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東大 工学系研究科 建築学専攻 建築学 専門科目 2025年度 院試 過去問 解答例・解説(全5問)

全5問の分野は材料力学・材料1問です。はりの曲げ、結晶構造が出ています。2024年度と共通するテーマははりの曲げです。解説はすべて、途中式と最終答は大問1問ぶんを公開しています。残りは解答PDFに収録しています。問題本文は含みません。

最終更新:

第1問 — 専門課題I(建築学基礎)

検算

構造の温度変位は、斜材の自由伸びを水平方向に射影し直すため 5αTL5\alpha TL まで大きくなる。熱貫流率は断熱材50 mmを加えると 4.04.0 から 0.800.80 へ大きく下がる。音はパワー2倍で +3 dB、距離2倍で -6 dB、合計 -3 dB と考えると速い。

図版問題の注意

図版選択は公開PDFの画質や黒塗りの影響を受ける場合がある。答案作成では、図形の見た目だけでなく、構造形式、平面形式、都市理念、人物名をセットにして判定する。

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第2問 — 専門課題II 第1群(設計)

失点しやすい点

カフェとショップは未購入者も使える条件であるため、有料展示の奥に置くと条件違反になる。屋外彫刻はチケット購入者のみアクセス可なので、完全な公開広場に置いてはいけない。映像室は暗室、屋内彫刻は高さ、絵画は視距離と直射回避を必ず図面に反映する。

答案を強くする表現

「自然豊か」と書くだけでは弱い。川へのテラス、林を背景にした彫刻庭、街路樹から連続する北側アプローチ、トップライトの向き、庇と植栽による日射制御など、敷地環境を建築要素に変換して描く。

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第3問 — 専門課題II 第2群(計画・史・構法)

答案の組み立て

平面比較では、見た目の印象ではなく「何がどこにつながるか」を書く。病室なら看護動線とプライバシー、美術館なら展示室の独立性と回遊、住宅なら外部・居間・個室のステップ数を使う。

グラフ問題の注意

平均ステップ数は、起点から全ノードへの距離の平均である。線の本数ではなく、最短経路の距離を数える。外部空間を含む場合と含まない場合で意味が変わるため、計算表を分けて書く。

解答

2025年度第2群は、病室平面、美術館平面、住宅のグラフ表現、重要建築の図示説明を問う。平面図を見て、機能、動線、視線、領域、平均ステップ数を言葉に変換する力が中心である。

1. 病室平面の比較

標準的な4床室は、病床が並列し、看護動線と設備配管を効率化しやすい一方で、各患者の視線・音・来客時のプライバシーが弱い。西神戸医療センター型の4床室は、各ベッドの向きや収納・カーテン・窓との関係をずらすことで、4床室でありながら個室的な領域感を高める計画である。

答案では次のように書く。

2. 美術館平面の比較

世田谷美術館は、比較的大きな展示室群を公園内に落ち着いて配置し、ロビーや動線で展示をつなぐ。一方、十和田市現代美術館は、作品ごとに独立性の高い展示室を分散配置し、その間を街路的な通路で結ぶ。展示室自体が作品のスケールや性格に合わせて個別化され、都市空間へ開く点が特徴である。

3. 住宅I・II・IIIの名称と特徴

図面のキャプションから、住宅Iはベルコリーヌ南大沢住宅、住宅IIは山崎邸、住宅IIIは正面のない家-N邸である。 I=e,II=d,III=c \boxed{\mathrm{I}=e,\qquad \mathrm{II}=d,\qquad \mathrm{III}=c} 延床面積はいずれも小住宅スケールで、選択肢では b. 100 m2 \boxed{b.\ 100\,\mathrm{m^2}} が最も近い。

  • 住宅I:ベルコリーヌ南大沢住宅 集合住宅の住戸で、外部廊下や共用部との接続を前提に、住戸内のLDK、個室、水回りを効率よくまとめる。ベランダや外部への開きが、集合住宅内の私的領域と外部環境をつなぐ。
  • 住宅II:山崎邸 諸室のつながりを明確に組み、生活の中心となる居間や食堂から各室へ展開する。住宅内部の段階的な奥行き、家族生活の中心と個室の距離が読み取りやすい。
  • 住宅III:正面のない家-N邸 明確な正面性を弱め、外部空間や複数の入口との関係を重視する。中庭や庭を介して諸室がつながり、外部を室内構成の一部として扱う点が特徴である。

4. グラフ表現と平均ステップ数

グラフ表現では、アルファベット記号のついた空間をノード、直接接続をエッジとし、外部空間を起点にする。(4)では外部空間を含め、(5)では外部空間を除いて平均ステップ数が最小になる起点を選ぶ。

計算の書き方は次の形にする。 sˉ=∑j≠0d(0,j)N−1. \bar s=\frac{\sum_{j\ne0}d(0,j)}{N-1}. 外部からの平均ステップ数が小さい住宅は、外部から各室へ浅く入れる開放的構成であり、大きい住宅は、玄関、廊下、居間、中庭などを経て奥へ進む階層的構成である。外部空間を除いて中心ノードを選んだときの平均ステップ数が下がるほど、そのノードが住宅内部の中心として働いている。

答案では、数値だけでなく次のように解釈を書く。

5. 建築史図示問題

5つの建築から2つを選ぶ問題である。以下のうち、書きやすい2つを選べばよい。

ハギア・ソフィア。正方形平面の中央に大ドームを載せ、ペンデンティブで四隅から円形ドームへ移行する。東西に半ドームを連ね、巨大な中央空間を連続的に支える。ビザンチン建築を代表し、キリスト教聖堂からモスク、博物館等へと歴史的役割が変化した。

テンピエット。ブラマンテによる盛期ルネサンスの集中式小礼拝堂で、円形平面、列柱廊、ドームをもつ。古代ローマ建築の比例・オーダーをキリスト教殉教記念の建築に再解釈した点が重要である。

春日大社本殿。春日造を代表し、切妻造・妻入、前方に庇を付けた小規模な本殿形式である。檜皮葺、丹塗、反復する社殿配置により、神社建築の形式性と祭祀空間を示す。

法隆寺五重塔。心柱と組物をもち、木造塔として水平層を重ねる。各層の逓減、深い軒、雲斗・雲肘木などが特徴で、飛鳥時代の仏教建築技術を示す。

サヴォア邸。ル・コルビュジエの近代建築五原則を示す住宅で、ピロティ、屋上庭園、自由な平面、水平連続窓、自由な立面が特徴である。自動車動線、斜路、白い箱形外観により、近代住宅の理念を表現する。

最終答

% Fig.1-2の病室は、4床を単純に横並びにせず、各ベッドの周囲に小さな占有領域をつくる点が特徴である。標準型に比べ、患者相互の視線が直接ぶつかりにくく、窓、収納、家族の滞在場所を各ベッドに対応させやすい。一方で、看護師から全床を一望する効率や、設備配管の単純さは標準型より不利になる。したがって、病床数の効率を保ちながら、個人の尊厳と療養環境を改善する4床室の発展型と評価できる。%

% Fig.1-4は、展示室を一体の箱に収めるのではなく、複数の小さな展示室を街の中の建物群のように配置している。来館者は通路を歩きながら作品ごとに異なる空間へ入るため、鑑賞体験は連続展示よりも散策的である。世田谷美術館が公園内のまとまった文化施設として展示・ロビー・管理を統合するのに対し、十和田市現代美術館は展示室の独立性、街への開放性、作品と建築の一対一の関係を強めた計画である。%

% 住宅Iは集合住宅住戸であるため、入口からLDKや水回りへ比較的短いステップで到達し、効率的である。住宅IIは居間または食堂が中心ノードとなり、そこから個室へ分岐するため、家族生活の中心が明確である。住宅IIIは外部空間や庭を介する接続が多く、外部を含めると平均ステップ数が変化しやすい。これは、正面性を弱め、内外の境界を住宅構成に取り込む計画的特徴を示す。%

2025年度第2群では、病室は4床室内の個室性、美術館は十和田市現代美術館の分棟的展示室、住宅は I=e、II=d、III=c、面積は100 m2\mathrm{m^2}、グラフは平均ステップ数で中心性と内外関係を読む。建築史はハギア・ソフィア、テンピエット、春日大社本殿、法隆寺五重塔、サヴォア邸から2つを選び、構造・空間・歴史背景を分けて答える。

第4問 — 専門課題II 第3群(環境)

計算の注意

風量は必ず m3/h\mathrm{m^3/h} から m3/s\mathrm{m^3/s} に直す。送風機静圧では速度圧を差し引く。局部損失は ζρv2/2\zeta\rho v^2/2、軸動力は QΔp/ηQ\Delta p/\eta であり、単位をそろえれば kW まで自然に出る。

説明問題の書き方

設備用語は「何をする装置か」「どの物理現象を使うか」「利点と注意点」を1文ずつ入れると100字程度に収まりやすい。

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第5問 — 専門課題II 第4群(構造・材料)

検算

振動問題では、質量が増え剛性が下がれば周期は長くなる。変更後周期が 2T02T_0 になるため、図の応答加速度が 0.6A00.6A_0 へ下がる、という流れを確認する。片持ち梁の自重回転角で幅 BB が消え、せい HH の2乗に反比例するのも重要な検算である。

記述問題の注意

耐火性能は「遮熱・遮炎・非損傷」の語を正確に使い分ける。材料問題は数値だけでなく、粒径が小さいほど比表面積と水需要が増える、という因果を書くと説明答案として強くなる。

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年度別の解答例(6年度)

  • 2026年度(全5問)

    専門課題I(建築学基礎) / 専門課題II 第1群(設計) / 専門課題II 第2群(計画・史・構法)

  • 2025年度(このページ・全5問)

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  • 2024年度(全5問)

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  • 2023年度(全5問)

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  • 2022年度(全5問)

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  • 2020年度(全5問)

    専門課題I(建築学基礎) / 専門課題II 第1群(建築設計) / 専門課題II 第2群(建築計画・建築史・構法)

2025年度の出題内容

全5問

この5問の分野は材料力学・材料1問です。

大問分野主題解説の小見出し最終答
第1問—専門課題I(建築学基礎)図版問題の注意あり
第2問—専門課題II 第1群(設計)答案を強くする表現あり
第3問—専門課題II 第2群(計画・史・構法)答案の組み立て / グラフ問題の注意あり
第4問—専門課題II 第3群(環境)計算の注意 / 説明問題の書き方あり
第5問材料力学・材料専門課題II 第4群(構造・材料)記述問題の注意あり

2025年度の解説には検算2件・失点しやすい点1件が付いています。

同じテーマを出した他大学・他年度

2テーマ

2025年度は2問に2テーマが出ています。

前年度(2024年度)との違い

大問数
2024年度 5問 → 2025年度 5問
両年度に出たテーマ
はりの曲げ
2025年度で新しく出たテーマ
結晶構造
2024年度の解答例

東京大学の公式過去問

公開年度範囲
2018〜2026(2021年度は筆記試験未実施)
公式の解答例
非公開(問題冊子のみ)
院試hubの最終確認
2026-08-13
東京大学の公式過去問PDF