九州大学 院試 過去問 解答例
九大 理学府 物理学専攻 物理学 2024年度 院試 過去問 解答例・解説(全4問)
全4問。テーマタグは10件(固有値・固有ベクトル・剛体の回転運動・静電場)。2023年度と共通のテーマは固有値・固有ベクトル・剛体の回転運動・熱力学第一・第二法則。
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- 解説4問と大問1問の途中式・最終答(全4問)
- 解答PDFに収録
- 途中式と最終答(最終答つき4問)
- 問題本文
- 非収録
九大 物理学 2024年度 院試 過去問の出題内容(全4問)
この年度の解説には試験で書くべきポイント4件・典型ミス4件が付いています。
2024年度の出題テーマと、同じテーマを出した他大学・他年度
この年度は4問に10テーマが出ています。
| テーマ | この年度 | 全体の出題実績 | 他大学の直近出題 |
|---|---|---|---|
| 固有値・固有ベクトル | 第3問 | 25大学・544問 | |
| 剛体の回転運動 | 第1問 | 16大学・103問 | |
| 静電場 | 第2問 | 16大学・81問 | |
| ハミルトン形式 | 第3問 | 15大学・72問 | |
| 電磁波 | 第2問 | 15大学・55問 | |
| 井戸型ポテンシャル | 第3問 | 15大学・31問 | |
| フェルミ・ボース統計 | 第4問 | 13大学・27問 | |
| マクスウェル方程式 | 第2問 | 8大学・26問 | |
| 熱力学第一・第二法則 | 第4問 | 10大学・22問 | |
| シュレディンガー方程式 | 第3問 | 10大学・18問 |
前年度(2023年度)との違い
- 大問数
- 2023年度 4問 → 2024年度 4問
- 両年度に出たテーマ
- 固有値・固有ベクトル・剛体の回転運動・熱力学第一・第二法則
- 2024年度で新しく出たテーマ
- 静電場・ハミルトン形式・電磁波・井戸型ポテンシャル・フェルミ・ボース統計・マクスウェル方程式・シュレディンガー方程式
第1問 — 物理学[I
方針
[I-A] は中心力束縛系の典型。糸の長さ一定から を見抜き、極座標で運動エネルギー、 を立てる。 は循環座標で角運動量保存、 で を消去して 1 自由度の有効ポテンシャル問題に帰着。極小点まわりの 2 次展開で振動周期を出す。[I-B] は剛体回転の運動方程式と接触点速度一致条件で滑り終了時刻を決める。ブレーキ付きでは線形 1 階非斉次方程式の解(特解+指数減衰)。
典型ミス
B の鉛直運動から得る運動エネルギー を忘れ、有効質量を にしてしまう(正しくは )。 で位置エネルギーの符号 を取り違える。 の取り方は B が平面下に居る条件 から境界 で決まる点に注意。剛体側では摩擦力の向き(A は減速、B は加速)の符号則を一貫させる。
試験で書くべきポイント
保存と 保存を独立に示し、有効ポテンシャル法に持ち込む流れを明示する。 と は 、、、 で表したあとの再代入で 表式にもまとめておくと採点者に伝わりやすい。剛体 [I-B] では接触点速度一致 が「滑り終了」の鍵で、ここから時刻が一意に決まることを強調する。
解答
- \textbf{[I-A 1.] 質点 A は水平面上で極座標 の運動、質点 B は鉛直方向に運動するが、糸の長さ一定から穴下の B の位置(穴を基準にした下向き距離)は である。よって で B の速さは 。運動エネルギーは 位置エネルギーは B の高さ から 。よって
- \textbf{[I-A 2.] 、 より 、 より
- \textbf{[I-A 3.] 上の 方程式は 一定 を意味し、これは質点 A の角運動量の 成分そのもの。よって角運動量は保存。
- \textbf{[I-A 4.] より 。系の力学的エネルギーは この式に を代入して を 微分すると ここで を用い、最後の括弧は問 2 の 方程式でゼロ。よって は保存。
- \textbf{[I-A 5.] 上式から (B が平面下にいる条件は )で、 の最大値は かつ のとき。このとき なので は で 、 で をとり、内部に極小をもつ井戸型。概形は 軸を横軸に、 の縦軸に極小を底とする谷を描き、 の点で を水平線として書き入れる。
- \textbf{[I-A 6.] では 、 一定。 も一定。すなわち質点 A は半径 の等速円運動を行う。極小条件 より
- \textbf{[I-A 7.] 。 を使うと の 2 次まで展開して 。動径運動の有効質量は なので
- \textbf{[I-A 8.] 解は 周期は
- \textbf{[I-B 1.] 半径 、長さ 、密度一様な円柱は質量 。中心軸まわりの慣性モーメントは
- \textbf{[I-B 2.] 剛体 A は重力 を上から受け、それを支えるのは剛体 B からの垂直抗力 。鉛直つり合いから 。動摩擦力の大きさは
- \textbf{[I-B 3.] 接触点での A の表面速度は 、B の表面速度は 。図の正の向きの定義から、A は摩擦により回転が遅くなり、B は加速されるので、それぞれの軸まわりに摩擦力 が反対符号で働く。 すなわち 、。初期条件 、 から
- \textbf{[I-B 4.] 動摩擦力が消える条件は接触点での速度の一致 (同符号にとれば滑り無し)。 このとき 、。 では摩擦力ゼロで両者は一定値を保つ。 は から線形減少して で停留、 は から線形増加して で停留する。
- \textbf{[I-B 5.] ブレーキ印加後、 が摩擦による力のモーメントを上回るので滑りが起き続ける。A は摩擦(加速の向き、これは A から見ると減速の符号と同じ)を受けるが、ブレーキ がそれを上回る。問 3 と同じ符号則で B 側は問 3 と同形なので 。A 側は線形 1 階非斉次: 特解 、斉次解 。初期条件 から
- \textbf{[I-B 6.] 摩擦消失条件は接触点速度一致 。 では における A 側の指数減衰項が無視でき これと B の解 を一致条件に入れて
最終答
% [I-A] 、 保存、、、。 [I-B] 、、、、、、。ブレーキ後 、、。
第2問 — 物理学[II
方針
[II-A] はマクスウェル方程式から波動方程式を導き、平面波解で と を確認、ポインティングベクトルとエネルギー保存則に至る基本一直線。 と がエネルギー保存の鍵。[II-B] は磁気双極子の遠方場と の極座標展開。超伝導体は鏡像法で扱い、 軸との角度 の鏡像双極子を仮定し、 系の極座標で問 1 の表式をそのまま流用する。
典型ミス
計算で の符号を見落とすと 成分の符号が逆になる。鏡像双極子の向きは「 軸となす角 」であって、単純な の鏡映ではない(磁気双極子は擬ベクトル)。 の零点だけ書いて安定性判定( の符号)を忘れない。
試験で書くべきポイント
[II-A] では「 から横波」「」「」「」「保存則の物理的意味(電磁エネルギーの連続の式)」を簡潔に並べる。[II-B] では極座標公式を使うこと、鏡像が に角 で置かれることを明示し、最後に安定平衡 の物理像(双極子が超伝導体面に垂直)で締める。
第3問 — 物理学[III
方針
[III-A] は無限井戸の標準。境界条件で 、規格化で 。壁拡張後の固有関数 は幅 の同じ族で 。 の計算は がもとの では 固有状態だが、新しいハミルトニアン下でも の運動エネルギー期待値は瞬時的に元の値に等しい点に注意。 公式の値が を再現することで整合確認。[III-B] はスピン 1/2 の代数を から組み立てる。 がベクトルの内積形なので となり指数関数が三角関数で閉じる。
典型ミス
[III-A] の幅 井戸で (分母の 8 を 2 にしない)。 の規格化定数は (幅は )。問 9 の では を使うのを忘れない。[III-B] では の係数を とすること( ではない)。 の の次数を取り違えると がずれる。
試験で書くべきポイント
[III-A] 問 6 で「 増→ の最小値減→運動エネルギー最小値減」を不確定性関係 で明示する。問 9 では という美しい結果を、波動関数が瞬間的には元のままであることから自然な結論として書ききる。[III-B] では指数演算子の 利用が肝で、 をRabi 振動数として明示すると遷移確率の形が見やすい。
第4問 — 物理学[IV
方針
[IV-A] は熱力学第一法則と理想気体の式の組み合わせで進む。断熱自由膨張は仕事も熱もゼロで 不変、エントロピーは状態量なので等温過程で計算可。[IV-B] はカノニカル分布の標準。、、、そして から 。[IV-C] は光子気体(黒体放射)の Stefan-Boltzmann 則。状態数密度の 、偏光 2、 の三点を押さえる。圧力は気体運動論で 3 次元等方性 を使う。
典型ミス
[IV-A] 問 3 で「準静的でない」を理由にエントロピー計算を諦めない。状態量だから経路に依らず計算できる、と明示する。[IV-B] 問 3 で から ( を落とさない)。[IV-C] 問 5・6 で偏光 2 を二重に数えない( にすでに 2 が入っている)。 の定数係数 をスピン縮退度 2 を含めて にしてしまうミスがあるが、本問は「内部自由度なし」とあるので 。
試験で書くべきポイント
[IV-A] 問 3 では「断熱自由膨張で 不変」「等温可逆経路で を計算」「結果 」の 3 段階を明示。[IV-B] 問 3 ではゆらぎ-応答関係(揺動散逸の一例)として を強調。[IV-C] 問 7 では運動量変化 、衝突頻度 、等方平均 の 3 点が要。
九大 物理学 院試 過去問の収録6年度
物理学[I / 物理学[II / 物理学[III
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2024年度(このページ・全4問)
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物理学I:力学と連続体の振動 / 物理学II:電磁気学 / 物理学III:量子力学
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