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京都大学 院試 過去問 解答例

京大 情報学研究科 数理工学コース 2025年度 院試 過去問 解答例・解説(全6問)

全6問。線形代数1問・微分積分・解析1問・微分方程式1問。テーマタグは5件(線形空間・基底・重積分と極座標・分配関数)。2023年度と共通のテーマは線形空間・基底・グラフ理論。

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収録4年度分の解答PDF:京都大学 情報学研究科 数理工学コース(¥2,880・紙面見本あり)

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解説6問と大問1問の途中式・最終答(全6問)
解答PDFに収録
途中式と最終答(最終答つき6問)
問題本文
非収録

京大 数理工学コース 2025年度 院試 過去問の出題内容(全6問)

この6問の分野は線形代数1問・微分積分・解析1問・微分方程式1問・複素解析1問です。

大問分野主題解説の小見出し最終答
第1問微分積分・解析微積分楕円上の線形関数 / 重積分の順序あり
第2問線形代数—像空間の基底 / 三重対角行列式あり
第3問複素解析複素関数・グラフ理論複素関数の核 / 条件 (c) の落とし穴あり
第4問—凸最適化・制御理論凸最適化の見方 / 動的出力フィードバックあり
第5問—統計力学分散は Z の二階微分 / 理想気体の係数あり
第6問微分方程式常微分方程式一次低階化 / 既知解から二つ目の解を作るあり

2025年度の出題テーマと、同じテーマを出した他大学・他年度

この年度は5問に5テーマが出ています。

前年度(2023年度)との違い

大問数
2023年度 6問 → 2025年度 6問
両年度に出たテーマ
線形空間・基底・グラフ理論
2025年度で新しく出たテーマ
重積分と極座標・分配関数・ヒルベルト空間
2023年度のページを見る

第1問 — 微積分

楕円上の線形関数

制約 x⊤Qx=1x^\top Qx=1 上で c⊤xc^\top x を最大化すると,Cauchy--Schwarz により最大値は c⊤Q−1c\sqrt{c^\top Q^{-1}c} になる。今回は Q=diag⁡(2,3)Q=\operatorname{diag}(2,3), c=(1,−1)⊤c=(1,-1)^\top なので, ラグランジュ未定乗数を直接解かなくても値がすぐ出る。

重積分の順序

条件 x2≤y≤2x^2\le y\le 2 から先に xx の範囲を確定するのが安定する。 yy 方向に積分すれば integrand が xx だけになり,偶関数として処理できる。

解答

  1. sin⁡x=x−x36+O(x5) \sin x=x-\frac{x^3}{6}+O(x^5) であり, (1+u)1/2=1+u2−u28+u316+O(u4) (1+u)^{1/2}=1+\frac{u}{2}-\frac{u^2}{8}+\frac{u^3}{16}+O(u^4) を u=sin⁡xu=\sin x に適用する。三次までを見ると 1+sin⁡x=1+x2−x28+(−112+116)x3+O(x4)=1+x2−x28−x348+O(x4). \sqrt{1+\sin x} =1+\frac{x}{2}-\frac{x^2}{8} +\left(-\frac{1}{12}+\frac{1}{16}\right)x^3+O(x^4) =1+\frac{x}{2}-\frac{x^2}{8}-\frac{x^3}{48}+O(x^4). したがって a0=1,a1=12,a2=−18,a3=−148. a_0=1,\quad a_1=\frac12,\quad a_2=-\frac18,\quad a_3=-\frac1{48}.
  2. ∫csc⁡x dx=log⁡∣tan⁡(x/2)∣+C\int \csc x\,dx=\log|\tan(x/2)|+C を用いると, ∫π/3π/2dxsin⁡x=log⁡tan⁡π4−log⁡tan⁡π6=0−log⁡13=12log⁡3. \int_{\pi/3}^{\pi/2}\frac{dx}{\sin x} =\log\tan\frac{\pi}{4}-\log\tan\frac{\pi}{6} =0-\log\frac1{\sqrt3} =\frac12\log 3.
  3. 制約を 2x2+3y2=12x^2+3y^2=1 と書く。線形関数 x−yx-y の楕円上での最大値は (1,−1)(1/2001/3)(1−1)=12+13=56 \sqrt{(1,-1) \begin{pmatrix} 1/2&0\\ 0&1/3 \end{pmatrix} \binom{1}{-1}} =\sqrt{\frac12+\frac13} =\sqrt{\frac56} であり,最小値はその負である。
  4. 領域は −2≤x≤2, x2≤y≤2-\sqrt2\le x\le \sqrt2,\ x^2\le y\le 2 と表せるので, ∬Dx2y dxdy=∫−22x2[y22]y=x22 dx=∫−22(2x2−x62) dx=2[2x33−x714]02=32221. \begin{aligned} \iint_D x^2y\,dxdy &=\int_{-\sqrt2}^{\sqrt2}x^2 \left[\frac{y^2}{2}\right]_{y=x^2}^{2}\,dx\\ &=\int_{-\sqrt2}^{\sqrt2}\left(2x^2-\frac{x^6}{2}\right)\,dx\\ &=2\left[\frac{2x^3}{3}-\frac{x^7}{14}\right]_{0}^{\sqrt2} =\frac{32\sqrt2}{21}. \end{aligned}

最終答

(a0,a1,a2,a3)=(1,12,−18,−148),∫π/3π/2csc⁡x dx=12log⁡3, (a_0,a_1,a_2,a_3)=\left(1,\frac12,-\frac18,-\frac1{48}\right),\quad \int_{\pi/3}^{\pi/2}\csc x\,dx=\frac12\log3, max⁡(x−y)=56,min⁡(x−y)=−56,∬Dx2y dxdy=32221. \max(x-y)=\sqrt{\frac56},\quad \min(x-y)=-\sqrt{\frac56},\quad \iint_D x^2y\,dxdy=\frac{32\sqrt2}{21}.

第2問 — 線形代数

像空間の基底

行基本変形後のピボット列の番号を確認し,元の行列の対応する列を取るのが基本である。 行基本変形後の列をそのまま像空間の基底として書くと,写像 BxBx の値域の基底ではなくなるので注意する。

三重対角行列式

この型は隣接2項の漸化式に落とすのが最も速い。最後の答えを (1−t2n+2)/(1−t2)(1-t^{2n+2})/(1-t^2) とだけ書くと t=±1t=\pm1 の扱いが残るため,多項式 ∑k=0nt2k\sum_{k=0}^{n}t^{2k} として書くのが安全である。

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第3問 — 複素関数・グラフ理論

複素関数の核

φα\varphi_\alpha は単位円板の自己同型であり,Schwarz--Pick の証明で使う標準変換である。 式を暗記するより,∣1−α‾z∣2−∣α−z∣2|1-\overline{\alpha}z|^2-|\alpha-z|^2 を展開して正になることを示す方が答案として強い。

条件 (c) の落とし穴

全頂点対の到達可能性をそのまま調べると O(n(n+m))O(n(n+m)) になってしまう。 強連結成分で潰して DAG にし,トポロジカル順序上の隣接成分だけを見るのが線形時間化の要点である。

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第4問 — 凸最適化・制御理論

凸最適化の見方

(P1) は「制約を1単位満たすための単価」が本質である。単価が最小の成分に重みを置くため,双対最適値は min⁡ibi/ai\min_i b_i/a_i になる。 (P2) は Jensen の不等式でも同じ結論に到達できるが,KKT 条件を用いる指定があるため,乗数条件から全成分が等しいことを示すのが答案として自然である。

動的出力フィードバック

最後の設問は,具体的な数値を一組出せばよい。可制御性と可観測性があるので,状態フィードバックとオブザーバを別々に極配置し,分離原理で閉ループの収束率を保証する。 極を −1,−2,−3-1,-2,-3 と −2,−3,−4-2,-3,-4 に置けば,要求される二乗ノルムの指数条件を満たす。

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第5問 — 統計力学

分散は log⁡Z\log Z の二階微分

ZZ そのものを微分してから整理してもよいが,熱力学量では ⟨E⟩=−∂βlog⁡Z\langle E\rangle=-\partial_\beta\log Z, Var⁡(E)=∂β2log⁡Z\operatorname{Var}(E)=\partial_\beta^2\log Z と覚えておくと符号を間違えにくい。

理想気体の係数

h=1h=1 が指定されているため,通常の h−3Nh^{-3N} は現れない。 同種粒子なので 1/N!1/N! を入れる点も重要である。これは ⟨E⟩\langle E\rangle や分散には影響しないが,分配関数の表式には必要である。

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第6問 — 常微分方程式

一次低階化

(ii) は x′x' だけを未知関数にすると一階線形方程式になる。 この置き換えを忘れて定数係数のように扱うと解けない。

既知解から二つ目の解を作る

一次微分項のない x′′+g(t)x=0x''+g(t)x=0 では,既知解 x1x_1 に対して x2=x1∫x1−2 dt x_2=x_1\int x_1^{-2}\,dt が使える。Wronskian が定数になることから導かれる公式であり,今回のように g(t)g(t) を明示的に求めなくても一般解まで進められる。

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京大 数理工学コース 院試 過去問の収録4年度