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京都大学 院試 過去問 解答例

京大 情報学研究科 先端数理科学コース 2025年度 院試 解答例・解説

京都大学 情報学研究科 先端数理科学コース 2025年度の院試 過去問について、設問ごとの解法方針・部分点の置き所を解説。全10問収録の解答・解説PDFと併用できます。問題本文は含みません。

最終更新:

設問ごとの解法方針・部分点の置き所を無料で公開しています。

完全な途中式・最終答は解答・解説PDFに収録しています。問題本文は含まれません。

1 — 基礎科目:行列

正則性は行列式で一気に判定する

パラメータが1個だけ入った正方行列なので,まず行列式を因数分解するのが最短である。 第1行に 00 があるため,第1行展開を選ぶと計算量が少ない。

逆行列の検算

求めた逆行列の第1列 vvXv=e1Xv=e_1 を満たす必要がある。 実際に X(121232)=(100) X\begin{pmatrix}\frac12\\[1mm]\frac12\\[1mm]-\frac32\end{pmatrix} = \begin{pmatrix}1\\0\\0\end{pmatrix} となる。同様に第2列,第3列も e2,e3e_2,e_3 を返すので,符号の取り違えを確認できる。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

2 — 基礎科目:積分と極限

広義積分の別解

公式を使わない場合は,x4+1=(x2+2x+1)(x22x+1)x^4+1=(x^2+\sqrt2x+1)(x^2-\sqrt2x+1) と分解して部分分数分解してもよい。 ただし計算量が増えるため,本問ではベータ関数型の標準公式を知っていると強い。

リーマン和のスケール

和の各項は (j+k)2(j+k)^{-2} であり,j,kj,k はともに nn の大きさで動く。 したがって項は n2n^{-2} の大きさで,項数は n2n^2 個ある。 この釣り合いに気づくと,jn,kn\frac{j}{n},\frac{k}{n} を変数にした二重積分へ自然に移れる。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

3 — 基礎科目:円板の衝突

問われている撃力の向き

最大化するのは円板間の撃力そのものではなく,円板2が拘束軸から受ける撃力である。 そのため,法線撃力 JJ の鉛直成分 JsinθJ\sin\theta を最大化する。 ここを JJ の最大化と読み替えると θ=0\theta=0 になってしまう。

接線方向のエネルギー損失

第2小問では,接触点で滑らない条件が回転を生む。 摩擦撃力は接線方向の並進エネルギーの一部を回転エネルギーへ移すが,条件として反発係数が与えられているのは法線方向だけである。 したがって損失は接線方向だけを切り出して計算するのが安全である。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

4 — 基礎科目:階数と正則化

階数3の意味

44 次行列の階数が3であるとは,少なくとも1つの3次小行列式が0でないということである。 これは余因子のどれかが0でないことと同値であり,そこを1だけ動かすと行列式を非零にできる。

余因子を使う理由

det(B+Eij)\det(B+E_{ij}) を直接展開する必要はない。 行列式の (i,j)(i,j) 成分に関する係数が余因子である,という事実を使えば一行で判定できる。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

5 — 基礎科目:上限関数

最大値定理の使い方

yy の範囲がコンパクトなので,各 xx について上限は実際には最大値である。 連続性の証明では,R×[0,1]\mathbb{R}\times[0,1] 全体で一様連続とは限らない点に注意する。 固定した x0x_0 の近傍に制限してコンパクト性を使うのが正しい。

第1小問の端点判定

内部臨界点を探す前に,導関数の符号を x1x\ge1 の条件で評価する。 この条件により yy 方向の最大点が端点 y=0y=0 に落ちる。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

6 — 専門科目:連結性と核展開

連結性の判定原理

連結性の問題では,「連続像は連結」「R\mathbb{R} の連結集合は区間」という2つが中心になる。 第3小問はこの2事実をそのまま使う典型問題である。

核展開の見通し

ente^{-nt} があるため,t>0t>0 では指数減衰が効く。 これに φn\varphi_n の一様有界性を合わせると,点ごとの級数ではなく局所一様収束として扱える。 t0t\downarrow0 の極限だけは一様収束ではなく,正規直交展開の係数に戻して L2L^2 で処理する。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

7 — 専門科目:微分方程式と不等式

初期値問題の置換

x+yx+y が三角関数の中にまとまっているので,u=x+yu=x+y と置く。 すると du/dx=1+ydu/dx=1+y' になり,右辺の 1-1 が消える。

積分方程式は最大値で押さえる

右辺が log(1+u2)\log(1+u^2) の平均なので,最大値 MM を使うと自己評価式 M12log(1+M2) M\le\frac12\log(1+M^2) が出る。この不等式が正の MM を許さないことを示すのが核心である。

不等式の構造

最後の不等式は平均値成分と平均0成分に分ける Poincare 型不等式である。 定数は本問では鋭くなくてよく,π21\pi^{-2}\le1 で十分である。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

8 — 専門科目:線積分と差分法

Stokes の定理で面を選ぶ

交線は見かけより単純で,実は z=1z=1 上の単位円である。 そのため,曲面 z=x2+y2z=x^2+y^2 を使うより,平面円板を張った方が計算が短い。

離散最大原理

Lhu0L_hu\ge0 は離散二階差分が非負,つまり差分列が単調であることを意味する。 連続の凸関数が区間内部で真の最大を持たないことの差分版である。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

9 — 専門科目:剛体粒子系

自由長への変換

yn=xnnwy_n=x_n-nw は,粒子の有限長による排除体積を取り除く変数変換である。 この変換後は,点粒子が長さ LNwL-Nw の区間に順序を保って入る問題になる。

圧力の出し方

平均力は LlogZN\partial_L\log Z_N から得る。 自由長 LNwL-Nw が有効体積なので,理想気体の N/(βL)N/(\beta L)N/{β(LNw)}N/\{\beta(L-Nw)\} に置き換わる。

混合で p0p_0 がずれる理由

長さの内部エネルギーが同じなら,平衡比率はエネルギー最小化ではなくエントロピー最大化で決まる。 短い粒子は自由体積を増やすため,単純な二項係数の最大 p=1/2p=1/2 よりも短い粒子側に寄る。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

10 — 専門科目:流れと非定常粘性流

速度場の幾何

第1問の速度場は原点まわりの純粋な回転流である。 動径方向成分が0なので,流線は原点中心の円になる。 aa の符号は回転向きだけを変え,囲まれる面積には影響しない。

Couette 流への収束

長時間後は時間微分が消え,速度分布は2枚の平板を結ぶ一次関数になる。 非定常部分は両端で0になる必要があるため,固有関数は正弦関数 sin(nπy/h)\sin(n\pi y/h) で展開される。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

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