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京都工繊大 工芸科学研究科 情報工学専攻 専門科目(情報工学) 2026年度 第III期 院試 過去問 解答例・解説(全3問)

全3問の分野は情報1問です。情報エントロピーが出ています。解説はすべて、途中式と最終答は大問1問ぶんを公開しています。残りは解答PDFに収録しています。問題本文は含みません。

最終更新:

第1問 — プログラミング

典型ミス

p++->x は有効な式である一方、*p++.x は有効ではない。Cの後置演算子の結合と、. と -> の対象型を分けて判断する。

採点の置き所

Dijkstra法は非負辺を前提に正当化される。無向グラフの負辺は、反対向きにも同じ負辺があるため即座に負閉路を作る点まで書けると、単なる「負辺はだめ」より答案として強い。

検算

高速べき乗は、偶数なら半分の指数を二乗し、奇数なら1回だけ xx を余分に掛ける。ヒープ操作は、親子の添字関係と less の比較対象を紙に書き出すと、上向き・下向きの入れ替え条件を取り違えにくい。

プログラミングの途中式・最終答をPDFで見る

第2問 — ハードウェア

採点の置き所

「すべて求めよ」とあるため、最小和積形は2個とも書く。NAND回路は、積和形を二重否定して、各積項の否定を第1段、全体の否定積を第2段で作ると説明しやすい。

典型ミス

2の補数の最小値だけは絶対値が最大値より1大きい。1の補数と混同して −(2n−1−1)-(2^{n-1}-1) としない。

検算

NANDのみの実装では、積項の否定を第1段で作り、第2段でそれらをまとめると元の積和形に戻る。符号付き整数の範囲は、n=4n=4 のような小さいビット幅で −8-8 から 77 になることを確認すると覚え違いを防げる。

解答

  1. 4変数論理関数。 行を abab、列を cdcd とし、いずれも Gray 順序 00,01,11,1000,01,11,10 で並べるとカルノー図は ab\cd00011110001111011011110010101110 \begin{array}{c|cccc} ab\backslash cd & 00 & 01 & 11 & 10\\ \hline 00 & 1 & 1 & 1 & 1\\ 01 & 1 & 0 & 1 & 1\\ 11 & 0 & 0 & 1 & 0\\ 10 & 1 & 1 & 1 & 0 \end{array} である。 1のセルをできるだけ大きくまとめると、最小積和形は一意に f(a,b,c,d)=aˉdˉ+bˉcˉ+cd f(a,b,c,d)=\bar a\bar d+\bar b\bar c+cd である。したがって個数は1個である。 0のセルをまとめて最小和積形を作ると、最小形は次の2個である。 f(a,b,c,d)=(aˉ+bˉ+c)(aˉ+cˉ+d)(bˉ+c+dˉ),f(a,b,c,d)=(aˉ+bˉ+d)(aˉ+cˉ+d)(bˉ+c+dˉ). \begin{aligned} f(a,b,c,d) &=(\bar a+\bar b+c)(\bar a+\bar c+d)(\bar b+c+\bar d),\\ f(a,b,c,d) &=(\bar a+\bar b+d)(\bar a+\bar c+d)(\bar b+c+\bar d). \end{aligned} NANDゲートだけで構成する例として、上の最小積和形を使う。まず aˉ=NAND⁡(a,a),bˉ=NAND⁡(b,b),cˉ=NAND⁡(c,c),dˉ=NAND⁡(d,d) \bar a=\operatorname{NAND}(a,a),\quad \bar b=\operatorname{NAND}(b,b),\quad \bar c=\operatorname{NAND}(c,c),\quad \bar d=\operatorname{NAND}(d,d) を作る。次に u=NAND⁡(aˉ,dˉ)=aˉdˉ‾,v=NAND⁡(bˉ,cˉ)=bˉcˉ‾,w=NAND⁡(c,d)=cd‾ \begin{aligned} u&=\operatorname{NAND}(\bar a,\bar d)=\overline{\bar a\bar d},\\ v&=\operatorname{NAND}(\bar b,\bar c)=\overline{\bar b\bar c},\\ w&=\operatorname{NAND}(c,d)=\overline{cd} \end{aligned} とし、最後に3入力NANDで f=NAND⁡(u,v,w)=uvw‾=aˉdˉ+bˉcˉ+cd f=\operatorname{NAND}(u,v,w) =\overline{uvw} =\bar a\bar d+\bar b\bar c+cd を得る。3入力NANDが使えない場合は、3入力NAND部分を2入力NANDの組合せで置き換えればよい。
  2. 整数表現と演算。 nn ビット符号なし整数の範囲は 0≤x≤2n−1 0\le x\le 2^n-1 であり、最大値は 2n−12^n-1、最小値は0である。 nn ビット2の補数表現の範囲は −2n−1≤x≤2n−1−1 -2^{n-1}\le x\le 2^{n-1}-1 であり、最大値は 2n−1−12^{n-1}-1、最小値は −2n−1-2^{n-1} である。 2の補数では、符号ビットを含めて通常の2進加算を行い、最上位から外へ出た桁上がりは捨てる。 1の補数では、最上位から桁上がりが出た場合、その桁上がりを最下位へ戻して1を加える end-around carry を行う。ここが両者の加算手続きの違いである。 負数 −m-m を nn ビット2の補数で表すと、ビット列の値は 2n−m2^n-m である。これを kk ビット 左シフトすると、下位 nn ビットでは 2k(2n−m)≡−2km(mod2n) 2^k(2^n-m)\equiv -2^k m \pmod{2^n} となる。オーバーフローしない、すなわち 2km≤2n−12^k m\le2^{n-1} の範囲では、この下位 nn ビットは −2km-2^k m の2の補数表現そのものである。したがって負数でも、左シフトは範囲内で元の数を 2k2^k 倍する操作に対応する。

最終答

カルノー図から最小積和形は一意に aˉdˉ+bˉcˉ+cd\bar a\bar d+\bar b\bar c+cd。最小和積形は (aˉ+bˉ+c)(aˉ+cˉ+d)(bˉ+c+dˉ)(\bar a+\bar b+c)(\bar a+\bar c+d)(\bar b+c+\bar d) と (aˉ+bˉ+d)(aˉ+cˉ+d)(bˉ+c+dˉ)(\bar a+\bar b+d)(\bar a+\bar c+d)(\bar b+c+\bar d) の2個。符号なしは 00 から 2n−12^n-1、2の補数は −2n−1-2^{n-1} から 2n−1−12^{n-1}-1。

第3問 — 情報通信

典型ミス

NAPTではアドレスだけでなくポートも変換する。4項組で書くと、どの通信の戻りパケットかを対応表で復元する理由が明確になる。

採点の置き所

証明書更新では、「正規の更新要求であること」と「ドメイン管理者であること」は別の検証である。DNSまたはWebにトークンを置くチャレンジまで書くと実運用の説明になる。

検算

消失通信路では、ε=0\varepsilon=0 なら容量1、ε=1\varepsilon=1 なら容量0になる。NAPTは往路と復路で4項組を並べて書くと、戻りパケットでどの内部端末へ配送するかを確認できる。

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年度別の解答例(5年度)

2026年度 第III期の出題内容

全3問

この3問の分野は情報1問です。

大問分野主題解説の小見出し最終答
第1問情報プログラミング—あり
第2問—ハードウェア—あり
第3問—情報通信—あり

2026年度 第III期の解説には検算3件・採点の置き所3件・典型ミス3件が付いています。

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前年度(2026年度 第I期)との違い

大問数
2026年度 第I期 3問 → 2026年度 第III期 3問
2026年度 第III期で新しく出たテーマ
情報エントロピー
2026年度 第I期の解答例

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2026-08-13
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