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東京科学大学 院試 過去問 解答例

東京科学大 生命理工学院 生命理工学系 生命理工学系 専門科目 2021年度 院試 解答例・解説

東京科学大学 生命理工学院 生命理工学系 生命理工学系 専門科目 2021年度の院試 過去問について、設問ごとの解法方針と確認点を解説。全8問収録の解答・解説PDFと併用できます。問題本文は含みません。

最終更新:

設問ごとの解法方針と確認点を公開しています。

続きの途中式・最終答は解答・解説PDFに収録しています。問題本文は含まれません。

1 — エネルギー代謝とシトクロムc

方針

第1問は、空欄補充だけでなく、代謝制御の意味、内部標準としての妥当性、吸光度からの酵素活性計算まで問う総合問題である。解糖系では「投資段階で2 ATPを使い、回収段階で4 ATPを作る」ので、純生成量2 ATPと混同しない。

根拠

PFK1は解糖系の代表的な律速酵素で、ATPとクエン酸はエネルギー充足・TCA回路中間体充足を示すシグナルである。乳酸発酵の中心は乳酸そのものの生成ではなく、NAD+^+再生により解糖系を止めない点にある。

シトクロムcの計算では、吸光度変化を「還元型が酸化型に変わったことによる吸光係数差」で濃度変化に直す。反応液全体の体積は添加後の1.5 mL、酵素量は添加前の酵素溶液1.0 mL中の量である。

検算・典型ミス

比活性は 0.10/(20×1.0)=0.005 mM 0.10/(20\times 1.0)=0.005\ \mathrm{mM} を出発点にすると単位を追いやすい。ここを 0.005 M0.005\ \mathrm{M} と誤ると1000倍ずれる。GAPDHを内部標準にする理由は「発現が常に完全一定」ではなく「多くの条件で比較的安定な基礎代謝遺伝子として使える」ことであり、答案ではその限定を入れるとよい。

続きの解答(途中式・最終答)はPDFに収録

2 — 膜電位と神経細胞

方針

膜電位は、符号を外液基準で判断する。K+^+は外へ出る向きの濃度勾配が大きいため、細胞内を負にする方向へ進む。Na+^+は外が高濃度なので、平衡電位は正になる。

根拠

ネルンスト式の対数の中身は「外側/内側」である。K+^+では 10/150<110/150<1 なので負、Na+^+では 140/14=10140/14=10 なので正である。37 ℃の係数は約61.5 mVで、常温の約58 mVとは少し異なる。

検算・典型ミス

静止膜電位の説明では、Na+^+/K+^+-ATPaseだけで電位が作られるように書くと不十分である。ポンプは濃度勾配の維持に重要だが、静止時に膜電位をK+^+平衡電位へ近づける直接の主役はカリウム漏洩チャネルである。細胞移動の自律性は、全身ノックアウト同士の比較だけでは判定できないため、細胞の遺伝子型と環境の遺伝子型を分離する実験を書く。

続きの解答(途中式・最終答)はPDFに収録

3 — DNA構造と生物分類

方針

DNA構造では、糖の番号を正確に押さえる。主鎖は3'水酸基と5'リン酸のホスホジエステル結合で伸び、塩基は1'炭素にN-グリコシド結合で結合する。

根拠

転写産物の配列は、鋳型鎖と相補的で、非鋳型鎖とはTをUに置き換えた配列になる。図では転写方向が左から右であるため、転写開始点を含む非鋳型鎖側の配列を5'側から読む。

検算・典型ミス

サンガー法は「2'ではなく3'のOHがない」ことが本質である。2'OHの有無はRNAとDNAの違いに対応する。EMSAでは、単にバンドが上にずれると書くだけでなく、強弱を比べるには競合実験または濃度系列を使うことを書くと答案として完成する。

続きの解答(途中式・最終答)はPDFに収録

4 — タンパク質構造と機能

方針

配列問題は、個々のアミノ酸をすべて分類するより、連続した疎水性残基、塩基性残基の偏り、ロイシンの周期性を見る。ヘリックスは約3.6残基で1回転するため、7残基ごとのロイシンは同じ面に並びやすい。

根拠

小胞体移行シグナルは疎水性ヘリックスとしてSRPに認識される。ミトコンドリア移行シグナルは、正電荷と疎水性面を持つ両親媒性ヘリックスである。ロイシンジッパーはロイシンの周期配置によって疎水面を作り、二量体化を促す。

検算・典型ミス

「Aの量が変わらないのにBが減る」問題では、mRNA発現量低下だけを答えると、複合体形成という設問情報を使えていない。タンパク質複合体では、結合相手が安定性を担うことが多い。過剰発現変異体の問題では、野生型の発現量が保たれている点から、転写抑制ではなく複合体形成相手の隔離を考える。

続きの解答(途中式・最終答)はPDFに収録

5 — 有機構造決定と反応

方針

NMR構造決定では、まず不飽和度とシグナル数を見る。Aは13{}^{13}Cが2本しかないため高対称で、1{}^{1}Hの6H一重線から2つの等価なメチル基がカルボニルに隣接すると分かる。Bも13{}^{13}Cが2本で対称性が高く、4.2 ppmの4H一重線は酸素に隣接した等価な CH2\mathrm{CH_2} を示す。Cは大きな J=16.8 HzJ=16.8\ \mathrm{Hz}10.0 Hz10.0\ \mathrm{Hz} をもつビニル基が決め手である。

根拠

IIでは、PCCが第一級アルコールをアルデヒドで止めるためGはアセトアルデヒドである。Grignard試薬のアルデヒド付加では、アルデヒド由来の炭素が二級アルコール炭素になる。最後の塩基処理ではザイツェフ則により、環外二重結合を持つより置換されたアルケンが主生成物となる。

検算・典型ミス

酢酸ビニルCでは、CH3COO\mathrm{CH_3COO-} のメチルが2.1 ppm一重線、ビニルプロトンが3本の相互カップリングを示す。Bを環状アセタールなどにすると不飽和度や13{}^{13}Cの83.7 ppmを説明しにくい。IIIのNはDiels--Alder反応なので、通常はendo付加体を書くのが試験答案として安全である。

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6 — 有機合成経路と反応性

方針

合成経路は、官能基変換を1段階ずつ読む。エステルを第一級アルコールへ落とすならLiAlH4、ケトン保護ならエチレングリコール、エステルを酸にして酸塩化物へ変え、有機銅試薬でケトンへ止める流れが自然である。

根拠

HBrのアルケン付加は、過酸化物があるとラジカル機構になり、Brラジカルがより安定な炭素ラジカルを生む向きに付加する。その結果、見かけ上Brは反Markovnikov位置に入る。過酸化物がなければカルボカチオンを経るため、より安定なカチオンを与えるMarkovnikov付加となる。

検算・典型ミス

シクロヘキセンは対称アルケンなので、過酸化物の有無で位置異性体は変わらない。IIIの電子の矢印は、電子対を持つ側から電子不足のH+^+へ向かう。SN1ではアリルカチオンを作れる基質が速く、ビニル塩化物はC--Cl結合が切れにくくSN1に不利である。

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7 — 相平衡とギブズエネルギー

方針

相平衡では、安定相はモルギブズエネルギーが最小の相である。温度変化では傾きが Sm-S_m、圧力変化では傾きが VmV_m と考えると、式とグラフが同じ内容としてつながる。

根拠

完全気体の圧力依存性は Vm=RT/pV_m=RT/pdGm=VmdpdG_m=V_mdp に代入するだけで導ける。温度依存性は dGm=SmdTdG_m=-S_mdT で、エントロピーが一定なら直線になる。

検算・典型ミス

ΔGm,T=RTln(p2/p1)\Delta G_{m,T}=RT\ln(p_2/p_1) は、圧縮で p2>p1p_2>p_1 なら正、膨張で p2<p1p_2<p_1 なら負になる。相変化の発熱・吸熱は、分子間相互作用を切る向き、すなわち固体から液体、液体から気体、固体から気体が吸熱である。

続きの解答(途中式・最終答)はPDFに収録

8 — 平衡透析とScatchard解析

方針

平衡透析では、半透膜を通過できるリガンドの遊離濃度は左右で等しくなる。右室で測定した CLFC_{LF} を、左室中の遊離リガンド濃度として使える点が出発点である。

根拠

CPFC_{PF} は「タンパク質濃度」ではなく「空いている結合部位の濃度」である。結合部位は全部で nCPInC_{PI}、そのうち CLBC_{LB} が占有済みなので、空きは nCPICLBnC_{PI}-C_{LB} となる。ここを正しく置くと、Scatchard式は一次式として自然に出る。

検算・典型ミス

横軸切片は r/CLF=0r/C_{LF}=0 から r=nr=n である。縦軸切片は r=0r=0 から KnKn、傾きは K-K である。実データでは r=1,1.5,2,3r=1,1.5,2,3 に対し r/CLFr/C_{LF} がほぼ 6,5,4,26,5,4,2 ×106\times 10^6 と等間隔に下がるので、傾き 2.0×106-2.0\times 10^6 と切片 8.0×1068.0\times 10^6 が検算になる。

続きの解答(途中式・最終答)はPDFに収録

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