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京都大学 院試 過去問 解答例

京大 情報学研究科 先端数理科学コース 2024年度 院試 過去問 解答例・解説(全10問)

全10問。微分積分・解析2問・線形代数1問。テーマタグは7件(固有値・固有ベクトル・線形空間・基底・留数定理)。2023年度と共通のテーマは固有値・固有ベクトル・線形空間・基底・留数定理。

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解説10問と大問1問の途中式・最終答(全10問)
解答PDFに収録
途中式と最終答(最終答つき10問)
問題本文
非収録

京大 先端数理科学コース 2024年度 院試 過去問の出題内容(全10問)

この10問の分野は微分積分・解析2問・線形代数1問です。

大問分野主題解説の小見出し最終答
第1問微分積分・解析広義積分フーリエ変換として見る / 閉じる向きあり
第2問線形代数行列の階数3行4列行列の階数判定 / 核の次元あり
第3問剛体振り子重心は棒の中央 / 反力は並進運動から出すあり
第4問微分積分・解析微分不等式積分因子 / 非負性の役割あり
第5問内積空間射影を引く / 直交性保存から等長性へあり
第6問測度と位相コンパクト性の使いどころ / 収束集合は可算操作で書くあり
第7問—専門科目:微分方程式と線積分初期値問題の見方 / 線積分は巻き数あり
第8問—専門科目:面積分と差分法発散定理のために底面を足す / 差分方程式の一意性あり
第9問平均場スピン模型平均場の二重数え補正 / 4次係数の意味あり
第10問粘性流体壁面せん断応力 / 圧縮性補正の考え方あり

2024年度の出題テーマと、同じテーマを出した他大学・他年度

この年度は6問に7テーマが出ています。

前年度(2023年度)との違い

大問数
2023年度 10問 → 2024年度 10問
2024年度で新しく出たテーマ
フーリエ変換・ヒルベルト空間
2023年度のページを見る

第1問 — 基礎科目:広義積分

フーリエ変換として見る

標準公式 ∫−∞∞eitx1+x2 dx=πe−∣t∣ \int_{-\infty}^{\infty}\frac{e^{itx}}{1+x^2}\,dx=\pi e^{-|t|} の t=1t=1 の場合である。公式を覚えていなくても,上半平面に閉じる留数計算で短く出せる。

閉じる向き

eiz=eix−ye^{iz}=e^{ix-y} なので,上半平面では指数的に減衰する。 そのため上半平面に閉じ,極 z=iz=i だけを拾えばよい。

解答

求める積分を I=∫−∞∞cos⁡x1+x2 dx I=\int_{-\infty}^{\infty}\frac{\cos x}{1+x^2}\,dx とおく。これは ∫−∞∞eix1+x2 dx \int_{-\infty}^{\infty}\frac{e^{ix}}{1+x^2}\,dx の実部である。

上半平面の半円を用いて F(z)=eiz1+z2 F(z)=\frac{e^{iz}}{1+z^2} を積分する。上半平面内の極は z=iz=i のみであり, Res⁡z=iF(z)=lim⁡z→ieizz+i=e−12i. \operatorname*{Res}_{z=i}F(z) =\lim_{z\to i}\frac{e^{iz}}{z+i} =\frac{e^{-1}}{2i}. Jordan の補題により,上半円弧上の積分は半径を無限大にすると0に収束する。 したがって ∫−∞∞eix1+x2 dx=2πi⋅e−12i=πe. \int_{-\infty}^{\infty}\frac{e^{ix}}{1+x^2}\,dx =2\pi i\cdot \frac{e^{-1}}{2i} =\frac{\pi}{e}. 右辺は実数なので,実部を取って I=πe. I=\frac{\pi}{e}.

最終答

∫−∞∞cos⁡x1+x2 dx=πe. \int_{-\infty}^{\infty}\frac{\cos x}{1+x^2}\,dx=\frac{\pi}{e}.

第2問 — 基礎科目:行列の階数

3行4列行列の階数判定

最大階数は3である。したがって階数が2以下かどうかは,3列を選んだ小行列式が全て0になるかで判定できる。 本問では det⁡(c2,c3,c4)=4a\det(c_2,c_3,c_4)=4a が先に a=0a=0 を強制するので,条件が一気に絞れる。

核の次元

線形写像 R4→R3\mathbb{R}^4\to\mathbb{R}^3 では dim⁡ker⁡A=4−rank⁡A \dim\ker A=4-\operatorname{rank}A である。階数2と階数3で核の次元がそれぞれ2と1に変わる点を押さえる。

基礎科目:行列の階数の途中式・最終答をPDFで見る

第3問 — 基礎科目:剛体振り子

重心は棒の中央

棒の長さは 2ℓ2\ell なので,支点から重心までの距離は ℓ\ell である。 慣性モーメントは点質量ではなく一様棒として I=13M(2ℓ)2 I=\frac13M(2\ell)^2 を使う。

反力は並進運動から出す

角運動方程式だけでは支点反力は出ない。 重心の加速度を求めたうえで,重心に対する運動方程式 Ma=Mg ex+R M a = Mg\,e_x + R を使うのが確実である。

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第4問 — 基礎科目:微分不等式

積分因子

第1小問は ete^t,第2小問は g=e−tyg=e^{-t}y と置いた後の e2te^{2t} が積分因子になる。 微分不等式では,単調量を作ることが最初の一手である。

非負性の役割

単に y′′+2y′≤0y''+2y'\le0 だけでは yy の下方向の挙動を制御しにくい。 しかしここでは g≥0g\ge0,すなわち y=etg≥0y=e^tg\ge0 があるため,yy が無限に下がることはできない。 その結果,yy は有界に保たれ,最後に e−te^{-t} が効いて g(t)→0g(t)\to0 となる。

基礎科目:微分不等式の途中式・最終答をPDFで見る

第5問 — 基礎科目:内積空間

射影を引く

∑i(u,ei)ei \sum_i(u,e_i)e_i は uu の span⁡{e1,…,en}\operatorname{span}\{e_1,\dots,e_n\} への直交射影である。 したがって vv はその直交補成分になり,各 eie_i と直交する。

直交性保存から等長性へ

直交性を保存するだけでは,写像は定数倍の等長写像である可能性が残る。 そこで「少なくとも一つの非零ベクトルでノルムが一致する」という条件が,その定数倍を1に固定する。

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第6問 — 専門科目:測度と位相

コンパクト性の使いどころ

局所有限性に近い仮定から全体の有限性を出すには,有限部分被覆を取る。 ここでコンパクト性を使わないと,有限測度の小球で覆えても全体測度が有限とは限らない。

収束集合は可算操作で書く

点列の収束は ∀m ∃N ∀n≥N \forall m\ \exists N\ \forall n\ge N という形で表される。これは可算個の共通部分・和集合で書けるため,可測性が保たれる。

専門科目:測度と位相の途中式・最終答をPDFで見る

第7問 — 専門科目:微分方程式と線積分

初期値問題の見方

そのまま yy を未知関数として解こうとすると非線形に見える。 しかし xx を yy の関数とし,cos⁡x\cos x を未知関数にすると一次線形方程式になる。

線積分は巻き数

形式 −y dx+x dyx2+y2 \frac{-y\,dx+x\,dy}{x^2+y^2} は原点を除く平面で darg⁡(x+iy)d\arg(x+iy) に等しい。 原点を反時計回りに1回囲むので値は 2π2\pi になる。

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第8問 — 専門科目:面積分と差分法

発散定理のために底面を足す

放物面だけを直接積分してもよいが,Δf=4\Delta f=4 と非常に簡単なので,底面を加えて閉曲面にするのが速い。 底面の向きが下向きになる点だけ注意する。

差分方程式の一意性

同次方程式に解を掛けて和を取ると,連続の場合の ∫u′′u=−∫(u′)2 \int u''u=-\int (u')^2 に対応する離散エネルギー等式が出る。これに a>0a>0 が加わるため,零解しか残らない。

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第9問 — 専門科目:平均場スピン模型

平均場の二重数え補正

NJq2m2\frac{NJq}{2}m^2 は相互作用を平均場で置き換えたときの二重数えを補正する項である。 これを落とすと自由エネルギーの m2m^2 係数がずれ,臨界条件も誤る。

4次係数の意味

4次係数が正なら,m=0m=0 の不安定化と同時に連続的に非零解が出る。 4次係数が負で6次係数が正なら,m=0m=0 がまだ局所安定なうちに別の極小が現れるため,不連続な一次転移になる。

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第10問 — 専門科目:粘性流体

壁面せん断応力

二次元Newton流体では接線応力に μ(uy+vx) \mu(u_y+v_x) が現れる。uyu_y だけでなく vxv_x も含める点に注意する。

圧縮性補正の考え方

ρ=ρ0+εp\rho=\rho_0+\varepsilon p なので,1次近似では ρ=ρ0+εP\rho=\rho_0+\varepsilon P としてよい。 連続の式がまず fxf_x を決め,運動方程式と圧力境界条件が残りの yy 依存部分を決める。

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京大 先端数理科学コース 院試 過去問の収録5年度

  • 2025年度(全10問)

    基礎科目:行列 / 基礎科目:積分と極限 / 基礎科目:円板の衝突

  • 2024年度(このページ・全10問)

    基礎科目:広義積分 / 基礎科目:行列の階数 / 基礎科目:剛体振り子

  • 2023年度(全10問)

    基礎科目:行列 / 基礎科目:極限とべき級数 / 基礎科目:二連棒の運動

  • 2022年度(全10問)

    基礎科目:中心力散乱 / 基礎科目:行列の階数 / 基礎科目:固有値

  • 2021年度(全10問)

    行列の正則性と逆行列 / 行列多項式とトレース / 数列の収束