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東北大 理学研究科 地学専攻 専門科目 2024年度 院試 過去問 解答例・解説(全5問)

全5問の分野は固体地球科学1問、鉱物・岩石1問、地質1問です。解説はすべて、途中式と最終答は大問1問ぶんを公開しています。残りは解答PDFに収録しています。問題本文は含みません。

最終更新:

第1問 — 共通問題 地圏環境とプレートテクトニクス

採点の置き所

炭素同位体では「生物が軽い炭素を取るため残った DIC が重くなる」と因果を書く。沈み込み帯では、スラブそのものが単純に溶けるのではなく、脱水流体がマントルウェッジを溶かすと書く。

典型ミス

温室期を「暖かいから Mg/Ca が高い」と直感で答えない。長期の海水 Mg/Ca は熱水循環・海洋底拡大速度と結びつける。

解答

問1: 炭素同位体・気候・風化

植物プランクトンの一次生産が急増すると、生物は軽い 12C^{12}\mathrm{C} を優先的に有機物へ取り込む。そのため海洋表層の溶存無機炭素には 13C^{13}\mathrm{C} が相対的に残り、δ13C\delta^{13}\mathrm{C} は高くなる。

一次生産の増加と有機炭素埋没は、大気海洋系から CO2\mathrm{CO_2} を除去し、温室効果を弱めるので、長期的には寒冷化をもたらしうる。図のフィードバックだけでなく、炭素循環を通じた放射収支の変化として説明する。

寒冷化すると降水量、反応速度、土壌中 CO2\mathrm{CO_2} 供給が低下しやすく、CaSiO3_3 型岩石の化学的風化は抑制される。代表的な反応は CaSiO3+2CO2+H2O→Ca2++2HCO3−+SiO2 \mathrm{CaSiO_3}+2\mathrm{CO_2}+\mathrm{H_2O} \rightarrow \mathrm{Ca^{2+}}+2\mathrm{HCO_3^-}+\mathrm{SiO_2} である。

顕生代の温室期は、海洋底拡大や熱水循環が活発で、海水から Mg が除去され Ca が供給されやすいため、氷室期より Mg/Ca 比が低い傾向にある。低 Mg/Ca の海では、海棲石灰化生物の初生鉱物は低Mg方解石、すなわちカルサイトになりやすい。

問2: プレート運動とマグマ生成

プレートテクトニクス構築につながった古地磁気学的知見として、まず大陸ごとの見かけの極移動曲線が挙げられる。大陸を現在位置で固定すると曲線が一致しないが、大陸移動を戻すと整合するため、大陸が移動した根拠になる。もう一つは海洋底の地磁気縞模様である。中央海嶺を挟んで正逆帯磁の縞が対称に並ぶため、海嶺で新しい海洋地殻が生成され、両側へ拡大したことを示す。

沈み込む海洋地殻の玄武岩質物質は、高圧下で斜長石を失い、ガーネットを含むエクロジャイトへ変化する。エクロジャイトは周囲のマントルより密度が大きいため、沈み込むプレートの負の浮力を増し、スラブプルとしてプレート運動を駆動する。

海嶺では高温のマントルが上昇し、圧力低下により無水かんらん岩のソリダスを横切るため、減圧融解で玄武岩質マグマが生じる。沈み込み帯では冷たいスラブ上の地温勾配だけでは無水ソリダスを超えにくいが、スラブの脱水で供給された水がマントルウェッジのソリダスを下げ、含水部分融解により島弧マグマが発生する。

最終答

δ13C\delta^{13}\mathrm{C} は高くなり、有機炭素埋没の増加は CO2\mathrm{CO_2} を減らして寒冷化を促す。寒冷化では化学的風化は抑制される。温室期の Mg/Ca 比は低く、石灰化生物はカルサイトを初生鉱物にしやすい。プレート運動の根拠は極移動曲線と海洋底磁気縞模様、沈み込み帯マグマはスラブ脱水による含水融解で説明する。

第2問 — 問題A 海底堆積物と沈降速度

採点の置き所

分布理由では、水深、栄養塩、炭酸塩補償深度、深層循環、飽和度の語を実際の堆積物と対応させる。沈降速度は、浮力を差し引いた水中重力を使うことが重要である。

典型ミス

赤色粘土を陸源粘土の多い沿岸堆積物として扱わない。遠洋性赤色粘土は、炭酸塩も珪質生物殻も蓄積しにくい深海で相対的に残る。

問題A 海底堆積物と沈降速度の途中式・最終答をPDFで見る

第3問 — 問題B 地形判読・テフラ・河川地形

採点の置き所

地形判読では「地形名」だけでなく、何を根拠に断層・テフラ・流路形態と判断したかを書く。K-Ah と AT は給源火山と時代環境をセットにする。

典型ミス

網状流路を単に「曲がった川」と書かない。複数流路、砂礫堆、掃流荷重、勾配を必ず入れる。

問題B 地形判読・テフラ・河川地形の途中式・最終答をPDFで見る

第4問 — 問題C1 コンドライトと初期地球大気

採点の置き所

地球全体を考えるときは、マントルだけでなく核の金属鉄を含める。大酸化イベントでは、時期と地質学的証拠を最低二つ入れる。

典型ミス

酸化的条件ほど金属鉄が増える、と逆に書かない。酸化的条件では Fe は FeO や酸化物として存在しやすい。

問題C1 コンドライトと初期地球大気の途中式・最終答をPDFで見る

第5問 — 問題C2 珪酸塩鉱物と超苦鉄質岩

採点の置き所

構造分類では、鉱物名と四面体の連結様式を対応させる。超苦鉄質岩の三角図では、Ol が40\%以上かどうかをまず見る。

典型ミス

長石をフィロ珪酸塩、雲母をテクト珪酸塩としない。雲母の劈開は層状構造に由来する。

問題C2 珪酸塩鉱物と超苦鉄質岩の途中式・最終答をPDFで見る

年度別の解答例(6年度)

2024年度の出題内容

全5問

この5問の分野は固体地球科学1問・鉱物・岩石1問・地質1問です。

大問分野主題解説の小見出し最終答
第1問固体地球科学共通問題 地圏環境とプレートテクトニクス—あり
第2問地質問題A 海底堆積物と沈降速度—あり
第3問—問題B 地形判読・テフラ・河川地形—あり
第4問—問題C1 コンドライトと初期地球大気—あり
第5問鉱物・岩石問題C2 珪酸塩鉱物と超苦鉄質岩—あり

2024年度の解説には採点の置き所5件・典型ミス5件が付いています。

前年度(2023年度)との違い

大問数
2023年度 5問 → 2024年度 5問
2023年度の解答例

東北大学の公式過去問

公開年度範囲
2002〜2026(専門科目。英語・共通問題は掲載年度が限られる)
公式の解答例
非公開(問題冊子のみ)
英語の扱い
2025年8月実施の大学院入試から、外国語科目(英語)の評価に TOEFL・TOEIC・IELTS いずれかのスコアを利用(自己推薦入学試験でもスコア提出を求める)。
院試hubの最終確認
2026-09-26
東北大学の公式過去問PDF