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東京科学大学 院試 過去問 解答例

東工大 理学院 数学系 数学コース 修士課程 数学 2025年度 院試 解答例・解説

東京科学大学 理学院 数学系 数学コース 修士課程 数学 2025年度の院試 過去問について、設問ごとの解法方針・部分点の置き所を解説。全13問収録の解答・解説PDFと併用できます。問題本文は含みません。

最終更新:

設問ごとの解法方針・部分点の置き所を無料で公開しています。

完全な途中式・最終答は解答・解説PDFに収録しています。問題本文は含まれません。

1 — 線形代数

方針

コンパニオン行列では、固有多項式を行列式で直接展開するよりも、標準基底が巡回ベクトル から作られていることを見る方が速い。特に e1,Ae1,,A4e1e_1,Ae_1,\ldots,A^4e_1 が基底になるため、 最小多項式が 55 次であることも同時に分かる。

典型ミス

固有多項式の符号を t5at4bt3t^5-a t^4-bt^3-\cdots としてしまうミスが多い。最後の列が (e,d,c,b,a)T(-e,-d,-c,-b,-a)^T であるため、対応する多項式は t5+at4+bt3+ct2+dt+et^5+a t^4+b t^3+c t^2+d t+e である。

試験で書くべき点

最後の小問では、固有多項式の一致だけではジョルダンブロックの大きさまでは決まらない。 本問では第2小問の「最小多項式が 55 次」という事実を使って、重根 1,11,-1 でサイズ 22 のブロックが実際に現れることを明記するのが重要である。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

2 — 線形写像

方針

この問題は 99 次行列を実際に作らないことが大切である。XAXBX\mapsto AXB の固有値は 左からの作用と右からの作用の組合せであり、AA の固有値と BB の固有値の積になる。

固有ベクトルの作り方

Au=λuAu=\lambda u かつ BTv=μvB^Tv=\mu v なら、階数 11 行列 uvTuv^TfA,Bf_{A,B} の固有値 λμ\lambda\mu に対する固有ベクトルになる。右から BB を掛けるため、 BB ではなく BTB^T の固有ベクトルを使う点に注意する。

核の次元

階数公式は、AXBAXBBB の像上での XX の値だけに依存し、その値を最後に AA の像へ 射影するという見方から出る。よくある誤答は 3r3r3s3s をそのまま掛け忘れることで、 正しくは独立に指定できる成分数が r×sr\times s 個である。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

3 — 位相

方針

これは通常の余有限位相ではなく「有界集合の補集合」を開集合に加えた位相である。 有限交叉では有界集合の有限和、任意合併では補集合が一つの有界補集合に含まれることを 使う。

ハウスドルフ性の見抜き方

この位相では空でない開集合は必ず十分遠方の点をすべて含む。そのため空でない開集合同士 は必ず交わる。したがって、点を分離するための互いに交わらない開近傍は作れない。

コンパクト性

一つ開集合を取って、その補集合だけを通常のコンパクト集合として処理するのが標準手順で ある。補集合が閉であることは、O\mathcal O の元が通常位相でも開であることから従う。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

4 — 実解析

方針

gg は単調関数の逆関数ではなく、一般の連続関数の「最後に xx を下回る時刻」を表す量で ある。上限で定義されているため左からは安定するが、右からは別の谷が急に見えることがある。

左連続性の核心

重要なのは f(g(x))=xf(g(x))=x そのものよりも、g(x)g(x) の少し左に f(s)<xf(s)<x となる点を取れること である。その点 ss は、y<xy<xxx に十分近ければ f(s)<yf(s)<y も満たすので、 g(y)g(y)g(x)g(x) の近くまで押し上げる。

反例の見方

反例では、00 の右側に f0f\ge0 の山を置き、さらに t=1t=1 で再び 00 に戻している。 そのため x=0x=0 では最後に下回る位置が 00 だが、少しでも水準を上げると 11 付近まで 上限が飛ぶ。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

5 — 広義積分

方針

指数関数の中身は rr に依存せず、角度だけに依存する。したがって収束条件は r=0r=0 の特異性と x=0x=0、すなわち θ=π/2\theta=\pi/2 の特異性を別々に調べればよい。

漸近評価

aa\to\infty では eacos2θe^{-a\cos^2\theta} により cosθ\cos\theta00 に近い部分、 つまり θ=π/2\theta=\pi/2 近傍だけが主要寄与を持つ。u=cosθu=\cos\theta としてから u=v/au=v/\sqrt a と拡大するのが自然である。

典型ミス

rr 方向の条件 b>2b>-2 だけで答えると、境界 x=0x=0 に沿う xbx^b の特異性を落としている。 本問の真の条件は角度方向から来る b>1b>-1 である。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

6 — 午後:ファイバー積と Noether 性

方針

ファイバー積は「条件を満たす直積の部分集合」なので,環であることは準同型が和と積を保つことの確認で済む。Noether 性では,単なる Noether 環の部分環とは言えない点に注意する。

全射性の使いどころ

全射性は射影 RBR\to BRCR\to C を全射にするために使う。これにより,核 0×kerg0\times\ker gRR-加群構造を CC-加群構造として扱える。

典型ミス

B×ACB\times_A CB×CB\times C の部分環だが,Noether 環の部分環が常に Noether とは限らない。そのため,イデアル列の停止条件を短完全列で確認する必要がある。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

7 — 午後:Kummer 拡大と Galois 群

方針

KKξp\xi_p を含むので,pp 乗根を加える拡大は Kummer 拡大として扱う。根を ζ\zeta 倍して得られる自己同型を数え,必要な根がすべて体内にあるかを確認する。

ξp2\xi_{p^2} が現れる理由

zp=αyz^p=\alpha yyyζy\zeta y に動かすと,zzpp 乗して ζzp\zeta z^p になる元へ動かなければならない。したがって zz の倍率は ζ\zetapp 乗根,つまり ξp2\xi_{p^2} になる。この一点が Galois 性の判定の中心である。

試験で書くべき点

Galois 群の同型型だけを書くより,生成的な自己同型 xζix,zωjz x\mapsto\zeta^i x,\qquad z\mapsto\omega^j z を明示すると,次数・関係式・群構造を同時に確認できる。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

8 — 午後:位数27の非可換群

方針

位数 p3p^3 の非可換群では,中心が pp 個,商 G/Z(G)G/Z(G)(Z/pZ)2(\mathbb Z/p\mathbb Z)^2 になる。ここから共役類と既約表現の次元がほぼ決まる。

共役類の確認

非中心元の中心化群は 99 個の元を持つ。したがって非中心元の共役類サイズは 33 であり,2424 個の非中心元が 88 個の共役類に分かれる。

表現論の検算

最終結果は 912+232=27 9\cdot1^2+2\cdot3^2=27 を満たす。共役類数 1111 と既約表現数 1111 も一致しており,この二つを検算として書くと答案の信頼性が上がる。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

9 — 午後:四次元球面上の二乗写像

方針

写像 ff は四元数の二乗写像と同じ形をしており,f(u)=u2|f(u)|=|u|^2 が成り立つ。この恒等式により,無限遠点に対応する NN での滑らかさが一行で処理できる。

微分の見方

x0x\ne0 では微分が正則で,x=0x=0 では第1成分方向と (0,y,z,w)(0,y,z,w) 方向の二つだけが像に残る。特に u=0u=0x=0,u0x=0,u\ne0 で階数が異なるため,南極を他の臨界点と同じ階数にしないよう注意する。

臨界値の検算

臨界値は球面上の一次元集合になる。式 (ρ41ρ4+1)2+(2ρ2ρ4+1)2=1 \left(\frac{\rho^4-1}{\rho^4+1}\right)^2+ \left(\frac{2\rho^2}{\rho^4+1}\right)^2=1 により,確かに S4S^4 上にあることが確認できる。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

10 — 午後:三次元トーラス内の部分空間のホモロジー

方針

立方体の向かい合う面を貼る商は T3T^3 である。境界の像はその 22-骨格,球面の像は三組の二点同一視を受けた S2S^2 と見ると,計算が標準的なホモロジー計算に落ちる。

交わりの確認

S2S^2I3\partial I^3 は六つの接点で交わるが,商空間では向かい合う二点が同一視されるため三点になる。この「三点」が Mayer--Vietoris で H1H_1 に追加の Z2\mathbb Z^2 を生む。

検算

KKLL はどちらも連結で,交わりは三つの連結成分を持つ。連結成分の数が 33 から 1+11+1 へ写るため,核の階数は 31=23-1=2 である。この値が H1(U)H_1(U) の階数 88 に反映される。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

11 — 午後:二乗可積分正則関数

方針

正則関数では f2|f|^2 が劣調和であるため,点評価を局所的な L2L^2 ノルムで評価できる。この点評価評価が,整関数の消滅,除去可能性,完備性のすべてに効いている。

除去可能性

孤立特異点では Laurent 展開を見るのが最短である。二乗可積分性は負冪を許さない。特に z1z^{-1} でさえ 0ρr2rdr \int_0^\rho r^{-2}r\,dr が発散するため除外される。

完備性の要点

L2L^2 の完備性だけでは極限が正則とは限らない。点評価評価により L2L^2-Cauchy 列がコンパクト集合上一様 Cauchy になることを示し,局所一様極限が正則であることを使う。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

12 — 午後:分布関数と可積分性

方針

前半は arctant/t\arctan t/tt=0t=011 に近いが,二次の速さで下がることを使う。後半は層積分表示,いわゆる layer-cake formula である。

極限の評価

f(x)f(x)xx と同程度以上であるため,被積分関数は h(x/2)nh(x/2)^n で押さえられる。原点近くの寄与は Gauss 型に O(n1/2)O(n^{-1/2}) で消え,原点から離れた部分は指数的に消える。

dyadic 判定の意味

分布関数 F(t)=m({ft})F(t)=m(\{|f|\ge t\}) は単調減少である。したがって各 dyadic 区間 [2n,2n+1][2^n,2^{n+1}] 上の積分は,端点での FF を使って上下から比較できる。有限測度空間なので t<2t<2 の部分は常に有限であり,大きな値の尾だけを判定すればよい。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

13 — 関数解析

方針

CαC^\alpha ノルムで有界なら、一様有界性と同程度連続性が同時に得られる。したがって Arzela--Ascoli により一様収束部分列を取り、その後で Holder 指数を α\alpha から β\beta に落としてノルム収束を示す。

β<α\beta<\alpha の意味

一様収束だけでは α\alpha-Holder 半ノルムの収束は一般に従わない。しかし指数を少し落とすと、 短い距離では α\alpha-Holder 評価、長い距離では一様収束を使う補間評価が効く。

試験で書くべき点

Arzela--Ascoli だけでは得られるのは一様収束であり、問題が求める CβC^\beta ノルムでの コンパクト性にはまだ足りない。最後の補間評価まで書くと、答案として完結する。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

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