九州大学 院試 過去問 解答例
九大 システム情報科学府 情報理工学専攻 数学 2022年度 院試 解答例・解説
九州大学 システム情報科学府 情報理工学専攻 数学 2022年度の院試 過去問について、設問ごとの解法方針・部分点の置き所を解説。全4問収録の解答・解説PDFと併用できます。問題本文は含みません。
最終更新:
設問ごとの解法方針・部分点の置き所を無料で公開しています。
完全な途中式・最終答は解答・解説PDFに収録しています。問題本文は含まれません。
第1問 — 線形代数
距離から内積を復元する
は余弦定理の形になっている。基準点 から見たベクトル を使うと、距離だけで表されていた量が という内積に変わる。これが問題全体の核心である。
退化した三角形も許される
(b) は三角不等式で等号が成り立つ場合で、3点は一直線上に並ぶ。ユークリッド空間上の点であればよく、三角形が面積を持つ必要はない。退化配置を自然に選べるかが問われている。
半正定値性はグラム行列から出る
は列ベクトルのグラム行列であり、常に半正定値である。答案では と書けば、定義に直接沿った証明になる。
第2問 — 解析学・微積分
多変数の連鎖律
連鎖律では、 が各座標 を通じて に入る。偏微分と各座標の速度を掛けて足し合わせる形を最初に書けば、具体計算も機械的に進められる。
一階線形微分方程式は積分因子
型では、積分因子 を掛けて左辺を積の微分にする。今回は右辺が なので、積分因子を掛けた後に右辺が になり、計算が非常に簡単になる。
高位極でも留数だけを見ればよい
3位の極に対しては Cauchy の積分公式の高階微分版を使う。今回は2階微分値が で消えるため、極が円内にあっても積分値は になる。極の有無と留数の値は別問題である。
第3問 — ベクトル解析
円筒の軸は 軸方向
円筒が で与えられているため、半径方向の外向き法線は 方向である。 平面内の通常の円筒と取り違えると、法線ベクトルと積分範囲がずれる。
半円筒の平面部分
では曲面部分だけでなく、 の長方形面も含む。ただしこの面では の 成分が なので寄与はない。面を忘れたのではなく、寄与が0であることを明示すると答案として堅い。
閉曲面なら発散定理が速い
を直接4つの面に分けて積分することもできるが、閉曲面なので発散定理が最も短い。体積計算では、上半円板上で の積分が対称性により消えることがポイントである。
第4問 — 確率・統計
逆転数として見る
は順列の逆転数である。各ペアが逆転する確率は なので、期待値はペア数の半分になる。線形性を使うため、 同士の独立性は期待値計算には不要である。
Lehmer 符号
は位置 から右側を見たとき、 より小さい値の個数である。これは順列を一意に表す Lehmer 符号の成分であり、 の取り得る値は から まで等確率になる。この構造を使うと分散計算が一気に簡単になる。
条件付き分布が変わらない理由
は最後の2項の大小だけを指定する条件である。 の相対順位を固定したとき、残りの値の割当のうち最後の2項がどちらの順序になるかは半々なので、 の一様性は保たれる。条件付き確率の問題では、この対称性を言葉で補うと説得力が出る。