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電通大 情報理工学研究科 専門科目(基礎数学・力学) 2026年度 院試 過去問 解答例・解説(解説2項目)

解説2項目です。固有値・固有ベクトル、重積分と極座標、剛体の回転運動などが出ています。2023年度と共通するテーマは固有値・固有ベクトル、重積分と極座標です。解説はすべて、途中式と最終答は大問1問ぶんを公開しています。PDFの収録範囲は商品ページで確認できます。問題本文は含みません。

最終更新:

第1問 — 基礎数学

行列を J−IJ-I と見る

この行列は成分を一つずつ計算するより、全成分が 11 の行列 JJ を使って見る方が速い。JJ は「成分和を全成分に並べる」作用なので、成分和 00 の空間全体が一気に固有空間になる。固有値を直接行列式で計算すると時間を使いやすいが、構造を見れば数行で終わる。

変数変換の採点点

二つ目の重積分では、境界の x+y≤1\sqrt{x}+\sqrt{y}\le1 を見た時点で X=x,Y=yX=\sqrt{x},Y=\sqrt{y} を選ぶ。ここでヤコビアン 4XY4XY を落とすと答えが大きく変わる。領域変換、被積分関数、ヤコビアンの三つを別々に書くと答案が安定する。

フーリエ級数の検算

偶関数なので bn=0b_n=0 になること、∣x∣|x| は非負なので定数項 π/2\pi/2 が正であることが検算になる。また x=0x=0 を代入した級数和は π2/8\pi^2/8 で、既知の ∑n=1∞1/n2=π2/6\sum_{n=1}^{\infty}1/n^2=\pi^2/6 と矛盾しない。奇数項だけの和は全体から偶数項を引けば π2/6−π2/24=π2/8\pi^2/6-\pi^2/24=\pi^2/8 である。

解答

線形代数

与えられた行列は、全成分が 11 の行列 JJ と単位行列 II を用いて A=J−I A=J-I と書ける。したがって任意の x∈R4x\in\mathbb{R}^{4} について Ax=(1Tx)1−x Ax=(\mathbf{1}^{\mathsf T}x)\mathbf{1}-x である。

まず、指定されたベクトル uu は成分和が 00 であるから、 Au=−u. Au=-u.

A=J−IA=J-I の固有値はすぐに読める。すなわち A1=31 A\mathbf{1}=3\mathbf{1} なので 1=(1,1,1,1)T\mathbf{1}=(1,1,1,1)^{\mathsf T} 方向の固有値は 33 である。一方、成分和が 00 の任意のベクトル xx では Jx=0Jx=0 だから Ax=−x. Ax=-x. よって固有値は 3,−1 3,\quad -1 であり、−1-1 の固有空間は V={x∈R4∣x1+x2+x3+x4=0} V=\{x\in\mathbb{R}^{4}\mid x_1+x_2+x_3+x_4=0\} で、次元は 33 である。

指定された三つのベクトルがこの固有空間 VV の基底になるには、それぞれの成分和が 00 でなければならない。したがって α=−1,β=−1,γ=−1. \alpha=-1,\qquad \beta=-1,\qquad \gamma=-1. このとき三つのベクトルは第2、第3、第4成分をそれぞれ独立に動かす形になっており、一次独立であるから VV の基底である。

最後に、Av∈VAv\in V の条件を調べる。任意の xx について 1TAx=3 1Tx \mathbf{1}^{\mathsf T}Ax=3\,\mathbf{1}^{\mathsf T}x なので、Av∈VAv\in V と 1Tv=0\mathbf{1}^{\mathsf T}v=0 は同値である。指定された vv の成分和は 7+k7+k だから k=−7. k=-7.

重積分

一つ目の積分は、指定領域を xx を外側にして見ると、0≤x≤10\le x\le1 の各 xx に対し yy が直線二本の間を動く。したがって I1=∫01∫x2x(2x+y) dy dx=∫01[2xy+y22]y=x2xdx=∫0172x2 dx=76. I_1=\int_{0}^{1}\int_{x}^{2x}(2x+y)\,dy\,dx =\int_{0}^{1}\left[2xy+\frac{y^2}{2}\right]_{y=x}^{2x}dx =\int_{0}^{1}\frac{7}{2}x^2\,dx =\frac{7}{6}.

二つ目の積分では、平方根を含む境界を直線化するため X=x,Y=y X=\sqrt{x},\qquad Y=\sqrt{y} とおく。すると x=X2, y=Y2x=X^2,\ y=Y^2 であり、ヤコビアンは ∣∂(x,y)∂(X,Y)∣=4XY \left|\frac{\partial(x,y)}{\partial(X,Y)}\right|=4XY である。領域は X≥0, Y≥0, X+Y≤1X\ge0,\ Y\ge0,\ X+Y\le1 の三角形になるから、 I2=∫01∫01−XXY⋅4XY dY dX=43∫01X2(1−X)3 dX. I_2=\int_{0}^{1}\int_{0}^{1-X} XY\cdot 4XY\,dY\,dX =\frac{4}{3}\int_{0}^{1}X^2(1-X)^3\,dX. ∫01X2(1−X)3 dX=B(3,4)=2! 3!6!=160 \int_{0}^{1}X^2(1-X)^3\,dX =B(3,4)=\frac{2!\,3!}{6!}=\frac{1}{60} より I2=145. I_2=\frac{1}{45}.

変数変換後の積分領域。XとYは非負で、頂点は原点、X軸上の1、Y軸上の1。境界の直線はX+Y=1。

フーリエ級数

対象の周期関数は偶関数なので、正弦係数はすべて 00 である。周期を 2π2\pi として計算すると a0=1π∫−ππ∣x∣ dx=π. a_0=\frac{1}{\pi}\int_{-\pi}^{\pi}|x|\,dx=\pi. また an=2π∫0πxcos⁡nx dx=2π(−1)n−1n2. a_n=\frac{2}{\pi}\int_{0}^{\pi}x\cos nx\,dx =\frac{2}{\pi}\frac{(-1)^n-1}{n^2}. したがって偶数 nn では an=0a_n=0、奇数 nn では an=−4πn2. a_n=-\frac{4}{\pi n^2}. よって ∣x∣=π2−4π∑m=0∞cos⁡(2m+1)x(2m+1)2(−π<x<π) |x|=\frac{\pi}{2}-\frac{4}{\pi} \sum_{m=0}^{\infty}\frac{\cos(2m+1)x}{(2m+1)^2} \qquad (-\pi<x<\pi) である。

ここで x=0x=0 を代入すると左辺は 00、右辺は π2−4π(1+132+152+⋯ ) \frac{\pi}{2}-\frac{4}{\pi} \left(1+\frac{1}{3^2}+\frac{1}{5^2}+\cdots\right) であるから、 1+132+152+⋯=π28. 1+\frac{1}{3^2}+\frac{1}{5^2}+\cdots=\frac{\pi^2}{8}.

最終答

Au=−uAu=-u。固有値は 3,−13,-1 で、3次元の固有空間は {x∣x1+x2+x3+x4=0}\{x\mid x_1+x_2+x_3+x_4=0\}。 α=β=γ=−1, k=−7\alpha=\beta=\gamma=-1,\ k=-7。 I1=7/6, I2=1/45I_1=7/6,\ I_2=1/45。 ∣x∣=π2−4π∑m=0∞cos⁡(2m+1)x(2m+1)2|x|=\dfrac{\pi}{2}-\dfrac{4}{\pi}\sum_{m=0}^{\infty} \dfrac{\cos(2m+1)x}{(2m+1)^2}、 1+132+152+⋯=π28\displaystyle 1+\frac{1}{3^2}+\frac{1}{5^2}+\cdots=\frac{\pi^2}{8}。

第2問 — 力学

摩擦力の向き

転がり問題で最も多いミスは、摩擦力を「運動に逆向き」と機械的に置くことである。この問題では摩擦力がなければ円板は斜面下向きに並進するだけで、回転を増やすトルクが生じない。接触点で滑らないためには円板を回すトルクが必要なので、摩擦力は斜面上向きに働く。

加速度の検算

滑らずに転がる円板の加速度は gsin⁡θ1+I/(Ma2)=gsin⁡θ1+1/2=23gsin⁡θ \frac{g\sin\theta}{1+I/(Ma^2)} =\frac{g\sin\theta}{1+1/2} =\frac{2}{3}g\sin\theta である。これは上の連立方程式から得た値と一致する。球なら係数が 5/75/7 になるので、円板で 2/32/3 という値は妥当である。

静止摩擦は仕事をしない

滑らない転がりでは、接触点は瞬間的に静止しているため、静止摩擦は全エネルギーを減らさない。重力によって失われた位置エネルギーが並進と回転に分配される。ここでは Er/Et=1/2E_r/E_t=1/2 なので、全運動エネルギーのうち 1/31/3 が回転、2/32/3 が並進に入る。

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2022〜2026年度(5年度) · ¥2,880

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年度別の解答例(3年度)

2026年度の出題内容

解説2項目
大問主題解説の小見出し最終答
第1問基礎数学行列を J-I と見る / 変数変換の採点点あり
第2問力学摩擦力の向き / 加速度の検算あり

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4テーマ

前年度(2023年度)との違い

大問数
2023年度 2問 → 2026年度 2問
2026年度で新しく出たテーマ
剛体の回転運動・フーリエ級数
2023年度の解答例

電気通信大学の公式過去問

公開年度範囲
2021〜2025年8月実施(各実施年10月・翌年4月入学)
公式の解答例
一部の年度・科目のみ公開
英語の扱い
TOEIC/TOEFL スコア提出。学内英語試験なし。
院試hubの最終確認
2026-10-16
電気通信大学の公式過去問PDF