中部 · 名古屋大学
名古屋大 多元数理 院試 過去問対策|6年46問で読む1日目・2日目の作り方
名古屋大学大学院多元数理科学研究科の2021〜2026年度公開問題46問の解答制作から、線形代数、微積分、複素解析、関数解析、位相、熱方程式、近似デルタ関数の答案開始と最初の10分の選び方を整理します。
最終更新: 2026-06-03
公式過去問PDFと併用する、院試hub(東大大学院出身者が運営する解答制作チーム)独自の解答・解説PDF。問題本文は含みません。
この記事で見直した証拠は、名古屋大学大学院 多元数理科学研究科の2026・2025・2024・2023・2022年度数学各8問、answers/nagoya-university/graduate-school-of-mathematics/2026/mathematics/solutions/problem01.tex〜problem08.tex、同じ範囲の2025・2024・2023・2022、および2021年度第2次募集のanswers/nagoya-university/graduate-school-of-mathematics/2021/mathematics/solutions/problem01.tex〜problem06.texです。2021年度のproblem07.tex・problem08.texは未使用ファイルで、同年度のmain.texには含まれていないため、合計46問として数えています。
結論は、1日目の線形代数・微積分を先に答案化し、2日目は関数解析・複素解析・位相から2本だけ主戦場を作ることです。この記事は募集要項の要約ではありません。InshiHubで解答TeXを作ったときに見た、答案冒頭で置くべき条件、典型的な失点、最初の10分で保留すべき問題を整理します。
この記事で確認した証拠
- 2022〜2026年度は各
problem01.tex〜problem08.tex、2021年度は第2次募集のproblem01.tex〜problem06.tex、合計46問の数学解答TeXと解説見出しを確認しました。 - 制作記録では、2026年度20ページ、2025年度19ページ、2024年度19ページ、2023年度20ページ、2022年度21ページ、2021年度16ページのPDFとして公開・QA済みです。
- 2021年度はローカルのsource notesでも第2次募集1日目・2日目だけを扱い、2022〜2026年度は各年度の1次募集・2次募集の1日目/2日目PDFを公式ソースとして記録しています。2021年度の
problem07.tex・problem08.texは未使用であることも確認しました。 - 公式過去問ページは2026年6月3日に再確認し、2001〜2026年度の全問題ZIP、2010〜2026年度の英訳ZIP、2026年度1次募集・2次募集の問題PDFと出題意図、2021年度1次募集の遠隔口述による筆記問題なしの案内を確認しました。
6年46問のテーママップ
以下は問題本文ではなく、ローカル解答ファイルの見出しとInshiHubPointから作った対策用の地図です。2021年度は公式ページ上で第1次募集が遠隔口述となり問題なしのため、第2次募集6問だけを扱います。
| 年度 | 1日目で見た主題 | 2日目で見た主題 | 準備に加えること |
|---|---|---|---|
| 2026 | 行列式、部分空間の共通部分、Jordan標準形、対合の固有空間分解、多変数関数の連続性・偏微分・C1、平均値定理の漸近。 | アフィン部分集合、関数列の積分極限、Fresnel型積分、集合を含む開集合系と連続性。 | 直近年度として本番演習に使う。線形代数の計算速度と、解析・位相で定義から書く力を同時に確認する。 |
| 2025 | 行列の対角化と冪極限、反交換子型線形変換、多変数極限・微分可能性・累次積分、領域上の重積分。 | 多項式の評価写像、関数列f(nx)、留数和、集合・写像・位相空間の命題。 | 線形代数と解析の橋渡しを練習する年度。固有値の絶対値、Taylor主要部、ヤコビアン、留数の符号を点検する。 |
| 2024 | 同時対角化、部分空間と正規直交基底、数値積分と広義積分、比較判定法とRaabe判定法。 | Gram行列、近似デルタ関数と熱核、Dirichlet積分、連結集合の保存と和集合。 | 標準論法の年度。内積・正定値、端点主要部、近似単位、連結性の証明を答案テンプレート化する。 |
| 2023 | 連立一次方程式、固有値とJordan標準形、Lagrange乗数法、方向2階差分と3重広義積分。 | 交代行列の交換子、熱方程式のFourier級数解、留数定理、Hausdorff空間の特徴付け。 | 計算と証明が両方重い。階数、制約条件、球面の特異性、Fourier級数の一様収束を落とさない練習に使う。 |
| 2022 | 部分空間の和と共通部分、対角化可能性、Taylor展開と極値、広義積分の収束条件と値。 | 双対空間、デルタ関数列と弱収束、複素関数論、上半連続関数とコンパクト性。 | 1周目の診断に向く。線形代数・解析・複素・位相のどこが主戦場になるかを見分ける。 |
| 2021 | 第2次募集のみ。対角化可能性、広義積分・極値・累次積分、留数定理。 | A2=tA型の行列、有界変動関数、連結性と局所定数関数。 | 入口年度として使う。問題数は6問だが、線形代数・解析・複素・位相の基本答案を短く確認できる。 |
最初の10分で見る場所
名大多元数理は、問題を読んだ瞬間に「知っている定理名」だけで飛びつくと、途中で条件不足になります。最初の10分では、次の4つに分けて、答案の初手まで見える問題から取ります。
| 候補 | 取りに行くサイン | 10分で決めること |
|---|---|---|
| 1日目の線形代数 | 階数、固有空間、Jordan標準形、対合、同時対角化。 | 基底、核・像、次元公式、最小多項式のどれから始めるかを決める。 |
| 1日目の微積分 | Taylor主要部、広義積分、重積分、平均値定理。 | 端点の特異性、近づく経路、座標変換、ヤコビアンを先に書けるかを見る。 |
| 2日目の解析系 | 熱核、近似デルタ関数、関数列、弱収束、BV関数。 | 点ごと・一様・弱収束の区別、近傍と外側の分割、試験関数を言えるかを確認する。 |
| 2日目の複素・位相 | 留数、分枝、Fresnel/Dirichlet型積分、連結性、Hausdorff性。 | 極と分枝、積分路、分離開集合、連続像のどれを使うかを短く書ける問題を選ぶ。 |
1日目は線形代数と微積分を崩さない
1日目の線形代数は、階数、固有値、固有空間、対角化、Jordan標準形、部分空間の次元公式が軸です。答案の最初には、行列を階段化するのか、特性多項式を見るのか、最小多項式を見るのか、部分空間の基底を置くのかを明示します。2026年のcompanion行列や対合、2025年の反交換子、2024年の同時対角化、2023年の拡大行列、2022年の部分空間は、計算の前に対象空間と写像を固定できるかで差が出ます。
微積分は、多変数極限、Taylor展開、制約付き極値、広義積分、重積分、平均値定理が繰り返し出ます。最初の1行は「近づき方をどう分けるか」「主要部は何か」「端点の特異性は何次か」「座標変換のヤコビアンは何か」です。極限を極座標で見たのに角度依存を確認しない、Taylor主要部だけで臨界点分類を終える、広義積分の絶対収束と条件収束を分けない、という失敗が目立ちます。
2日目は主戦場を2本作る
| 分野 | 選びたいサイン | 避けるサイン | 答案の初手 |
|---|---|---|---|
| 関数解析・関数列 | 近似デルタ関数、熱核、弱収束、上半連続、有界変動、評価写像を定義から扱える。 | 収束概念を点ごと、一様、弱収束で区別できない。 | どのノルム・位相・試験関数で収束を見るかを書く。 |
| 複素解析 | 留数、分枝、円弧評価、Dirichlet/Fresnel型積分の評価を手順化できる。 | 分枝の取り方、積分路の向き、消える円弧の評価を省略する。 | 極、分枝、積分路、円弧評価の順に置く。 |
| 位相 | Hausdorff性、連結性、コンパクト性、上半連続性の標準命題を証明できる。 | 命題名だけ覚えていて、開集合での分離や有限部分被覆を使えない。 | 仮定の空間、開集合、閉包、コンパクト集合を明示する。 |
| 線形代数発展 | Gram行列、双対空間、交代行列、交換子、Jordan鎖を計算と証明で扱える。 | 基底を固定せず、行列表示と線形写像を混ぜる。 | 基底、内積、トレース、核・像、固有空間を先に置く。 |
分野別の答案開始テンプレート
線形代数なら「基底をこの順に取り、行列表示をこの形にする」から始めます。対角化可能性は、固有値の代数的重複度と幾何的重複度、最小多項式、Jordanブロックの大きさを分けます。部分空間問題は、階段化で基底を出し、次元公式 dim(V + W) = dim V + dim W - dim(V ∩ W) を使う前に、VとWが本当に線形部分空間かを確認します。アフィン部分集合ではここを落としやすいです。
解析なら「どの収束を示すか」を先に書きます。近似デルタ関数では、原点近傍と外側を分け、外側で質量が消えること、近傍で連続性により値を固定できることを書きます。熱核では、有界性、一様連続性、微分と和・積分の交換、初期値への収束を順に処理します。
複素解析なら、積分路を描く前に、正則性、極、分枝、留数、円弧評価の見通しを文章にします。位相なら、Hausdorff性では2点を分ける開集合、コンパクト性では有限部分被覆、連結性では連続像や共通部分非空な連結集合族の和を使う、と道具を宣言してから証明に入ります。
参考書は章単位で戻る
線形代数は、齋藤正彦『線型代数入門』や佐武一郎『線型代数学』の階数と行基本変形、固有値・固有空間、対角化、Jordan標準形、双対空間、内積空間、Gram行列に戻ります。特に、固有値計算だけで終わるのではなく、固有空間の次元、一般固有空間、変換行列まで手で書く練習が必要です。
微積分は、杉浦光夫『解析入門』の多変数Taylor展開、陰関数・Lagrange乗数法、広義積分、重積分の変数変換、平均値定理の章を使います。関数解析は、標準的な解析演習書で一様収束、弱収束、近似単位、熱方程式、BV関数、上半連続関数、コンパクト性の章へ戻ります。複素解析は、神保道夫『複素関数入門』などで留数定理、分枝、Jordanの補題的評価、Dirichlet積分、Fresnel積分を、問題ごとの積分路と対応させて確認してください。
位相は、内田伏一『集合と位相』の連結性、コンパクト性、Hausdorff性、連続写像による性質の保存、閉包、部分空間位相に絞って戻ります。命題を暗記するより、「この問題では開集合で分離するのか、連続像を取るのか、閉集合性を見るのか」を言語化できる方が点になります。
演習ワークフロー
1回の年度演習では、上の10分表を使って1日目4問と2日目4問を眺め、必答候補、保険候補、見送り候補に分けます。次の80分で1日目の線形代数・微積分から2問を仕上げ、次の80分で2日目の主戦場2問に入ります。残り25分は、最終答を増やすより、仮定、収束の種類、特異点、境界、符号、次元公式の確認に使います。
6年分の回し方は、2021・2022で基礎診断、2023・2024で主戦場の選定、2025・2026で本番想定がよいです。年度ごとに「選んだ4問」「捨てた4問」「答案の最初の3行で詰まった箇所」を記録してください。名大多元数理は問題の見た目が抽象的でも、初手が決まれば最後まで進む問題が多いです。
共通する失敗モード
- 線形代数で、固有値だけを出して固有空間の次元、Jordan鎖、変換行列の検算を残さない。
- 微積分で、端点・特異点・経路依存を分けずにTaylor主要部や極座標変換だけで押し切る。
- 関数列・熱核で、点ごと収束、一様収束、弱収束、積分極限のどれを示しているかを書かない。
- 複素解析で、分枝、積分路の向き、円弧評価、留数の符号を答案外の計算にしてしまう。
- 位相で、Hausdorff性・連結性・コンパクト性を定理名だけで使い、開集合や有限部分被覆の構成を省く。
セルフ採点チェックリスト
- 線形代数で、基底、行列表示、核・像、固有空間の次元を明示したか。
- 対角化やJordan標準形で、代数的重複度と幾何的重複度を分けたか。
- 多変数極限で、経路依存、極座標、Taylor主要部のどれを使うかを書いたか。
- 広義積分で、端点ごとの主要部と絶対収束/条件収束を分けたか。
- 近似デルタ関数や熱核で、近傍と外側、一様連続性、質量保存を確認したか。
- 複素解析で、分枝、極、積分路の向き、円弧評価を省略していないか。
- 位相で、Hausdorff性、連結性、コンパクト性の仮定を証明中で使ったか。
後回しでよいこと
研究分野紹介を読み込むこと、専門書の高度な章を先取りすること、全年度の全問を同じ深さで完答しようとすることは、最初の周回では後回しでよいです。46問の解答制作で繰り返し効いたのは、線形代数の基底固定、解析の収束概念、複素解析の積分路評価、位相の標準論法でした。
逆に、1日目を軽く見るのは危険です。2日目の発展問題で勝負する受験生ほど、1日目の線形代数・微積分で確実に答案を閉じる必要があります。
公式情報の確認
2026年6月3日に、名古屋大学大学院多元数理科学研究科の入学試験過去問題ページを再確認しました。前期課程入学試験問題として2001〜2026年度の問題一括ダウンロード、2010〜2026年度の英訳一括ダウンロード、2026年度1次募集・2次募集の1日目/2日目PDFと出題意図が案内されています。名古屋大学理学部・理学研究科/多元数理科学研究科の大学院入試過去問題ページにも、多元数理科学研究科の過去問題導線が置かれています。出願年度の日程や募集区分は進学案内ページで最新情報を確認してください。
InshiHub解答パックの使い方
InshiHubの名古屋大学 多元数理科学研究科 数学の解答パックは、2021〜2026年度のローカル解答を年度横断で照合するためのものです。公式PDFを先に解き、答案の最初の3行を書いてから、解答で方針、検算、典型ミスを確認してください。
特に、固有空間の次元、Jordan鎖、Taylor主要部、広義積分の端点、熱核の近似単位、留数の符号、Hausdorff性の分離開集合を、年度ごとに記録してください。その記録が、次にどの問題を先に選ぶかの判断材料になります。
名大 院試 の他専攻ガイド
名大 大学院 多元数理科学研究科は、理学研究科 物理学、工学研究科 機械航空・物質科学と隣接した出題分野です。数学で身につけた「定義の宣言→反例構成・収束評価」は、物理学の場の理論、機械航空の流体・固体、物質科学の量子・統計でも答案の骨格として効きます。下記の同大学他専攻ガイドも合わせて読むと、名大 院試 全体の出題傾向が見えます。
この大学・研究科の解答パック
上記の出題範囲をカバーするオリジナル解答・解説PDFを年度別に整備しています。
対応する解答パックを見る名古屋大学 名古屋大学 多元数理 院試 — 出題範囲・倍率・日程・面接・研究計画書
筆記対策と並行して、名古屋大学 院試の倍率・日程・配点・出題範囲・面接対策・研究計画書・英語スコア要件・準備のタイムラインを確認できます。
よくある質問
- この記事は名大多元数理の募集要項まとめですか。
- いいえ。InshiHubで作成した2022〜2026年度各8問と、2021年度第2次募集6問、合計46問の解答TeXを見直し、1日目・2日目で何を選び、答案冒頭に何を書くかを整理した対策記事です。
- 2021年度だけ問題数が違うのはなぜですか。
- 公式ページでは2021年度の第1次募集は遠隔による口述試験で試験問題がないと案内され、ローカル解答も第2次募集の1日目3問・2日目3問だけを扱っています。そのためこの記事では2021年度を6問として数えます。
- 名大多元数理ではどの分野を優先すべきですか。
- まず1日目の線形代数と微積分を崩さず、2日目で関数解析・複素解析・位相のうち2本を得点源にする設計が安定します。最初の10分で答案冒頭を書けない分野は保留し、熱方程式や近似デルタ関数は解析寄りの受験生の保険科目にしてください。
- 公式過去問はどこで確認できますか。
- 名古屋大学大学院多元数理科学研究科の入学試験過去問題ページで、前期課程の2001〜2026年度問題、2010〜2026年度の英訳、2026年度の出題意図などが公開されています。2026年6月3日に再確認しています。
- InshiHubの解答パックはどう使うべきですか。
- 公式PDFを先に解き、解答パックでは最終答よりも、階数・固有空間・Taylor主要部・端点評価・留数計算・連結性やコンパクト性の仮定を書けたかを照合してください。