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東京大学 院試 過去問 解答例

東大 情報理工学系研究科 一般教育科目(数学) 2025年度 院試 過去問 解答例・解説(全3問)

全3問。確率・統計1問・微分方程式1問。テーマタグは1件(固有値・固有ベクトル)。

最終更新:

収録3年度分の解答PDF:東京大学 情報理工学系研究科 一般教育科目(数学)(¥2,880・紙面見本あり)

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解説3問と大問1問の途中式・最終答(全3問)
解答PDFに収録
途中式と最終答(最終答つき3問)
問題本文
非収録

東大 一般教育科目(数学) 2025年度 院試 過去問の出題内容(全3問)

この3問の分野は確率・統計1問・微分方程式1問です。

大問分野主題解説の小見出し最終答
第1問—直線の係数ベクトルと鏡映係数ベクトルは法線ベクトル / 直線の鏡映は点の逆変換で求めるあり
第2問微分方程式周期係数の微分方程式周期解の条件は一周期の増幅率 / 三角関数の入った連立方程式あり
第3問確率・統計連続する表の出現確率末尾で場合分けする / 特性方程式の使い方あり

2025年度の出題テーマと、同じテーマを出した他大学・他年度

この年度は1問に1テーマが出ています。

テーマこの年度全体の出題実績他大学の直近出題
固有値・固有ベクトル第1問25大学・544問

前年度(2024年度)との違い

大問数
2024年度 3問 → 2025年度 3問
2025年度で新しく出たテーマ
固有値・固有ベクトル
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第1問 — 直線の係数ベクトルと鏡映

係数ベクトルは法線ベクトル

直線 mTX+γ=0m^TX+\gamma=0 の mm は直線の法線である。この問題では係数の前半二成分を長さ 11 にそろえるので,法線方向が決まると定数項だけを「通る点」から決めればよい。

直線の鏡映は点の逆変換で求める

点の変換 X′=HX+cX'=HX+c に対し,直線の係数は点と同じ変換をそのまま受けるわけではない。像の直線は,元の直線の式に X=H(X′−c)X=H(X'-c) を代入して求める。ここを混同すると,定数項の符号を誤りやすい。

第5小問の符号選択

直線の係数ベクトルは全体を −1-1 倍しても同じ直線を表す。今回は αt>0,βt>0\alpha_t>0,\beta_t>0 という条件があるため,法線を 14t2+1(1,2t)T \frac1{\sqrt{4t^2+1}}(1,2t)^T に選ぶのが自然である。この選択では像の法線が (0,−1)T(0,-1)^T になるが,係数全体を反転すれば目標の直線表示と一致する。

直線の係数ベクトルと鏡映の途中式・最終答をPDFで見る

第2問 — 周期係数の微分方程式

周期解の条件は一周期の増幅率

x′=a(t)xx'=a(t)x では,一周期後の倍率が exp⁡(∫0Ta(s) ds) \exp\left(\int_0^T a(s)\,ds\right) になる。したがって,係数 a(t)a(t) 自体が周期的でも,平均値が 00 でなければ解は周期的にならない。

三角関数の入った連立方程式

この連立方程式は三角関数が見えるため複雑に見えるが,yy の方程式が先に閉じている。まず yy を解き,その結果を xx の一次方程式に代入するのが最短である。積分 ∫sin⁡tcos⁡t e1−cos⁡t dt \int \sin t\cos t\,e^{1-\cos t}\,dt では 1−cos⁡t1-\cos t を一つの変数と見ると,残った cos⁡t\cos t も 1−u1-u に変わる。

軌道図の読み方

k=0k=0 では解が減衰しない。軌道は閉曲線ではなく,同じ弧を往復する。これは cos⁡t\cos t だけで x,yx,y が決まっており,tt と 2π−t2\pi-t が同じ点を与えるためである。

周期係数の微分方程式の途中式・最終答をPDFで見る

第3問 — 連続する表の出現確率

末尾で場合分けする

連続出現を避ける確率の漸化式は,列の末尾を見ると作りやすい。2連続を避けるなら末尾は TT または THTH,3連続を避けるなら末尾は T,TH,THHT,TH,THH に限られる。この分解では互いに排反な場合だけを足しているため,重複計算が起きない。

特性方程式の使い方

定係数線形漸化式では,根 λ\lambda のべき λn−1\lambda^{n-1} が基本解になる。複素根が出ても,複素共役の係数を共役に選べば全体は実数になる。第7小問の式は複雑に見えるが,本質は「3つの根の線形結合が初期値を満たす」ことの確認である。

確率としての確認

an,bna_n,b_n は確率なので 0≤an,bn≤10\le a_n,b_n\le1 でなければならない。たとえば p=2/3p=2/3 の ana_n では主項が (2/3)n−1(2/3)^{n-1} で減衰し,交代符号の項はさらに速く小さくなる。これは長い試行列ほど連続した表を避ける確率が小さくなる直感と合っている。

解答

以下では q=1−p q=1-p とおく。

  1. 2回で表が連続しないためには,2回とも表である場合を除けばよい。したがって a2=1−p2 \boxed{a_2=1-p^2} である。
  2. n≥3n\ge3 とする。最後が裏で終わる場合は,前 n−1n-1 回が条件を満たしていればよい。最後が表で終わる場合は,直前が裏でなければならないので,末尾は「裏,表」となり,前 n−2n-2 回が条件を満たしていればよい。 よって an=qan−1+pqan−2(n≥3) \boxed{ a_n=qa_{n-1}+pqa_{n-2}\qquad(n\ge3)} である。
  3. p=2/3p=2/3 では q=1/3q=1/3 であり an=13an−1+29an−2 a_n=\frac13a_{n-1}+\frac29a_{n-2} である。条件 an+αan−1=β(an−1+αan−2) a_n+\alpha a_{n-1} = \beta(a_{n-1}+\alpha a_{n-2}) が漸化式と一致するには β=α+13,αβ=29 \beta=\alpha+\frac13,\qquad \alpha\beta=\frac29 であればよい。したがって α(α+13)=29 \alpha\left(\alpha+\frac13\right)=\frac29 より 9α2+3α−2=0. 9\alpha^2+3\alpha-2=0. よって (α,β)=(13,23),(−23,−13) \boxed{ (\alpha,\beta)=\left(\frac13,\frac23\right), \left(-\frac23,-\frac13\right)} である。
  4. p=2/3p=2/3 の漸化式の特性方程式は λ2−13λ−29=0 \lambda^2-\frac13\lambda-\frac29=0 であり,根は λ=23,−13 \lambda=\frac23,\quad -\frac13 である。したがって an=A(23)n−1+B(−13)n−1 a_n=A\left(\frac23\right)^{n-1} +B\left(-\frac13\right)^{n-1} と書ける。a1=1,a2=5/9a_1=1,a_2=5/9 から A+B=1,23A−13B=59. A+B=1,\qquad \frac23A-\frac13B=\frac59. これを解いて A=8/9,B=1/9A=8/9,B=1/9 である。ゆえに an=89(23)n−1+19(−13)n−1 \boxed{ a_n= \frac89\left(\frac23\right)^{n-1} + \frac19\left(-\frac13\right)^{n-1}} である。
  5. 3回で表が3連続するのは,3回とも表の場合だけである。したがって b3=1−p3 \boxed{b_3=1-p^3} である。
  6. n≥4n\ge4 とする。条件を満たす列の末尾は,最後の裏の後に表が 0,1,20,1,2 個続く場合に分けられる。 末尾 T,末尾 TH,末尾 THH. \text{末尾 }T,\qquad \text{末尾 }TH,\qquad \text{末尾 }THH. それぞれの確率因子は q,pq,p2qq,pq,p^2q である。したがって bn=qbn−1+pqbn−2+p2qbn−3(n≥4) \boxed{ b_n=qb_{n-1}+pqb_{n-2}+p^2qb_{n-3}\qquad(n\ge4)} である。
  7. p=3/4p=3/4 とすると q=1/4q=1/4 であり, bn=14bn−1+316bn−2+964bn−3 b_n=\frac14b_{n-1}+\frac3{16}b_{n-2}+\frac9{64}b_{n-3} である。特性方程式は λ3−14λ2−316λ−964=0 \lambda^3-\frac14\lambda^2-\frac3{16}\lambda-\frac9{64}=0 で,これは (λ−34)(λ−−1+2 i4)(λ−−1−2 i4)=0 \left(\lambda-\frac34\right) \left(\lambda-\frac{-1+\sqrt2\,\mathrm i}{4}\right) \left(\lambda-\frac{-1-\sqrt2\,\mathrm i}{4}\right)=0 と因数分解される。 ここで λ+=−1+2 i4,λ−=−1−2 i4 \lambda_+=\frac{-1+\sqrt2\,\mathrm i}{4}, \qquad \lambda_-=\frac{-1-\sqrt2\,\mathrm i}{4} とおく。次の式で cnc_n を定める。 cn=98(34)n−1−(−1)n−18(34)n−1cos⁡((n−1)θ)−2 i8{λ+ n−1−λ− n−1}, \begin{aligned} c_n={}& \frac98\left(\frac34\right)^{n-1} -\frac{(-1)^{n-1}}8 \left(\frac{\sqrt3}{4}\right)^{n-1} \cos((n-1)\theta)\\ &-\frac{\sqrt2\,\mathrm i}{8} \left\{ \lambda_+^{\,n-1}-\lambda_-^{\,n-1} \right\}, \end{aligned} ただし cos⁡θ=13,sin⁡θ=23. \cos\theta=\frac1{\sqrt3},\qquad \sin\theta=\frac{\sqrt2}{\sqrt3}. λ±=(3/4)e±i(π−θ)\lambda_\pm=(\sqrt3/4)e^{\pm\mathrm i(\pi-\theta)} なので λ+m+λ−m=2(−1)m(34)mcos⁡(mθ) \lambda_+^{m}+\lambda_-^{m} = 2(-1)^m\left(\frac{\sqrt3}{4}\right)^m\cos(m\theta) である。このため上の cnc_n は cn=98(34)n−1+(−116−2 i8)λ+n−1+(−116+2 i8)λ−n−1 c_n= \frac98\left(\frac34\right)^{n-1} +\left(-\frac1{16}-\frac{\sqrt2\,\mathrm i}{8}\right)\lambda_+^{n-1} +\left(-\frac1{16}+\frac{\sqrt2\,\mathrm i}{8}\right)\lambda_-^{n-1} と同じである。各項は特性方程式の根のべきであるから,cnc_n は bnb_n と同じ漸化式を満たす。 さらに直接代入すると c1=1,c2=1,c3=3764. c_1=1,\qquad c_2=1,\qquad c_3=\frac{37}{64}. 一方,b1=1,b2=1,b3=1−(3/4)3=37/64b_1=1,b_2=1,b_3=1-(3/4)^3=37/64 である。初期値と漸化式が一致するので bn=cn(n≥1) \boxed{b_n=c_n\qquad(n\ge1)} が成り立つ。

最終答

a2=1−p2,an=(1−p)an−1+p(1−p)an−2(n≥3). a_2=1-p^2,\qquad a_n=(1-p)a_{n-1}+p(1-p)a_{n-2}\quad(n\ge3). p=23:(α,β)=(13,23),(−23,−13),an=89(23)n−1+19(−13)n−1. p=\frac23:\quad (\alpha,\beta)=\left(\frac13,\frac23\right), \left(-\frac23,-\frac13\right), \qquad a_n=\frac89\left(\frac23\right)^{n-1} +\frac19\left(-\frac13\right)^{n-1}. b3=1−p3,bn=(1−p)bn−1+p(1−p)bn−2+p2(1−p)bn−3(n≥4). b_3=1-p^3,\qquad b_n=(1-p)b_{n-1}+p(1-p)b_{n-2}+p^2(1-p)b_{n-3}\quad(n\ge4).

東大 一般教育科目(数学) 院試 過去問の収録3年度

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