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東北大学 院試 過去問 解答例

東北大 情報科学研究科 2群 情報・生命系 基礎・専門科目 2023年8月 院試 過去問 解答例・解説(全12問)

全12問。電磁気学・回路3問・線形代数1問・微分積分・解析1問。テーマタグは9件(伝達関数・調和振動子・剛体の回転運動)。

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収録6年度分の解答PDF:東北大学 情報科学研究科 2群 情報・生命系 基礎・専門科目(¥3,200・紙面見本あり)

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解説12問と大問1問の途中式・最終答(全12問)
解答PDFに収録
途中式と最終答(最終答つき12問)
問題本文
非収録

東北大 2群 情報・生命系 基礎・専門科目 2023年8月 院試 過去問の出題内容(全12問)

この12問の分野は電磁気学・回路3問・線形代数1問・微分積分・解析1問です。

大問分野主題解説の小見出し最終答
第1問—同心球導体の電界と静電容量接地条件は電荷ではなく電位を固定するあり
第2問電磁気学・回路並列交流回路と結合インダクタ結合インダクタはドット端に入る電流で符号を決めるあり
第3問—リード・マラー標準形依存性は差分で見るあり
第4問—写像の像と合成写像証明は元を1つ取って所属条件を追うあり
第5問—半円筒内を転がる球転がり条件で有効慣性が増えるあり
第6問線形代数4次元ベクトルの基底と正規直交化指定された向きを保つあり
第7問—電磁石の力とブロック線図電磁力は磁気圧で求めるあり
第8問—整流波形と高調波電力整合時の負荷電圧は開放電圧の半分あり
第9問電磁気学・回路BJT交流増幅回路DC安定化とAC利得をコンデンサで分けるあり
第10問電磁気学・回路組合せ回路と順序回路Mealy と Moore の出力位置を区別するあり
第11問微分積分・解析二変数再帰関数の実装戻り番地は関数呼出しの最小構成要素あり
第12問—半無限障壁をもつ井戸型ポテンシャル境界条件は値と導関数の連続あり

2023年8月の出題テーマと、同じテーマを出した他大学・他年度

この年度は7問に9テーマが出ています。

第1問 — 同心球導体の電界と静電容量

球対称なので、電界は半径 rr の球面が包む全電荷だけで決まる。導体球殻の内側金属中 b<r<cb<r<c で電界が 0 になるためには、内面電荷が −Q1-Q_1 でなければならない。この誘起電荷の整理が 以後の電位計算の土台になる。

接地条件は電荷ではなく電位を固定する

球殻を接地したときは外部電位が 0 になり、結果として外面電荷が 0 になる。一方、内球接地では Q1Q_1 が未知誘起電荷として決まり、球殻の外面電荷は単純に Q2Q_2 にはならない。

解答

導体球1の電荷を Q1Q_1、導体球殻2の全電荷を Q2Q_2 とする。導体内部では電界は 0 であり、 導体球殻の内面には −Q1-Q_1、外面には Q1+Q2Q_1+Q_2 が誘起される。したがってガウスの法則より E(r)={0,r<a,Q14πε0r2,a<r<b,0,b<r<c,Q1+Q24πε0r2,c<r. E(r)= \begin{cases} 0,& r<a,\\[2pt] \dfrac{Q_1}{4\pi\varepsilon_0 r^2},& a<r<b,\\[8pt] 0,& b<r<c,\\[2pt] \dfrac{Q_1+Q_2}{4\pi\varepsilon_0 r^2},& c<r. \end{cases}

無限遠を電位 0 とすると、導体球殻2の外表面電位は V2=Q1+Q24πε0c. V_2=\frac{Q_1+Q_2}{4\pi\varepsilon_0 c}. また、導体球1と導体球殻2の間の電位差は V1−V2=∫abQ14πε0r2 dr=Q14πε0(1a−1b). V_1-V_2=\int_a^b \frac{Q_1}{4\pi\varepsilon_0 r^2}\,dr =\frac{Q_1}{4\pi\varepsilon_0}\left(\frac1a-\frac1b\right). よって V1=14πε0{Q1+Q2c+Q1(1a−1b)}. V_1=\frac{1}{4\pi\varepsilon_0} \left\{ \frac{Q_1+Q_2}{c}+ Q_1\left(\frac1a-\frac1b\right) \right\}.

導体球殻2のみを接地すると V2=0V_2=0 なので Q1+Q2=0. Q_1+Q_2=0. このとき V1=Q14πε0(1a−1b), V_1=\frac{Q_1}{4\pi\varepsilon_0} \left(\frac1a-\frac1b\right), 静電容量は C=Q1V1=4πε0abb−a. C=\frac{Q_1}{V_1} =4\pi\varepsilon_0\frac{ab}{b-a}.

一方、導体球1のみを接地すると V1=0V_1=0 であり、 Q1+Q2c+Q1(1a−1b)=0. \frac{Q_1+Q_2}{c}+Q_1\left(\frac1a-\frac1b\right)=0. これより Q1=−Q2c(1a−1b+1c). Q_1=-\frac{Q_2}{c\left(\frac1a-\frac1b+\frac1c\right)}. したがって導体球殻2の電位は V2=Q1+Q24πε0c=Q2(b−a)4πε0(ab+bc−ac). V_2=\frac{Q_1+Q_2}{4\pi\varepsilon_0 c} =\frac{Q_2(b-a)}{4\pi\varepsilon_0(ab+bc-ac)}. この場合の静電容量を導体球殻2の電荷と電位の比で定義すれば C′=Q2V2=4πε0ab+bc−acb−a. C'=\frac{Q_2}{V_2} =4\pi\varepsilon_0\frac{ab+bc-ac}{b-a}.

最終答

E(r)={0(r<a),Q14πε0r2(a<r<b),0(b<r<c),Q1+Q24πε0r2(c<r), E(r)= \begin{cases} 0&(r<a),\\ \dfrac{Q_1}{4\pi\varepsilon_0r^2}&(a<r<b),\\ 0&(b<r<c),\\ \dfrac{Q_1+Q_2}{4\pi\varepsilon_0r^2}&(c<r), \end{cases} V2=Q1+Q24πε0c,V1=14πε0{Q1+Q2c+Q1(1a−1b)}. V_2=\frac{Q_1+Q_2}{4\pi\varepsilon_0c},\quad V_1=\frac{1}{4\pi\varepsilon_0}\left\{ \frac{Q_1+Q_2}{c}+Q_1\left(\frac1a-\frac1b\right)\right\}. 球殻接地時は C=4πε0abb−a. C=4\pi\varepsilon_0\frac{ab}{b-a}. 内球接地時は V2=Q2(b−a)4πε0(ab+bc−ac),C′=4πε0ab+bc−acb−a. V_2=\frac{Q_2(b-a)}{4\pi\varepsilon_0(ab+bc-ac)},\quad C'=4\pi\varepsilon_0\frac{ab+bc-ac}{b-a}.

第2問 — 並列交流回路と結合インダクタ

電流源回路では、合成アドミタンス Y=J/VY=J/V を先に立てると位相条件を扱いやすい。 VV の位相が JJ より進むなら、YY の位相は同じだけ遅れる。インピーダンスとアドミタンスで 符号が反転する点が典型的なミスである。

結合インダクタはドット端に入る電流で符号を決める

両枝電流がドット端へ流れ込むため相互項は同符号になる。ここを逆符号にすると 2L2−L1−M2L_2-L_1-M の条件と合わなくなる。

並列交流回路と結合インダクタの途中式・最終答をPDFで見る

第3問 — リード・マラー標準形

リード・マラー標準形では演算が排他的論理和であるため、通常の積和標準形とは係数の意味が異なる。 ただし 00 を代入したときに全ての正リテラル項が消える点は単純で、c0c_0 は f(0,…,0)f(0,\ldots,0) そのものになる。

依存性は差分で見る

xix_i を 0 と 1 に変えたときに値が変わるかを、排他的論理和で判定する。 この差分を係数で表すと、非縮退条件が短く導ける。

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第4問 — 写像の像と合成写像

像は一般に共通部分を保たない。異なる元が同じ値へ写ると、A1A_1 と A2A_2 が交わらなくても 像が交わることがある。これは「単射なら等号が成り立つ」ことの裏返しでもある。

証明は元を1つ取って所属条件を追う

集合の包含や写像の単射・全射は、定義に戻るのが最短で確実である。 式変形だけでなく「任意に取る」「存在する」を明確に書くと答案として安定する。

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第5問 — 半円筒内を転がる球

球がすべらないため、並進運動と回転運動の両方に運動エネルギーが分配される。 そのため単なる単振り子の周期 2π(a−b)/g2\pi\sqrt{(a-b)/g} にはならず、 係数 7/57/5 が現れる。

転がり条件で有効慣性が増える

運動方程式は (m+Ib2)(a−b)θ¨=−mgsin⁡θ \left(m+\frac{I}{b^2}\right)(a-b)\ddot\theta=-mg\sin\theta とまとめて見ると分かりやすい。一様球では I/b2=2m/5I/b^2=2m/5 なので、有効質量が 7m/57m/5 になる。

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第6問 — 4次元ベクトルの基底と正規直交化

4次元空間では、4本のベクトルが一次独立であることを示せば基底である。行列式が最も速い。 正規直交基底はグラム・シュミットでも作れるが、先に直交している b,cb,c を見つけて正規化すると計算が短くなる。

指定された向きを保つ

問(4)では、問(2)の2本と同じ向きの基底ベクトルを含める必要がある。 b/∥b∥b/\|b\| と c/∥c∥c/\|c\| を最初に固定してから、残りをその直交補空間で選ぶ。

4次元ベクトルの基底と正規直交化の途中式・最終答をPDFで見る

第7問 — 電磁石の力とブロック線図

磁気エネルギーの比較では、同じ磁束が通るため BB は共通である。したがって比は透磁率と磁路長だけで決まる。 ブロック線図では、機械系から生じる起電力が電気系入力へ戻る負帰還になっている点を読み取る。

電磁力は磁気圧で求める

空隙中の磁界が作る引力は B2S/(2μ0)B^2S/(2\mu_0) である。ばね力 kxkx と釣り合わせると、 巻数や電流を明示しなくても磁束を求められる。

電磁石の力とブロック線図の途中式・最終答をPDFで見る

第8問 — 整流波形と高調波電力

半波整流波は直流成分、基本波、偶数次高調波を含む。BPF が特定高調波だけを通すときは、 その高調波の正弦波振幅を実効値に直し、さらに整合による電圧半分を入れて電力に換算する。

整合時の負荷電圧は開放電圧の半分

信号源内部抵抗と負荷が等しいと、負荷にかかる電圧振幅はテブナン電圧の 1/21/2 になる。 この係数を忘れると電力が4倍ずれる。

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第9問 — BJT交流増幅回路

この回路は分圧バイアスのエミッタ接地増幅回路である。直流解析ではコンデンサを開放、 交流解析では十分低インピーダンスとして短絡と扱う。C3C_3 があるため、交流利得の計算では エミッタ抵抗を入れない点に注意する。

DC安定化とAC利得をコンデンサで分ける

R4R_4 は直流では負帰還を作って安定化するが、交流では C3C_3 によりバイパスされる。 これにより、安定なバイアスと大きな交流利得を両立している。

BJT交流増幅回路の途中式・最終答をPDFで見る

第10問 — 組合せ回路と順序回路

直列加算器では過去から引き継ぐ情報は桁上げだけである。したがって状態を増やす必要はない。 一方、``10'' 検出の Moore 機械では、出力が状態だけで決まるため、検出直後の専用状態 S10S_{10} が必要になる。

Mealy と Moore の出力位置を区別する

Mealy 形は遷移の入力と同時に出力を付けられるが、Moore 形は状態に出力が付く。 同じ検出器でも Moore 形では状態数が1つ増えやすい。

組合せ回路と順序回路の途中式・最終答をPDFで見る

第11問 — 二変数再帰関数の実装

この関数はアッカーマン関数型の再帰であり、f(m,n)f(m,n) の計算中にさらに f(m,n−1)f(m,n-1) を計算し、 その結果を次の引数として使う。したがって単に引数だけでなく、「どこへ戻って何を続けるか」という継続情報を スタックへ保存する必要がある。

戻り番地は関数呼出しの最小構成要素

高級言語の call/return は、戻り番地の push と jump、および pop と jump を機械語レベルでまとめたものと見なせる。 再帰ではこの仕組みを各呼出しごとに積み重ねる。

二変数再帰関数の実装の途中式・最終答をPDFで見る

第12問 — 半無限障壁をもつ井戸型ポテンシャル

左側が無限大ポテンシャルであるため、波動関数は x=0x=0 で必ず 0 になる。この条件により井戸内の解は 正弦関数だけに整理できる。右側は有限障壁なので波動関数は 0 ではなく指数関数的にしみ出す。

境界条件は値と導関数の連続

有限高さの境界 x=ax=a では、波動関数だけでなく導関数も連続である。 ここから超越方程式 βa=−kacot⁡(ka)\beta a=-ka\cot(ka) が出る。無限壁 x=0x=0 と同じ扱いにしないこと。

半無限障壁をもつ井戸型ポテンシャルの途中式・最終答をPDFで見る

東北大 2群 情報・生命系 基礎・専門科目 院試 過去問の収録6年度

  • 2026年3月(全6問)

    電磁誘導 / 二端子対回路 / 全加算器とMUX

  • 2025年8月(全6問)

    平面電磁波の反射と透過 / 線路負荷と過渡応答 / JKフリップフロップ

  • 2025年3月(全6問)

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  • 2024年8月(全6問)

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  • 2024年3月(全12問)

    中空円筒導体とポインティングベクトル / 交流回路と結合インダクタ / 多数決関数と中立関数

  • 2023年8月(このページ・全12問)

    同心球導体の電界と静電容量 / 並列交流回路と結合インダクタ / リード・マラー標準形