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京都大学 院試 過去問 解答例

京大 情報学研究科 先端数理科学コース 2021年度 院試 解答例・解説

京都大学 情報学研究科 先端数理科学コース 2021年度の院試 過去問について、設問ごとの解法方針・部分点の置き所を解説。全10問収録の解答・解説PDFと併用できます。問題本文は含みません。

最終更新:

設問ごとの解法方針・部分点の置き所を無料で公開しています。

完全な途中式・最終答は解答・解説PDFに収録しています。問題本文は含まれません。

1 — 行列の正則性と逆行列

正則性は行列式で一発判定

正方行列が正則でないことと行列式が 00 であることは同値である。ここでは行列式が一次式 3(a7)3(a-7) になるため,候補は一つしかない。

逆行列の検算

逆行列は余因子で求めても,掃き出しで求めてもよい。最後に例えば第1行と第1列の積が 123+1(1)+223=1 1\cdot \frac23+1\cdot(-1)+2\cdot\frac23=1 となることを確認しておくと,符号ミスを発見しやすい。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

2 — 行列多項式とトレース

行列方程式から固有値方程式へ

p(A)=Op(A)=O なら,AA の固有値 λ\lambdap(λ)=0p(\lambda)=0 を満たす。これは行列多項式問題の基本手筋である。

トレースの巡回性

有限次元では tr(BC)=tr(CB)\operatorname{tr}(BC)=\operatorname{tr}(CB) は成分計算だけで示せる。より一般には積が定義できるサイズなら tr(ABC)=tr(BCA)\operatorname{tr}(ABC)=\operatorname{tr}(BCA) のような巡回性も成り立つが,順序を任意に入れ替えられるわけではない。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

3 — 数列の収束

差分を幾何級数で抑える

第1小問は,数列そのものではなく差分 an+1an|a_{n+1}-a_n| が縮むことを見る問題である。差分の和が幾何級数で抑えられれば Cauchy 性が従う。

漸化式は2ステップ差分を見る

xn+1=p+1/xnx_{n+1}=p+1/x_n は単調性だけでは扱いにくい。しかし差を取ると反転写像の形が効いて, xn+2xn+1=xn+1xnxnxn+1 |x_{n+2}-x_{n+1}|=\frac{|x_{n+1}-x_n|}{x_nx_{n+1}} となる。ここで xnxn+1>1x_nx_{n+1}>1 を一様に強めて評価するのが要点である。

極限値で検算する

収束が分かった後,極限を LL とおけば L=p+1L L=p+\frac1L である。正の極限なので L=p+p2+42 L=\frac{p+\sqrt{p^2+4}}{2} となり,漸化式の挙動と整合している。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

4 — 有理関数の広義積分

ベータ関数型の標準積分

0xα11+xβdx \int_0^\infty \frac{x^{\alpha-1}}{1+x^\beta}\,dx は院試で頻出の標準積分である。xβ=t/(1t)x^\beta=t/(1-t) でベータ関数に帰着するか,扇形輪郭積分で評価できる。

収束条件の確認

原点近くでは被積分関数は xx 程度,無限遠では x2x^{-2} 程度である。したがって広義積分は両端で収束しており,公式の適用条件 0<2<30<2<3 とも一致する。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

5 — 円に拘束された質点とばね

角度が半角として入る

APAP が鉛直方向となす角を θ\theta とすると,中心角は 2θ2\theta である。このため速さは v=2Rθ˙v=2R\dot\theta となる。ここを Rθ˙R\dot\theta とすると,モーメントや時間比較の係数が崩れる。

ばねは縮んでいる

AP=2RcosθAP=2R\cos\theta なので,頂上以外では AP<2RAP<2R である。ばねは伸びているのではなく縮んでおり,ばね力は質点を AA から遠ざける向きに働く。符号を考えると,ばねのモーメントは θ\theta を減らす向きである。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

6 — 境界値のヒルベルト変換とLipschitz空間

平均値条件の役割

正則関数の実部と虚部は境界上で共役関係を持つが,定数の実部は Hilbert 変換では復元できない。そこで u=0\int u=0 が必要になる。

完備性は一様収束と傾きの制御

Lipschitz ノルムは「関数値の一様ノルム」と「傾きの一様評価」の和である。一様収束だけでは極限の Lipschitz 性は自動では出ないため,差商の Cauchy 性を極限へ渡す部分を書くことが重要である。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

7 — 常微分方程式・線積分・台形公式・分枝

閉形式と単連結性

P/y=Q/x\partial P/\partial y=\partial Q/\partial x は局所的にはポテンシャルの存在を示す条件である。単連結性があるため,閉曲線上の積分がすべて 00 になり,大域的な経路独立性が得られる。

台形公式の評価

台形公式は1区間あたり O(h3)O(h^3) の誤差を持つ。区間数が NN 個なので全体では NO(h3)=O(N2)NO(h^3)=O(N^{-2}) となる。

平方根の跳び

負の実軸は主値平方根の分枝切断である。上側から近づくか下側から近づくかで極限値の符号が変わるため,虚部の符号判定が決定的である。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

8 — 広義積分・曲面積分・Jacobi法

実関数の可除特異点

x=±π/2x=\pm\pi/2 では cosx\cos x4x2π24x^2-\pi^200 になる。複素指数関数で処理すると主値積分の公式が自然に現れるが,最終的な実積分は有限値を持つ。

曲面積分はStokesで境界へ落とす

直接パラメータ表示して面積分を計算するより,×A\nabla\times A の流束であることに注目して Stokes の定理を使う方が短い。境界の向きだけを誤らないようにする。

ランク1行列の特異値

W=uvTW=uv^T はランク1で,非零特異値は uv\|u\|\,\|v\| だけである。ブロック Jacobi の収束判定もこの値に集約される。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

9 — 離散準位・理想気体・吸着

4状態は2状態の直積

0,ε,ε,2ε0,\varepsilon,\varepsilon,2\varepsilon という縮退つきスペクトルは,独立な2準位系2個の和である。そのため分配関数が (1+eβε)2(1+e^{-\beta\varepsilon})^2 となり,比熱も2倍になる。

吸着はFermi型の占有率

1つの吸着点には粒子が0個か1個しか入らない。したがって平均占有率は eβ(μ+ε)1+eβ(μ+ε) \frac{e^{\beta(\mu+\varepsilon)}}{1+e^{\beta(\mu+\varepsilon)}} という Fermi 型の形になる。ここで ε-\varepsilon が吸着エネルギーなので,ε>0\varepsilon>0 は吸着が有利な場合である。

グラフの概形

ε>0\varepsilon>0 では低温でほぼ全吸着,高温で脱着する単調減少型になる。ε<0\varepsilon<0 では低温でも吸着が不利で,高温では熱波長因子が小さくなるため,途中に山を持つ。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

10 — 流線関数と平行平板間の粘性流

流線関数の符号

ここでは u=fyu=f_y, v=fxv=-f_x である。この符号なら渦度は vxuy=Δf \frac{\partial v}{\partial x}-\frac{\partial u}{\partial y} =-\Delta f となる。循環の符号はこの一点で決まる。

圧力は外力のつり合いから先に決まる

平行流では yy 方向速度がないため,yy 方向の式は圧力勾配と外力の静的つり合いになる。そこから px=ayp_x=ay が出て,xx 方向の粘性方程式に入る。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

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