東京大学 院試 過去問 解答例
東大 情報理工学系研究科 一般教育科目(数学) 2024年度 院試 過去問 解答例・解説(全3問)
全3問。微分積分・解析1問。テーマタグは2件(正定値行列・ベータ関数・ガンマ関数)。
最終更新:
収録3年度分の解答PDF:東京大学 情報理工学系研究科 一般教育科目(数学)(¥2,880・紙面見本あり)
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- 解説3問と大問1問の途中式・最終答(全3問)
- 解答PDFに収録
- 途中式と最終答(最終答つき3問)
- 問題本文
- 非収録
東大 一般教育科目(数学) 2024年度 院試 過去問の出題内容(全3問)
この3問の分野は微分積分・解析1問です。
2024年度の出題テーマと、同じテーマを出した他大学・他年度
この年度は2問に2テーマが出ています。
| テーマ | この年度 | 全体の出題実績 | 他大学の直近出題 |
|---|---|---|---|
| 正定値行列 | 第1問 | 17大学・70問 | |
| ベータ関数・ガンマ関数 | 第2問 | 12大学・23問 |
第1問 — 空間ベクトルと最小二乗
差の行列はアフィン独立性を見る
は そのものではなく,隣り合う差を並べた行列である。したがって rank の条件は「 が同一平面上に乗るかどうか」として読むと自然である。
距離の二乗和は正規方程式になる
平面までの距離の二乗和も,直線までの距離の二乗和も,本質的には最小二乗問題である。勾配をゼロにすると の形が現れる。行列 の正定値性を先に示しておくと,最小点が一意であることも同時に分かる。
射影行列の見方
は 方向への射影, はその直交補空間への射影である。直線への距離は「直線方向に垂直な成分」の長さなので, が自然に出てくる。
解答
- 行列 の3本の行ベクトルは である。したがって であるための条件は,3本のベクトル が一次独立であることである。 幾何的には,これは4点 が同一平面上にないことと同値である。すなわち が求める条件である。
- 球の中心を ,半径を とする。半空間の内側に球があり,各平面に接するので,法線ベクトルの長さが1であることから と書ける。これらの差を取ると したがって 中心が と表されるので である。
- は であるから対称である。任意の について である。もし なら,すべての について である。特に は一次独立なので,それらすべてに直交する は に限られる。したがって なら であり, と分かる。
- 点 から平面 までの距離は, より である。したがって最小化すべき関数は である。勾配を計算すると 最小点では なので よって の位置ベクトルが と表されるとき である。
- 直線 への直交射影は,点 から 方向へ進んだ成分だけを残す操作である。したがって よって また であり, したがって である。 最後に,点 から3本の直線までの距離の二乗和を と書く。 が互いに直交する単位ベクトルなので 制約がないときの最小点 は を満たす。よって 制約平面上の最小点は,この を平面 へ直交射影した点であり, と表される。
最終答
第2問 — ガンマ関数と対数分散
ガンマ関数として見る
はガンマ関数 である。特に であり, に関する微分は から を引き出す操作になる。
不等式の役割
は,尾部積分を多項式で上から評価するために使う。 という条件は を で表すために必要である。
最後は分散の変数変換
はレイリー分布である。 と置くと指数分布へ変わり, は の半分に定数を足したものになる。このため に依存しない値が出る。
第3問 — 停止時刻付きの格子上ランダムウォーク
停止までの回数を見る
この過程では,停止するまで右・上の移動だけが続く。したがって停止位置 は,停止前に右を何回,上を何回選んだかというカウントそのものである。共同分布は二項係数つきの負の多項分布になる。
幾何分布としての
は「右が出る前に停止する」確率である。上への移動は何回挟まっても構わないため, の等比級数になる。以後,右への移動を1回数えるたびに同じ状況が再開するので, は幾何分布になる。
相関が正になる理由
と は一見競合するが,停止が遅いほど右にも上にも多く進むため,無条件では正の相関をもつ。計算上も となる。
東大 一般教育科目(数学) 院試 過去問の収録3年度
実対称行列と極分解 / 常微分方程式 / 単純ランダムウォークと指数評価
直線の係数ベクトルと鏡映 / 周期係数の微分方程式 / 連続する表の出現確率
2024年度(このページ・全3問)
空間ベクトルと最小二乗 / ガンマ関数と対数分散 / 停止時刻付きの格子上ランダムウォーク