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京都大学 院試 過去問 解答例

京大 情報学研究科 先端数理科学コース 2025年度 院試 過去問 解答例・解説(全10問)

全10問。線形代数2問・微分積分・解析2問・微分方程式1問。テーマタグは5件(線形空間・基底・重積分と極座標・分配関数)。2024年度と共通のテーマは線形空間・基底・分配関数。

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解説10問と大問1問の途中式・最終答(全10問)
解答PDFに収録
途中式と最終答(最終答つき10問)
問題本文
非収録

京大 先端数理科学コース 2025年度 院試 過去問の出題内容(全10問)

この10問の分野は線形代数2問・微分積分・解析2問・微分方程式1問です。

大問分野主題解説の小見出し最終答
第1問線形代数行列正則性は行列式で一気に判定する / 逆行列の検算あり
第2問微分積分・解析積分と極限広義積分の別解 / リーマン和のスケールあり
第3問円板の衝突問われている撃力の向き / 接線方向のエネルギー損失あり
第4問線形代数階数と正則化階数3の意味 / 余因子を使う理由あり
第5問微分積分・解析上限関数最大値定理の使い方 / 第1小問の端点判定あり
第6問連結性と核展開連結性の判定原理 / 核展開の見通しあり
第7問微分方程式微分方程式と不等式初期値問題の置換 / 積分方程式は最大値で押さえるあり
第8問—専門科目:線積分と差分法Stokes の定理で面を選ぶ / 離散最大原理あり
第9問剛体粒子系自由長への変換 / 圧力の出し方あり
第10問流れと非定常粘性流速度場の幾何 / Couette 流への収束あり

2025年度の出題テーマと、同じテーマを出した他大学・他年度

この年度は4問に5テーマが出ています。

前年度(2024年度)との違い

大問数
2024年度 10問 → 2025年度 10問
両年度に出たテーマ
線形空間・基底・分配関数
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第1問 — 基礎科目:行列

正則性は行列式で一気に判定する

パラメータが1個だけ入った正方行列なので,まず行列式を因数分解するのが最短である。 第1行に 00 があるため,第1行展開を選ぶと計算量が少ない。

逆行列の検算

求めた逆行列の第1列 vv は Xv=e1Xv=e_1 を満たす必要がある。 実際に X(1212−32)=(100) X\begin{pmatrix}\frac12\\[1mm]\frac12\\[1mm]-\frac32\end{pmatrix} = \begin{pmatrix}1\\0\\0\end{pmatrix} となる。同様に第2列,第3列も e2,e3e_2,e_3 を返すので,符号の取り違えを確認できる。

解答

  1. 行列式を第1行で展開すると det⁡X=(−1)∣3a21∣+(−1)∣3312∣=(−3+2a)−3=2(a−3). \det X =(-1)\begin{vmatrix}3&a\\2&1\end{vmatrix} +(-1)\begin{vmatrix}3&3\\1&2\end{vmatrix} =(-3+2a)-3 =2(a-3). したがって XX が正則でないのは a=3a=3 のときに限る。
  2. a=2a=2 とすると X=(−10−1332121). X= \begin{pmatrix} -1&0&-1\\ 3&3&2\\ 1&2&1 \end{pmatrix}. 掃き出し法を用いる。拡大行列は (−10−1100332010121001) \left( \begin{array}{ccc|ccc} -1&0&-1&1&0&0\\ 3&3&2&0&1&0\\ 1&2&1&0&0&1 \end{array} \right) であり,行基本変形により (100121−3201012012001−32−132) \left( \begin{array}{ccc|ccc} 1&0&0&\frac12&1&-\frac32\\ 0&1&0&\frac12&0&\frac12\\ 0&0&1&-\frac32&-1&\frac32 \end{array} \right) を得る。よって X−1=(121−3212012−32−132). X^{-1}= \begin{pmatrix} \frac12&1&-\frac32\\ \frac12&0&\frac12\\ -\frac32&-1&\frac32 \end{pmatrix}.

最終答

a=3,X−1=(121−3212012−32−132)(a=2). a=3,\qquad X^{-1}= \begin{pmatrix} \frac12&1&-\frac32\\ \frac12&0&\frac12\\ -\frac32&-1&\frac32 \end{pmatrix} \quad(a=2).

第2問 — 基礎科目:積分と極限

広義積分の別解

公式を使わない場合は,x4+1=(x2+2x+1)(x2−2x+1)x^4+1=(x^2+\sqrt2x+1)(x^2-\sqrt2x+1) と分解して部分分数分解してもよい。 ただし計算量が増えるため,本問ではベータ関数型の標準公式を知っていると強い。

リーマン和のスケール

和の各項は (j+k)−2(j+k)^{-2} であり,j,kj,k はともに nn の大きさで動く。 したがって項は n−2n^{-2} の大きさで,項数は n2n^2 個ある。 この釣り合いに気づくと,jn,kn\frac{j}{n},\frac{k}{n} を変数にした二重積分へ自然に移れる。

基礎科目:積分と極限の途中式・最終答をPDFで見る

第3問 — 基礎科目:円板の衝突

問われている撃力の向き

最大化するのは円板間の撃力そのものではなく,円板2が拘束軸から受ける撃力である。 そのため,法線撃力 JJ の鉛直成分 Jsin⁡θJ\sin\theta を最大化する。 ここを JJ の最大化と読み替えると θ=0\theta=0 になってしまう。

接線方向のエネルギー損失

第2小問では,接触点で滑らない条件が回転を生む。 摩擦撃力は接線方向の並進エネルギーの一部を回転エネルギーへ移すが,条件として反発係数が与えられているのは法線方向だけである。 したがって損失は接線方向だけを切り出して計算するのが安全である。

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第4問 — 基礎科目:階数と正則化

階数3の意味

44 次行列の階数が3であるとは,少なくとも1つの3次小行列式が0でないということである。 これは余因子のどれかが0でないことと同値であり,そこを1だけ動かすと行列式を非零にできる。

余因子を使う理由

det⁡(B+Eij)\det(B+E_{ij}) を直接展開する必要はない。 行列式の (i,j)(i,j) 成分に関する係数が余因子である,という事実を使えば一行で判定できる。

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第5問 — 基礎科目:上限関数

最大値定理の使い方

yy の範囲がコンパクトなので,各 xx について上限は実際には最大値である。 連続性の証明では,R×[0,1]\mathbb{R}\times[0,1] 全体で一様連続とは限らない点に注意する。 固定した x0x_0 の近傍に制限してコンパクト性を使うのが正しい。

第1小問の端点判定

内部臨界点を探す前に,導関数の符号を x≥1x\ge1 の条件で評価する。 この条件により yy 方向の最大点が端点 y=0y=0 に落ちる。

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第6問 — 専門科目:連結性と核展開

連結性の判定原理

連結性の問題では,「連続像は連結」「R\mathbb{R} の連結集合は区間」という2つが中心になる。 第3小問はこの2事実をそのまま使う典型問題である。

核展開の見通し

e−nte^{-nt} があるため,t>0t>0 では指数減衰が効く。 これに φn\varphi_n の一様有界性を合わせると,点ごとの級数ではなく局所一様収束として扱える。 t↓0t\downarrow0 の極限だけは一様収束ではなく,正規直交展開の係数に戻して L2L^2 で処理する。

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第7問 — 専門科目:微分方程式と不等式

初期値問題の置換

x+yx+y が三角関数の中にまとまっているので,u=x+yu=x+y と置く。 すると du/dx=1+y′du/dx=1+y' になり,右辺の −1-1 が消える。

積分方程式は最大値で押さえる

右辺が log⁡(1+u2)\log(1+u^2) の平均なので,最大値 MM を使うと自己評価式 M≤12log⁡(1+M2) M\le\frac12\log(1+M^2) が出る。この不等式が正の MM を許さないことを示すのが核心である。

不等式の構造

最後の不等式は平均値成分と平均0成分に分ける Poincare 型不等式である。 定数は本問では鋭くなくてよく,π−2≤1\pi^{-2}\le1 で十分である。

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第8問 — 専門科目:線積分と差分法

Stokes の定理で面を選ぶ

交線は見かけより単純で,実は z=1z=1 上の単位円である。 そのため,曲面 z=x2+y2z=x^2+y^2 を使うより,平面円板を張った方が計算が短い。

離散最大原理

Lhu≥0L_hu\ge0 は離散二階差分が非負,つまり差分列が単調であることを意味する。 連続の凸関数が区間内部で真の最大を持たないことの差分版である。

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第9問 — 専門科目:剛体粒子系

自由長への変換

yn=xn−nwy_n=x_n-nw は,粒子の有限長による排除体積を取り除く変数変換である。 この変換後は,点粒子が長さ L−NwL-Nw の区間に順序を保って入る問題になる。

圧力の出し方

平均力は ∂Llog⁡ZN\partial_L\log Z_N から得る。 自由長 L−NwL-Nw が有効体積なので,理想気体の N/(βL)N/(\beta L) が N/{β(L−Nw)}N/\{\beta(L-Nw)\} に置き換わる。

混合で p0p_0 がずれる理由

長さの内部エネルギーが同じなら,平衡比率はエネルギー最小化ではなくエントロピー最大化で決まる。 短い粒子は自由体積を増やすため,単純な二項係数の最大 p=1/2p=1/2 よりも短い粒子側に寄る。

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第10問 — 専門科目:流れと非定常粘性流

速度場の幾何

第1問の速度場は原点まわりの純粋な回転流である。 動径方向成分が0なので,流線は原点中心の円になる。 aa の符号は回転向きだけを変え,囲まれる面積には影響しない。

Couette 流への収束

長時間後は時間微分が消え,速度分布は2枚の平板を結ぶ一次関数になる。 非定常部分は両端で0になる必要があるため,固有関数は正弦関数 sin⁡(nπy/h)\sin(n\pi y/h) で展開される。

専門科目:流れと非定常粘性流の途中式・最終答をPDFで見る

京大 先端数理科学コース 院試 過去問の収録5年度

  • 2025年度(このページ・全10問)

    基礎科目:行列 / 基礎科目:積分と極限 / 基礎科目:円板の衝突

  • 2024年度(全10問)

    基礎科目:広義積分 / 基礎科目:行列の階数 / 基礎科目:剛体振り子

  • 2023年度(全10問)

    基礎科目:行列 / 基礎科目:極限とべき級数 / 基礎科目:二連棒の運動

  • 2022年度(全10問)

    基礎科目:中心力散乱 / 基礎科目:行列の階数 / 基礎科目:固有値

  • 2021年度(全10問)

    行列の正則性と逆行列 / 行列多項式とトレース / 数列の収束