院試hub

電気通信大学 院試 過去問 解答例

電通大 情報理工学研究科 情報学専攻 専門科目(情報学) 2022年度 院試 過去問 解答例・解説(全2問)

全2問。線形代数1問・微分積分・解析1問。テーマタグは1件(固有値・固有ベクトル)。

最終更新:

このページで公開
解説2問と大問1問の途中式・最終答(全2問)
解答PDFに収録
途中式と最終答(最終答つき2問)
問題本文
非収録

電通大 専門科目(情報学) 2022年度 院試 過去問の出題内容(全2問)

この2問の分野は線形代数1問・微分積分・解析1問です。

大問分野主題解説の小見出し最終答
第1問線形代数—固有値の見通し / 行列多項式の考え方あり
第2問微分積分・解析微分積分極値判定 / 陰関数の接線あり

この年度の解説には採点の置き所2件・検算1件・典型ミス1件が付いています。

2022年度の出題テーマと、同じテーマを出した他大学・他年度

この年度は1問に1テーマが出ています。

テーマこの年度全体の出題実績他大学の直近出題
固有値・固有ベクトル第1問25大学・544問

第1問 — 線形代数

固有値の見通し

この行列は対称行列なので,異なる固有値に属する固有ベクトルは直交する。実際, (1,1,1)T(1,1,1)^T に作用させると A(1,1,1)T=3(1,1,1)T A(1,1,1)^T=3(1,1,1)^T となるため,最大固有値の候補 33 はすぐに見つかる。残りは特性多項式で確定させるのが確実である。

行列多項式の考え方

aA2+bA+cE=OaA^2+bA+cE=O のような式は,固有ベクトルに作用させてスカラーの条件に落とすのが基本である。今回は三つの異なる固有値があるので,二次式が三点で消えることになり,係数がすべて零であると分かる。

Cayley--Hamilton の使いどころ

三次式の行列等式を求める部分では,特性多項式をそのまま行列に代入する。符号を間違えやすいので, (λ−3)(λ−1)(λ+3) (\lambda-3)(\lambda-1)(\lambda+3) を一度展開してから係数を読むとよい。

採点の置き所

この問題では,特性多項式の計算,最大固有値に対応する固有ベクトル,行列多項式を固有ベクトルへ作用させる発想,Cayley--Hamilton の係数読み取りがそれぞれ独立に採点されやすい。特に q(A)=O⇒q(λi)=0 q(A)=O \quad\Rightarrow\quad q(\lambda_i)=0 を三つの固有値すべてに対して書けば,二次多項式が零多項式になる理由が明確になる。

典型ミス

det⁡(A−λE)\det(A-\lambda E) と det⁡(λE−A)\det(\lambda E-A) では全体の符号が変わるが,固有値は変わらない。途中で特性多項式の符号だけを見て係数 s,t,us,t,u を読むと, A3−A2−9A+9E=O A^3-A^2-9A+9E=O の符号を逆にしやすい。最後に A(1,1,1)T=3(1,1,1)TA(1,1,1)^T=3(1,1,1)^T を代入して,最大固有値の答と整合しているかを確認するとよい。

解答

行列 A=(1202−12021) A= \begin{pmatrix} 1&2&0\\ 2&-1&2\\ 0&2&1 \end{pmatrix} の固有値を求める。特性多項式は det⁡(A−λE)=∣1−λ202−1−λ2021−λ∣=−(λ−3)(λ−1)(λ+3) \det(A-\lambda E) = \begin{vmatrix} 1-\lambda&2&0\\ 2&-1-\lambda&2\\ 0&2&1-\lambda \end{vmatrix} = -(\lambda-3)(\lambda-1)(\lambda+3) である。したがって固有値は −3, 1, 3 -3,\ 1,\ 3 であり,最大の固有値は 3 3 である。この固有値に対する固有ベクトルは,例えば (1,1,1)T (1,1,1)^T である。

次に aA2+bA+cE=O aA^2+bA+cE=O を考える。AA の固有値を λ\lambda とし,対応する固有ベクトルを v≠0v\neq0 とすると, (aA2+bA+cE)v=(aλ2+bλ+c)v (aA^2+bA+cE)v=(a\lambda^2+b\lambda+c)v である。したがって二次式 q(λ)=aλ2+bλ+c q(\lambda)=a\lambda^2+b\lambda+c は λ=−3, 1, 3 \lambda=-3,\ 1,\ 3 の三つを根にもつ。二次式が異なる三つの根をもつためには零多項式でなければならないから a=b=c=0 a=b=c=0 である。

さらに Cayley--Hamilton の定理を用いる。固有値から特性多項式は (λ−3)(λ−1)(λ+3)=λ3−λ2−9λ+9 (\lambda-3)(\lambda-1)(\lambda+3) = \lambda^3-\lambda^2-9\lambda+9 である。よって A3−A2−9A+9E=O. A^3-A^2-9A+9E=O. したがって A3+sA2+tA+uE=O A^3+sA^2+tA+uE=O となる係数は s=−1,t=−9,u=9 s=-1,\qquad t=-9,\qquad u=9 である。

最終答

最大の固有値は 3 3 であり,対応する固有ベクトルの一つは (1,1,1)T. (1,1,1)^T. aA2+bA+cE=O⟹a=b=c=0. aA^2+bA+cE=O \quad\Longrightarrow\quad a=b=c=0. また A3−A2−9A+9E=O A^3-A^2-9A+9E=O より s=−1,t=−9,u=9. s=-1,\qquad t=-9,\qquad u=9.

第2問 — 微分積分

極値判定

二変数関数では,停留点を求めたあとにヘッセ行列の符号で分類する。行列式が正で fxx>0f_{xx}>0 なら極小,行列式が正で fxx<0f_{xx}<0 なら極大,行列式が負なら鞍点である。

陰関数の接線

f(x,y)=0f(x,y)=0 の接線は,勾配ベクトル ∇f\nabla f に垂直である。したがって fx(a,b)(x−a)+fy(a,b)(y−b)=0 f_x(a,b)(x-a)+f_y(a,b)(y-b)=0 を使えばよい。今回は fxf_x と fyf_y の符号を取り違えると接線の定数項が変わるので注意する。

極座標への変換

積分領域が原点中心の円環なので,極座標に直すのが最短である。面積要素が dxdy=r dr dθ dxdy=r\,dr\,d\theta になる点を忘れないことが重要である。

採点の置き所

極値問題では,停留点の列挙だけでなく,ヘッセ行列の行列式と fxxf_{xx} の符号を各点で書くことが重要である。(10,5)(10,5) で極小値を計算し,(−2,−1)(-2,-1) が鞍点であることまで示せば,極大点が存在しない理由も答案上で伝わる。

検算

接線は −30(x−1)+36(y−3)=0 -30(x-1)+36(y-3)=0 から得ているので,点 (1,3)(1,3) を代入すると必ず 00 になる。積分では 1≤r≤41\le r\le4 かつ r<5r<5 なので被積分関数は正であり, 2π(5log⁡4−3)>0 2\pi(5\log4-3)>0 となることも結果の符号確認になる。

微分積分の途中式・最終答をPDFで見る

電通大 専門科目(情報学) 院試 過去問の収録5年度