東大 情報理工学系研究科 知能機械情報学専攻 知能機械情報学 2018年度 院試 過去問 解答例・解説(全3問)
全3問の分野は制御工学1問、電磁気学・回路1問です。伝達関数、剛体の回転運動、固有振動数と振動系などが出ています。2016年度と共通するテーマは伝達関数、剛体の回転運動です。解説はすべて、途中式と最終答は大問1問ぶんを公開しています。残りは解答PDFに収録しています。問題本文は含みません。
最終更新:
第1問 — 必答問題:回路・線形回帰・基礎用語
回路計算の整理
RCラダーは、暗算で処理しようとすると符号や係数を落としやすい。 節点を1つ置いてキルヒホッフの電流則を書くと、分母の一次項 を機械的に導ける。数値例では2つの極がほぼ重なるため、 2次ローパスとしての折れ曲がりを明確に描くとよい。
線形回帰の答案
目的関数、正規方程式、解の3点を順に書くのが最も安全である。 バイアス項は拡張ベクトル に定数1を入れることで、係数ベクトルと同じ形で扱える。
第2問 — 選択問題2A:一リンクアームとDCモータ制御
減速機の効果
減速機では、角速度は になり、トルクは 倍になる。 そのため、負荷慣性はモータ側に で反映される。 この性質はロボットアームのアクチュエータ選定で非常に重要で、減速比を大きくすると 重いリンクを動かしやすくなる一方、バックラッシュや摩擦、応答遅れの問題も増える。
振動性の読み方
特性方程式を と見比べると、剛性を上げるフィードバックは を大きくし、 逆起電力による速度項は減衰に相当する。減速比が大きいと速度項が で効く点を 答案に書けると、定性的説明として十分である。
解答
問1:リンクの運動方程式
リンク角を 、関節トルクを とする。運動エネルギーと位置エネルギーは とおける。ラグランジュ方程式より
減速比 を と定義する。したがって これをリンクの運動方程式に代入すると モータ側トルクで見ると 従って、リンクの慣性モーメントはモータ側には として反映される。 減速比 が大きいほど、モータから見た負荷慣性は小さくなる。
問2:DCモータ
トルク定数を 、逆起電力定数を 、電機子抵抗を とする。 電機子電流を とすれば また インダクタンスを無視した等価回路では よって リンクに作用するトルクは
問3:水平配置での状態方程式と制御性
重力項を除くと 状態を とすると 可制御性行列は であり、 ならランクは2であり、可制御である。
位置フィードバック を考えると、特性方程式は となる。 を大きくすると定数項が増え、固有振動数が上がるため振動的になりやすい。 一方、減速比 を大きくすると速度項の係数が で増えるため、 電気的な粘性減衰が強くなり、振動が抑えられやすい。
最終答
第3問 — 選択問題2B:スタック・キュー・逆ポーランド記法
ポインタ構造の読み方
この問題は、配列ではなくリンク構造を追う力を見ている。スタックでは先頭だけを更新すればよいが、 キューでは末尾に追加して先頭から取り出すため、先頭ポインタと末尾ポインタを両方持つと実装が簡潔になる。
逆ポーランド記法
演算子を見た瞬間に、直前の2つの値がその演算子の被演算子になる。 引き算と割り算では、後からpopした値が左オペランド、先にpopした値が右オペランドである。 ここを逆にすると答えが変わるので注意する。
年度別の解答例(3年度)
必答問題:力学・論理回路・基礎用語 / 選択問題2A:平面マニピュレータ / 選択問題2B:情報表現・符号・エントロピー
2018年度(このページ・全3問)
必答問題:回路・線形回帰・基礎用語 / 選択問題2A:一リンクアームとDCモータ制御 / 選択問題2B:スタック・キュー・逆ポーランド記法
2016年度(全3問)最終答まで公開
必答問題:衝突・情報量・電動機 / 選択問題2A:磁気浮上とワイヤ駆動機構 / 選択問題2B:線形識別とマージン