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京大 情報学研究科 数理工学コース 2024年度 院試 過去問 解答例・解説(全6問)

全6問の分野は線形代数1問、微分積分・解析1問、微分方程式1問です。線形空間・基底、固有値・固有ベクトル、伝達関数などが出ています。2023年度と共通するテーマは線形空間・基底、固有値・固有ベクトル、グラフ理論です。解説はすべて、途中式と最終答は大問1問ぶんを公開しています。残りは解答PDFに収録しています。問題本文は含みません。

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第1問 — 微積分

有理点と無理点の扱い

第1小問は Thomae 型の関数である。有理点の不連続性は無理数列を近づければ一撃で示せる。 無理点の連続性は,分母が小さい既約分数が局所的に有限個しかないことを使う。

極値判定

(x2+y2)2+2xy(x^2+y^2)^2+2xy は原点で停留するが,2xy2xy が正にも負にもなるため極値ではない。 停留点を出したあと,変数 u=x+y, v=x−yu=x+y,\ v=x-y に移すと大域最小であることまで確認しやすい。

解答

  1. 非零有理数を既約分数 x=p/qx=p/q と書くと f(x)=1/qf(x)=1/q である。 無理数列を xx に近づければ関数値は常に 00 なので,非零有理数では連続でない。 また x=0x=0 では,例えば xn=2/nx_n=\sqrt2/n とすれば xn→0x_n\to0 かつ f(xn)=0f(x_n)=0 であるから,f(0)=1f(0)=1 と一致せず連続でない。 一方,α\alpha を無理数とする。任意の Q∈NQ\in\mathbb N に対して,分母が QQ 以下の既約分数で α\alpha の近くにあるものは有限個である。 したがって α\alpha の十分小さい近傍をとれば,その近傍に入る非零有理数 p/qp/q はすべて q>Qq>Q を満たす。 よってその近傍では ∣f(x)−f(α)∣=f(x)≤1Q |f(x)-f(\alpha)|=f(x)\le \frac1Q となる。QQ を十分大きくすれば,α\alpha で連続である。
  2. 1x4−1=141x−1−141x+1−121x2+1 \frac1{x^4-1} =\frac14\frac1{x-1}-\frac14\frac1{x+1}-\frac12\frac1{x^2+1} より,原始関数の一つは 14log⁡∣x−1x+1∣−12arctan⁡x+C \frac14\log\left|\frac{x-1}{x+1}\right|-\frac12\arctan x+C である。
  3. fx=2x+4y+3,fy=4x−2y+1 f_x=2x+4y+3,\qquad f_y=4x-2y+1 だから,点 (1,2)(1,2) では fx(1,2)=13,fy(1,2)=1. f_x(1,2)=13,\qquad f_y(1,2)=1. したがって接平面は z−12=13(x−1)+(y−2), z-12=13(x-1)+(y-2), すなわち z=13x+y−3 z=13x+y-3 である。
  4. f(x,y)=(x2+y2)2+2xy f(x,y)=(x^2+y^2)^2+2xy である。停留条件は 4x(x2+y2)+2y=0,4y(x2+y2)+2x=0, 4x(x^2+y^2)+2y=0,\qquad 4y(x^2+y^2)+2x=0, すなわち 2xr2+y=0,2yr2+x=0(r2=x2+y2) 2x r^2+y=0,\qquad 2y r^2+x=0 \quad (r^2=x^2+y^2) である。原点以外の停留点では 4r4−1=0 4r^4-1=0 なので r2=1/2r^2=1/2,さらに y=−xy=-x である。よって (x,y)=(12,−12),(−12,12) (x,y)=\left(\frac12,-\frac12\right),\quad \left(-\frac12,\frac12\right) を得る。原点では2次項 2xy2xy が符号を変えるので極値ではない。 また f(x,y)=(u2+v2)24+u2−v22(u=x+y, v=x−y) f(x,y)=\frac{(u^2+v^2)^2}{4}+\frac{u^2-v^2}{2} \quad (u=x+y,\ v=x-y) とおくと,u=0, v2=1u=0,\ v^2=1 で最小値 −1/4-1/4 をとることが分かる。 したがって極小点は上の2点で,極大点は存在しない。
  5. 領域は極座標で 0≤θ≤π4,0≤r<∞ 0\le \theta\le \frac{\pi}{4},\qquad 0\le r<\infty と表される。したがって ∬D1(x2+y2+1)2 dxdy=∫0π/4∫0∞r(r2+1)2 drdθ. \iint_D\frac{1}{(x^2+y^2+1)^2}\,dxdy =\int_0^{\pi/4}\int_0^\infty \frac{r}{(r^2+1)^2}\,drd\theta. 内側の積分は ∫0∞r(r2+1)2 dr=12 \int_0^\infty \frac{r}{(r^2+1)^2}\,dr =\frac12 であるから,求める値は π4⋅12=π8. \frac{\pi}{4}\cdot\frac12=\frac{\pi}{8}.

最終答

  1. 有理数では連続でなく,無理数では連続である。
  2. 14log⁡∣x−1x+1∣−12arctan⁡x+C\displaystyle \frac14\log\left|\frac{x-1}{x+1}\right|-\frac12\arctan x+C.
  3. z=13x+y−3\displaystyle z=13x+y-3.
  4. 極小点は (1/2,−1/2),(−1/2,1/2)\displaystyle (1/2,-1/2),(-1/2,1/2),極小値は −1/4-1/4。極大点はない。
  5. π/8\displaystyle \pi/8.

第2問 — 線形代数

対角化の基本形

線形独立な固有ベクトルが nn 本あれば,それらを基底にした表示が対角表示である。 第2小問は固有値が3つ異なるため,固有空間の次元を深く調べなくても対角化可能と分かる。

階数2の判定

全成分が1の行列は固有値 3,0,03,0,0 をもつ。この分解を使うと,行列式だけでなく階数まで短く判定できる。

線形代数の途中式・最終答をPDFで見る

第3問 — 複素関数・グラフ理論

フーリエの端点

区間 [0,T)[0,T) で定義された関数は周期延長して考える。端点で不連続ならフーリエ級数の極限は左右極限の平均になる。 一様収束を問われたら,まず周期延長後の連続性を確認するのが最短である。

最短路だけの DAG

無向グラフそのものでは閉路があるが,最短路で使える枝を距離の増える向きに限ると DAG になる。 この DAG 上で「通過済みか」「何個通ったか」を状態に持てば,重複なく線形時間で数えられる。

複素関数・グラフ理論の途中式・最終答をPDFで見る

第4問 — 凸最適化・制御理論

Aノルムで見る射影

制約集合は AA-ノルムの単位球であり,目的関数は yy からその集合までの AA-距離である。 したがって最適解は,球内なら yy 自身,球外なら原点から見た AA-球面への放射方向の射影になる。

最小実現

元の状態は4次元でも,入出力で見える伝達関数の次数は2である。 最小実現は元の行列をそのまま縮約しなくても,得られた伝達関数を実現する可制御・可観測な2次系を示せばよい。

凸最適化・制御理論の途中式・最終答をPDFで見る

第5問 — 統計力学

累積和は重み付き和に直す

∑nxn\sum_n x_n をそのまま二重和で扱うと煩雑になる。 各 vi,wiv_i,w_i が何回現れるかを数えて (N−i+1)(N-i+1) という重みに直すと,独立でなくても与えられた相関式だけで処理できる。

統計力学の途中式・最終答をPDFで見る

第6問 — 常微分方程式

Riccati 方程式

ω=ϕ′/ϕ\omega=\phi'/\phi と見ると,2階線形方程式は ω′+ω2=r\omega'+\omega^2=r という Riccati 型方程式に変わる。 最後の次数評価は,無限遠での有理関数の主項だけを見ればよい。

常微分方程式の途中式・最終答をPDFで見る

年度別の解答例(5年度)

2024年度の出題内容

全6問

この6問の分野は線形代数1問・微分積分・解析1問・微分方程式1問・複素解析1問です。

大問分野主題解説の小見出し最終答
第1問微分積分・解析微積分有理点と無理点の扱い / 極値判定あり
第2問線形代数—対角化の基本形 / 階数2の判定あり
第3問複素解析複素関数・グラフ理論フーリエの端点 / 最短路だけの DAGあり
第4問—凸最適化・制御理論Aノルムで見る射影 / 最小実現あり
第5問—統計力学累積和は重み付き和に直すあり
第6問微分方程式常微分方程式Riccati 方程式あり

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8テーマ

前年度(2023年度)との違い

大問数
2023年度 6問 → 2024年度 6問
2024年度で新しく出たテーマ
伝達関数・一様収束・フーリエ級数・動的計画法・グラフ探索
2023年度の解答例

京都大学の公式過去問

公開年度範囲
2021〜2025
公式の解答例
非公開(問題冊子のみ)
院試hubの最終確認
2026-09-26
京都大学の公式過去問PDF