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電気通信大学 院試 過去問 解答例

電通大 情報理工学研究科 情報・ネットワーク工学専攻 専門科目(情報・ネットワーク工学) 2022年度 院試 過去問 解答例・解説(全2問)

全2問。線形代数1問・微分積分・解析1問。テーマタグは3件(固有値・固有ベクトル・線形空間・基底・重積分と極座標)。

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解説2問と大問1問の途中式・最終答(全2問)
解答PDFに収録
途中式と最終答(最終答つき2問)
問題本文
非収録

電通大 専門科目(情報・ネットワーク工学) 2022年度 院試 過去問の出題内容(全2問)

この2問の分野は線形代数1問・微分積分・解析1問です。

大問分野主題解説の小見出し最終答
第1問線形代数—対称行列を利用する / 行列多項式の像あり
第2問微分積分・解析微分積分極値と鞍点 / 接線の式あり

この年度の解説には検算2件・採点の置き所2件・典型ミス2件が付いています。

2022年度の出題テーマと、同じテーマを出した他大学・他年度

この年度は2問に3テーマが出ています。

第1問 — 線形代数

対称行列を利用する

この行列は対称行列であるため,直交固有分解を使える。高次の行列多項式をそのまま掛け算で求めるより,固有値に多項式を代入する方が計算量もミスも少ない。

行列多項式の像

p(A)p(A) は,固有値 λ\lambda の固有空間上で p(λ)p(\lambda) 倍として働く。今回は p(1)=p(3)=0p(1)=p(3)=0 なので,その二つの固有空間成分は消える。一方で p(−3)≠0p(-3)\neq0 なので,像は −3-3 固有空間そのものになる。

射影行列

一次元部分空間 span⁡{w}\operatorname{span}\{w\} への直交射影は wwTwTw \frac{ww^T}{w^Tw} で表される。ここで w=(1,−2,1)Tw=(1,-2,1)^T とすれば,係数 −648/6=−108-648/6=-108 が出る。

採点の置き所

この問題は,固有値を求めるだけでなく,高次多項式 p(A)p(A) の作用を固有空間ごとに分けて説明できるかが採点対象になる。特に p(1)=p(3)=0p(1)=p(3)=0,p(−3)=−648p(-3)=-648 を明示し,像が −3-3 固有空間だけに残ることを書くと,行列計算を省いても答案の根拠が通る。

典型ミス

Cayley--Hamilton の符号を誤ると s,t,us,t,u がすべてずれる。特性多項式を det⁡(A−λE)\det(A-\lambda E) で計算した場合と det⁡(λE−A)\det(\lambda E-A) で計算した場合では全体符号の扱いが変わるので,最終的に A3−A2−9A+9E=OA^3-A^2-9A+9E=O を AA に代入して確認する。

検算

求めた PP は階数 11 の行列で,各列が (1,−2,1)T(1,-2,1)^T の定数倍になっている。さらに P(1,1,1)T=0P(1,1,1)^T=0,P(1,0,−1)T=0P(1,0,-1)^T=0,P(1,−2,1)T=−648(1,−2,1)TP(1,-2,1)^T=-648(1,-2,1)^T を確かめれば,固有空間上の作用と一致している。

解答

行列 A=(1202−12021) A= \begin{pmatrix} 1&2&0\\ 2&-1&2\\ 0&2&1 \end{pmatrix} の特性多項式は det⁡(A−λE)=−(λ−3)(λ−1)(λ+3) \det(A-\lambda E)=-(\lambda-3)(\lambda-1)(\lambda+3) である。したがって固有値は −3, 1, 3 -3,\ 1,\ 3 であり,最大の固有値は 33 である。対応する固有ベクトルとして (1,1,1)T (1,1,1)^T を取れる。

もし aA2+bA+cE=O aA^2+bA+cE=O であれば,任意の固有値 λ=−3,1,3\lambda=-3,1,3 について aλ2+bλ+c=0 a\lambda^2+b\lambda+c=0 が成り立つ。二次式が異なる三つの根をもつので a=b=c=0 a=b=c=0 である。

また (λ−3)(λ−1)(λ+3)=λ3−λ2−9λ+9 (\lambda-3)(\lambda-1)(\lambda+3) = \lambda^3-\lambda^2-9\lambda+9 より,Cayley--Hamilton の定理から A3−A2−9A+9E=O. A^3-A^2-9A+9E=O. したがって s=−1,t=−9,u=9. s=-1,\qquad t=-9,\qquad u=9.

次に P=A5−4A4+3A3 P=A^5-4A^4+3A^3 を求める。対応するスカラー多項式は p(λ)=λ5−4λ4+3λ3=λ3(λ−1)(λ−3) p(\lambda)=\lambda^5-4\lambda^4+3\lambda^3 = \lambda^3(\lambda-1)(\lambda-3) である。よって p(1)=0,p(3)=0,p(−3)=−648. p(1)=0,\qquad p(3)=0,\qquad p(-3)=-648. −3-3 に対する固有ベクトルは w=(1,−2,1)T w=(1,-2,1)^T であり,∥w∥2=6\|w\|^2=6 である。AA は対称行列なので,PP は −3-3 固有空間への射影に −648-648 を掛けたものになる。したがって P=−648wwTwTw=−108(1−21−24−21−21). P=-648\frac{ww^T}{w^Tw} = -108 \begin{pmatrix} 1&-2&1\\ -2&4&-2\\ 1&-2&1 \end{pmatrix}. すなわち P=(−108216−108216−432216−108216−108). P= \begin{pmatrix} -108&216&-108\\ 216&-432&216\\ -108&216&-108 \end{pmatrix}. この行列の像は span⁡{w}\operatorname{span}\{w\} であるから, dim⁡Im⁡f=1 \dim\operatorname{Im}f=1 であり,基底として {(1,−2,1)T} \{(1,-2,1)^T\} を取れる。

最終答

最大固有値は 3 3 であり,対応する固有ベクトルの一つは (1,1,1)T. (1,1,1)^T. aA2+bA+cE=O⟹a=b=c=0. aA^2+bA+cE=O \quad\Longrightarrow\quad a=b=c=0. s=−1,t=−9,u=9. s=-1,\qquad t=-9,\qquad u=9. A5−4A4+3A3=(−108216−108216−432216−108216−108). A^5-4A^4+3A^3= \begin{pmatrix} -108&216&-108\\ 216&-432&216\\ -108&216&-108 \end{pmatrix}. dim⁡Im⁡f=1,Im⁡f=span⁡{(1,−2,1)T}. \dim\operatorname{Im}f=1,\qquad \operatorname{Im}f=\operatorname{span}\{(1,-2,1)^T\}.

第2問 — 微分積分

極値と鞍点

停留点が複数あるときは,点ごとにヘッセ行列を評価する。今回の (−2,−1)(-2,-1) は停留点ではあるが,行列式が負なので極値ではない。答案では「停留点」と「極値」を混同しないことが重要である。

接線の式

陰関数 f(x,y)=0f(x,y)=0 の接線は,勾配ベクトルに垂直な直線である。形式的には ∇f(a,b)⋅((x,y)−(a,b))=0 \nabla f(a,b)\cdot((x,y)-(a,b))=0 と書ける。この形で計算すると,傾きを直接求める必要がなく,垂直接線の場合にも対応できる。

積分変換の選び方

第一の積分は円環領域なので極座標,第二の積分は x+yx+y と x−yx-y が領域を決めているので線形変換,第三の積分は被積分関数が yy だけに依存するので積分順序の交換が有効である。領域の形から変数変換を選ぶのが計算を短くするポイントである。

採点の置き所

極値問題では,停留点の列挙,ヘッセ行列による分類,関数値の計算を分けて書く。接線では (1,3)(1,3) が曲線上にあることを確認したうえで,勾配を法線ベクトルとして使う形にすれば,傾きだけの答案より減点されにくい。

典型ミス

I2I_2 では u=x+y, v=x−yu=x+y,\ v=x-y としたときのヤコビアンが 1/21/2 になる。ここを 11 としてしまう誤りが多い。また I3I_3 は xx と yy の上下限を入れ替える問題であり,0≤x≤y≤10\le x\le y\le1 の三角形を描かずに処理すると積分範囲を逆にしやすい。

検算

(10,5)(10,5) では det⁡H>0\det H>0 かつ fxx>0f_{xx}>0 なので極小,(−2,−1)(-2,-1) では det⁡H<0\det H<0 なので鞍点である。積分値は I1>0I_1>0,I2>0I_2>0,I3>0I_3>0 であり,特に I3=1/πI_3=1/\pi は被積分関数が高々 11,領域面積が 1/21/2 であることとも整合する。

微分積分の途中式・最終答をPDFで見る

電通大 専門科目(情報・ネットワーク工学) 院試 過去問の収録5年度