室蘭工業大学 工学研究科 専門科目(化学生物工学・共創情報学A系) 2025年度 第2次募集 院試 過去問 解答例・解説(解説12項目)
解説12項目の分野は化学4項目、生物4項目、材料力学・材料1項目です。固有値・固有ベクトル、結晶構造、RC回路の過渡応答などが出ています。2025年度 第1次募集と共通するテーマは固有値・固有ベクトル、結晶構造、角運動量です。解説はすべて、途中式と最終答は大問1問ぶんを公開しています。PDFの収録範囲は商品ページで確認できます。問題本文は含みません。
最終更新:
第1日 A-1 — 物理化学:燃焼とGibbsエネルギー
標準生成Gibbsエネルギーを反応式の係数で足し引きする。負の標準反応値は熱力学的方向を示すが、一般組成の反応商や燃焼速度の障壁とは区別する。
第1日 A-2 — 無機分析化学:窒素と酸塩基・配位
窒素の単体と酸化物を物性から識別する。酸塩基はH+授受と電子対授受の定義を分け、配位数は配位子分子数ではなく供与原子数で数える。
第1日 A-3 — 有機化学:混成・対称性・共鳴
対称性による双極子相殺と立体配置を確認する。共鳴では寄与の小さい六電子式と、Hを移して別の原子配置になった不適切な式を区別する。
第1日 A-4 — 生物化学:ペプチドと核酸・膜脂質
ペプチドの側鎖を一残基ずつ読み、酸性残基とアミド側鎖を区別する。DNA主鎖の共有結合と、相補塩基をつなぐ水素結合は役割が異なる。
第1日 A-5 — 生物工学:酵素・遺伝子発現・細胞周期
酵素は反応経路を変えて正逆を速めるが、平衡定数を変えない。細胞周期は一細胞のDNA量と集団の細胞数を分け、図の倍加時間を読む。
第1日 A-6 — プロセス工学:硝酸製造の物質収支
硝酸製造は反応器と吸収塔をまとめた原子収支でも検算できる。製品水、反応で生じる水、吸収反応で消費する水を別々に数える。
第2日 B-1 — 物理化学:溶液・速度・水素型原子
溶液の束一的性質、反応速度の量論、軌道の三量子数を扱う。速度定数は同じ時間単位へ換算し、軌道縮退にスピンを黙って含めない。
第2日 B-2 — 無機分析化学:結晶材料と緩衝液
結晶成長は融液と溶液で温度条件を比較する。緩衝液は弱酸と共役塩基の比からpHを導き、添加量が両者より小さい範囲を明示する。
第2日 B-3 — 有機化学:官能基変換と立体化学
[1](1) エポキシドの塩基性開環
OH−はエポキシドの立体障害の小さい末端CH2へ背面から攻撃する。切れるのはそのCH2とOの結合なので、元のOはシクロプロパンと共有するCへ残り、プロトン化されてOHになる。攻撃したOHは側鎖CH2OHを作る。三員炭素環のC–Cを無条件に切ったり、二つのOHを同じCへ描いたりしない。生成物のCは環三個と側鎖一個、Oは二個で、原題の骨格と開環に加わる水の収支を満たす。
[1](2) エステルとGrignard試薬
エステルのカルボニルへ一当量のCH3MgBrが付加し、エトキシ基が脱離するとケトンになる。ケトンはさらに二当量目のCH3MgBrと反応するため、酸処理後はCH3を二つ持つ第三級アルコールとなる。一回だけの付加でアセチル化物を最終生成物にすると、二当量を指定した条件を落とす。ナフタレン環の結合位置は原題の2位を保持し、新しいOHは環でなく元のカルボニルCへ付ける。
[1](3) 芳香環のアシル化
Brは誘起効果で環を不活性化するが、孤立電子対の共鳴供与によりortho/para配向性を持つ。アシル化では立体障害の小さいpara体を主とする。電子を引く基だから必ずmeta配向性とするのは、反応性と配向性を混同した判断である。CH3COCl/AlCl3からアシリウム型の求電子剤を作り、環へC(=O)CH3を導入するので、CH2CH3へのアルキル化ではない。
[1](4) 還元的アミノ化
シクロヘキサノンとNH3からイミンまたはイミニウム種を経て、NaBH3CNでC=Nを還元する。元のカルボニルCがNH2を持つCへ変わり、炭素環の大きさは六のまま保つ。NH3由来なのでNへ余分なメチル基は入らない。NaBH4による単純なケトン還元だけを考えてシクロヘキサノールとすると、先に入れるNH3の役割を落とす。
[2] E〜Jの構造
五員環と分子式C6H10から、Eはメチル置換の環内アルケンとなる。Br2はブロモニウムを経てanti付加するためFのBr同士はtransである。オゾン分解では二重結合を切り、Hを持った側がCHO、Meを持った側がケトンとなってGを与える。Gの末端CH3側からエノラートを作ってCHOへ攻撃すると六員環になり、脱水して共役エノンHとなる。逆側の環化は四員環を要求して不利である。水銀法はMarkovnikov型でI、ヒドロホウ素化酸化はOHを低置換側へ入れてJとなる。後者はHとOHのsyn付加なので、元のMeとOHはtransになる。全てC六個を保つことでも構造を検算できる。
[3](1) メソ体とラセミ体を与えるアルケン
OsO4は二つのOHを同じ面から導入するsyn酸化である。cis基質では同じ面への付加後に二中心がR/Sで内部対称を持つメソ体となる。trans基質では上面と下面の攻撃が互いの鏡像R/RとS/Sを等量与える。anti付加のBr2やエポキシド開環の結果をこの反応へ移すと、二つの基質と生成物の対応が逆になる。OHを付けた後、CIP順位で確認してからメソかラセミかを判定する。
[3](2) 反応種と立体的特徴
アルケンとOsO4が環状のオスミウム酸エステルを作るため、二つのC–O結合が同じ面から形成される。続く還元処理はO–Os結合を切り、C–O結合の相対配置を保ってジオールを解放する。炭素骨格や置換位置を入れ替える転位ではなく、C=Cのπ結合に対して二つのOを付け加える反応である。酸化という分類と付加という分類は観点が違い、両方を満たす。
[4](1) E2の主生成物
Brをaxialへ向けた椅子形では隣のMeがequatorialとなり、両側のβ位にantiのaxial Hが残る。NaOMeでは多置換アルケンが主となり、BrのCと隣のMeを持つCの間へ二重結合を作る。NMRのビニルHが1 Hという条件も三置換アルケンと一致する。反対側へ脱離するとビニルHが2 Hとなり合わない。もう一つのMeの位置を環上で追うと1,5位であり、1,4位へ描き換えない。反応中心以外の立体配置も保持する。
[4](2) 星印の絶対配置
順位はBrが1、下側のMe置換Cへ向かう環経路が2、上側の環経路が3、Hが4である。最初のC同士を比べる際、Meを持つ経路の次の原子組が優先する。Brが手前、Hが奥の表示なので、そのまま1→2→3の時計回りをRと読む。単にBrがくさびだからRという規則はなく、順位を付けたうえで最低順位の向きを確かめる必要がある。
[4](3) 鏡像異性体
鏡映では不斉中心を一つだけでなく全て逆にする。星印のBr中心以外にも二つのMe中心があるため、そこを原図のまま残すと別のジアステレオマーになる。鏡映後に分子全体を回転してもよいが、C–Cのつながりや置換位置は変えない。脱離後の生成物は二中心が平面化する一方、本問は反応前のKの鏡像なので、三つの中心を全て保って反転した図を示す。
解答
[1](1) エポキシドの塩基性開環
[2] E〜Jの構造
[3](1) メソ体とラセミ体を与えるアルケン
[4](1) E2の主生成物
[4](3) 鏡像異性体
Br、下のMeを奥向きへ、左上のMeを手前向きへ全て反転する。
最終答
[1](1) エポキシドの塩基性開環
A:1-(ヒドロキシメチル)シクロプロパン-1-オール。
[1](2) エステルとGrignard試薬
B:2-(ナフタレン-2-イル)プロパン-2-オール、すなわち。
[1](3) 芳香環のアシル化
C:(4-ブロモアセトフェノン)。
[1](4) 還元的アミノ化
D:シクロヘキシルアミン(シクロヘキサン-1-アミン)。
[2] E〜Jの構造
E:1-メチルシクロペンタ-1-エン、F:trans-1,2-ジブロモ-1-メチルシクロペンタン(ラセミ)、G:、H:シクロヘキサ-2-エン-1-オン、I:1-メチルシクロペンタン-1-オール、J:trans-2-メチルシクロペンタン-1-オール(ラセミ)。
[3](1) メソ体とラセミ体を与えるアルケン
cis-2-ブテンはメソの(2R,3S)体、trans-2-ブテンは(2R,3R)/(2S,3S)のラセミ体を与える。
[3](2) 反応種と立体的特徴
iiの付加反応。二つのOHが同じ面へ入るsyn付加である。
[4](1) E2の主生成物
1,5-ジメチルシクロヘキサ-1-エン。二重結合に関わらないMe中心は原題の奥向きを保つ。
[4](2) 星印の絶対配置
R。
[4](3) 鏡像異性体
図の全中心反転体。
第2日 B-4 — 生物化学:代謝・膜・受容体
発酵は生成物だけでなくNAD+再生の役割まで追う。膜輸送体の勾配とエネルギー、GPCRの膜配置と信号伝達を対応させる。
第2日 B-5 — 生物工学:複製・滅菌・遺伝子操作
DNA複製の三酵素は、ほどく・伸ばす・つなぐ反応へ分ける。耐性マーカーは導入細胞の選択であり、目的挿入の配列まで保証しない。
第2日 B-6 — プロセス工学:管摩擦・回分反応・フラッシュ蒸留
管摩擦はFanning係数の定義を確認する。二次反応速度定数は印刷単位と速度式の次元を照合し、フラッシュ蒸留は全量と成分の二収支で解く。
年度別の解答例(4年度)
物理化学:同位体とHessの法則 / 無機分析化学:硫黄の反応と段階的解離 / 有機化学:結合・対称性・立体配置
物理化学:電子配置と燃焼エンタルピー / 無機分析化学:14族元素と酸塩基・錯形成 / 有機化学:結合・分子間力・立体化学
2025年度 第2次募集(このページ・解説12項目)
物理化学:燃焼とGibbsエネルギー / 無機分析化学:窒素と酸塩基・配位 / 有機化学:混成・対称性・共鳴
物理化学:結合エネルギーと気相平衡 / 無機分析化学:炭素材料と中和滴定 / 有機化学:分子間力と立体異性
2025年度 第2次募集の出題内容
解説12項目
この12問の分野は化学4問・生物4問・材料力学・材料1問です。
同じテーマを出した他大学・他年度
5テーマ
2025年度 第2次募集は3問に5テーマが出ています。
| テーマ | この年度 | 全体の出題実績 | 他大学の直近出題 |
|---|---|---|---|
| 固有値・固有ベクトル | 第2日 B-1 | 26大学・569問 | |
| 結晶構造 | 第2日 B-2 | 10大学・57問 | |
| RC回路の過渡応答 | 第2日 B-1 | 13大学・53問 | |
| 転位 | 第2日 B-3 | 8大学・52問 | |
| 角運動量 | 第2日 B-1 | 10大学・17問 |
前年度(2025年度 第1次募集)との違い
- 大問数
- 2025年度 第1次募集 12問 → 2025年度 第2次募集 12問
- 両年度に出たテーマ
- 固有値・固有ベクトル・結晶構造・角運動量
室蘭工業大学の公式過去問
- 公開年度範囲
- 2025・2026年度 第1次・第2次募集
- 公式の解答例
- 全年度・全科目で公開
- 院試hubの最終確認
- 2026-10-24