大阪大学 院試 過去問 解答例
阪大 理学研究科 物理学専攻・宇宙地球科学専攻 物理学 2026年度 院試 解答例・解説
大阪大学 理学研究科 物理学専攻・宇宙地球科学専攻 物理学 2026年度の院試 過去問について、設問ごとの解法方針・部分点の置き所を解説。全4問収録の解答・解説PDFと併用できます。問題本文は含みません。
最終更新:
設問ごとの解法方針・部分点の置き所を無料で公開しています。
完全な途中式・最終答は解答・解説PDFに収録しています。問題本文は含まれません。
第1問 — 小振動と基準振動
方針
全体を通して、安定なつり合いの近くでラグランジアンを 2 次形式に落とす問題である。 小振動では、運動エネルギーは速度の 2 次、ポテンシャルは変位の 2 次までで十分であり、 定数項は運動方程式に影響しない。
ばね付き振り子での近似の要点
をすべて 1 次の微小量と数える。例えば や は 3 次以上なので捨てる。一方、 の交差項 は 2 次なので残さなければならない。
検算
方向の有効質量は 、ばね定数は なので と読める。ラグランジアンから得た結果と一致する。 また の相当長はそれぞれ であり、振動数が の形になっていることも確認できる。
典型ミス
棒の慣性モーメントで積分範囲を から にしてしまうと、長さ の情報を落とす。 また、ばねの自然長からの伸びは であって だけではない。 ただし展開後は、静的つり合いの条件により の 1 次項が消える。 ここを明示すると答案の説得力が高い。
第2問 — 電子ビームと電磁波
方針
前半は円筒対称性とアンペールの法則だけで決まる。後半は円筒波であり、 ラプラシアンに現れる が本質である。 この項があるため、遠方波の振幅は平面波と異なり で減衰する。
符号の確認
電子の電荷は負で、速度は 方向である。電流の向きや磁場の向きは規約に依存して見えやすいが、 アルフベン電流限界では力の大きさを用いればよい。 したがって最終的な電流限界は正の大きさとして と書ける。
試験で書くべきポイント
グラフ問題では、内部の直線増加、外部の 減少、接続点 の 3 点を必ず示す。 波動方程式では 記号を使わない指定があるため、円筒座標で成分を展開した形で答える。
典型ミス
では、位相の微分による だけでなく、振幅の微分による も出る。 後者は遠方で小さいが、設問が を含む形での磁場を求めているため残しておくのが安全である。
第3問 — 一次元量子井戸と散乱
方針
無限井戸は、中心を原点に取ると偶奇性が強く効く。初期状態が偶関数なので、 奇関数固有状態は最初から除外できる。確率、期待値、時間発展はすべて同じ展開係数 から決まる。
規格化と確率の検算
得られた確率は となる。展開係数の符号を固有関数の位相で変えても、確率と期待値は変わらない。
標準偏差の注意
は ではない。 本問では なので、 では 、 では が現れる。 使用する級数が入れ替わると次元は合っても数値係数が誤る。
散乱問題の見方
左側が無限壁なので透過波はなく、反射率は必ず 1 である。 求めるべき非自明な情報は反射位相 である。 接続条件は波動関数だけでなく導関数にも課す必要があり、 比をとると任意定数 が消えて位相条件だけが残る。
第4問 — イジング模型の平均場近似
方針
相互作用なしでは独立な 2 状態系の積として分配関数を作る。 相互作用ありでは、隣接スピンの片方を平均値 で置き換え、揺らぎの 2 次を捨てる。 その結果、相互作用系が有効磁場 中の独立スピンへ帰着する。
平均場近似の数え上げ
最近接対の数は である。ここで としてしまうと定数項が 2 倍になる。 一方、 では各サイトのスピンが最近接数 回現れるので である。定数項と有効磁場項で数え方が異なる点が失点しやすい。
自己無撞着方程式の意味
は任意パラメータではなく、平均場ハミルトニアンから計算し直した 1 サイト磁化と一致しなければならない。 この条件が である。 グラフで見れば、 と の交点が許される平均磁化を表す。
臨界指数の検算
は原点での傾きが 1 になる条件から決まる。 で非零解が小さい範囲では 3 次まで展開すればよい。 得られる は平均場近似の標準的な臨界指数 に対応する。