東北大 理学研究科 地学専攻 専門科目 2021年度 院試 過去問 解答例・解説(全7問)
全7問の分野は地質2問、固体地球科学1問、鉱物・岩石1問です。解説はすべて、途中式と最終答は大問1問ぶんを公開しています。残りは解答PDFに収録しています。問題本文は含みません。
最終更新:
第1問 — 問題A1 地震波探査と地球内部熱
採点の置き所
走時曲線では「傾きが速度の逆数」であることを書く。近距離側から 、遠距離側から 、交点から を求め、最後に与式で を出す流れが必要である。
典型ミス
屈折波の傾き を速度 と読まない。熱流量の計算では なので、1年の秒数を掛ける。
解答
問1: 屈折波の式
臨界屈折ではスネルの法則より である。交差距離を とすると、直接波と屈折波の走時が等しいので 両辺を整理すると を用いると右辺は となる。したがって を得る。
問1: 走時曲線の読み取り
近距離側では で 、 で だから 遠距離側では、例えば と から 屈折波の直線は で、 より 直接波 と屈折波 の交点は よって、 を用いれば 地震波速度から、第1層は地殻、第2層は上部マントル、速度不連続面はモホロビチッチ不連続面と考えられる。
問2: 1年間の放熱量
地球表面積を 、平均地殻熱流量を とすると、1年間に放出される熱は 有効数字1桁では である。
海洋地域の熱流量は、海洋地殻中の放射性元素だけでなく、マントルからの熱供給と海洋リソスフェアの冷却で説明する。海嶺で新しい高温の海洋プレートが生まれ、移動しながら冷えるため、海洋底全体で大きな熱流が保たれる。
太古代は現在よりマントルが高温で、粘性が低く、マントル対流が活発だったと考えられる。海嶺での海洋プレートの生成速度も大きく、プレートが十分に厚く冷える前に移動・沈み込みやすいため、平均的な海洋プレートは現在より薄かったと予想できる。
最終答
第1層は地殻、第2層は上部マントル、境界はモホ面。地球表面から1年間に失われる熱は約 。太古代の海洋プレートは、高温・低粘性マントルの活発な対流と速い生成により現在より薄い。
第2問 — 問題A2 津波と堆積物運搬
採点の置き所
津波は「長波」であり、水粒子の流速と波の位相速度は別物である。速度比、振幅比、流速比をそれぞれ別の式から出すと、沿岸で波が遅く高く、かつ底面せん断が大きくなる理由が明確になる。
典型ミス
位相速度 が小さくなるから流速 も小さくなる、と考えるのは誤りである。浅海では振幅が増え、水深が小さいため は大きくなる。
第3問 — 問題B1 河川水理と河成段丘
採点の置き所
河道幅比では、流量比だけでなく、平均水深とマニング式による流速比を入れる必要がある。 まで書けば、幅がどこから出るかが明確になる。
典型ミス
降水量が だから幅も とするのは誤りである。水深が半分で、勾配が大きい時期なので、流量が小さくても幅は広くなりうる。
第4問 — 問題B2 地理情報解析と回帰モデル
採点の置き所
方法論の問題では、データ、目的変数、説明変数、交絡調整、モデルの仮定をセットで書く。手法名だけでは十分でない。
典型ミス
相関をそのまま因果と書かない。喫煙と死亡では年齢、基礎疾患、職業などが交絡しうる。地価回帰では、駅距離だけで都市内の地価差をすべて説明できると仮定しない。
第5問 — 問題C1 高圧鉱物とマントル組成
採点の置き所
高圧鉱物の問題では、鉱物名だけでなく配位数を書く。相境界は式、、 の符号をそろえる。
典型ミス
Bridgmanite を立方晶系ペロブスカイトと同じ対称性で書かない。問題では比較対象として が立方晶系であることを使う。
第6問 — 問題C2 隕石有機物と堆積有機物
採点の置き所
隕石有機物と堆積有機物を混同しない。隕石では太陽系初期の非生物的有機化学、堆積岩では埋没・続成・熱熟成を説明する。
典型ミス
有機物の存在を生命の証拠と断定しない。また、ビチュメンとケロジェンは溶媒への可溶性で区別する。
第7問 — 問題C3 岩石組織・相律・年代測定
採点の置き所
年代計算では、比をそのまま年代にせず、 の形にする。相律では自由度の数字だけでなく、温度・圧力がどう拘束されるかを書く。
典型ミス
ポイキリティックとポイキロブラスティックを混同しやすい。前者は火成岩、後者は変成岩の組織名として扱う。
年度別の解答例(6年度)
共通問題 / 問題A / 問題B
共通問題 / 問題A / 問題B
共通問題 地圏環境とプレートテクトニクス / 問題A 海底堆積物と沈降速度 / 問題B 地形判読・テフラ・河川地形
共通問題 / 問題A / 問題B
問題A1 / 問題A2 / 問題B1
2021年度(このページ・全7問)
問題A1 地震波探査と地球内部熱 / 問題A2 津波と堆積物運搬 / 問題B1 河川水理と河成段丘
2021年度の出題内容
全7問
東北大学の公式過去問
- 公開年度範囲
- 2002〜2026(専門科目。英語・共通問題は掲載年度が限られる)
- 公式の解答例
- 非公開(問題冊子のみ)
- 英語の扱い
- 2025年8月実施の大学院入試から、外国語科目(英語)の評価に TOEFL・TOEIC・IELTS いずれかのスコアを利用(自己推薦入学試験でもスコア提出を求める)。
- 院試hubの最終確認
- 2026-09-26