院試hub

室蘭工業大学 工学研究科 専門科目(電気電子工学・共創情報学I系) 2026年度 第2次募集 院試 過去問 解答例・解説(解説11項目)

解説11項目の分野は電磁気学・回路3項目、線形代数1項目、微分積分・解析1項目です。伝達関数、調和振動子、静電場などが出ています。2026年度 第1次募集と共通するテーマは静電場、RC回路の過渡応答です。解説はすべて、途中式と最終答は大問1問ぶんを公開しています。PDFの収録範囲は商品ページで確認できます。問題本文は含みません。

最終更新:

工業数学 問題1 — ベクトル解析:回転・発散・二階微分

回転・発散・ラプラシアンは、入力と出力がスカラーかベクトルかを区別すると式を整理できる。回転の発散が消える恒等式は、混合偏微分の交換が許される滑らかな場へ適用する。

ベクトル解析:回転・発散・二階微分の途中式・最終答をPDFで見る

工業数学 問題2 — 微分方程式:積分因子と初期条件

一次線形方程式では積分因子で左辺を積の微分にまとめる。振動の初期値問題では位置と勾配から二つの係数を決め、元の方程式と両初期値へ戻して確認する。

微分方程式:積分因子と初期条件の途中式・最終答をPDFで見る

工業数学 問題3 — 線形代数:行列積と二つの連立系

行列積は行と列の内積を順に求める。二つの連立系は係数行列と右辺を対応させ、消去で求めた各ベクトルをそれぞれの元の式へ戻して検算する。

線形代数:行列積と二つの連立系の途中式・最終答をPDFで見る

工業数学 問題4 — フーリエ級数:鋸歯状波と跳躍点

鋸歯状波の周期延長では、区間端の点値と左右の極限を分ける。奇対称性で余弦係数を消し、正弦係数を部分積分で求める。跳躍点の級数の和は左右極限の平均になる。

フーリエ級数:鋸歯状波と跳躍点の途中式・最終答をPDFで見る

電磁気学 問題1 — 静電場:同軸容量と誘電率の分布

同軸構造の電界は円筒ガウス面で求め、半径方向の積分から電位差と単位長さ容量へ進む。誘電率を変える場合も自由電荷で決まる電束密度を先に固定する。

静電場:同軸容量と誘電率の分布の途中式・最終答をPDFで見る

電磁気学 問題2 — 磁界:トロイドの自己誘導とエネルギー

トロイドの磁束密度は断面内で半径に依存する。一巻きの磁束と全巻数の鎖交を分けて積分し、磁気エネルギーの体積積分とも照合する。

磁界:トロイドの自己誘導とエネルギーの途中式・最終答をPDFで見る

電気回路 問題1 — 交流回路:並列枝と電流最大の条件

並列RL枝を合成してから、入力インピーダンスを実部と虚部へ分ける。周波数を固定して容量だけを動かす条件が、虚部を零にして電流を最大にできる根拠となる。

交流回路:並列枝と電流最大の条件の途中式・最終答をPDFで見る

電気回路 問題2 — 過渡現象:RCの充電と放電

RCの充電では最終電圧との差が指数的に減る。放電へ切り替えたら初期電圧を引き継ぎ、切替え後の経過時間を改めて取る。

過渡現象:RCの充電と放電の途中式・最終答をPDFで見る

電気回路 問題3 — 三相交流:相電圧と線路降下

対称Y結線では中性点の移動を考えず各相の回路へ分けられる。線路と負荷のインピーダンスを加えて電流を求め、負荷端電圧を電圧降下からも確かめる。

三相交流:相電圧と線路降下の途中式・最終答をPDFで見る

電子回路 問題1 — 演算増幅器:全域通過回路

(1) 反転側の節点電位

入力抵抗が無限大という理想条件は、入力端子へ電流が吸い込まれないことを意味する。よって二本の抵抗電流だけでKCLを書ける。節点電位は両端電圧の重み付き平均で、近い側の抵抗が小さいほどその端の電位へ近づく。 R1=R2R_1=R_2 なら va=(vi+vo)/2v_a=(v_i+v_o)/2 となる。単に va=0v_a=0 と置く仮想接地は、他方の入力が接地されている回路でしか使えず、この回路には適用できない。

(2) 非反転側のRC分圧

入力電流0なのでRCの接続点に追加の負荷電流は流れない。容量側の電圧を取り出すため、低周波では vb→viv_b\to v_i、高周波では vb→0v_b\to0 となる低域通過の分圧である。 分子を jωR3C\mathrm{j}\omega R_3C にすると抵抗側の電圧を求めたことになり、高域通過の式へ変わる。どちらを取り出しているかは、零周波数で容量が開放になる極限から判断できる。

(3) 出力電圧を決める負帰還条件

開ループ利得を AA とすると vo=A(vb−va)v_o=A(v_b-v_a)。飽和せず有限の vov_o を保ちながら A→∞A\to\infty とする極限で、入力差が0へ近づく。これが二入力電位を等しく置ける理由で、入力電流0とは別の理想条件である。 ω=0\omega=0 では式は1となり、直流入力が同じ大きさで出る。二入力の差を逆に取って va=−vbv_a=-v_b とすると、この直流極限さえ崩れる。実際の素子では帯域と出力飽和の範囲内に限る。

重ね合わせの見方では、非反転入力の電位 vbv_b が閉ループ利得 1+R2/R11+R_2/R_1 で出力へ現れ、抵抗 R1R_1 を通じた入力 viv_i の反転寄与 −(R2/R1)vi-(R_2/R_1)v_i と加わる。二つの経路をまとめたものが上の伝達関数である。RC単体の低域通過出力を増幅するだけでなく、元入力の一部を引く構成が全域通過を作る。 R1=R2R_1=R_2 のときは vo=2vb−viv_o=2v_b-v_i となる。低周波では vb≃viv_b\simeq v_i なので vo≃viv_o\simeq v_i、高周波では vb≃0v_b\simeq0 なので vo≃−viv_o\simeq-v_i。両極限の倍率が等しく位相が逆転することを、複素式を使わず節点関係からも確かめられる。

(4) 等しい抵抗での振幅比

複素数 a+jba+\mathrm{j} b の絶対値は a2+b2\sqrt{a^2+b^2} である。共役な二つの複素数は同じ絶対値を持つため、周波数にかかわらず振幅比が1になる。u=1u=1 では H=−jH=-\mathrm{j} となり、振幅を保ったまま位相だけが 90∘90^\circ 遅れる。 分子を実部だけの1とみなすと ∣H∣=1/1+u2|H|=1/\sqrt{1+u^2} と誤り、RC単体の振幅特性を全回路へ流用することになる。

(5) 位相差の連続な表示

積と商の偏角はそれぞれ和と差で求める。ただし偏角は 2π2\pi の整数倍の不定性を持つため、ここでは ω=0\omega=0 で0となる連続な枝を選ぶ。u=1u=1 で −π/2-\pi/2、u→∞u\to\infty で −π-\pi へ近づく。 arctan⁡(Im⁡H/Re⁡H)\arctan(\operatorname{Im}H/\operatorname{Re}H) だけを使うと、実部の符号が変わる u=1u=1 の先で象限を取り違えやすい。分子と分母をそれぞれ追う方法なら枝の接続を保てる。

(6) この回路が変える量

全域通過とは、すべての周波数成分に同じ振幅倍率を与えることをいう。信号全体が単に一定時間だけ遅れるためには ϕ=−ωtd\phi=-\omega t_d が必要だが、本問の位相は −2arctan⁡(ωR3C)-2\arctan(\omega R_3C) であり一般に直線ではない。 群遅延を計算すると − dϕ/ dω=2R3C/[1+(ωR3C)2]-\,\mathrm{d}\phi/\,\mathrm{d}\omega=2R_3C/[1+(\omega R_3C)^2] となり、周波数に依存する。したがって「振幅が一定だから出力波形はどんな入力でも同じ」とは言えない。複数の周波数成分には異なる位相が付く。

例えば二つの正弦成分を含む入力に対し、各周波数の振幅は保たれるが、位相差はそれぞれ −2arctan⁡(ω1τ)-2\arctan(\omega_1\tau)、−2arctan⁡(ω2τ)-2\arctan(\omega_2\tau) になる。両者を同じ時間 tdt_d だけ遅らせた形にまとめられるのは、その周波数で位相差を ωtd\omega t_d と共通に表せる場合に限られる。低周波 ωτ≪1\omega\tau\ll1 では arctan⁡(ωτ)≃ωτ\arctan(\omega\tau)\simeq\omega\tau なので、狭い帯域内で約 2τ2\tau の遅延として見られる。 一方、高周波まで含む広帯域信号では群遅延が小さくなるので、同じ近似を延長できない。振幅応答だけでなく位相応答を調べる必要を、この回路が具体的に示している。

解答

(1) 反転側の節点電位

入力電流0より aa 点で (va−vi)/R1+(va−vo)/R2=0(v_a-v_i)/R_1+(v_a-v_o)/R_2=0。整理すると va=R2vi+R1voR1+R2.v_a=\frac{R_2v_i+R_1v_o}{R_1+R_2}.

(2) 非反転側のRC分圧

容量のインピーダンス 1/(jωC)1/(\mathrm{j}\omega C) と直列抵抗 R3R_3 による分圧から vb=1/(jωC)R3+1/(jωC)vi=vi1+jωR3C.v_b=\frac{1/(\mathrm{j}\omega C)}{R_3+1/(\mathrm{j}\omega C)}v_i=\frac{v_i}{1+\mathrm{j}\omega R_3C}.

(3) 出力電圧を決める負帰還条件

線形な負帰還動作では va=vbv_a=v_b。設問(1)の式を vov_o について解き、設問(2)を代入して vo={1+R2/R11+jωR3C−R2R1}vi.v_o=\left\{\frac{1+R_2/R_1}{1+\mathrm{j}\omega R_3C}-\frac{R_2}{R_1}\right\}v_i.

(4) 等しい抵抗での振幅比

R1=R2R_1=R_2 とし u=ωR3Cu=\omega R_3C と置くと、伝達関数は H=(1−ju)/(1+ju)H=(1-\mathrm{j} u)/(1+\mathrm{j} u)。分子・分母の絶対値がともに 1+u2\sqrt{1+u^2} なので ∣H∣=1|H|=1。

(5) 位相差の連続な表示

u≥0u\ge0 では arg⁡(1+ju)=arctan⁡u\arg(1+\mathrm{j} u)=\arctan u、arg⁡(1−ju)=−arctan⁡u\arg(1-\mathrm{j} u)=-\arctan u。したがって周波数0から連続な位相は ϕ=−2arctan⁡u\phi=-2\arctan u。

(6) この回路が変える量

等抵抗条件では振幅比と位相が設問(4)(5)の形となる。

最終答

(1) 反転側の節点電位

va=(R2vi+R1vo)/(R1+R2)v_a=(R_2v_i+R_1v_o)/(R_1+R_2)。

(2) 非反転側のRC分圧

vb=vi/(1+jωR3C)v_b=v_i/(1+\mathrm{j}\omega R_3C)。

(3) 出力電圧を決める負帰還条件

vo/vi=(1+R2/R1)/(1+jωR3C)−R2/R1v_o/v_i=(1+R_2/R_1)/(1+\mathrm{j}\omega R_3C)-R_2/R_1。

(4) 等しい抵抗での振幅比

∣vo/vi∣=1|v_o/v_i|=1。

(5) 位相差の連続な表示

ϕ(ω)=−2arctan⁡(ωR3C)\phi(\omega)=-2\arctan(\omega R_3C)。

(6) この回路が変える量

全域通過型の移相回路。振幅比は1で、位相は低周波の0から高周波の −π-\pi へ変化する。

電子回路 問題2 — 論理回路:不要入力を使った簡単化

真理値表では有効入力と使わない符号を区別する。ドントケアをカルノー図の隣接群へ利用し、残った上位ビットだけで有効な数字の判定を保てるか調べる。

論理回路:不要入力を使った簡単化の途中式・最終答をPDFで見る

専門科目(電気電子工学・共創情報学I系)の解答・解説PDF

2025〜2026年度・4回 · ¥2,580

解答PDFの商品ページへ

年度別の解答例(4年度)

  • 2026年度 第2次募集(このページ・解説11項目)

    ベクトル解析:回転・発散・二階微分 / 微分方程式:積分因子と初期条件 / 線形代数:行列積と二つの連立系

  • 2026年度 第1次募集(解説11項目)

    微分方程式:重根と非同次解 / 複素数:偏角の累乗と分母の共役 / 三角行列:固有値と整数成分

  • 2025年度 第2次募集(解説11項目)

    微分方程式:減衰と共鳴項 / ベクトル解析:二重演算と直交性 / 固有値:二つの独立な固有方向

  • 2025年度 第1次募集(解説11項目)

    微積分:成分演算と対称領域 / 常微分方程式:積分因子と解の区間 / 特異行列:行列式と固有空間

2026年度 第2次募集の出題内容

解説11項目

この11問の分野は電磁気学・回路3問・線形代数1問・微分積分・解析1問・微分方程式1問です。

大問分野主題解説の小見出し最終答
工業数学 問題1—ベクトル解析:回転・発散・二階微分—あり
工業数学 問題2微分方程式積分因子と初期条件—あり
工業数学 問題3線形代数行列積と二つの連立系—あり
工業数学 問題4微分積分・解析鋸歯状波と跳躍点—あり
電磁気学 問題1同軸容量と誘電率の分布—あり
電磁気学 問題2トロイドの自己誘導とエネルギー—あり
電気回路 問題1電磁気学・回路並列枝と電流最大の条件—あり
電気回路 問題2RCの充電と放電—あり
電気回路 問題3相電圧と線路降下—あり
電子回路 問題1電磁気学・回路全域通過回路—あり
電子回路 問題2電磁気学・回路不要入力を使った簡単化—あり

同じテーマを出した他大学・他年度

5テーマ

前年度(2026年度 第1次募集)との違い

大問数
2026年度 第1次募集 11問 → 2026年度 第2次募集 11問
両年度に出たテーマ
静電場・RC回路の過渡応答
2026年度 第2次募集で新しく出たテーマ
伝達関数・調和振動子・フーリエ級数
2026年度 第1次募集の解答例

室蘭工業大学の公式過去問

公開年度範囲
2025・2026年度 第1次・第2次募集
公式の解答例
全年度・全科目で公開
院試hubの最終確認
2026-10-24
室蘭工業大学の公式過去問PDF