院試hub

京都大学 院試 過去問 解答例

京大 情報学研究科 数理工学コース 2025年度 院試 解答例・解説

京都大学 情報学研究科 数理工学コース 2025年度の院試 過去問について、設問ごとの解法方針・部分点の置き所を解説。全6問収録の解答・解説PDFと併用できます。問題本文は含みません。

最終更新:

設問ごとの解法方針・部分点の置き所を無料で公開しています。

完全な途中式・最終答は解答・解説PDFに収録しています。問題本文は含まれません。

1 — 微積分

楕円上の線形関数

制約 xQx=1x^\top Qx=1 上で cxc^\top x を最大化すると,Cauchy--Schwarz により最大値は cQ1c\sqrt{c^\top Q^{-1}c} になる。今回は Q=diag(2,3)Q=\operatorname{diag}(2,3), c=(1,1)c=(1,-1)^\top なので, ラグランジュ未定乗数を直接解かなくても値がすぐ出る。

重積分の順序

条件 x2y2x^2\le y\le 2 から先に xx の範囲を確定するのが安定する。 yy 方向に積分すれば integrand が xx だけになり,偶関数として処理できる。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

2 — 線形代数

像空間の基底

行基本変形後のピボット列の番号を確認し,元の行列の対応する列を取るのが基本である。 行基本変形後の列をそのまま像空間の基底として書くと,写像 BxBx の値域の基底ではなくなるので注意する。

三重対角行列式

この型は隣接2項の漸化式に落とすのが最も速い。最後の答えを (1t2n+2)/(1t2)(1-t^{2n+2})/(1-t^2) とだけ書くと t=±1t=\pm1 の扱いが残るため,多項式 k=0nt2k\sum_{k=0}^{n}t^{2k} として書くのが安全である。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

3 — 複素関数・グラフ理論

複素関数の核

φα\varphi_\alpha は単位円板の自己同型であり,Schwarz--Pick の証明で使う標準変換である。 式を暗記するより,1αz2αz2|1-\overline{\alpha}z|^2-|\alpha-z|^2 を展開して正になることを示す方が答案として強い。

条件 (c) の落とし穴

全頂点対の到達可能性をそのまま調べると O(n(n+m))O(n(n+m)) になってしまう。 強連結成分で潰して DAG にし,トポロジカル順序上の隣接成分だけを見るのが線形時間化の要点である。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

4 — 凸最適化・制御理論

凸最適化の見方

(P1) は「制約を1単位満たすための単価」が本質である。単価が最小の成分に重みを置くため,双対最適値は minibi/ai\min_i b_i/a_i になる。 (P2) は Jensen の不等式でも同じ結論に到達できるが,KKT 条件を用いる指定があるため,乗数条件から全成分が等しいことを示すのが答案として自然である。

動的出力フィードバック

最後の設問は,具体的な数値を一組出せばよい。可制御性と可観測性があるので,状態フィードバックとオブザーバを別々に極配置し,分離原理で閉ループの収束率を保証する。 極を 1,2,3-1,-2,-32,3,4-2,-3,-4 に置けば,要求される二乗ノルムの指数条件を満たす。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

5 — 統計力学

分散は logZ\log Z の二階微分

ZZ そのものを微分してから整理してもよいが,熱力学量では E=βlogZ\langle E\rangle=-\partial_\beta\log ZVar(E)=β2logZ\operatorname{Var}(E)=\partial_\beta^2\log Z と覚えておくと符号を間違えにくい。

理想気体の係数

h=1h=1 が指定されているため,通常の h3Nh^{-3N} は現れない。 同種粒子なので 1/N!1/N! を入れる点も重要である。これは E\langle E\rangle や分散には影響しないが,分配関数の表式には必要である。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

6 — 常微分方程式

一次低階化

(ii) は xx' だけを未知関数にすると一階線形方程式になる。 この置き換えを忘れて定数係数のように扱うと解けない。

既知解から二つ目の解を作る

一次微分項のない x+g(t)x=0x''+g(t)x=0 では,既知解 x1x_1 に対して x2=x1x12dt x_2=x_1\int x_1^{-2}\,dt が使える。Wronskian が定数になることから導かれる公式であり,今回のように g(t)g(t) を明示的に求めなくても一般解まで進められる。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

京都大学 数理工学コース — 他の年度