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東大 情報理工学系研究科 一般教育科目(数学) 2023年度 院試 過去問 解答例・解説(全3問)

全3問の分野は線形代数1問、微分方程式1問です。解説はすべて、途中式と最終答は大問1問ぶんを公開しています。残りは解答PDFに収録しています。問題本文は含みません。

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第1問 — 補間多項式とVandermonde行列

行列式は同一直線条件

3点 (x1,y1),(x2,y2),(x,y)(x_1,y_1),(x_2,y_2),(x,y) が一直線上にあることは,対応する拡大行列の行列式が0になることと同値である。これは平面上の有向面積が0になる条件と見てもよい。

Vandermonde行列が一意性を保証する

補間多項式の係数は線形方程式で決まる。xix_i がすべて異なるとVandermonde行列式がゼロでないため,係数は一意に定まる。

Lagrange基底

cic_i は「xix_i で1,他の標本点で0」になるように作った基底多項式である。この構成を覚えておくと,3点補間でも5点補間でも同じ考え方で書ける。

解答

  1. 行列式を第3行について見ると,f(x,y)f(x,y) は x,yx,y の一次式である。また f(x1,y1)=0,f(x2,y2)=0 f(x_1,y_1)=0,\qquad f(x_2,y_2)=0 である。x1≠x2x_1\ne x_2 なので2点は異なり,これらを通る直線は一意に定まる。 実際,f(x,y)=0f(x,y)=0 は (y1−y2)x+(x2−x1)y+(x1y2−x2y1)=0 (y_1-y_2)x+(x_2-x_1)y+(x_1y_2-x_2y_1)=0 と書ける。これは (x1,y1),(x2,y2)(x_1,y_1),(x_2,y_2) を通る直線である。
  2. これはVandermonde型の行列式である。列基本変形または標準公式より ∣1x1x121x2x221x3x32∣=(x2−x1)(x3−x1)(x3−x2) \boxed{ \begin{vmatrix} 1&x_1&x_1^2\\ 1&x_2&x_2^2\\ 1&x_3&x_3^2 \end{vmatrix} = (x_2-x_1)(x_3-x_1)(x_3-x_2)} である。
  3. 二次曲線 y=a0+a1x+a2x2 y=a_0+a_1x+a_2x^2 が3点を通る条件は (1x1x121x2x221x3x32)(a0a1a2)=(y1y2y3) \begin{pmatrix} 1&x_1&x_1^2\\ 1&x_2&x_2^2\\ 1&x_3&x_3^2 \end{pmatrix} \begin{pmatrix}a_0\\a_1\\a_2\end{pmatrix} = \begin{pmatrix}y_1\\y_2\\y_3\end{pmatrix} である。前問より係数行列の行列式は (x2−x1)(x3−x1)(x3−x2) (x_2-x_1)(x_3-x_1)(x_3-x_2) であり,x1,x2,x3x_1,x_2,x_3 がすべて異なるのでゼロでない。したがって解 (a0,a1,a2)(a_0,a_1,a_2) は一意に存在する。
  4. 前問の一意な二次多項式はLagrange補間で y=c1y1+c2y2+c3y3 y=c_1y_1+c_2y_2+c_3y_3 と書ける。ただし c1=(x−x2)(x−x3)(x1−x2)(x1−x3) \boxed{ c_1= \frac{(x-x_2)(x-x_3)}{(x_1-x_2)(x_1-x_3)}} c2=(x−x1)(x−x3)(x2−x1)(x2−x3) \boxed{ c_2= \frac{(x-x_1)(x-x_3)}{(x_2-x_1)(x_2-x_3)}} c3=(x−x1)(x−x2)(x3−x1)(x3−x2) \boxed{ c_3= \frac{(x-x_1)(x-x_2)}{(x_3-x_1)(x_3-x_2)}} である。これらはそれぞれ x=xix=x_i で1になり,他の2点では0になる。
  5. 5点を通る4次多項式でも同様にLagrange補間を用いる。y1y_1 の係数は,x=x1x=x_1 で1,x=x2,x3,x4,x5x=x_2,x_3,x_4,x_5 で0になる4次多項式である。よって c1=∏j=25x−xjx1−xj \boxed{ c_1= \prod_{j=2}^5\frac{x-x_j}{x_1-x_j}} である。

最終答

f(x,y)=0⟺(y1−y2)x+(x2−x1)y+x1y2−x2y1=0. f(x,y)=0 \Longleftrightarrow (y_1-y_2)x+(x_2-x_1)y+x_1y_2-x_2y_1=0. det⁡=(x2−x1)(x3−x1)(x3−x2). \det= (x_2-x_1)(x_3-x_1)(x_3-x_2). ci=∏j≠i, 1≤j≤3x−xjxi−xj,c1 for 5 points=∏j=25x−xjx1−xj. c_i=\prod_{j\ne i,\ 1\le j\le3}\frac{x-x_j}{x_i-x_j}, \qquad c_1\text{ for 5 points}= \prod_{j=2}^5\frac{x-x_j}{x_1-x_j}.

第2問 — 線形微分方程式とRiccati方程式

有界条件が同次解を消す

t→−∞t\to-\infty では e−te^{-t} や e−2te^{-2t} が発散する。したがって,通常なら残る任意定数の多くが有界条件によって消える。第2小問で定数 KK だけが残るのは,定数は t→−∞t\to-\infty でも有界だからである。

連立方程式は和と差で分離する

x−yx-y の項が対称に現れているので,u=x+yu=x+y,v=x−yv=x-y と置くと2つの独立な方程式に分かれる。このような対称性を見つけると計算量が大きく減る。

Riccati型は逆数で線形化

x2x^2 と x′x' が並ぶRiccati型の方程式では,定数項がない場合に z=1/xz=1/x が有効である。今回もこの置換により一次線形方程式へ落ちる。

線形微分方程式とRiccati方程式の途中式・最終答をPDFで見る

第3問 — 連続成功までの待ち時間

状態は末尾の四角石の個数だけでよい

停止条件は「右端に何個の四角石が連続しているか」だけで決まる。それ以前の並びは次の遷移に影響しないため,状態 CkC_k だけで十分である。

生成関数の tt は1手進む印

1個石を置くたびに停止までの個数が1増えるため,漸化式には必ず係数 tt が掛かる。停止状態 CMC_M では追加で石を置かずに条件が満たされているので AM(t)=1A_M(t)=1 と置く。

平均は確率母関数の微分

確率母関数 A0(t)=E[tL]A_0(t)=\mathbb E[t^L] に対し,A0′(1)=E[L]A_0'(1)=\mathbb E[L] である。連続成功までの待ち時間の平均 1−qM(1−q)qM \frac{1-q^M}{(1-q)q^M} は,成功確率 qq が小さいほど,また必要な連続数 MM が大きいほど急激に増える。

連続成功までの待ち時間の途中式・最終答をPDFで見る

年度別の解答例(5年度)

  • 2026年度(全3問)

    実対称行列と極分解 / 常微分方程式 / 単純ランダムウォークと指数評価

  • 2025年度(全3問)

    直線の係数ベクトルと鏡映 / 周期係数の微分方程式 / 連続する表の出現確率

  • 2024年度(全3問)

    空間ベクトルと最小二乗 / ガンマ関数と対数分散 / 停止時刻付きの格子上ランダムウォーク

  • 2023年度(このページ・全3問)

    補間多項式とVandermonde行列 / 線形微分方程式とRiccati方程式 / 連続成功までの待ち時間

  • 2022年度(全3問)

    不等式で定まる投影領域 / Frullani型積分 / 一様分布点が作る長方形の面積

2023年度の出題内容

全3問

この3問の分野は線形代数1問・微分方程式1問です。

大問分野主題解説の小見出し最終答
第1問線形代数補間多項式とVandermonde行列行列式は同一直線条件 / Vandermonde行列が一意性を保証するあり
第2問微分方程式線形微分方程式とRiccati方程式有界条件が同次解を消す / 連立方程式は和と差で分離するあり
第3問—連続成功までの待ち時間状態は末尾の四角石の個数だけでよい / 生成関数の t は1手進む印あり

前年度(2022年度)との違い

大問数
2022年度 3問 → 2023年度 3問
2022年度の解答例

東京大学の公式過去問

公開年度範囲
2022〜2026(直近5年)
公式の解答例
非公開(問題冊子のみ)
英語の扱い
TOEFL iBT/ITP のスコア提出。学内英語試験なし。
院試hubの最終確認
2026-09-26
東京大学の公式過去問PDF