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東北大 理学研究科 地学専攻 専門科目 2021年度 院試 過去問 解答例・解説(全7問)

全7問の分野は地質2問、固体地球科学1問、鉱物・岩石1問です。解説はすべて、途中式と最終答は大問1問ぶんを公開しています。残りは解答PDFに収録しています。問題本文は含みません。

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第1問 — 問題A1 地震波探査と地球内部熱

採点の置き所

走時曲線では「傾きが速度の逆数」であることを書く。近距離側から V1V_1、遠距離側から V2V_2、交点から KK を求め、最後に与式で DD を出す流れが必要である。

典型ミス

屈折波の傾き 1/81/8 を速度 1/8 km/s1/8\,\mathrm{km/s} と読まない。熱流量の計算では W=J/s\mathrm{W}=\mathrm{J/s} なので、1年の秒数を掛ける。

解答

問1: 屈折波の式

臨界屈折ではスネルの法則より sin⁡ϕ=V1V2(V2>V1) \sin\phi=\frac{V_1}{V_2}\qquad (V_2>V_1) である。交差距離を KK とすると、直接波と屈折波の走時が等しいので KV1=K−2Dtan⁡ϕV2+2DV1cos⁡ϕ. \frac{K}{V_1} = \frac{K-2D\tan\phi}{V_2} +\frac{2D}{V_1\cos\phi}. 両辺を整理すると K(1V1−1V2)=2DV1cos⁡ϕ−2Dtan⁡ϕV2. K\left(\frac{1}{V_1}-\frac{1}{V_2}\right) = \frac{2D}{V_1\cos\phi}-\frac{2D\tan\phi}{V_2}. sin⁡ϕ=V1/V2\sin\phi=V_1/V_2 を用いると右辺は 2D(1V1cos⁡ϕ−sin⁡ϕV1cos⁡ϕV1V2)=2DV1cos⁡ϕ(1−V12V22)=2Dcos⁡ϕV1 2D\left(\frac{1}{V_1\cos\phi}-\frac{\sin\phi}{V_1\cos\phi}\frac{V_1}{V_2}\right) = \frac{2D}{V_1\cos\phi}\left(1-\frac{V_1^2}{V_2^2}\right) = \frac{2D\cos\phi}{V_1} となる。したがって D=K2V2−V1V2cos⁡ϕ=K2V2−V1V2+V1 D=\frac{K}{2}\frac{V_2-V_1}{V_2\cos\phi} = \frac{K}{2}\sqrt{\frac{V_2-V_1}{V_2+V_1}} を得る。

問1: 走時曲線の読み取り

近距離側では 36 km36\,\mathrm{km} で 6.0 s6.0\,\mathrm{s}、180 km180\,\mathrm{km} で 30 s30\,\mathrm{s} だから ΔtΔx=30−6180−36=16 s/km,V1=6.0 km/s. \frac{\Delta t}{\Delta x}=\frac{30-6}{180-36}=\frac{1}{6}\ \mathrm{s/km}, \qquad V_1=6.0\,\mathrm{km/s}. 遠距離側では、例えば 220 km,35 s220\,\mathrm{km},35\,\mathrm{s} と 300 km,45 s300\,\mathrm{km},45\,\mathrm{s} から ΔtΔx=45−35300−220=18 s/km,V2=8.0 km/s. \frac{\Delta t}{\Delta x}=\frac{45-35}{300-220}=\frac{1}{8}\ \mathrm{s/km}, \qquad V_2=8.0\,\mathrm{km/s}. 屈折波の直線は t=x/8+tit=x/8+t_i で、35=220/8+ti35=220/8+t_i より ti=7.5 s. t_i=7.5\,\mathrm{s}. 直接波 t=x/6t=x/6 と屈折波 t=x/8+7.5t=x/8+7.5 の交点は K6=K8+7.5,K=180 km. \frac{K}{6}=\frac{K}{8}+7.5,\qquad K=180\,\mathrm{km}. よって、7=2.646\sqrt7=2.646 を用いれば D=18028.0−6.08.0+6.0=9017≃34 km. D=\frac{180}{2}\sqrt{\frac{8.0-6.0}{8.0+6.0}} =90\sqrt{\frac{1}{7}} \simeq 34\,\mathrm{km}. 地震波速度から、第1層は地殻、第2層は上部マントル、速度不連続面はモホロビチッチ不連続面と考えられる。

問2: 1年間の放熱量

地球表面積を 4πR24\pi R^2、平均地殻熱流量を q=8.7×10−2 W/m2q=8.7\times10^{-2}\,\mathrm{W/m^2} とすると、1年間に放出される熱は E=4πR2q Δt≃4π(6.4×106)2(8.7×10−2)(3.2×107)≃1.4×1021 J. E=4\pi R^2 q\,\Delta t \simeq 4\pi(6.4\times10^6)^2 (8.7\times10^{-2})(3.2\times10^7) \simeq 1.4\times10^{21}\,\mathrm{J}. 有効数字1桁では E≃1×1021 J E\simeq 1\times10^{21}\,\mathrm{J} である。

海洋地域の熱流量は、海洋地殻中の放射性元素だけでなく、マントルからの熱供給と海洋リソスフェアの冷却で説明する。海嶺で新しい高温の海洋プレートが生まれ、移動しながら冷えるため、海洋底全体で大きな熱流が保たれる。

太古代は現在よりマントルが高温で、粘性が低く、マントル対流が活発だったと考えられる。海嶺での海洋プレートの生成速度も大きく、プレートが十分に厚く冷える前に移動・沈み込みやすいため、平均的な海洋プレートは現在より薄かったと予想できる。

最終答

V1=6.0 km/s,V2=8.0 km/s,K=180 km,D≃34 km. V_1=6.0\,\mathrm{km/s},\qquad V_2=8.0\,\mathrm{km/s},\qquad K=180\,\mathrm{km},\qquad D\simeq34\,\mathrm{km}. 第1層は地殻、第2層は上部マントル、境界はモホ面。地球表面から1年間に失われる熱は約 1×1021 J1\times10^{21}\,\mathrm{J}。太古代の海洋プレートは、高温・低粘性マントルの活発な対流と速い生成により現在より薄い。

第2問 — 問題A2 津波と堆積物運搬

採点の置き所

津波は「長波」であり、水粒子の流速と波の位相速度は別物である。速度比、振幅比、流速比をそれぞれ別の式から出すと、沿岸で波が遅く高く、かつ底面せん断が大きくなる理由が明確になる。

典型ミス

位相速度 cc が小さくなるから流速 UU も小さくなる、と考えるのは誤りである。浅海では振幅が増え、水深が小さいため U=Ag/hU=A\sqrt{g/h} は大きくなる。

問題A2 津波と堆積物運搬の途中式・最終答をPDFで見る

第3問 — 問題B1 河川水理と河成段丘

採点の置き所

河道幅比では、流量比だけでなく、平均水深とマニング式による流速比を入れる必要がある。Q=WhUQ=W h U まで書けば、幅がどこから出るかが明確になる。

典型ミス

降水量が 70%70\% だから幅も 70%70\% とするのは誤りである。水深が半分で、勾配が大きい時期なので、流量が小さくても幅は広くなりうる。

問題B1 河川水理と河成段丘の途中式・最終答をPDFで見る

第4問 — 問題B2 地理情報解析と回帰モデル

採点の置き所

方法論の問題では、データ、目的変数、説明変数、交絡調整、モデルの仮定をセットで書く。手法名だけでは十分でない。

典型ミス

相関をそのまま因果と書かない。喫煙と死亡では年齢、基礎疾患、職業などが交絡しうる。地価回帰では、駅距離だけで都市内の地価差をすべて説明できると仮定しない。

問題B2 地理情報解析と回帰モデルの途中式・最終答をPDFで見る

第5問 — 問題C1 高圧鉱物とマントル組成

採点の置き所

高圧鉱物の問題では、鉱物名だけでなく配位数を書く。相境界は式、ΔV\Delta V、ΔS\Delta S の符号をそろえる。

典型ミス

Bridgmanite を立方晶系ペロブスカイトと同じ対称性で書かない。問題では比較対象として SrTiO3\mathrm{SrTiO_3} が立方晶系であることを使う。

問題C1 高圧鉱物とマントル組成の途中式・最終答をPDFで見る

第6問 — 問題C2 隕石有機物と堆積有機物

採点の置き所

隕石有機物と堆積有機物を混同しない。隕石では太陽系初期の非生物的有機化学、堆積岩では埋没・続成・熱熟成を説明する。

典型ミス

有機物の存在を生命の証拠と断定しない。また、ビチュメンとケロジェンは溶媒への可溶性で区別する。

問題C2 隕石有機物と堆積有機物の途中式・最終答をPDFで見る

第7問 — 問題C3 岩石組織・相律・年代測定

採点の置き所

年代計算では、比をそのまま年代にせず、eλt−1e^{\lambda t}-1 の形にする。相律では自由度の数字だけでなく、温度・圧力がどう拘束されるかを書く。

典型ミス

ポイキリティックとポイキロブラスティックを混同しやすい。前者は火成岩、後者は変成岩の組織名として扱う。

問題C3 岩石組織・相律・年代測定の途中式・最終答をPDFで見る

年度別の解答例(6年度)

2021年度の出題内容

全7問

この7問の分野は地質2問・固体地球科学1問・鉱物・岩石1問です。

大問分野主題解説の小見出し最終答
第1問固体地球科学問題A1 地震波探査と地球内部熱—あり
第2問地質問題A2 津波と堆積物運搬—あり
第3問—問題B1 河川水理と河成段丘—あり
第4問—問題B2 地理情報解析と回帰モデル—あり
第5問鉱物・岩石問題C1 高圧鉱物とマントル組成—あり
第6問地質問題C2 隕石有機物と堆積有機物—あり
第7問—問題C3 岩石組織・相律・年代測定—あり

2021年度の解説には採点の置き所7件・典型ミス7件が付いています。

東北大学の公式過去問

公開年度範囲
2002〜2026(専門科目。英語・共通問題は掲載年度が限られる)
公式の解答例
非公開(問題冊子のみ)
英語の扱い
2025年8月実施の大学院入試から、外国語科目(英語)の評価に TOEFL・TOEIC・IELTS いずれかのスコアを利用(自己推薦入学試験でもスコア提出を求める)。
院試hubの最終確認
2026-09-26
東北大学の公式過去問PDF