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名大多元数理の過去問・解答|2027年度第1次・両日8問の解説

名大多元数理の2027年度第1次・両日8問を解説。直交射影・Jordan標準形・微積分の計算から、直交行列・縮小写像・留数積分・位相の証明と反例まで掲載。公式過去問と第2次募集6年分のテーマ分析も確認できます。

最終更新: 2026/10/17

名古屋大学の研究科別・公式過去問を見る

名古屋大学多元数理科学研究科の2027年度第1次募集は、2日間で各日3時間・4題すべて必答です。第1日は基礎的な計算、第2日は論証を中心に問います。線形代数・微分積分・複素関数・集合と位相を、計算と証明の両方から準備します。

公式の筆記試験説明は学部1〜2年程度の基礎を範囲としています。第1次募集要項では外部英語スコアの提出はなく、試験は2026年7月25日・26日に実施済みです。6年分の倍率と冬募集の公表状況は別にまとめています。

公式過去問と解答解説の収録回

大学の過去問ページでは2001〜2027年度の問題、2010〜2027年度の英訳、2026・2027年度の出題意図を公開しています。2021年度第1次募集は遠隔口述で、筆記問題はありません。

以下のテーマ表は、院試hubの2021〜2026年度第2次募集の解答解説に対応します。2022〜2026年度は各8問、2021年度は6問の計46問です。第2次募集の既出テーマを、2027年度第1次募集の出題内容や収録解説と混同しないようにしてください。

多元数理科学研究科修士・2021〜2027年度の公式問題
年度・募集回1日目2日目出題意図
2027
第1次
出題意図
2026
第1次
出題意図
2026
第2次
出題意図
2025
第1次
—
2025
第2次
—
2024
第1次
—
2024
第2次
—
2023
第1次
—
2023
第2次
—
2022
第1次
—
2022
第2次
—
2021
第2次
—

以下は2027年度第1次・両日8大問の無料解説です。各小問の途中式・証明・反例を掲載しています。大学の出題意図も併せて確認できます。販売中の解説集は2021〜2026年度第2次募集が対象で、この2027年度第1次の解説は含みません。

2027年度第1次・1日目第1問の解答:直交射影とJordan標準形

公式問題の第1問の(1)・(2)を解説します。(1)は射影先との差が直交する条件、(2)は固有値を引いた行列の平方から解き始めると、計算を短くできます。

(1) 直交条件から2本の連立方程式を作る

標準内積を持つ3次元実ベクトル空間で、次の2本が張る部分空間Wへのxの直交射影を求めます。

v1=(110),v2=(011),x=(123).v_1=\begin{pmatrix}1\\1\\0\end{pmatrix},\quad v_2=\begin{pmatrix}0\\1\\1\end{pmatrix},\quad x=\begin{pmatrix}1\\2\\3\end{pmatrix}.

射影をp=av₁+bv₂と置きます。v₁とv₂は直交していないので、それぞれへの射影を単に足すことはできません。残差x−pが両方のベクトルに直交する条件を使います。

⟨x−p,v1⟩=0 ⟹ 2a+b=3,⟨x−p,v2⟩=0 ⟹ a+2b=5.\begin{aligned}\langle x-p,v_1\rangle=0&\ \Longrightarrow\ 2a+b=3,\\\langle x-p,v_2\rangle=0&\ \Longrightarrow\ a+2b=5.\end{aligned}

第1式の2倍から第2式を引くと3a=1、続いてb=7/3です。したがって答えは

p=13v1+73v2=(1/38/37/3).\boxed{p=\frac13v_1+\frac73v_2=\begin{pmatrix}1/3\\8/3\\7/3\end{pmatrix}}.

検算では、残差x−p=(2/3, −2/3, 2/3)のv₁・v₂との内積がいずれも0になることを確かめます。pがWに属し、x−pがWに直交するので、直交射影の条件を満たしています。

(2) N=A−9Iの平方と階数を調べる

問題の行列Aと、対角成分から9を引いたNは次のとおりです。Iは4次単位行列です。

A=(82−12−21011−128211−210)A=\begin{pmatrix}8&2&-1&2\\-2&10&1&1\\-1&2&8&2\\1&1&-2&10\end{pmatrix}
N=A−9I=(−12−12−2111−12−1211−21).N=A-9I=\begin{pmatrix}-1&2&-1&2\\-2&1&1&1\\-1&2&-1&2\\1&1&-2&1\end{pmatrix}.

列をn₁、n₂、n₃、n₄と書くと、n₃=−n₁−n₂、n₄=n₂です。また、直接計算するとNn₁=Nn₂=0なので、N²=0です。例えば、第1・第2列の上から2成分で作る小行列の行列式は3であり、n₁とn₂は一次独立です。よってrank N=2です。

N²=0から、Aの固有値はすべて9で、Jordanブロックの大きさは最大2です。大きさ2のブロックはNの階数に1ずつ寄与するため、4次元・rank N=2という条件から、2次のブロックが2個と分かります。

J=(9100090000910009).\boxed{J=\begin{pmatrix}9&1&0&0\\0&9&0&0\\0&0&9&1\\0&0&0&9\end{pmatrix}}.

Jordan鎖から変換行列Pを作り、AP=PJで検算する

e₁、e₂を標準基底の最初の2本とします。Ne₁=n₁、Nn₁=0と、Ne₂=n₂、Nn₂=0が2本のJordan鎖になります。列の順番を、固有ベクトル、対応する一般固有ベクトルの順に並べます。

P=(n1 e1 n2 e2)=(−1120−2011−10201010),det⁡P=3.\begin{aligned}P&=(n_1\ e_1\ n_2\ e_2)\\&=\begin{pmatrix}-1&1&2&0\\-2&0&1&1\\-1&0&2&0\\1&0&1&0\end{pmatrix},\qquad\det P=3.\end{aligned}

Pは可逆です。A=9I+Nを使うと、各列に対する作用は次のようになります。

An1=9n1,Ae1=n1+9e1,An2=9n2,Ae2=n2+9e2.\begin{aligned}An_1&=9n_1,& Ae_1&=n_1+9e_1,\\An_2&=9n_2,& Ae_2&=n_2+9e_2.\end{aligned}

これはAP=PJそのものなので、P⁻¹AP=Jが成り立ちます。Pの列をe₁、n₁の順に逆にすると、1の位置が上側になりません。標準形だけでなく、列の並べ方とこの等式まで確認すると、変換行列の取り違えを防げます。

第2問の解答:ユニタリ対角化と漸化式

公式問題の第2問では、実数tを含む行列Aを複素数の範囲で対角化し、その反復で定まる数列を調べます。第1・第3成分を組にすると、回転と拡大縮小として計算できます。

A=12(10t020−t01).A=\frac12\begin{pmatrix}1&0&t\\0&2&0\\-t&0&1\end{pmatrix}.

(1) 正規直交する固有ベクトルを列に並べる

第2成分だけのベクトルは固有値1に対応します。残りの2成分では、特性方程式は(1/2−λ)²+t²/4=0です。固有値と、それぞれに対応する単位固有ベクトルは次のとおりです。

λ+=1+it2,u+=12(10i),λ0=1,u0=(010),λ−=1−it2,u−=12(10−i).\begin{aligned}\lambda_+&=\frac{1+it}{2},&u_+&=\frac1{\sqrt2}\begin{pmatrix}1\\0\\i\end{pmatrix},\\\lambda_0&=1,&u_0&=\begin{pmatrix}0\\1\\0\end{pmatrix},\\\lambda_-&=\frac{1-it}{2},&u_-&=\frac1{\sqrt2}\begin{pmatrix}1\\0\\-i\end{pmatrix}.\end{aligned}

例えばu₊とu₋の内積は、左側を複素共役にして(1+(−i)(−i))/2=0です。3本は互いに直交し、長さも1なので、これらを列に並べたUはU*U=Iを満たします。

U=(1/201/2010i/20−i/2)U=\begin{pmatrix}1/\sqrt2&0&1/\sqrt2\\0&1&0\\i/\sqrt2&0&-i/\sqrt2\end{pmatrix}
U∗AU=diag⁡ ⁣(1+it2, 1, 1−it2).U^*AU=\operatorname{diag}\!\left(\frac{1+it}{2},\,1,\,\frac{1-it}{2}\right).

Au₊=λ₊u₊、Au₀=u₀、Au₋=λ₋u₋を確かめれば対角化も確認できます。t=0では固有値1/2が重複しますが、このUの3本の列は独立なままなので、同じ表示が使えます。

(2) xₙ+izₙを計算し、実数の式へ戻す

ここからt=tanθ、0<θ<π/2で、初項はx₀=y₀=z₀=1です。第2成分は変わらずyₙ=1です。第1・第3成分の漸化式を足し合わせると、次の1本の式になります。

xn+1+izn+1=1−it2(xn+izn),1−itan⁡θ2=ρe−iθ,ρ=12cos⁡θ.\begin{aligned}x_{n+1}+iz_{n+1}&=\frac{1-it}{2}(x_n+iz_n),\\\frac{1-i\tan\theta}{2}&=\rho e^{-i\theta},\qquad\rho=\frac1{2\cos\theta}.\end{aligned}

虚部の符号は負です。初項1+iを使ってn回繰り返し、実部と虚部を分けます。

xn+izn=(1+i)ρne−inθ,xn=ρn(cos⁡nθ+sin⁡nθ),zn=ρn(cos⁡nθ−sin⁡nθ).\begin{aligned}x_n+iz_n&=(1+i)\rho^n e^{-in\theta},\\x_n&=\rho^n(\cos n\theta+\sin n\theta),\\z_n&=\rho^n(\cos n\theta-\sin n\theta).\end{aligned}

求めるwₙ=xₙ+yₙ+zₙではsinの項が消えます。虚数単位を含まない答えは

wn=1+2(12cos⁡θ)ncos⁡(nθ).w_n=1+2\left(\frac1{2\cos\theta}\right)^n\cos(n\theta).

n=0でw₀=3、n=1でw₁=2となり、初項と行列を1回掛けた値にも一致します。

(3) θ₀=π/3を選び、有限性と有界性を示す

θ₀=π/3ならρ=1です。cos(nπ/3)は6項ごとに繰り返すため、wₙは3、2、0、−1、0、2の繰り返しになります。

W={−1,0,2,3}(θ=π/3).W=\{-1,0,2,3\}\qquad(\theta=\pi/3).

この4個以外の値を取らないので、Wは有限集合です。一方、0<θ<π/3ではcosθ>1/2より0<ρ<1です。したがって、すべてのnについて

∣wn−1∣≤2ρn≤2,−1≤wn≤3.|w_n-1|\le2\rho^n\le2,\qquad -1\le w_n\le3.

よってWは有界です。さらにρⁿ→0なのでwₙ→1も分かります。値の種類が有限であることと、値が一定の範囲に収まることは区別して示します。

θ=π/4では振幅が小さくなり1に近づく横軸はn、縦軸はw_n。nが0から12までの値を点で示す。初項3から振動しながら1に近づく。破線はw_n=1。θ=π/4、ρ=1/√2-10123036912nwₙθ=π/3では6項ごとに同じ値を取る横軸はn、縦軸はw_n。nが0から12までの値を点で示す。3、2、0、−1、0、2の6項を繰り返す。破線はw_n=1。θ=π/3、ρ=1-10123036912nwₙ
点は数列の各項です。θ=π/3では4種類の値を繰り返し、θ=π/4では振幅が小さくなります。θがπ/3より小さい場合全体の有界性は、本文の評価式で示します。

第3問の解答:sinのべき乗積分と級数の収束

公式問題の第3問は、積分Iₙの減少性から隣り合う項を挟み、部分積分で得た漸化式と組み合わせる問題です。以下では計算のためI₀=π/2も定めます。

In=∫0π/2sin⁡nx dx,I0=π2,I1=1.I_n=\int_0^{\pi/2}\sin^n x\,dx,\qquad I_0=\frac\pi2,\quad I_1=1.

(1) 被積分関数の大小を比べる

0<x<π/2では0<sin x<1なので、sinⁿ⁺¹x<sinⁿxです。区間全体で積分すると0<Iₙ₊₁<Iₙとなり、数列は狭義単調減少です。端点で等号になることは、積分の厳密な不等号を妨げません。

(2) 部分積分でIₙとIₙ₊₂を結ぶ

Iₙ₊₂をsinⁿ⁺¹xとsin xの積として部分積分します。端点ではsinⁿ⁺¹x cos xが0になり、cos²x=1−sin²xを使えます。

In+2=[−sin⁡n+1xcos⁡x]0π/2+(n+1)∫0π/2sin⁡nxcos⁡2x dx=(n+1)(In−In+2).\begin{aligned}I_{n+2}&=\left[-\sin^{n+1}x\cos x\right]_0^{\pi/2}\\&\quad +(n+1)\int_0^{\pi/2}\sin^n x\cos^2x\,dx\\&=(n+1)(I_n-I_{n+2}).\end{aligned}
In+2=n+1n+2In,InIn+2=n+2n+1⟶1.\begin{gathered}I_{n+2}=\frac{n+1}{n+2}I_n,\\\frac{I_n}{I_{n+2}}=\frac{n+2}{n+1}\longrightarrow1.\end{gathered}

(3) 偶数項と奇数項の比を挟む

(1)よりI₂ₙ₊₂≤I₂ₙ₊₁≤I₂ₙで、いずれも正です。分母の大小と(2)の漸化式から

1≤I2nI2n+1≤I2nI2n+2=2n+22n+1.1\le\frac{I_{2n}}{I_{2n+1}}\le\frac{I_{2n}}{I_{2n+2}}=\frac{2n+2}{2n+1}.

両端が1へ収束するため、I₂ₙ/I₂ₙ₊₁→1です。積分がともに0へ近づくだけでは比の極限は決まらず、この評価が必要です。

(4) 偶数項と奇数項の積から√n I₂ₙを求める

漸化式をI₀、I₁までさかのぼると、二重階乗を使って次のように書けます。二重階乗は、同じ偶奇の整数を2ずつ下げて掛けたものです。

I2n=(2n−1)!!(2n)!! π2,I2n+1=(2n)!!(2n+1)!!,I2nI2n+1=π2(2n+1).\begin{aligned}I_{2n}&=\frac{(2n-1)!!}{(2n)!!}\,\frac\pi2,\\I_{2n+1}&=\frac{(2n)!!}{(2n+1)!!},\\I_{2n}I_{2n+1}&=\frac{\pi}{2(2n+1)}.\end{aligned}

この積に(3)の比を掛けるとI₂ₙの平方になり、極限を計算できます。

nI2n2=I2nI2n+1πn2(2n+1)⟶π4.\begin{aligned}nI_{2n}^2&=\frac{I_{2n}}{I_{2n+1}}\frac{\pi n}{2(2n+1)}\\&\longrightarrow\frac\pi4.\end{aligned}

I₂ₙ>0なので正の平方根を取り、答えは

lim⁡n→∞n I2n=π2.\lim_{n\to\infty}\sqrt n\,I_{2n}=\frac{\sqrt\pi}{2}.

(5) nの3/2乗に反比例する級数と比較する

(4)より、十分大きいnでは√n I₂ₙをある正定数Cで上から押さえられます。そのとき

0≤I2nn≤Cn3/2.0\le\frac{I_{2n}}n\le\frac C{n^{3/2}}.

Σn⁻³ᐟ²は指数3/2>1の収束級数なので、比較判定法によりΣI₂ₙ/nも収束します。最初の有限個の項は収束・発散を変えません。一般項が0へ収束することだけでは、この判定の理由にはなりません。

第4問の解答:原点の連続性・全微分可能性と広義積分

公式問題の第4問の関数は、r=√(x²+y²)と置くと、原点以外ではf=2r²ᵅ log r、原点ではf=0です。角度に依存しないため、原点での極限はr→0にまとめられます。

(1) 連続となる条件はα>0

r=e⁻ˢと置くとr→0はs→∞に対応し、f=−2s e⁻²ᵅˢです。α>0では指数関数の減衰がsの増加を上回るので0に収束します。α=0では−2s→−∞、α<0でも−∞となり、f(0,0)=0に近づきません。したがって、連続となる範囲はα>0です。

(2) 全微分可能となる条件はα>1/2

α>1/2のとき、原点での微分を0とすれば、全微分可能性の定義に現れる誤差は次のように評価できます。

∣f(x,y)−f(0,0)∣x2+y2=2r2α−1∣log⁡r∣⟶0.\frac{|f(x,y)-f(0,0)|}{\sqrt{x^2+y^2}}=2r^{2\alpha-1}|\log r|\longrightarrow0.

rだけの式が0へ収束するので、どの方向から原点に近づいても同じです。従って全微分可能で、微分Df(0,0)=0です。

逆にα≤0では連続でないため全微分可能でもありません。0<α≤1/2では、x軸上の右側からの差商が

f(h,0)−f(0,0)h=2h2α−1log⁡h⟶−∞(h↓0).\begin{aligned}\frac{f(h,0)-f(0,0)}h&=2h^{2\alpha-1}\log h\\&\longrightarrow-\infty\quad(h\downarrow0).\end{aligned}

となります。α=1/2でも2 log hが発散し、偏微分すら存在しません。よって必要十分な範囲はα>1/2です。偏微分が存在するという確認だけで全微分可能性を済ませず、十分性では上の誤差の極限を示します。

(3) 円環上の積分が収束する条件はα<−1

積分領域DRは1≤r≤Rの円環です。原点の近くを積分しないため、ここではr→∞での減衰を調べます。極座標の面積要素r dr dθを入れ、u=r²で置換します。

積分領域は半径1からRまでの円環Rが1より大きい場合の円環D_Rを示す。中心の円板は積分領域に含まれず、原点の連続性はこの積分の収束条件を決めない。O1RDRxy
R>1の積分領域。内側の半径は1に固定し、Rを無限大にします。R=1では面積が0です。
J(R)=∬DRf(x,y) dx dy=2π∫1Rr2α+1log⁡(r2) dr=π∫1R2uαlog⁡u du.\begin{aligned}J(R)&=\iint_{D_R} f(x,y)\,dx\,dy\\&=2\pi\int_1^R r^{2\alpha+1}\log(r^2)\,dr\\&=\pi\int_1^{R^2}u^\alpha\log u\,du.\end{aligned}

α≠−1の場合は部分積分により

∫uαlog⁡u du=uα+1α+1log⁡u−uα+1(α+1)2,J(R)=πR2α+2log⁡R2α+1+π(1−R2α+2)(α+1)2.\begin{aligned}\int u^\alpha\log u\,du&=\frac{u^{\alpha+1}}{\alpha+1}\log u\\&\quad-\frac{u^{\alpha+1}}{(\alpha+1)^2},\\J(R)&=\frac{\pi R^{2\alpha+2}\log R^2}{\alpha+1}\\&\quad+\frac{\pi(1-R^{2\alpha+2})}{(\alpha+1)^2}.\end{aligned}

α<−1では、Rの負のべき乗とlog Rの積が0へ収束するので、極限はπ/(α+1)²です。α>−1では上端の項が正の無限大へ発散します。残るα=−1は別に積分すると

J(R)=π∫1R2log⁡uu du=2π(log⁡R)2⟶+∞.\begin{aligned}J(R)&=\pi\int_1^{R^2}\frac{\log u}{u}\,du\\&=2\pi(\log R)^2\longrightarrow+\infty.\end{aligned}

以上から、有限の極限が存在するのはα<−1の場合だけで、その値は次のとおりです。

lim⁡R→∞J(R)=π(α+1)2(α<−1).\lim_{R\to\infty}J(R)=\frac\pi{(\alpha+1)^2}\qquad(\alpha<-1).

2日目第1問の解答:実直交行列と120度の回転

公式問題の第1問では、直交行列が長さと内積を保つことを使います。最後の3次行列は、固定される1本の軸と、その軸に直交する平面に分けて考えます。

(1) 複素固有値の絶対値は1

Pを複素ベクトルにも作用させます。Pは実行列なのでP*=Pᵀであり、直交性PᵀP=Iから、複素ユークリッドノルムも保存します。固有値αに属する0でない複素ベクトルzを取ると

∥Pz∥2=z∗P∗Pz=z∗z=∥z∥2,∥Pz∥2=∥αz∥2=∣α∣2∥z∥2.\begin{aligned}\|Pz\|^2&=z^*P^*Pz=z^*z=\|z\|^2,\\\|Pz\|^2&=\|\alpha z\|^2=|\alpha|^2\|z\|^2.\end{aligned}

‖z‖²>0で割れば|α|²=1、従って|α|=1です。複素ベクトルでは、共役を取らないzᵀzをノルムの平方として使わないようにします。

(2) 固有ベクトルの直交補空間はPで保たれる

Pv=λvとなる実固有ベクトルvと、vに直交するwを取ります。内積の保存から

λ⟨Pw,v⟩=⟨Pw,Pv⟩=⟨w,v⟩=0.\begin{aligned}\lambda\langle Pw,v\rangle&=\langle Pw,Pv\rangle\\&=\langle w,v\rangle=0.\end{aligned}

(1)よりλ=±1で、λ≠0です。よって〈Pw,v〉=0となり、Pwもvの直交補空間Wに属します。

(3) P³=Iを満たす3次実行列には固有値1がある

Pの特性多項式は実係数の3次式なので、少なくとも1つ実根λを持ちます。対応する固有ベクトルにP³=Iを作用させるとλ³=1です。実数でこの式を満たすのはλ=1だけなので、1はPの固有値です。

(4) 正規直交基底での表現行列をすべて求める

Pv₁=v₁であり、(2)よりv₁の直交補空間span(v₂,v₃)も保たれます。従って、この基底での表現行列は1と2次直交行列Qに分かれます。

[P](v1,v2,v3)=(1000q11q120q21q22),QTQ=I2.\begin{gathered}[P]_{(v_1,v_2,v_3)}=\begin{pmatrix}1&0&0\\0&q_{11}&q_{12}\\0&q_{21}&q_{22}\end{pmatrix},\\Q^\mathsf TQ=I_2.\end{gathered}

Q³=I₂なので(det Q)³=1です。det Qは実数だから1となり、Qの列の直交性と向きから、次の形に書けます。

Q=(a−bba),a2+b2=1.Q=\begin{pmatrix}a&-b\\b&a\end{pmatrix},\qquad a^2+b^2=1.

この行列を3回掛けることは、複素数a+ibを3乗することに対応します。P≠IだからQ≠I₂であり、a+ibは1以外の3乗根です。

a+ib=−12±32i.a+ib=-\frac12\pm\frac{\sqrt3}{2}i.

従って、現れる表現行列は次の2つです。上下の符号は対応させます。

[P](v1,v2,v3)=(1000−1/2∓3/20±3/2−1/2).[P]_{(v_1,v_2,v_3)}=\begin{pmatrix}1&0&0\\0&-1/2&\mp\sqrt3/2\\0&\pm\sqrt3/2&-1/2\end{pmatrix}.

一方の基底で得られた行列に対し、v₂とv₃を入れ替えた基底では符号が反転します。したがって2つとも実際に現れ、これ以外はありません。いずれもv₁を固定し、直交する平面を±120度回す行列です。

120度の回転v₁に直交する平面を、横軸v₂、縦軸v₃で表す。v₂の像は左上にあり、成分はマイナス2分の1と正の2分のルート3。v₂v₃OPv₂+2π/3マイナス120度の回転v₁に直交する平面を、横軸v₂、縦軸v₃で表す。v₂の像は左下にあり、成分はマイナス2分の1と負の2分のルート3。v₂v₃OPv₂−2π/3
v₁に直交する平面での2通りの表示。v₂とv₃を入れ替えると、回転角の符号が逆になります。

2日目第2問の解答:連続関数と縮小写像の不動点

公式問題の第2問は、不動点が存在することと、ただ1つであることを分けて示す問題です。閉区間では中間値の定理、実数全体の縮小写像では反復列の収束を使います。

(1) f(x)−xの両端の符号を比べる

h(x)=f(x)−xと置くと、hは[a,b]上で連続です。fの値域が[a,b]に含まれるので、f(a)≥a、f(b)≤bです。

h(a)≥0,h(b)≤0.h(a)\ge0,\qquad h(b)\le0.

どちらかが0なら、その端点が不動点です。そうでなければh(a)>0、h(b)<0なので、中間値の定理によりh(p)=0となるp∈(a,b)が存在します。どちらの場合もf(p)=pです。この条件だけから不動点の一意性までは言えません。例えば恒等写像なら区間内のすべての点が不動点です。

(2a) 縮小条件から連続性を示す

0<c<1とし、すべてのx,yで|f(x)−f(y)|≤c|x−y|が成り立つとします。任意の点xとε>0に対しδ=ε/cを取れば、|x−y|<δから

∣f(x)−f(y)∣≤c∣x−y∣<cδ=ε.|f(x)-f(y)|\le c|x-y|<c\delta=\varepsilon.

従って、fは各点xで連続です。

(2b) 反復列がCauchy列であることから存在を示す

任意のx₀∈Rからxₙ₊₁=f(xₙ)を定め、D=|x₁−x₀|と置きます。縮小条件を繰り返すと

∣xn+1−xn∣≤c∣xn−xn−1∣≤⋯≤cnD.\begin{aligned}|x_{n+1}-x_n|&\le c|x_n-x_{n-1}|\\&\le\cdots\le c^nD.\end{aligned}

これだけでは、離れた2項が近いことまで示せていません。m>nとして、隣り合う項の差を足し、等比級数で評価します。

∣xm−xn∣≤∑k=nm−1∣xk+1−xk∣≤D∑k=nm−1ck≤Dcn1−c⟶0.\begin{aligned}|x_m-x_n|&\le\sum_{k=n}^{m-1}|x_{k+1}-x_k|\\&\le D\sum_{k=n}^{m-1}c^k\\&\le\frac{Dc^n}{1-c}\longrightarrow0.\end{aligned}

最後の上界はmによらず、nを大きくすれば0へ近づきます。従って数列xₙはCauchy列であり、実数の完備性からあるp∈Rへ収束します。(2a)の連続性を使うと

f(p)=f ⁣(lim⁡n→∞xn)=lim⁡n→∞xn+1=p.\begin{aligned}f(p)&=f\!\left(\lim_{n\to\infty}x_n\right)\\&=\lim_{n\to\infty}x_{n+1}=p.\end{aligned}

これで不動点の存在が示せました。次にp,qがともに不動点だと仮定すると、縮小条件から

∣p−q∣=∣f(p)−f(q)∣≤c∣p−q∣.|p-q|=|f(p)-f(q)|\le c|p-q|.

1−c>0なので|p−q|=0、すなわちp=qです。存在と一意性の両方が示されました。

2日目第3問の解答:長方形積分路による広義積分

公式問題の第3問では、α>1として次の関数を扱います。虚軸方向へ2π/αだけ平行移動したときの関係を使い、長方形の上辺と下辺を結びます。

f(z)=ezeαz+1.f(z)=\frac{e^z}{e^{\alpha z}+1}.

(1) 分母の零点と極の次数を調べる

分母が0となる点は、整数kを用いて次のように表せます。

zk=(2k+1)πiα(k∈Z).z_k=\frac{(2k+1)\pi i}{\alpha}\qquad(k\in\mathbb Z).

分母の微分はzₖで−α≠0です。分子もどこでも0にならないので、これらはすべて1位の極であり、他に特異点はありません。留数は

Res⁡z=zkf(z)=ezkαeαzk=−ezkα.\operatorname*{Res}_{z=z_k}f(z)=\frac{e^{z_k}}{\alpha e^{\alpha z_k}}=-\frac{e^{z_k}}\alpha.

(2) 長方形の内部には極が1個ある

ΓRの内部は−R<Re z<R、0<Im z<2π/αです。R>0であれば、この中に入る極はz₀=πi/αだけです。領域を左手に見る向きは反時計回りなので、留数定理により

∮ΓRf(z) dz=−2πiαeπi/α.\oint_{\Gamma_R}f(z)\,dz=-\frac{2\pi i}{\alpha}e^{\pi i/\alpha}.
反時計回りの長方形積分路と内部の極実部がマイナスRからR、虚部が0から2π/αの長方形。下辺を右、右辺を上、上辺を左、左辺を下へ進む。内部の極は虚軸上のπi/αだけ。πi/α2πi/αΓR−RROReIm
上辺はR+2πi/αから−R+2πi/αへ進みます。内部の極はπi/αの1個です。

(3) 縦の2辺を評価し、実軸の積分を求める

まず実軸上では、次の正の関数で上から押さえられます。α>1なので両側の広義積分は収束します。

0<f(x)≤ex(x≤0),0<f(x)≤e−(α−1)x(x≥0).\begin{aligned}0<f(x)&\le e^x&&(x\le0),\\0<f(x)&\le e^{-(\alpha-1)x}&&(x\ge0).\end{aligned}

H=2π/αとし、−RからRまでの実軸上の積分をIRと置きます。分母は虚軸方向の移動で変わらず、分子はeiH倍になります。

f(x+iH)=eiHf(x).f(x+iH)=e^{iH}f(x).

上辺は右から左へ進むので、その積分は−eiHIRです。右辺と左辺の積分をそれぞれV₊(R)、V₋(R)と書くと

∮ΓRf(z) dz=(1−eiH)IR+V+(R)+V−(R).\begin{aligned}\oint_{\Gamma_R}f(z)\,dz&=(1-e^{iH})I_R\\&\quad+V_+(R)+V_-(R).\end{aligned}

縦の辺の長さはHです。分母に|u+1|≥||u|−1|を用いると、辺のどの点でも同じ上界が使えます。

∣V+(R)∣≤HeReαR−1⟶0,∣V−(R)∣≤He−R1−e−αR⟶0.\begin{aligned}|V_+(R)|&\le H\frac{e^R}{e^{\alpha R}-1}\longrightarrow0,\\|V_-(R)|&\le H\frac{e^{-R}}{1-e^{-\alpha R}}\longrightarrow0.\end{aligned}

右側の極限にはα>1を使っています。従って、I=∫−∞∞f(x)dxとすると、(2)の結果から

(1−e2πi/α)I=−2πiαeπi/α.(1-e^{2\pi i/\alpha})I=-\frac{2\pi i}{\alpha}e^{\pi i/\alpha}.

0<π/α<πなのでsin(π/α)≠0です。分母を次のように変形して割ると、実数の答えになります。

1−e2πi/α=−2ieπi/αsin⁡πα.1-e^{2\pi i/\alpha}=-2i e^{\pi i/\alpha}\sin\frac\pi\alpha.
∫−∞∞exeαx+1 dx=παsin⁡(π/α).\int_{-\infty}^{\infty}\frac{e^x}{e^{\alpha x}+1}\,dx=\frac{\pi}{\alpha\sin(\pi/\alpha)}.

α>1では右辺は正です。元の被積分関数も正なので、積分路の向きや上辺の符号を逆にして負の値が出た場合は、この点からも誤りに気づけます。

2日目第4問の解答:連続写像の合成と像の稠密性

公式問題の第4問では、φ∘fとg∘φの合成する順序を区別します。C(A,B)はAからBへの連続写像全体です。φ:X→Yが連続なので、次の合成も連続写像になります。

ϕ∗:C(Z,X)⟶C(Z,Y),f⟼ϕ∘f,ϕ∗:C(Y,Z)⟶C(X,Z),g⟼g∘ϕ.\begin{aligned}\phi_* &:C(Z,X)\longrightarrow C(Z,Y),\\&f\longmapsto\phi\circ f,\\\phi^* &:C(Y,Z)\longrightarrow C(X,Z),\\&g\longmapsto g\circ\phi.\end{aligned}

(1a) φが単射ならφ*は単射:真

φ∘f₁=φ∘f₂と仮定します。各z∈Zでφ(f₁(z))=φ(f₂(z))なので、φの単射性からf₁(z)=f₂(z)です。すべてのzで一致し、f₁=f₂となるため、φ*は単射です。

(1b) φが全射ならφ*は単射:真

g₁∘φ=g₂∘φと仮定します。任意のy∈Yに対し、全射性からφ(x)=yとなるx∈Xを取れます。従って

g1(y)=g1(ϕ(x))=g2(ϕ(x))=g2(y).g_1(y)=g_1(\phi(x))=g_2(\phi(x))=g_2(y).

すべてのyで一致するのでg₁=g₂であり、φ*は単射です。

(1c) φが単射ならφ*は全射:偽

通常の位相でX=(0,1)、Y=[0,1]、Z=Rとし、φを包含写像とします。φは連続かつ単射です。X上の連続関数h(x)=1/xを取ります。

もしh=g∘φを満たす連続写像g:Y→Rがあれば、0<x<1でg(x)=1/xです。n≥2について

1n⟶0,g ⁣(1n)=n.\frac1n\longrightarrow0,\qquad g\!\left(\frac1n\right)=n.

gが0で連続なら左の点列に対する値は有限の実数g(0)へ収束するはずですが、nは無限大へ発散します。従ってそのようなgは存在せず、φ*は全射ではありません。単射な包含写像でも、部分空間上の連続関数を全空間へ連続に延長できるとは限りません。

(2) 稠密な像で一致する連続写像を比べる

ZがHausdorffで、φ(X)がYで稠密だとします。g₁∘φ=g₂∘φ、すなわちg₁とg₂がφ(X)上で一致すると仮定し、Y全体でも一致することを示します。

もしあるy∈Yでg₁(y)≠g₂(y)なら、Hausdorff性から、g₁(y)とg₂(y)をそれぞれ含む互いに交わらない開集合U,Vを取れます。連続性により

N=g1−1(U)∩g2−1(V)N=g_1^{-1}(U)\cap g_2^{-1}(V)

はyを含む非空の開集合です。φ(X)の稠密性からN∩φ(X)≠∅なので、φ(x)∈Nとなるxを取れます。一方でg₁(φ(x))=g₂(φ(x))です。この共通の値がUとVの両方に入ることになり、U∩V=∅に矛盾します。

よってそのようなyはなく、g₁=g₂です。従ってφ*は単射です。一般の位相空間では、稠密集合から各点へ収束する点列を選べるとは限りません。この証明では非空開集合との交わりを使うため、距離空間などの追加条件を必要としません。

6年46問のテーママップ

2021〜2026年度第2次募集の主なテーマと復習項目です。2022〜2026年度は1日目・2日目各4問、2021年度は各3問を扱います。

年度1日目で見た主題2日目で見た主題準備に加えること
2026行列式、部分空間の共通部分、Jordan標準形、対合の固有空間分解、多変数関数の連続性・偏微分・C1、平均値定理の漸近。アフィン部分集合、関数列の積分極限、Fresnel型積分、集合を含む開集合系と連続性。直近年度として本番演習に使う。線形代数の計算速度と、解析・位相で定義から書く力を同時に確認する。
2025行列の対角化と冪極限、反交換子型線形変換、多変数極限・微分可能性・累次積分、領域上の重積分。多項式の評価写像、関数列f(nx)、留数和、集合・写像・位相空間の命題。線形代数と解析の橋渡しを練習する年度。固有値の絶対値、Taylor主要部、ヤコビアン、留数の符号を点検する。
2024同時対角化、部分空間と正規直交基底、数値積分と広義積分、比較判定法とRaabe判定法。Gram行列、近似デルタ関数と熱核、Dirichlet積分、連結集合の保存と和集合。標準論法の年度。内積・正定値、端点主要部、近似単位、連結性の証明を答案テンプレート化する。
2023連立一次方程式、固有値とJordan標準形、Lagrange乗数法、方向2階差分と3重広義積分。交代行列の交換子、熱方程式のFourier級数解、留数定理、Hausdorff空間の特徴付け。計算と証明が両方重い。階数、制約条件、球面の特異性、Fourier級数の一様収束を落とさない練習に使う。
2022部分空間の和と共通部分、対角化可能性、Taylor展開と極値、広義積分の収束条件と値。双対空間、デルタ関数列と弱収束、複素関数論、上半連続関数とコンパクト性。1周目の診断に向く。線形代数・解析・複素・位相の不足を見つける。
2021第2次募集のみ。対角化可能性、広義積分・極値・累次積分、留数定理。A2=tA型の行列、有界変動関数、連結性と局所定数関数。入口年度として使う。問題数は6問だが、線形代数・解析・複素・位相の基本答案を短く確認できる。

3時間で4題に取り組み、証明の条件を確かめる

2027年度第1次の形式で演習する場合は、各日3時間で4題すべてに取り組みます。最初に小問と条件を読み、解く順序を決めてください。途中で止まったら、どの計算・定義・評価が足りないかを残して次へ進み、後で戻ります。2021年度第2次は各日3問です。過去問を時間を測って解くときも、その回の表紙にある指示を確認します。

解いた後は、答えだけを照合せず、次の箇所を自分の答案で説明できているか確かめます。

  • 1日目第1問の直交射影では、与えられた基底が正規直交基底かを確認し、そうでなければGram行列を使って係数を求める。
  • 1日目第3問の積分では、偶数・奇数の漸化式を分け、隣接する項の比の評価を極限へつなぐ。
  • 2日目第2問の反復列では、隣り合う項の差だけでなく、離れた2項の差を等比級数で押さえる。
  • 2日目第3問の積分では、上辺の向きを含めて4辺に分け、縦の辺が消える評価にα>1を使う。
  • 2日目第4問の稠密性では、Hausdorff性で作った開集合と、その逆像の交わりを明示する。

情報学研究科の数理情報学との違い

多元数理と情報学研究科の数理情報学は、別の研究科・試験です。2027年度夏の数理情報学は90分で5〜6題から2題を選び、外部英語スコアを提出します。受験先を比較する場合は情報学6専攻の試験形式も確認してください。

途中式と最終答まで読める解説

問題本文は含みません。公式の問題冊子と併用してください。

数学の収録解説の分野(2021〜2026年度・46項目)

院試hubの収録解説6実施回・46項目の見出しを分野別に数えたものです。設問を分割した項目や、公開資料の制約を説明する項目を含むため、公式問題の大問数や完成答案数とは一致しません。微分積分・解析が18項目(全体の39%)で最多。微分積分・解析は6実施回すべてに出ています。

分野項目数全項目に占める割合直近の連続出題最後に出た回
微分積分・解析1839%6回連続2026年度
1124%4回連続2026年度
線形代数1022%1回連続2026年度
位相・幾何37%2回連続2026年度
数学24%—2025年度

このほか1項目だけ収録した分野は 微分方程式・複素解析 です。

収録年度と解説項目数

院試hubに収録した6実施回の一覧です。1回あたりの解説見出しは6〜8項目です。2022年度以降の収録分は8項目です。

名大 数学の解答で立てた注意点(130件)

院試hubの解説で、その設問だけに立てた小見出しです(「方針」「検算」のような全問共通の 見出しは除いています)。新しい実施回から並べています。

微分積分・解析52件

  • 2026年度 第6問 後期 2 日目 第 2 問 関数列の積分・極限方針 — 近似的 δ 関数 / 背景 — Lebesgue 支配収束定理 vs Fatou
  • 2026年度 第7問 後期 2 日目 第 3 問 楔形等高線で Fresnel 型積分方針 — Gauss 積分の角度パラメータ族 / 背景 — Fresnel 積分への接続
  • 2025年度 第3問 後期 1 日目 第 3 問 多変数極限・微分可能性・累次積分方針 — 微分可能性と Taylor の主要部 / 検算 — (3) の θ 範囲 / 背景 — 多変数の微分可能性
  • 2025年度 第4問 後期 1 日目 第 4 問 領域 D 上の重積分方針 — 対称性とヤコビ関係 / 検算 — 部分積分での確認 / 背景 — 対称多項式と Newton-Girard
  • 2025年度 第5問 後期 2 日目 第 1 問 値・微分値による多項式の評価写像方針 — Vandermonde 補間と Hermite 補間 / 検算 — Hermite 補間の文献値 / 背景 — 補間と数値解析
  • 2025年度 第6問 後期 2 日目 第 2 問 関数列 f_n(x)=f(nx) の極限と積分方針 — 一様収束と支配収束 / 検算 — 単純例 / 背景 — Lebesgue 支配収束定理
  • 2026年度 第2問 後期 1 日目 第 2 問 対合 P^2=I と固有空間分解方針 — 対合の固有空間分解 / 検算 — 対合の例 / 背景 — 量子力学のパリティ
  • 2026年度 第4問 後期 1 日目 第 4 問 平均値定理の中間点と漸近方針 — MVT 中間点の漸近的位置 / 検算 — Taylor 直接 / 背景 — Cauchy 平均値定理と Taylor 級数
  • 2026年度 第5問 後期 2 日目 第 1 問 アフィン部分集合 V,W の共通部分と直和分解方針 — アフィン vs 線形部分空間, 次元公式 / 背景 — Grassmann 公式
  • 2025年度 第2問 後期 1 日目 第 2 問 反交換子型線形変換 T_A(X)=AX+XA方針 — 反交換子の固有値構造 / 背景 — Pauli 行列とスピン
  • 2025年度 第7問 後期 2 日目 第 3 問 留数和による ∑(-1)^n/n^2 の計算方針 — 留数定理で級数を計算 / 背景 — \zeta 関数と Bernoulli 数
  • 2024年度 第4問 後期 1 日目 第 4 問 比較判定法と Raabe の判定法方針 — Raabe の判定法 / 検算 — 具体例 / 背景 — 比判定法の階層

線形代数28件

  • 2026年度 第1問 後期 1 日目 第 1 問 行列式・部分空間共通部分・Jordan 標準形方針 — Companion 行列・ベクトル空間操作・Jordan 鎖 / 背景 — Companion 行列と固有値
  • 2024年度 第1問 後期 1 日目 第 1 問 行列の同時対角化方針 — 同時対角化と可換性 / 検算 — P の正規化 / 背景 — Lie 環と同時対角化
  • 2024年度 第2問 後期 1 日目 第 2 問 部分空間 V_1,V_2 の交わりと正規直交基底方針 — Grassmann の次元公式と Gram-Schmidt / 背景 — Grassmannian と二平面の交わり
  • 2024年度 第5問 後期 2 日目 第 1 問 Gram 行列方針 — Gram 行列の意味 / 検算 — 単純例 / 背景 — 線形最小二乗法と Gram 行列
  • 2023年度 第2問 後期 1 日目 第 2 問 行列の固有値とジョルダン標準形方針 — ブロック三角化と階数計算 / 検算 — 最小多項式 / 背景 — Cayley-Hamilton と最小多項式
  • 2023年度 第5問 後期 2 日目 第 1 問 実交代行列の交換子方針 — 交換子と Frobenius ノルム / 別解 (3) — 固有値分解 / 背景 — Lie 環と Frobenius ノルム

位相・幾何8件

  • 2026年度 第8問 後期 2 日目 第 4 問 集合 A を含む開集合系 \mathcal O_X^A方針 — 「特殊集合 A を含む位相」と連続性 / 背景 — 粗い位相と分離公理
  • 2025年度 第8問 後期 2 日目 第 4 問 集合・写像・位相空間 4 つの命題方針 — 4 つの古典命題 / 検算 — (3) の反例 / 背景 — Hausdorff コンパクト分離原理
  • 2022年度 第8問 後期 2 日目 第 4 問 上半連続関数とコンパクト性方針 — 上半連続性の本質 / 検算 — 上半連続な反例 (コンパクトでない) / 背景 — 半連続性と Lebesgue 積分

数学6件

  • 2025年度 第1問 後期 1 日目 第 1 問 行列の対角化と冪極限方針 — 冪極限と固有値 / 検算 — 数値例 / 背景 — Markov 連鎖と Perron-Frobenius
  • 2021年度 第3問 1 日目 第 3 問 複素解析(留数定理による有理関数の広義積分)方針 — ∫ dx/(x^2n+1) の一般公式 / 別解 — 偶関数 + 1/2 円 / 背景 — 留数定理の物理応用

微分方程式3件

  • 2026年度 第3問 後期 1 日目 第 3 問 f_n(x,y)=x^ny/(x^2+y^2) の連続性・偏微分・C^1方針 — 連続性・微分可能性・C^1 の段階 / 検算 — n=2 反例 / 背景 — C^1 vs Fréchet 微分

複素解析3件

  • 2022年度 第7問 後期 2 日目 第 3 問 複素関数論(∫_0^∞sin(x^2)/x dx の評価)方針 — 楔形等高線で Fresnel 積分 / 検算 — Fresnel との関係 / 背景 — Fresnel 積分の応用

頻出論点と、同じ論点を出す他大学

院試hubが解答した大問の論点を、他大学の出題と突き合わせたものです。併願先を 探すときの重なりの実数として使えます。

論点この専攻での出題出題年度同じ論点を出す他大学全国の出題大学
固有値・固有ベクトル12問2026・2025・2024・2023・2022・2021神戸大学・京都大学・東京大学・大阪大学・北海道大学25大学
線形空間・基底7問2026・2025・2024・2023・2022神戸大学・東京大学・京都大学・北海道大学・九州工業大学21大学
一様収束4問2026・2025・2024・2023京都大学・東京科学大学・東京大学・大阪公立大学・九州大学14大学
重積分と極座標3問2025・2022・2021神戸大学・京都大学・大阪大学・電気通信大学・東京科学大学23大学
留数定理3問2025・2023・2021東京大学・北海道大学・筑波大学・大阪公立大学・九州大学18大学
正定値行列3問2024・2023・2022大阪大学・東京大学・九州工業大学・京都大学・東北大学17大学
二次形式1問2023京都大学・九州工業大学・東京大学・九州大学・東北大学16大学
群論・環論1問2021神戸大学・九州工業大学・東京科学大学・早稲田大学・九州大学13大学
波動関数1問2022東京科学大学・東京都立大学・北海道大学・東北大学・大阪大学15大学
ヒルベルト空間1問2024大阪大学・京都大学・東北大学・東京科学大学・大阪公立大学12大学

名大 公式の過去問の公開年度と公式解答例

公式の過去問ページ
多元数理科学研究科
公開されている年度
2001〜2027(修士)
公式の解答例
解答例の掲載なし
英語の扱い
2027年度修士第1次は筆記試験のみ。TOEFL・TOEIC等の外部英語スコア提出なし。希望者の英語による数学受験は事前申請制。
院試hubが最後にリンクを確認した日
2026-10-16
ページの内容
修士課程は2001〜2027年度の問題を一括・年度別に公開。2010〜2027年度は英訳も掲載し、2026・2027年度は出題意図を公開しています。解答例は非公開。

よくある質問

名大多元数理の試験は選択式ですか。

2027年度第1次募集の筆記試験は2日間で、各日3時間・4題すべて必答です。第1日は基礎的な計算、第2日は論証が中心です。過去問の演習でも、得意な2題だけを解いて終わらず、各問に答案を作る練習が必要です。

TOEFLやTOEICのスコアは必要ですか。

2027年度修士第1次募集の提出書類には、外部英語スコアは指定されていません。希望者が英語で数学の試験を受ける制度はありますが、別の英語試験を課す制度ではありません。

このページの過去問分析はどの募集回ですか。

無料解説は2027年度第1次の両日8問すべてです。後半の6年分のテーマ分析と販売PDFは2021〜2026年度の第2次募集です。2022〜2026年度は各8問、2021年度は6問の計46問を扱っています。2027年度第1次募集の試験条件とは区別して掲載しています。

名大多元数理の公式過去問はどこで手に入りますか。

多元数理科学研究科の過去問ページには2001〜2027年度の問題、2010〜2027年度の英訳、2026・2027年度の出題意図があります。2021年度第1次募集は遠隔口述試験のため筆記問題がありません。

公式過去問と併用する解答・解説PDFを、名古屋大学の研究科・科目別に掲載しています。収録年度と価格は各ページで確認できます。

名古屋大学の解答PDF一覧で、名古屋大学の研究科・専攻・科目をまとめて確認できます。

院試対策ガイド一覧(大学別)