京都大学 院試 過去問 解答例
京大 情報学研究科 数理工学コース 2023年度 院試 解答例・解説
京都大学 情報学研究科 数理工学コース 2023年度の院試 過去問について、設問ごとの解法方針・部分点の置き所を解説。全6問収録の解答・解説PDFと併用できます。問題本文は含みません。
最終更新:
設問ごとの解法方針・部分点の置き所を無料で公開しています。
完全な途中式・最終答は解答・解説PDFに収録しています。問題本文は含まれません。
第1問 — 微積分
指数関数への直し方
は と直すのが最短である。 対数を取って極限を調べる典型問題で, は より遅く増えることを明記すれば十分である。
2変数の極値
は停留点だが極値ではない。停留点を列挙したあと,方向を変えて値の増減を見ることが重要である。 ここでは なので, 軸上の候補点は 方向へ動くと値が増える。
第2問 — 線形代数
対角化の並べ方
固有値が相異なるので,対応する固有ベクトルは自動的に線形独立である。 の列の順番を変えれば の対角成分の順番も同じように変わるため,組として整合していればよい。
自由変数の残し方
連立方程式は1自由度をもつ。第3式から と置くと,残りはすぐ と分かる。 最後に任意定数 を明示して全解であることを示す。
第3問 — 複素関数・グラフ理論
単位円上の置換
と置いたとき, に分解するのが中心である。極の位置は から一つだけ内側にある。
Bellman--Ford の判定条件
回の緩和後にさらに改善できる枝があることは,負閉路が到達可能であることを意味する。 この問題では有向グラフが強連結なので,負閉路が存在すれば始点から到達可能であり,通常の Bellman--Ford 判定をそのまま使える。
第4問 — 凸最適化・制御理論
双対問題の符号
最小化問題で をそのまま Lagrangian に入れると,双対目的が になる。 符号を間違えやすいので,停留条件 まで書いて確認するのが安全である。
制御の最後の設問
初期状態が指定されていない入力最適化では,通常の入出力評価と同じ零初期状態で読むのが自然である。 その場合,評価関数は非負で,零入力が評価値0を達成するため大域最適である。
第5問 — 統計力学
相関は
ランダムウォークの位置 と は,最初の 個の増分だけを共有している。 このため となり,重心の2乗平均は の計算に帰着する。
分散型の整理
は展開して平均2乗から重心の2乗を引く形にする。 この一行を入れると,最後の期待値は既に求めた を再利用できる。
第6問 — 常微分方程式
定数項比較で が決まる
を代入した後, を多項式恒等式として見る。 と は定数項を持たないため,すぐに が出る。
Wronskian の使いどころ
2階線形方程式で既知解が一つあるとき,独立な第2解の存在は Wronskian で調べるのが強い。 ここでは有理関数であるはずの Wronskian が非定数多項式の指数関数になってしまうため,矛盾が出る。