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東大 工学系研究科 建築学専攻 建築学 専門科目 2024年度 院試 過去問 解答例・解説(全5問)

全5問の分野は材料力学・材料1問です。はりの曲げが出ています。2023年度と共通するテーマははりの曲げです。解説はすべて、途中式と最終答は大問1問ぶんを公開しています。残りは解答PDFに収録しています。問題本文は含みません。

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第1問 — 専門課題I(建築学基礎)

採点上の注意

短答問題でも、語だけを書くと部分点が伸びにくい。環境の訂正では「何が誤りか」と「正しい語」を対にする。構造では符号、単位、引張・圧縮、上向き・下向きを明示する。

検算

曲げ応力度 5.0 N/mm25.0\,\mathrm{N/mm^2} は建築材料の許容応力度スケールとして自然であり、せん断応力度 0.050 N/mm20.050\,\mathrm{N/mm^2} は曲げに比べて十分小さい。換気・音・熱の設問でも、最終値の桁が常識的かを最後に確認する。

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第2問 — 専門課題II 第1群(設計)

失点しやすい点

単に「住戸6室+作業室6室」を並べるだけでは、この課題の「集まって住み、働く意味」に答えていない。共用アトリエ、レビュー空間、食堂、外部デッキなど、共同性を生む場所を設計の中心に置く必要がある。

採点者に伝わる図面

平面では、来訪者、居住者、材料搬入の動線を色や矢印で分ける。断面では、海側の開放性、北側の地域開放、共用アトリエの高さ、住戸の私密性を一枚で示す。主旨文と図面で同じ語を使うと、提案の読み取りが速くなる。

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第3問 — 専門課題II 第2群(計画・史・構法)

黒塗り図版への対応

公式公開PDFの改変で図が黒塗りの場合、販売PDFに断定的な「図Aは○○である」と書くと誤情報になる可能性がある。解答では、設問文から確定できる題材は具体化し、図版同定が不能な箇所は、採点で必要な記述項目と代表的な構造・構法の書き方を示すのが最も誠実である。

答案密度

第2群は論述量が多いので、1問ごとに「結論、根拠、建築的意味」の順で書く。図版問題でも、作品名だけ、建築家名だけでは点が伸びない。構造・空間・社会背景を最低1つずつ入れる。

解答

2024年度第2群は、戦前・戦後の公的集合住宅、施設分布のグラフ読解、重要建築の図示説明、17世紀都市改造、文化財・構法用語、図版建築の構造・構法を問う。図版の一部は公式公開版で黒塗りになっているため、図版同定に依存する箇所は、設問文から確定できる答案の骨格を明示する。

1. 公的集合住宅の配置・住戸平面

戦前の東京の公的集合住宅は、同潤会アパートに代表されるように、関東大震災後の不燃化・衛生改善・近代的都市生活の導入を背景にしている。中庭、共用階段、共同施設、RC造の耐火性が特徴で、都市の密集地に住環境を計画的に挿入する意味をもった。

戦後の公的集合住宅は、住宅不足への量的対応、標準設計、住戸型の合理化、団地のオープンスペース、日照・通風・近隣住区的な施設配置を重視した。配置図では、戦前型が街区内に比較的閉じた共同性をつくるのに対し、戦後型は住棟間隔、方位、緑地、歩車分離を用いて、住戸を反復しながら都市的スケールの生活単位をつくる点が異なる。

2. 施設分布のグラフ読解

関数 fXY(r)=∑i=1nX(施設 Xi を中心とする半径 r 内の Y 施設数) f_{XY}(r)=\sum_{i=1}^{n_X} \left(\text{施設 }X_i\text{ を中心とする半径 }r\text{ 内の }Y\text{ 施設数}\right) は、距離 rr を広げたときに、同種または異種施設がどれだけ近接しているかを読む指標である。同種施設の場合は中心自身を数えない。

図の読み取りに基づく対応は次のように置ける。 (⋆) fAA(r),(i) fCC(r),(ii) fSA(r),(iii) fBB(r),(iv) fSB(r),(v) fSC(r). \boxed{(\star)\ f_{AA}(r)},\quad \boxed{(i)\ f_{CC}(r)},\quad \boxed{(ii)\ f_{SA}(r)},\quad \boxed{(iii)\ f_{BB}(r)},\quad \boxed{(iv)\ f_{SB}(r)},\quad \boxed{(v)\ f_{SC}(r)}. 施設Aは相互距離が大きく、広い圏域に分散するため小学校に対応させやすい。施設Bは中央付近に凝集し、駅近接性も強いので生鮮食品店のような最寄り品施設と読める。施設Cは駅周辺や複数拠点に集まり、比較的広い圏域から来訪する家具屋などの買回り品施設として説明できる。

施設数が種類ごとに異なる場合は、比較のため f~XY(r)=fXY(r)nXnY \boxed{\tilde f_{XY}(r)=\frac{f_{XY}(r)}{n_X n_Y}} で正規化する。同種の場合は分母を nX(nX−1)n_X(n_X-1) とする。

3. 建築史図版問題の答案例

5つの建築から2つを選ぶ問題では、スケッチ、構造・構法、空間・平面、歴史背景を分けて書く。以下はそのまま答案化しやすい2例である。

サンタ・コスタンツァ。円形平面の中央にドームを架け、周囲に環状の周歩廊をもつ集中式建築である。柱列が中央空間と周歩廊を分け、ドーム荷重を環状に処理する。初期キリスト教建築における殉教者記念堂・霊廟の系譜にあり、古代ローマの集中式空間がキリスト教建築へ転用された例として重要である。

ランス大聖堂。身廊、側廊、トリフォリウム、高窓をもつフランス・ゴシックの大聖堂であり、尖頭アーチ、リブ・ヴォールト、フライング・バットレスによって高い身廊と大開口を実現した。西正面の彫刻群と王権の戴冠聖堂としての性格をあわせて説明する。

円覚寺舎利殿。禅宗様を代表する中世建築で、詰組、扇垂木、花頭窓、海老虹梁などを特徴とする。小規模ながら柱間・軒・細部の密度が高く、宋風の構法が日本化された例として説明する。

東京カテドラル聖マリア大聖堂。丹下健三による現代教会建築で、HPシェル状の曲面と十字形平面を組み合わせ、ステンレス外装によって強い象徴性をつくる。構造と形態が一致し、戦後日本の技術表現と宗教空間が結びついた作品である。

4. 17世紀中頃の都市改造

公開版の図版は黒塗りであるが、設問文は17世紀中頃の出来事を契機とする都市改造を問うている。答案では、図がロンドン大火後の復興案を示す場合、都市名をロンドン、背景を1666年の大火、目的を防火・交通改善・衛生改善、手法を道路拡幅、石造・煉瓦造化、再建法、クリストファー・レンらの復興案として説明する。

図が明暦の大火後の江戸改造を示す場合、都市名を江戸、背景を1657年の大火、目的を防火・武家地町人地の再編・避難空間の確保、手法を火除地・広小路・寺社移転・橋梁整備・武家屋敷の再配置として書く。関係人物として幕府の都市政策、保科正之などを挙げるとよい。

5. 用語説明

  • メタボリズム 1960年代日本の建築運動で、都市や建築を成長・更新する有機体として捉え、コアと交換可能なユニットを組み合わせる考え方。例として中銀カプセルタワービルや丹下健三の東京計画1960を挙げられる。
  • 重要伝統的建造物群保存地区 町並みや集落など、建造物群と環境が一体となって歴史的価値をもつ地区を保存する制度である。妻籠宿、白川郷、竹富島などが代表例である。
  • ペンデンティブ 正方形平面の上に円形ドームを載せるため、四隅を球面三角形状に移行させる構法である。ハギア・ソフィアやサン・ヴィターレ聖堂が代表例である。
  • 双堂 二つの堂を前後または左右に並べ、相互に関連させて礼拝・儀礼空間を構成する形式である。奈良時代・平安時代の寺院建築や礼堂・正堂の関係で説明できる。

6. 構造・構法図版問題

図A〜Gは公式公開版で大部分が黒塗りであり、図そのものの建築名を公開PDFから確定できない。答案作成時は、見えている構法要素を次の観点で3行に圧縮する。

  1. 主構造を特定する:組積造、木造軸組、RCシェル、鉄骨トラス、吊構造、膜構造、カーテンウォールなど。
  2. 力の流れを書く:圧縮、引張、曲げ、アーチ作用、シェル作用、ブレース、方杖、束、控え壁。
  3. 構法上の特徴を書く:部材の反復、接合、外皮の支持、施工法、材料の軽量化、更新性。

たとえば大スパン屋根であれば「鉄骨トラスまたはスペースフレームにより曲げを軸力へ置換し、軽量な屋根面を支える。部材の三角形構成によって剛性を確保し、支点部に水平力が集中するため基礎・リング梁で処理する」と書けば、構造・構法の観点が揃う。

最終答

公的集合住宅の比較では、戦前を「震災復興・耐火共同住宅・都市居住の近代化」、戦後を「住宅大量供給・標準住戸・日照通風・団地計画」と対比して書く。配置図と住戸平面を関連させ、共用動線、外部空間、家族生活像の変化を説明する。

2024年度第2群は、図面から読める差異を一般論に逃がさず、集合住宅は戦前/戦後の供給思想、施設分布は fXY(r)f_{XY}(r) の増加形状、建築史は作品ごとの構造・空間・背景、都市改造は大火後の防火・街路・土地利用再編、構法は力の流れと納まりで答える。

第4問 — 専門課題II 第3群(環境)

単位検算

熱流は W、換気量は m3/h\mathrm{m^3/h}、音は dB、照度は lx で統一する。特に ppm は無次元濃度差に直し、m3/h\mathrm{m^3/h} を W に変換するときは 36003600 で割る。

部分点の取り方

計算値を誤っても、保存則、定義式、代入値、単位が残っていれば部分点が残る。答案では、式だけでなく「直達と天空」「貫流と日射取得」「エネルギー平均と算術平均」の区別を一言添える。

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第5問 — 専門課題II 第4群(構造・材料)

図読取の扱い

応答スペクトルのように図から値を読む設問では、厳密な解析値ではなく、図上の目盛から読み取った値を小数第1位に丸める。読み取り値を使った地震力計算では、質量を重量と混同しないことが最重要である。

部分点の確保

合成梁や架構問題は、最終式が長くなりやすい。中立軸、換算断面、節点回転、支点変位、仮想荷重といった中間概念を明確に書けば、最終数値に誤差があっても部分点が残る。

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年度別の解答例(6年度)

  • 2026年度(全5問)

    専門課題I(建築学基礎) / 専門課題II 第1群(設計) / 専門課題II 第2群(計画・史・構法)

  • 2025年度(全5問)

    専門課題I(建築学基礎) / 専門課題II 第1群(設計) / 専門課題II 第2群(計画・史・構法)

  • 2024年度(このページ・全5問)

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  • 2023年度(全5問)

    専門課題I(建築学基礎) / 専門課題II 第1群(建築設計) / 専門課題II 第2群(建築計画・建築史・構法)

  • 2022年度(全5問)

    専門課題I(建築学基礎) / 専門課題II 第1群(建築設計) / 専門課題II 第2群(建築計画・建築史・構法)

  • 2020年度(全5問)

    専門課題I(建築学基礎) / 専門課題II 第1群(建築設計) / 専門課題II 第2群(建築計画・建築史・構法)

2024年度の出題内容

全5問

この5問の分野は材料力学・材料1問です。

大問分野主題解説の小見出し最終答
第1問—専門課題I(建築学基礎)採点上の注意あり
第2問—専門課題II 第1群(設計)採点者に伝わる図面あり
第3問—専門課題II 第2群(計画・史・構法)黒塗り図版への対応 / 答案密度あり
第4問—専門課題II 第3群(環境)単位検算 / 部分点の取り方あり
第5問材料力学・材料専門課題II 第4群(構造・材料)図読取の扱い / 部分点の確保あり

2024年度の解説には検算1件・採点上の注意1件・失点しやすい点1件が付いています。

同じテーマを出した他大学・他年度

1テーマ

2024年度は2問に1テーマが出ています。

前年度(2023年度)との違い

大問数
2023年度 5問 → 2024年度 5問
両年度に出たテーマ
はりの曲げ
2023年度の解答例

東京大学の公式過去問

公開年度範囲
2018〜2026(2021年度は筆記試験未実施)
公式の解答例
非公開(問題冊子のみ)
院試hubの最終確認
2026-08-13
東京大学の公式過去問PDF