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東京科学大学 院試 過去問 解答例

東工大 理学院 物理学系 物理学コース 物理 2024年度 院試 解答例・解説

東京科学大学 理学院 物理学系 物理学コース 物理 2024年度の院試 過去問について、設問ごとの解法方針・部分点の置き所を解説。全6問収録の解答・解説PDFと併用できます。問題本文は含みません。

最終更新:

設問ごとの解法方針・部分点の置き所を無料で公開しています。

完全な途中式・最終答は解答・解説PDFに収録しています。問題本文は含まれません。

1 — 剛体球の弾性衝突

方針

衝突時間は短いので,重力の力積は無視し,床からの力積だけで速度の飛びを 記述する。水平力積 JJ は並進速度を変える一方,同じ力積が接地点で働くた め角速度も変える。符号を間違えないためには,正の角速度で接地点が左向き に動くことを先に確認しておくとよい。

検算

得られた変換は S2=E,vx2+25(aω)2=vx2+25(aω)2 S^2=E,\qquad v_x'^2+\frac{2}{5}(a\omega')^2 =v_x^2+\frac{2}{5}(a\omega)^2 を満たす。つまり,同じ衝突をもう一度作用させると元に戻り,運動エネルギー も保存する。これは弾性衝突として自然な反射になっていることを示している。

典型ミス

I(ωω)=+aJI(\omega'-\omega)=+aJ としてしまうと,接地点速度の反転 ux=uxu_x'=-u_x が出ない。図の角速度の正方向では,+x+x 方向の摩擦力は正の 自転を減らす向きのトルクを与える。

軌跡の見方

λ=1: vx=aω \lambda=1:\ v_x=a\omega では衝突前から接地点が床に対して滑らないので,水平方向の力積は 0 である。 各跳躍は同じ水平速度をもつ放物線になる。一方 λ=1: vx=25aω \lambda=-1:\ v_x=-\frac{2}{5}a\omega では衝突ごとに水平速度が反転する。同じ高さへ戻る理想的な跳躍を考えると, 左右に往復する概形になる。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

2 — 同軸ケーブル

方針

同軸ケーブルは円筒対称性が強いので,電場はガウスの法則,磁場はアンペール の法則でほぼ一行で決まる。重要なのは,どの半径でどれだけの電荷・電流が 囲まれるかを領域ごとに分けることである。

エネルギーから定数を読む

電気容量は UE=C0V2/2U_E=C_0V^2/2 から読んでもよいが,この問題では C0=λ/VC_0=\lambda/V の方が短い。インダクタンスは UB=L0I2/2U_B=L_0I^2/2 から読む。内導体内部の磁場エネルギー μ0I2/(16π)\mu_0I^2/(16\pi) を落とすと,直流の L0L_0 が不足する。

表皮効果の意味

高周波で電流が導体表面に偏ると,導体内部に磁場が入りにくくなる。したがっ て磁場エネルギーが小さくなり,実効インダクタンスも小さくなる。答案では 「表皮効果」と「内部磁場エネルギーの減少」を両方書くと理由が明確である。

検算

交流表面電流の場合, L0acC0=(μ02πlogba)(2πε0log(b/a))=μ0ε0 L_0^{\mathrm{ac}}C_0 =\left(\frac{\mu_0}{2\pi}\log\frac{b}{a}\right) \left(\frac{2\pi\varepsilon_0}{\log(b/a)}\right) =\mu_0\varepsilon_0 となり,幾何学的な比 b/ab/a が消える。真空中の電磁波速度と一致するので, 結果の物理的な整合性が確認できる。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

3 — 線形代数・微分方程式・フーリエ積分

方針

微分方程式は,そのまま f,gf,g を解こうとすると非線形で扱いにくい。指定さ れた置換を行うと F=FG,G=F2 F'=FG,\qquad G'=F^2 となり,保存量 F2G2F^2-G^2 がただちに見える。境界条件が定数の値を決める ところまでがこの設問の狙いである。

原点での級数

原点条件から a0=1, b0=0a_0=1,\ b_0=0 を先に入れる。xg=g+1f2xg'=g+1-f^2 の右辺では 1f21-f^2 の定数項が消えるため,1 次係数の比較で a1=0a_1=0 が強制される。 ここを曖昧にすると b2=2a2b_2=-2a_2 の符号を誤りやすい。

積分の検算

k=0k=0 とおくと dxcoshx=π \int_{-\infty}^{\infty}\frac{dx}{\cosh x}=\pi であり,得られた式も π/cosh0=π\pi/\cosh0=\pi を返す。また k|k| が大きいと 指数的に小さくなるので,滑らかな関数のフーリエ変換として自然である。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

4 — 一次元束縛状態と三準位近似

方針

前半は一次元束縛状態の標準問題である。偶ポテンシャルなので偶奇性で分類し, 有限井戸では外側を指数関数,内側を三角関数でつなぐ。3 状態存在条件は 「第 2 偶状態が束縛される条件」と読むと短い。

3 状態条件の見方

有限井戸の状態数は q2+p2=ρ2 q^2+p^2=\rho^2 の円と,qtanq=pq\tan q=pqcotq=p-q\cot q=p の交点の数で決まる。第 1 偶状態, 第 1 奇状態に続く第 2 偶状態は q=πq=\pi を越えたところで初めて現れる。 等号では外側の減衰率が 0 となり,正規化可能な束縛状態ではないため条件は 厳密に >> である。

三準位近似の注意

x^\hat x は偶奇性を反転する演算子なので,対角成分は 0 である。摂動 Fx^-F\hat x による基底状態の 1 次補正では 0|0\rangle と直接結合するのは 1|1\rangle だけで,2|2\rangle は寄与しない。この選択則を書いてから計算 すると,符号と係数 1/21/\sqrt2 を落としにくい。

検算

初期状態の期待値は x(0)=2p032(11)=0 \langle x\rangle(0) =\frac{2p_0}{3\sqrt2}(1-1)=0 である。これは初期ベクトルの 0--1 間の寄与と 1--2 間の寄与が,行列要素の 符号差で打ち消すことに対応している。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

5 — 吸着平衡と三準位固体

方針

吸着問題は,吸着サイトの組合せエントロピーと気体の自由エネルギーを足し, nn で最小化するだけでよい。NMN\gg M の条件は,気相分子数を NnNN-n\simeq N と近似してラングミュア型の簡単な形にするために使う。

化学ポテンシャルで見る

平衡条件は ε+kBTlogθ1θ=kBTlogNλT3V -\varepsilon+k_BT\log\frac{\theta}{1-\theta} =k_BT\log\frac{N\lambda_T^3}{V} である。左辺の ε-\varepsilon は吸着でエネルギーが下がる効果,対数項は 吸着サイトを埋めることによる配置エントロピーの損失を表す。

三準位固体の極限

低温ではエネルギー ε-\varepsilon の 2 重縮退した状態だけが占有されるので SNkBlog2S\to Nk_B\log2 となる。高温では 3 状態が等確率になり SNkBlog3S\to Nk_B\log3 である。比熱は低温でも高温でも 0 に近づくため,典型的な Schottky 型の山を描く。

典型ミス

吸着分子数を nn としたとき,気体分子数は NnN-n である。自由エネルギーを 微分する段階でここを NN のまま扱うと,平衡条件の導出が不明確になる。 最後に NMN\gg M を使って NnNN-n\simeq N とする順序が安全である。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

6 — 実験物理の小問

方針

この大問は短い実験系の設問を確実に処理する問題である。数値問題では, 何を読んだか,どの近似を使ったか,有効数字をどう丸めたかを答案に残すと 採点者に伝わりやすい。

霧箱の数値

6.66MeV6.66\,\mathrm{MeV}3.7GeV3.7\,\mathrm{GeV} に比べて十分小さいので, K=mv2/2K=mv^2/2 の非相対論近似でよい。相対論式を使っても差はこの有効数字では 現れない。

回路の典型ミス

帰還抵抗 RfR_f とコンデンサー CC を並列にするのがローパスである。入力側 や帰還の直列に入れると伝達関数が変わり,低周波ゲイン 20 と 100Hz100\,\mathrm{Hz} 付近のカットオフを同時に満たせない。1kΩ1\,\mathrm{k\Omega} を 2 本並列に使う発想が抵抗 3 個制限の要点である。

グラフ改善の要点

理論式が指数関数なら,通常の RR--TT グラフでは曲線の一致を目視しにくい。 logR\log R--1/T1/T プロットにすれば理論曲線は直線になり,傾きが BB,切片が logR()\log R(\infty) になる。摂氏温度のまま逆数を取らないことも重要である。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

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