000). \begin{pmatrix} 5&1&13&0&7\\ 0&-1&2&2&-4\\ 2&1&4&-1&5\\ 3&0&9&0&3 \end{pmatrix} \sim \begin{pmatrix} 1&0&3&0&1\\ 0&1&-2&0&2\\ 0&0&0&1&-1\\ 0&0&0&0&0 \end{pmatrix}. したがって主列は第1列,第2列,第4列である。

第3列については,上の既約形から a3=3a1−2a2 a_3=3a_1-2a_2 である。第5列についても a5=a1+2a2−a4 a_5=a_1+2a_2-a_4 が従う。

また,主列が3本であるから rank⁡A=3 \operatorname{rank}A=3 である。よって V=span⁡{a1,a2,a3,a4,a5} V=\operatorname{span}\{a_1,a_2,a_3,a_4,a_5\} の基底として {a1,a2,a4} \{a_1,a_2,a_4\} を取れる。

最後に,x=(x1,…,x5)Tx=(x_1,\ldots,x_5)^T に対して Ax=0Ax=0 は x1+3x3+x5=0,x2−2x3+2x5=0,x4−x5=0 x_1+3x_3+x_5=0,\qquad x_2-2x_3+2x_5=0,\qquad x_4-x_5=0 と同値である。自由変数を x3=s, x5=tx_3=s,\ x_5=t とすると x=(−3s−t, 2s−2t, s, t, t)T=s(−3,2,1,0,0)T+t(−1,−2,0,1,1)T. x=(-3s-t,\ 2s-2t,\ s,\ t,\ t)^T =s(-3,2,1,0,0)^T+t(-1,-2,0,1,1)^T.

最終答

a3=3a1−2a2,a5=a1+2a2−a4,rank⁡A=3. a_3=3a_1-2a_2,\qquad a_5=a_1+2a_2-a_4,\qquad \operatorname{rank}A=3. V の基底は {a1,a2,a4},W の基底は {(−32100),(−1−2011)}. V\text{ の基底は }\{a_1,a_2,a_4\},\qquad W\text{ の基底は } \left\{ \begin{pmatrix}-3\\2\\1\\0\\0\end{pmatrix}, \begin{pmatrix}-1\\-2\\0\\1\\1\end{pmatrix} \right\}.

第2問 — 対称行列の直交対角化

方針

対称行列なので,異なる固有値の固有ベクトルは自動的に直交する。最後のノルム計算は,逆行列を直接求めるより,直交固有基底に分解する方が短く,かつ計算ミスが少ない。

典型ミス

方程式を (A−αI)x=b(A-\alpha I)x=b と見るため,係数は (λj−α)−1(\lambda_j-\alpha)^{-1} である。二乗後は符号が消えるが,途中で (α−λj)−1(\alpha-\lambda_j)^{-1} と混在させると内積成分の符号を誤りやすい。

検算

bb の直交固有基底への射影の大きさが 3,2,13,2,1 であることが,右辺の分子 9,4,19,4,1 と対応している。したがって最終式の形は固有値と射影だけから確認できる。

対称行列の直交対角化の途中式・最終答をPDFで見る

第3問 — 漸近展開とチェザロ平均

方針

極限計算では両項が 1/(2x)1/(2x) の特異性を持つ。必要なのは特異項の次の定数項だけなので,逆数展開は 1+cx+O(x2)1+cx+O(x^2) までで十分である。

典型ミス

xcos⁡xx\cos x の展開は xx を掛けた後の次数でそろえる。cos⁡x\cos x を x5x^5 まで書く必要はなく,xcos⁡xx\cos x で x5x^5 まで必要だから cos⁡x\cos x は x4x^4 までで足りる。

試験で書くべきポイント

チェザロ平均の証明では,有限個の初項の寄与が C/nC/n で消えることと,十分後ろの項が一様に ε\varepsilon で抑えられることを分けて書くとよい。

漸近展開とチェザロ平均の途中式・最終答をPDFで見る

第4問 — 回転体の体積積分

方針

この立体は zz 方向の高さが半径 rr だけで決まる。したがって,薄い円環の面積 2πr dr2\pi r\,dr に高さ f(r)f(r) を掛けて足し合わせる,という見方でも同じ公式が得られる。

検算

f(r)=sinh⁡rf(r)=\sinh r では I′(a)=2πasinh⁡aI'(a)=2\pi a\sinh a であり,求めた式を微分しても同じになる。初期値 I(0)=0I(0)=0 も満たしている。

典型ミス

最後の極限では f(a)2=a4(arctan⁡a)2f(a)^2=a^4(\arctan a)^2 である。I(a)I(a) の主要項も a4a^4 次なので,arctan⁡a\arctan a を定数 π/2\pi/2 と見た主要項の比較だけでも極限は 11 と確認できる。

回転体の体積積分の途中式・最終答をPDFで見る

第5問 — 左乗法の固有空間

方針

M2(C)M_2(\mathbb C) の元を「2本の列ベクトル」と見ると,左乗法 B↦XBB\mapsto XB は各列に同じ XX を掛ける操作である。そのため,固有空間は XX 自身の固有空間を列ごとに並べたものになる。

典型ミス

a=ba=b のときも 22 が非零なので,XX はスカラー行列ではない。固有値が1つに合流しただけで固有空間は4次元にならない。

検算

非対角化の場合,A−aIA-aI は第3標準基底を 22 倍の第1標準基底へ,第4標準基底を 22 倍の第2標準基底へ送る。したがって長さ2のジョルダン鎖が2本ある。

左乗法の固有空間の途中式・最終答をPDFで見る

第6問 — 群の基本定理

方針

前半はラグランジュの定理と第一同型定理の標準問題である。後半は「平方写像が準同型なら可換性が出る」ことと,「何度でも平方根が取れるなら整数値準同型の値は任意に高い 22 の冪で割れる」ことが核心である。

典型ミス

KHKH が部分群であるためには HH の正規性が必要である。積の閉性だけを形式的に書くのではなく,kHk−1=HkHk^{-1}=H を使って HH の元を右側に戻す操作を書く。

試験で書くべきポイント

K/(K∩H)≃KH/HK/(K\cap H)\simeq KH/H は第二同型定理そのものだが,試験では写像 θ(k)=kH\theta(k)=kH の核と像を明記すると減点されにくい。

群の基本定理の途中式・最終答をPDFで見る

第7問 — 尖点曲線の座標環

方針

核は曲線の関係式 y2=x3y^2=x^3 から予想する。厳密には yy について割り算し,余り r0(x)+r1(x)yr_0(x)+r_1(x)y を tt に代入して,偶数次数と奇数次数を比較する。

典型ミス

t2,t3t^2,t^3 が C[t]\mathbb C[t] で既約かどうかを議論してはいけない。問題は部分環 C[t2,t3]\mathbb C[t^2,t^3] の中での既約性であり,この環には tt が入っていない。

試験で書くべきポイント

C[z]\mathbb C[z] と同型でないことは,「正規でない」などの言葉でも示せるが,本問では t2t^2 が既約で素でないことを示すのが最も短い。

尖点曲線の座標環の途中式・最終答をPDFで見る

第8問 — 三次方程式の分解体

方針

L=Q(α1,α2)L=\mathbb Q(\alpha_1,\alpha_2) と書かれているが,実質的には Q(23,ω)\mathbb Q(\sqrt[3]{2},\omega) である。ω=α2/α1\omega=\alpha_2/\alpha_1 に気づくと,分解体であることがすぐ分かる。

典型ミス

[Q(α1,ω):Q]=6[\mathbb Q(\alpha_1,\omega):\mathbb Q]=6 を示すとき,単に 3⋅23\cdot2 と掛けるだけでは不十分である。交わりが Q\mathbb Q である理由として,次数が 33 と 22 の公約数でなければならないことを書く。

検算

分解体のガロア群は3次既約多項式の根に推移的に作用する。今回は拡大次数が 66 なので,S3S_3 の真部分群ではなく全体になる。

三次方程式の分解体の途中式・最終答をPDFで見る

第9問 — 特殊化順序と既約性

方針

[x][x] は「xx から見て区別できないほど近い点」の集合であり,閉包関係 x∈{y}‾x\in\overline{\{y\}} と同じ情報を逆向きに表している。この同値を最初に押さえると,全体が特殊化順序の問題として整理できる。

典型ミス

(3) の逆向きでは,f(x)∈{f(z)}‾f(x)\in\overline{\{f(z)\}} から f(z)∈Vf(z)\in V を導く場面で,VV が f(x)f(x) の開近傍であることを使う。閉包の定義を点の近傍で正確に書くことが重要である。

試験で書くべきポイント

既約性は「任意の2つの空でない開集合が交わる」と同値である。この同値を閉集合の定義から一行で示してから使うと,最後の逆向きの証明が明瞭になる。

特殊化順序と既約性の途中式・最終答をPDFで見る

第10問 — 球面分割とオイラー標数

方針

面積条件から球面三角形の面積を出し,ジラールの定理で内角和へ変換する。頂点数は角度ではなく,面・辺・頂点の組合せとしてオイラーの公式で求める。

典型ミス

辺の数を 6⋅3+7⋅4=466\cdot3+7\cdot4=46 としてしまう誤りが多い。これは面ごとに見た辺の延べ数であり,各実際の辺は2回ずつ数えられている。

検算

V=12,E=23,F=13V=12,E=23,F=13 は 12−23+13=2 12-23+13=2 を満たす。球面分割なので,最後に必ずオイラー標数 22 と一致するか確認する。

球面分割とオイラー標数の途中式・最終答をPDFで見る

第11問 — 楕円座標と微分形式

方針

微分の局所表示はヤコビ行列そのものである。2形式の引き戻しはヤコビアンを掛けるだけなので,(1) の行列式をそのまま使える。

典型ミス

vv の範囲は (−π,π)(-\pi,\pi) であり,端点 π\pi は含まれない。そのため楕円全体ではなく,t=πt=\pi に対応する点だけが抜ける。

検算

ヤコビアンは sinh⁡2ucos⁡2v+cosh⁡2usin⁡2v≥0 \sinh^2u\cos^2v+\cosh^2u\sin^2v\ge0 であり,向きが反転して負になることはない。積分値が正になることもこの形から確認できる。

楕円座標と微分形式の途中式・最終答をPDFで見る

第12問 — 単体的複体のホモロジー

方針

1次元複体では χ=c−b1\chi=c-b_1 を使う。2次元の例は,具体的な三角形のリストよりも,既知の複体を貼り合わせてオイラー標数を計算する方が安全である。

典型ミス

(3) では B1B_1 の生成元が4個あっても,階数が4とは限らない。実際には関係があり,スミス標準形から階数3であることが分かる。

試験で書くべきポイント

H2H_2 はオイラー標数だけで階数が分かるが,ねじれはない。なぜなら H2=ker⁡∂2H_2=\ker\partial_2 は自由アーベル群 C2C_2 の部分群だからである。

単体的複体のホモロジーの途中式・最終答をPDFで見る

第13問 — 二点を除いた平面の基本群

方針

U1U_1 と U2U_2 はそれぞれ片方の穴だけを持つ空間で,交わりは穴のない帯である。したがって,和集合は「2つの円周を1点で貼った空間」と同じ基本群を持つ。

典型ミス

U1∩U2U_1\cap U_2 からは除外点が消える。原点は a=0a=0,点 (2,0)(2,0) は a=2a=2 にあるので,どちらも 0<a<20<a<2 の帯には入らない。

試験で書くべきポイント

ファン・カンペンを使うときは,U1∩U2U_1\cap U_2 が弧状連結で基本群が自明であることを書く。これにより自由積 Z∗Z\mathbb Z*\mathbb Z がそのまま出る。

二点を除いた平面の基本群の途中式・最終答をPDFで見る

第14問 — 弱特異核の連続性

方針

核 ∣x−y∣−α|x-y|^{-\alpha} は対角線上で特異だが,α<1\alpha<1 なので1次元では可積分である。近傍部分の寄与を nα−1n^{\alpha-1} で一様に抑えることが鍵である。

典型ミス

(2) は点ごとの極限だが,実際には上の評価により一様に 00 へ収束している。端点 x=0,1x=0,1 でも片側積分になるだけなので,同じ上界で処理できる。

試験で書くべきポイント

hh の連続性は,特異核を切り詰めた有界連続核 KmK_m で近似して示すと明快である。いきなり積分内の連続性だけを述べると,対角線上の特異性の扱いが不足する。

弱特異核の連続性の途中式・最終答をPDFで見る

第15問 — 留数計算による実積分

方針

eize^{iz} は上半平面で e−Im⁡ze^{-\operatorname{Im}z} の減衰を持つので,上半円を閉じる。弧積分が 00 になることを先に示しておくと,実軸上の積分が上半平面の留数だけで決まる。

典型ミス

z4+1z^4+1 の上半平面の極は2つだけである。e5πi/4e^{5\pi i/4},e7πi/4e^{7\pi i/4} は下半平面にあるので,この輪郭では数えない。

検算

被積分関数 cos⁡x/(x4+1)\cos x/(x^4+1) は偶関数であり,既知の形 2∫0∞cos⁡xx4+1 dx 2\int_0^\infty \frac{\cos x}{x^4+1}\,dx と一致する。答えは正で,指数減衰因子 e−1/2e^{-1/\sqrt2} を含む。

留数計算による実積分の途中式・最終答をPDFで見る

第16問 — 閉作用素と商空間

方針

閉作用素の定義は「グラフが閉」である。核の閉性も,商上の作用素の閉性も,収束列をグラフに持ち込んで閉性を使う形に落とす。

典型ミス

TT は一般に XX 全体で定義されていない。un=xn−wnu_n=x_n-w_n を作るとき,wn∈N⊂D(T)w_n\in N\subset D(T) であり,D(T)D(T) が線形部分空間であることを使って un∈D(T)u_n\in D(T) と確認する必要がある。

試験で書くべきポイント

商ノルムの正定値性では NN が閉であることを使う。ここが (1) と (2) の接続部分であり,書き落とすとノルムではなく半ノルムの確認に留まってしまう。

閉作用素と商空間の途中式・最終答をPDFで見る

第17問 — 連立線形微分方程式

方針

定数係数の場合は固有値で安定性を見る。2次元では,固有値を直接解かなくても,トレースが負かつ行列式が正であれば実部が負になる。

典型ミス

(2) では固有値 11 の項が ete^t で増大する。初期値条件は C1=0C_1=0 であり,p,qp,q の関係に戻すと q=−3pq=-3p である。

検算

(4) の行列は (a1−1a) \begin{pmatrix}a&1\\-1&a\end{pmatrix} で,回転成分と拡大縮小成分に分かれている。ノルム平方が e2ate^{2at} 倍されるため,a<0a<0 なら全ての軌道が原点へ縮む。

連立線形微分方程式の途中式・最終答をPDFで見る

第18問 — 積分記号下の微分

方針

差分商を作り,平均値の定理で偏微分の絶対値評価に帰着する。その差分商を可積分関数で支配できるので,支配収束定理により極限と積分を交換できる。

典型ミス

ガンマ関数では x=0x=0 と x=∞x=\infty の両方で可積分性を確認する必要がある。x=0x=0 では xs0/2−1∣log⁡x∣x^{s_0/2-1}|\log x|,無限遠では指数減衰 e−xe^{-x} が効く。

試験で書くべきポイント

(1) の仮定は偏微分の絶対値が1つの可積分関数で支配されるという形で使う。この点を明記すると,支配収束定理の適用条件がはっきりする。

積分記号下の微分の途中式・最終答をPDFで見る

第19問 — 正規分布と符号反転

方針

YcY_c は XX の一部を符号反転した変数だが,標準正規分布が対称なので周辺分布は XX と同じである。一方,∣Yc∣=∣X∣|Y_c|=|X| は完全に保たれるため,独立ではない。

典型ミス

YcY_c の分布が cc に依存すると考えて複雑な場合分けをしがちである。区間内の符号反転は対称分布を保つので,分布関数は常に Φ\Phi である。

検算

c=0c=0 では Y0=XY_0=X なので f(0)=Cov⁡(X,X)=1f(0)=\operatorname{Cov}(X,X)=1。c→∞c\to\infty では Yc=−XY_c=-X に近づくので共分散は −1-1 に近づく。求めた式はこの直感と一致している。

正規分布と符号反転の途中式・最終答をPDFで見る

第20問 — 符号検定と二項分布

方針

これは対応のある2変量データに対する符号検定の形である。Yi>XiY_i>X_i の回数だけを使うので,統計量は二項分布に従う。

典型ミス

(2) では対立仮説が p>1/2p>1/2 なので,上側棄却域を取る。T≥6T\ge6 まで含めるとサイズが 37/25637/256 となり,0.050.05 を大きく超える。

検算

信頼区間の幅は T=n/2T=n/2 で最大になる。偶数 nn ではこの最大値が実際に達成されるため,1.96/n≤0.11.96/\sqrt n\le0.1 をそのまま解けばよい。

符号検定と二項分布の途中式・最終答をPDFで見る

大阪公立大 数学 院試 過去問の収録6年度