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九州大学 院試 過去問 解答例

九大 システム情報科学府 情報理工学専攻 数学 2025年度 院試 過去問 解答例・解説(全4問)

全4問。微分積分・解析2問・確率・統計1問・線形代数1問。テーマタグは1件(重積分と極座標)。

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解説4問と大問1問の途中式・最終答(全4問)
解答PDFに収録
途中式と最終答(最終答つき4問)
問題本文
非収録

九大 数学 2025年度 院試 過去問の出題内容(全4問)

この4問の分野は微分積分・解析2問・確率・統計1問・線形代数1問です。

大問分野主題解説の小見出し最終答
第1問線形代数—行列式の計算 / 上三角行列の証明あり
第2問微分積分・解析解析学・微積分楕円領域の標準化 / 線形微分方程式あり
第3問微分積分・解析ベクトル解析法線ベクトルの正規化 / 発散定理へ持ち込む発想あり
第4問確率・統計—条件付き二項分布として見る / 級数計算あり

2025年度の出題テーマと、同じテーマを出した他大学・他年度

この年度は1問に1テーマが出ています。

テーマこの年度全体の出題実績他大学の直近出題
重積分と極座標第2問23大学・142問

前年度(2024年度)との違い

大問数
2024年度 4問 → 2025年度 4問
2025年度で新しく出たテーマ
重積分と極座標
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第1問 — 線形代数

行列式の計算

零の多い列や行があるときは余因子展開を最初に考える。AA は第2列に非零成分が一つしかないため、符号 (−1)3+2(-1)^{3+2} だけに注意すればよい。BB は掃き出しを始める前に、比例する行がないかを見ると即座に決まる。

上三角行列の証明

「対角成分の積」とだけ書くと計算事実の確認に留まる。一般の nn に対して示すには、行列式の置換展開で恒等置換以外の項が消えることを説明するのが簡潔である。非恒等置換では、どこかで下三角側の成分を必ず拾う、という点が証明の芯である。

解答

  1. 行列 A=(202409112) A= \begin{pmatrix} 2&0&2\\ 4&0&9\\ 1&1&2 \end{pmatrix} について、第2列で展開すると det⁡A=(−1)3+2det⁡(2249)=−(18−8)=−10 \det A =(-1)^{3+2} \det\begin{pmatrix}2&2\\4&9\end{pmatrix} =-(18-8)=-10 である。 また B=(12344681024683579) B= \begin{pmatrix} 1&2&3&4\\ 4&6&8&10\\ 2&4&6&8\\ 3&5&7&9 \end{pmatrix} では第3行が第1行の 22 倍である。したがって行ベクトルが一次従属であり、 det⁡B=0 \det B=0 である。
  2. A=(aij)A=(a_{ij}) を nn 次上三角行列とする。行列式を置換で展開すると det⁡A=∑σ∈Snsgn⁡(σ)∏i=1nai,σ(i) \det A=\sum_{\sigma\in S_n}\operatorname{sgn}(\sigma) \prod_{i=1}^n a_{i,\sigma(i)} である。上三角行列では i>σ(i)i>\sigma(i) となる成分 ai,σ(i)a_{i,\sigma(i)} は 00 である。 恒等置換以外の置換 σ\sigma を取る。σ(k)≠k\sigma(k)\ne k となる最小の kk を選ぶと、最小性から σ(1),…,σ(k−1)\sigma(1),\ldots,\sigma(k-1) はそれぞれ 1,…,k−11,\ldots,k-1 である。よって σ(k)>k\sigma(k)>k でなければならない。全体として値 kk もどこかで取られるため、ある j>kj>k が存在して σ(j)=k\sigma(j)=k となる。このとき j>σ(j)j>\sigma(j) なので、その積には下三角側の成分 aj,k=0a_{j,k}=0 が含まれる。 したがって恒等置換以外の項はすべて 00 であり、 det⁡A=∏i=1naii \det A=\prod_{i=1}^n a_{ii} が成り立つ。

最終答

det⁡A=−10, det⁡B=0\det A=-10,\ \det B=0。また任意の上三角行列について det⁡A=∏i=1naii\det A=\prod_{i=1}^n a_{ii}。

第2問 — 解析学・微積分

楕円領域の標準化

楕円は単位円板へ移すと計算が安定する。x=arcos⁡θ, y=brsin⁡θx=ar\cos\theta,\ y=br\sin\theta の Jacobian が abrab r になるので、rr の次数は被積分関数由来の r2r^2 と合わせて r3r^3 になる。ここを r2r^2 のままにすると係数が誤る。

線形微分方程式

右辺を指数関数 e−xe^{-x} と見れば、未定係数法で一行で特解が出る。Laplace 変換を使っても同じ答えになるが、本問では斉次解と指数型特解を合わせる方法が最短である。

正則関数の判定

e2xeiaye^{2x}e^{iay} は a=2a=2 のときだけ e2ze^{2z} になる。Cauchy--Riemann 方程式では、cos⁡ay\cos ay と sin⁡ay\sin ay の両方の係数が一致する必要があるため、片方だけで判断しないことが重要である。実部を指定する問題では、共役調和関数を積分してもよいが、既知の恒等式 cos⁡(x+iy)\cos(x+iy) を思い出すと短い。

解析学・微積分の途中式・最終答をPDFで見る

第3問 — ベクトル解析

法線ベクトルの正規化

陰関数表示 ϕ=0\phi=0 の曲面では ∇ϕ\nabla\phi が法線方向を与える。今回のように曲面が原点中心の楕円体なら、∇ϕ\nabla\phi は外向きである。積分に使う nn は単位法線なので、長さで割るところまで書く必要がある。

発散定理へ持ち込む発想

被積分関数が 4x2+9y2+36z2\sqrt{4x^2+9y^2+36z^2} で、単位法線が同じ係数を含む形になるため、適切なベクトル場 F=(2x,3y,6z)F=(2x,3y,6z) を選ぶと F⋅nF\cdot n に一致する。直接パラメータ表示で面積要素を計算するより、発散定理で体積積分へ変える方が大幅に簡単である。

楕円体の体積

標準形 x2a2+y2b2+z2c2≤1 \frac{x^2}{a^2}+\frac{y^2}{b^2}+\frac{z^2}{c^2}\le 1 の体積は 4πabc/34\pi abc/3 である。係数から半軸長を読むときは、8x2=48x^2=4 だけを見て a2=1/2a^2=1/2 とするように、右辺を 11 に正規化してから読むとミスが少ない。

ベクトル解析の途中式・最終答をPDFで見る

第4問 — 確率・統計

条件付き二項分布として見る

総数 NN が決まると、オスの数 MM は二項分布に従う。総数自体が確率変数なので、無条件確率を求めるときは N=nN=n で条件付けて全確率の公式を使う。この二段階構造を明確に分けると、(2) 以降の計算が整理される。

級数計算

(n2)\binom{n}{2} は n(n−1)/2n(n-1)/2 なので、与えられた ∑nxn\sum nx^n と ∑n2xn\sum n^2x^n から導いてもよい。覚えていれば ∑n=0∞(n2)xn=x2(1−x)3 \sum_{n=0}^{\infty}\binom{n}{2}x^n=\frac{x^2}{(1-x)^3} を使うのが最短である。n=0,1n=0,1 の項はもともと 00 なので、和の開始位置を気にしなくてよい。

条件付き確率の分母

(3) と (4) はどちらも「オスが2匹である」という条件付き確率なので、分母は (2) で求めた P(M=2)P(M=2) で共通である。(4) ではメスも2匹という条件が加わるため、総数は自動的に 44 に固定される点を見落とさない。

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