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東大 工学系研究科 建築学専攻 建築学 専門科目 2023年度 院試 過去問 解答例・解説(全5問)

全5問の分野は材料力学・材料1問です。はりの曲げ、線形空間・基底、グラフ理論が出ています。2022年度と共通するテーマははりの曲げです。解説はすべて、途中式と最終答は大問1問ぶんを公開しています。残りは解答PDFに収録しています。問題本文は含みません。

最終更新:

第1問 — 専門課題I(建築学基礎)

計算の検算

CO2濃度は外気より高く、換気量30 m3/h\mathrm{m^3/h} に対し発生量20 L/hなので1000 ppm程度になる。壁表面温度は外気0度と室温20度の間に収まる。これらのオーダー確認を答案の最後に入れると、単位ミスに気づきやすい。

解答

本年度の専門課題Iは、材料・構造、環境設備、構法図、建築計画、建築史図版を問う。

問題1:材料と石材の支持

不適当な記述は、③、⑥、⑧である。③はスランプ値を「広がった直径」としており誤りで、スランプ値はスランプコーンを引き上げた後の高さの低下量である。⑥は鋼材とアルミニウムのヤング係数がほぼ等しいとしており誤りで、鋼材は約 2.05×105 N/mm22.05\times10^5\,\mathrm{N/mm^2}、アルミニウムは約 7.0×104 N/mm27.0\times10^4\,\mathrm{N/mm^2} である。⑧は強化ガラスの応力状態が逆で、表面は圧縮、内部は引張である。

一様な石材を2点で支持する場合、左右対称に端部から距離 aa の位置で支持する。等分布荷重を pp、全長を ll とすると、支点上の負曲げは MA=−pa22 M_A=-\frac{pa^2}{2} であり、中央の正曲げは Mmid=p(l28−la2). M_{\mathrm{mid}}=p\left(\frac{l^2}{8}-\frac{la}{2}\right). 石材の負担を小さくするには、正負の最大曲げモーメントの絶対値を等しくすればよい。 pa22=p(l28−la2)⇒a=2−12l≃0.207l. \frac{pa^2}{2}=p\left(\frac{l^2}{8}-\frac{la}{2}\right) \quad\Rightarrow\quad a=\frac{\sqrt2-1}{2}l\simeq0.207l.

中央に枕木Cを同じ高さで挿入すると、C点に上向き反力 XX が生じ、C点付近の曲げモーメントが大きく変化する。A、Bの丸太が腐って支持力を失うと、C点が実質的な集中支持となり、石材自重による曲げがC点近傍に集中する。C位置で折れた理由は、当初の2点支持で均等化していた曲げモーメント分布が崩れ、中央支点上に大きな負曲げが発生したためである。

問題2:環境・設備

CO2濃度は定常収支 C=Co+GQ C=C_o+\frac{G}{Q} で求める。G=20 L/h=0.020 m3/hG=20\,\mathrm{L/h}=0.020\,\mathrm{m^3/h}、Q=30 m3/hQ=30\,\mathrm{m^3/h} より C=400 ppm+0.02030×106≃1067 ppm. C=400\,\mathrm{ppm}+\frac{0.020}{30}\times10^6 \simeq 1067\,\mathrm{ppm}.

隣室音圧レベルは、壁面積 S=10 m2S=10\,\mathrm{m^2}、透過損失 TL=40 dBTL=40\,\mathrm{dB}、隣室吸音力 A=10 m2A=10\,\mathrm{m^2} より L2=L1−TL+10log⁡10SA=100−40=60 dB. L_2=L_1-TL+10\log_{10}\frac{S}{A}=100-40=60\,\mathrm{dB}.

コンクリート壁の熱抵抗は R=120+0.151.5+110=0.25 m2K/W. R=\frac1{20}+\frac{0.15}{1.5}+\frac1{10}=0.25\,\mathrm{m^2K/W}. 熱流束は q=20/0.25=80 W/m2q=20/0.25=80\,\mathrm{W/m^2}。外側表面温度は Tso=0+8020=4∘C, T_{so}=0+\frac{80}{20}=4^\circ\mathrm{C}, 室内側表面温度は Tsi=20−8010=12∘C. T_{si}=20-\frac{80}{10}=12^\circ\mathrm{C}. 光源直下3mの照度は E=Ir2=15032=16.7 lx. E=\frac{I}{r^2}=\frac{150}{3^2}=16.7\,\mathrm{lx}. ウォーターハンマーは、弁の急閉などで流速が急変し、管内圧力波が発生する現象である。キャビテーションは、局所圧力低下により水が気化し、気泡の発生・崩壊で騒音や損傷を生じる現象である。

問題3:構法図の用語

図示部材は、階段(段板・け込み板・側板)、鉄筋コンクリート(主筋・あばら筋・かぶり厚さ)、基礎まわり(土台・火打ち土台・床梁)、溶接・継手(隅肉溶接・完全溶け込み溶接・突合せ継手・重ね継手)、トラス(キングポストトラス・フィンクトラス・ワーレントラス)に分類して対応させる。答案では図の番号ごとに、部材の位置と働きを一語で確認してから語群を選ぶ。

問題4:建築計画

本文で確認できる主要肢は次の通りである。病室のベッド横作業寸法は看護動作のために十分なクリアランスを要し、重症患者用個室は廊下からの観察性と緊急対応性が重要である。バリアフリー駐車スペースは車椅子使用者が乗降できる幅を確保する。劇場では器楽主体の音楽ホールはシューボックス型が音響的に有利、キンベル美術館はサイクロイドシェルによる自然採光、1968年竣工・147mの超高層は霞が関ビル、貸しビルで効率が高い一般的コア形式は中央型である。

問題5:建築史図版

図版問題は、建築年代・計画年代の順序と語句対応を問う。解答では、図の作品名を確定したうえで、(i)年代順、(ii)都市・建築種別、(iii)構造・様式・計画概念の語句を対応させる。公開PDFの図だけで判読しにくい場合は、無理に形だけで断定せず、キャプション・選択語・年代範囲を照合して決める。

最終答

材料の不適当肢は③⑥⑧。石材支持の最適位置は端部から a=(2−1)l/2a=(\sqrt2-1)l/2。CO2定常濃度は約 1067 ppm1067\,\mathrm{ppm}、隣室音圧レベルは 60 dB60\,\mathrm{dB}、壁表面温度は屋外側 4∘C4^\circ\mathrm{C}・室内側 12∘C12^\circ\mathrm{C}、照度は 16.7 lx16.7\,\mathrm{lx}。

第2問 — 専門課題II 第1群(建築設計)

典型ミス

山車展示を通常階高の室に入れてしまう、舟着き場と道路側入口のレベル差・バリアフリーを説明しない、搬入動線と観光客動線が交差する、ライブラリーが単なる余室になる、という失点が起きやすい。

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第3問 — 専門課題II 第2群(建築計画・建築史・構法)

点を伸ばす書き方

この年度は「図から特徴を読む」問題が多い。作品名を答えた後、断面で何が起きているか、平面でどう人が動くか、構法がどの空間を可能にしているかを分けて書くと、答案が散らばらない。

専門課題II 第2群(建築計画・建築史・構法)の途中式・最終答をPDFで見る

第4問 — 専門課題II 第3群(建築環境)

記述問題の注意

200字問題は、定義だけでなく、式・代表値・設計上の対策を1つずつ入れると密度が出る。PMVなら6要素と快適範囲、断熱ならUA値と部位仕様、結露なら水蒸気侵入・温度低下・防湿透湿の順に書く。

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第5問 — 専門課題II 第4群(建築構造・建築材料)

部分点の取り方

骨組曲げは図の支点条件を読み切れないと崩れるため、固定端・ピン・ローラーを最初に明記する。土質問題は、全応力ではなく有効応力の低下が液状化の本質であることを書くと、説明問題の点が安定する。

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年度別の解答例(6年度)

  • 2026年度(全5問)

    専門課題I(建築学基礎) / 専門課題II 第1群(設計) / 専門課題II 第2群(計画・史・構法)

  • 2025年度(全5問)

    専門課題I(建築学基礎) / 専門課題II 第1群(設計) / 専門課題II 第2群(計画・史・構法)

  • 2024年度(全5問)

    専門課題I(建築学基礎) / 専門課題II 第1群(設計) / 専門課題II 第2群(計画・史・構法)

  • 2023年度(このページ・全5問)

    専門課題I(建築学基礎) / 専門課題II 第1群(建築設計) / 専門課題II 第2群(建築計画・建築史・構法)

  • 2022年度(全5問)

    専門課題I(建築学基礎) / 専門課題II 第1群(建築設計) / 専門課題II 第2群(建築計画・建築史・構法)

  • 2020年度(全5問)

    専門課題I(建築学基礎) / 専門課題II 第1群(建築設計) / 専門課題II 第2群(建築計画・建築史・構法)

2023年度の出題内容

全5問

この5問の分野は材料力学・材料1問です。

大問分野主題解説の小見出し最終答
第1問—専門課題I(建築学基礎)計算の検算あり
第2問—専門課題II 第1群(建築設計)—あり
第3問—専門課題II 第2群(建築計画・建築史・構法)点を伸ばす書き方あり
第4問—専門課題II 第3群(建築環境)記述問題の注意あり
第5問材料力学・材料専門課題II 第4群(建築構造・建築材料)部分点の取り方あり

2023年度の解説には典型ミス1件が付いています。

同じテーマを出した他大学・他年度

3テーマ

前年度(2022年度)との違い

大問数
2022年度 5問 → 2023年度 5問
両年度に出たテーマ
はりの曲げ
2023年度で新しく出たテーマ
線形空間・基底・グラフ理論
2022年度の解答例

東京大学の公式過去問

公開年度範囲
2018〜2026(2021年度は筆記試験未実施)
公式の解答例
非公開(問題冊子のみ)
院試hubの最終確認
2026-08-13
東京大学の公式過去問PDF