東北大学 院試 過去問 解答例
東北大 情報科学研究科 2群 情報・生命系 基礎・専門科目 2024年8月 院試 解答例・解説
東北大学 情報科学研究科 2群 情報・生命系 基礎・専門科目 2024年8月の院試 過去問について、設問ごとの解法方針・部分点の置き所を解説。全6問収録の解答・解説PDFと併用できます。問題本文は含みません。
最終更新:
設問ごとの解法方針・部分点の置き所を無料で公開しています。
完全な途中式・最終答は解答・解説PDFに収録しています。問題本文は含まれません。
第1問 — 静電界と静電容量
対称性の選び方
同軸構造では電界が半径だけの関数になるため,円筒ガウス面を選べば一行で電界が出る。端部効果を無視できるという条件は,この円筒対称な扱いを正当化するためにある。
容量とエネルギー
同軸線路では でも同じ静電エネルギーが得られる。電界から積分して求めた値と容量から求めた値が一致することを確認すると,係数 の取り違えを防げる。
表面電界の最小化
を直接微分するより,分母 を最大化する方が計算が安定する。最適条件は であり,内導体半径が のとき表面電界が最小になる。
第2問 — 共振回路と変圧器
直列共振
電流最大条件はインピーダンスの虚部が消えることに対応する。共振時に電源電圧は抵抗にだけかかるが, と には互いに逆位相の大きな電圧が発生し得る。
変圧器の反映インピーダンス
二次側ループ方程式から二次電流を消去すると, が一次側に直列に現れる。符号は と二次側電流の向きで混乱しやすいが,標準的な反映インピーダンスとして正の形に整理される。
LCステップ応答
抵抗がないのでエネルギーは電源・インダクタ・キャパシタの間で交換される。キャパシタ電圧が一時的に電源電圧の2倍になるのは,インダクタに蓄えられたエネルギーがさらにキャパシタへ移るためである。
第3問 — 論理式の簡単化
共通因子でまとめる
第1問は分配法則で をくくるだけでよい。最後に を使うため,補元律を見落とさないことが重要である。
カルノー図のまとめ方
カルノー図では大きな長方形を優先する。第2問では と の二つの2リテラル項にまとめられるため,元の積和形より大幅に簡単になる。
積和形にこだわらない
第3問は積和形のまま実装すると多入力項を作るためゲート数が増える。積の和ではなく という積和の双対形に直すと,2入力ゲートだけで5個に抑えられる。
第4問 — 二分探索木
挿入規則
この問題の規則では,根の要素は左部分木の各要素より大きく,右部分木の各要素以下である。したがって,小さい値は左,大きい値または等しい値は右へ進めばよい。
先行順と幅優先
再帰関数は「根,左,右」の順なので先行順走査である。一方,待ち行列は先に入れた部分木から処理するため,同じ深さの節点を左から右へ処理する幅優先探索になる。
スタックで再帰を再現する
再帰呼び出しは暗黙にスタックを使っている。明示的なスタックで同じ順序を作るには,処理したい順序と逆順に push する点が典型的な注意点である。
第5問 — Drude模型とHall効果
Drude方程式
散乱により平均運動量は時間 で失われるので,定常状態では外力による運動量供給と散乱による損失が釣り合う。この釣り合いが に相当する。
電子の符号
電流密度は電子の速度と逆向きである。 を入れ忘れると Hall 電場の符号が逆になる。符号は端子番号の取り方にも依存するため,答案では座標方向を明示しておくとよい。
Hall電圧
横方向に電流が流れない条件で,Lorentz 力を打ち消す横電場が生じる。これは として を評価することで得られる。Hall電圧はキャリア密度 に反比例し,磁束密度と主電流密度に比例する。
第6問 — 正則関数と対角化
三角関数の正則性
を実部・虚部に分けると,Cauchy--Riemann 関係式を直接確認できる。指数関数表示を知っていれば全関数であることはすぐ分かるが,設問では定理を使う指定なので偏微分で示すのが安全である。
調和共役
は の実部である。Cauchy--Riemann 方程式から虚部を積分しても同じく が得られ,虚定数だけが不定に残る。
対角化の利点
を直接掛け算で求めるのは現実的でない。固有ベクトルを列に持つ で対角化すれば,べき乗は対角成分を 乗するだけで済む。