東大 工学系研究科 社会基盤学専攻 専門科目 2023年度 院試 過去問 解答例・解説(全6問)
全6問の分野は材料力学・材料1問です。はりの曲げ、固有振動数と振動系、境界層が出ています。2022年度と共通するテーマははりの曲げ、固有振動数と振動系です。解説はすべて、途中式と最終答は大問1問ぶんを公開しています。残りは解答PDFに収録しています。問題本文は含みません。
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第1問 — 構造・設計(梁のたわみと履歴減衰)
採点上の要点
梁問題は、境界条件を満たす変位関数を選び、曲げエネルギーと外力仕事で極小化する流れが書けていれば部分点を積み上げやすい。 回転ばねでは固定端傾きが 0 ではなく未知量になるため、ばねエネルギーを追加することが答案の分岐点である。
典型ミス
履歴型ダンパの散逸を粘性ダンパと同じように最初から時間積分だけで処理すると、周波数依存性の違いが見えにくい。 まずループ面積で を求め、それを粘性ダンパの1周期散逸と等置するのが最短である。
解答
大問1:片持ち梁の曲げ
曲率と軸ひずみ
中立面の曲率半径を 、中立面からの距離を とする。 曲げ後の中立面の微小長さは 、距離 の繊維の長さは なので 線形弾性より 符号は曲げの向きに依存するが、応力が中立面からの距離に比例する点が本質である。
曲げ弾性エネルギー
微小たわみの Euler--Bernoulli 梁では だから
多項式近似によるたわみ
固定端条件 、 を満たす近似として を用いる。 このとき なので 外力仕事は 。 ポテンシャル を極小化すると 連立して 従って自由端たわみは
せん断変形の見積もり
与えられた近似式を積分すると 自由端で 矩形断面 、 を用いると 。 また より 細長い梁では なので、せん断変形は曲げ変形に比べて十分小さい。
回転ばねをもつ支持端
支持端の回転を とし、ばねエネルギーを とする。 固定端の傾き条件は外れ、自由端の曲げモーメント 0 を反映して とおく。 だから 。 このとき 外力仕事を含めたポテンシャルは 極小条件から よって 第1項は梁の曲げ、第2項は支持端回転による剛体回転成分である。
大問2:履歴型ダンパ
1周期の散逸エネルギー
履歴力を とする。 散逸エネルギーは - ループの面積であり、
等価粘性減衰
粘性ダンパ に対して とおくと、 履歴型と同じ散逸を与える条件より
変位制限から を見積もる
静的変位を とする。 共振近傍では応答振幅を と見積もれる。 とするには 代表的に とすれば
周波数依存性と同定
履歴型の散逸は同じ振幅なら周波数に依らない。 一方、粘性型の散逸は であり、周波数に比例する。 そのため等価粘性係数は となる。
強制振動試験では、周波数掃引で共振角振動数 と半値幅 を測り を用いる。 自由減衰波形が得られる場合は対数減衰率から を推定してもよい。
最終答
梁では 、、。固定端片持ち梁は 、せん断変形は で 。回転ばね付きでは 。履歴ダンパは 、等価粘性係数は 、共振近傍での変位制限には が一つの目安である。
第2問 — 材料・地盤(RC材料と圧密・土質試験)
RC計算の読み方
終局曲げは、平面保持、圧縮ブロック、鉄筋降伏判定、力の釣合い、モーメントの順に処理する。 圧縮鉄筋がある場合は であり、圧縮鉄筋力を二重に数えないことが重要である。
地盤問題の要点
全応力は土の単位体積重量の積み上げ、間隙水圧は水頭差、有効応力は差し引きで求める。 間隙比は有効応力の履歴に依存するため、降伏応力を超えた状態だけ処女圧縮線に切り替える。
第3問 — 水圏工学(堰越流と開水路乱流)
堰問題の見通し
越流量式は Bernoulli 式と限界流の組合せで出す。 実務式に流量係数が入るのは、静水圧・一様流速・損失無視という理想化が堰頂上では完全には成立しないためである。
乱流問題の見通し
分子粘性だけなら放物線、乱流混合を入れると対数分布になる。 この違いを「応力を何が運ぶか」という言葉で説明できると、式の導出と物理的解釈がつながる。
第4問 — 交通・空間情報(交通流・最適化・GIS/AI)
交通流図の注意
三角形 FD は「自由流の正の傾き」と「渋滞波の負の傾き」を最大交通流率でつなぐ。 臨界密度と渋滞密度を先に数値化すると、図も式も迷いにくい。
空間情報問題の注意
GPS、タイル、トリップ化、CNN は暗記だけでなく、データがどこで小さくなり、どこで誤差や負荷が生じるかを説明する。 CNN では畳み込み層より全結合層のパラメータが圧倒的に多い点が検算になる。
第5問 — 都市・景観(鉄道史と景観評価)
答案の組み立て
都市史は「誰が、何の制約の下で、何を接続したかったか」を書くと論点が整理される。 景観論は抽象論で終わらせず、視点、視対象、移動経路、距離、角度という操作可能な要素に落とすと答案として強い。
第6問 — 国際プロジェクト・マネジメント(契約と開発評価)
契約問題の採点観点
「総価請負は悪い」と書くのではなく、固定価格の利点を認めた上で、制御不能リスクをどう調整するかを書く。 リスク配分は公平性ではなく、予防・監視・吸収を最も効率的にできる主体へ置くという考え方が軸になる。
開発評価の採点観点
夜間光は万能な貧困指標ではない。 観測しやすさ、比較可能性、空間解像度という長所と、飽和・電化以外の光・センサー差という弱点を同時に書くと、実務的な答案になる。
年度別の解答例(6年度)
構造・設計 / 材料・コンクリート工学 / 地盤工学
構造・設計(1自由度振動) / 材料(RC 断面の終局曲げ) / 地盤(液状化・土圧・圧密沈下)
構造設計(梁理論と移動荷重) / 材料・地盤(コンクリート材料と斜面安定) / 水圏工学(気候変動と流体力学)
2023年度(このページ・全6問)
構造・設計(梁のたわみと履歴減衰) / 材料・地盤(RC材料と圧密・土質試験) / 水圏工学(堰越流と開水路乱流)
構造・設計(不均質梁と移動荷重) / 材料・地盤(RC耐久性と地盤改良) / 水圏工学(河川流と波浪観測)
構造・設計(梁理論と構造応答) / 材料・地盤(耐久性設計と土質挙動) / 水圏工学(開水路流れと高潮)
2023年度の出題内容
全6問
この6問の分野は材料力学・材料1問です。
| 大問 | 分野 | 主題 | 解説の小見出し | 最終答 |
|---|---|---|---|---|
| 第1問 | — | 構造・設計(梁のたわみと履歴減衰) | 採点上の要点 | あり |
| 第2問 | 材料力学・材料 | 材料・地盤(RC材料と圧密・土質試験) | RC計算の読み方 / 地盤問題の要点 | あり |
| 第3問 | — | 水圏工学(堰越流と開水路乱流) | 堰問題の見通し / 乱流問題の見通し | あり |
| 第4問 | — | 交通・空間情報(交通流・最適化・GIS/AI) | 交通流図の注意 / 空間情報問題の注意 | あり |
| 第5問 | — | 都市・景観(鉄道史と景観評価) | 答案の組み立て | あり |
| 第6問 | — | 国際プロジェクト・マネジメント(契約と開発評価) | 契約問題の採点観点 / 開発評価の採点観点 | あり |
2023年度の解説には典型ミス1件が付いています。
同じテーマを出した他大学・他年度
3テーマ
前年度(2022年度)との違い
- 大問数
- 2022年度 6問 → 2023年度 6問
- 2023年度で新しく出たテーマ
- 境界層
東京大学の公式過去問
- 公開年度範囲
- 2016〜2026
- 公式の解答例
- 非公開(問題冊子のみ)
- 院試hubの最終確認
- 2026-08-13