東北大学 院試 過去問 解答例
東北大 情報科学研究科 2群 情報・生命系 基礎・専門科目 2025年3月 院試 解答例・解説
東北大学 情報科学研究科 2群 情報・生命系 基礎・専門科目 2025年3月の院試 過去問について、設問ごとの解法方針・部分点の置き所を解説。全6問収録の解答・解説PDFと併用できます。問題本文は含みません。
最終更新:
設問ごとの解法方針・部分点の置き所を無料で公開しています。
完全な途中式・最終答は解答・解説PDFに収録しています。問題本文は含まれません。
第1問 — 平行導体と接地平板
線電流・線電荷近似
が与えられているので,導体内部や表面近傍の詳細な分布ではなく,中心軸上に電流・電荷が集中している近似で主項を求める。対数が出るのは 型の場を積分するためである。
向きの確認
二つの電流は逆向きだが,導体間の点では磁界の向きが同じになる。電界も正電荷側から負電荷側へ向かうため,導体間では 方向である。
鏡像法
接地平板は反対符号の鏡像線電荷で置き換えられる。導体と平板の電位差は,実導体と鏡像導体の電位差の半分になるため,係数が二線式の場合の2倍になる。
第2問 — 無損失伝送線路
進行波と反射波
受電端を としているため, はその点での振幅である。 から進行波と反射波へ戻す式は,伝送線路問題の基本である。
整合負荷
負荷が特性インピーダンスに等しいと反射波が消える。このとき線路上のどの位置から見ても,先に見えるのは同じ進行波だけなので入力インピーダンスは常に である。
短絡端の定在波
短絡端では電圧がゼロになる。電圧最大はそこから四分の一波長だけ離れた点であり, と書けばすぐ求まる。
第3問 — 3値入力論理
3値入力のまとめ方
2値論理のカルノー図と同じく,隣接する真値をまとめる。ただし各変数は の部分集合でまとめられるため, のような項が自然に現れる。
最小項と最小積和形
最小項は各変数の値を一つに固定するため,真となる入力の数だけ項が必要になる。一方,最小積和形では複数の値を同じ集合にまとめられるので,項数を大きく減らせる。
誤りやすい点
は「 または 」であり,「 と の両方」ではない。集合の意味を論理和として読むことが重要である。
第4問 — 再帰と高速累乗
fは線形再帰
は を1ずつ減らすので, の呼び出し回数はそのまま 回である。足し算なら掛け算的な反復加算,掛け算なら累乗に対応する。
gは二分法
は偶数のとき引数を半分にするため,呼び出し回数は対数オーダーになる。奇数のとき一度だけ にして偶数へ戻すので, で上から抑えられる。
高速累乗との対応
は「二乗」に相当し, は「二乗したものを 回作用させると元を 回作用させたのと同じ」という結合法則的性質を表している。
第5問 — 二準位系の統計力学
独立粒子の分配関数
相互作用がないため,全体の分配関数は一粒子分配関数の 乗になる。ここを使うと自由エネルギーも一粒子自由エネルギーの 倍になる。
内部エネルギーの意味
励起状態にある粒子の平均数は である。各励起粒子がエネルギー を持つので, と直ちに解釈できる。
熱容量の形
でも でも熱容量は に近づく。中間温度でだけ二準位間の占有が大きく変化するため,Schottky型の山を持つ。
第6問 — 級数と行列
収束条件
があるので,有限等比級数の式から極限を取れる。無限級数をいきなり扱うより,有限和を先に示す方が厳密である。
係数計算
と の既知展開を掛け合わせる。 までなら,必要な項だけを残せばよい。
行列の構造
この行列は四元数の左乗法に対応する直交的な構造を持つ。列の内積を見ると一気に が分かり,行列式もすぐ求まる。