九州大学 院試 過去問 解答例
九大 工学府 機械工学専攻・水素エネルギーシステム専攻 機械工学 2025年度 院試 解答例・解説
九州大学 工学府 機械工学専攻・水素エネルギーシステム専攻 機械工学 2025年度の院試 過去問について、設問ごとの解法方針・部分点の置き所を解説。全16問収録の解答・解説PDFと併用できます。問題本文は含みません。
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設問ごとの解法方針・部分点の置き所を無料で公開しています。
完全な途中式・最終答は解答・解説PDFに収録しています。問題本文は含まれません。
第1問 — 漸化式と固有値
対称形の漸化式
が対称に混ざる行列 では、固有方向は必ず と になる。固有値はそれぞれ であり、この問題では である。
ノルム条件の読み方
初期ベクトルが 方向だけなので、増大する固有値 はまったく寄与しない。ここを見落として一般式に代入し続けると計算が重くなる。
検算
では であり,狭義不等号を満たさない。したがって境界の整数条件は と確認できる。
第2問 — 発散と楕円体
発散定理の役割
の面積分は,閉曲面に対して体積の3倍になる。これは境界面の情報から体積を出す公式であり,係数は常に である。
法線の正規化
をそのまま使っても向きは正しいが,単位法線にするには長さで割る必要がある。共通因子 を消すと の形になり,計算が軽くなる。
の意味
この設問では,直前で求めた表面積分表示 を,表面積要素公式で 平面上の積分へ直している。単に上下の曲面の高さの差を積分しても体積は出るが,ここで問われている流れでは の上下面の寄与を合わせた を答えるのが自然である。
第3問 — 微分方程式
(1) の置換
が三角関数の中にまとまっているので、 と置くのが自然である。最後は から を両辺で消し、 と整理する。 ただし の場合はこの積分操作から外れるため,直線解として別に確認しておく。
連立一次方程式
定係数連立方程式は、係数行列の固有値・固有ベクトルを使って指数関数解を作る。固有ベクトルの定数倍は任意なので、成分が整数になるものを選ぶと書きやすい。
(3) の積の微分
を見たら を疑う。このまとまりを見つけると、二階方程式が一階の分離形まで下がる。
第4問 — フーリエ級数
関数の形
短い弧長は、角度を に折り返した絶対値である。面積はその2乗なので、基本区間では になる。したがってグラフは、各区間で上に開く放物線を周期的につないだ形である。
偶関数の利点
は偶関数なので正弦係数はすべて0である。計算量を半分にするだけでなく、答えに が出てきたら符号や偶奇性を疑うべきである。
の定数項
不定積分には積分定数が残るため、 のフーリエ係数のうち平均値だけは定数の取り方に依存する。一方、 の係数は一意に決まり、 を項別積分して得られる。
第5問 — 三角トラスの変位
力と変位を分ける
棒力は節点つり合いだけで決まる。変位は,その後に各棒の伸びを節点変位へ投影して求める。この順序にすると,支点 が「水平方向には動くが鉛直方向には動かない」ことを自然に式へ入れられる。
斜め荷重の成分
の向きを逆に分解すると, と の符号がすべて崩れる。ここでは図の向きに従い,, とした。
検算
求めた は約 であり,指定範囲 に入る。範囲確認は,答えの符号だけでなく幾何条件の読み違いも発見しやすい。
第6問 — 内部ヒンジ連続はり
変形の概形
点 は下向きに沈む。 は固定端側で最大曲げモーメントを持ち,ヒンジ では曲げモーメントが0になる。右側の は左張出し端 が沈み,支点 が上向きに,支点 が下向きに働く形で釣り合う。
内部ヒンジの扱い
内部ヒンジでゼロになるのは曲げモーメントであって,鉛直変位ではない。左右の部材は同じ を持つため,左右を鉛直ばねとして並列に見れば荷重分担を簡潔に求められる。
SFD・BMDの描き方
集中荷重と反力の位置でSFDは段差を持ち,荷重のない各区間ではBMDは直線になる。特に は内部ヒンジ条件, は単純支持端条件であり,図示答案で必ず示すべき点である。
典型ミス
の反力を上向きと決め打ちすると符号を誤る。この構造では張出し端の下向き荷重を支えるため,支点 は下向きに押さえ込む反力を持つ。
第7問 — 面外荷重フレーム
曲げとねじりの切り分け
面外荷重を受ける平面フレームでは,各部材に曲げとねじりが混在する。荷重点から横にずれた部材では,腕の長さに比例するねじりモーメントが生じるため, だけでなく の項も必ず現れる。
ピン結合と連続フレームの違い
(1) は点 がピンで,左右の L 字部材が並列ばねのように働く。一方 (2) は中央部材が連続しており,中央断面の回転が対称条件で抑えられる。この拘束のため, は単純な にはならない。
検算
が非常に大きい,すなわちねじりが柔らかい極限では となる。逆にねじりが非常に硬い極限では であり,中央断面の曲げモーメントが荷重モーメントの一部を負担することが分かる。
第8問 — 回転座標のばね振動
遠心項とコリオリ項
方向の式には が入り,これがばねの復元力を弱める。したがって固有角振動数は ではなく である。筒に垂直な 方向には,半径 による向心加速度と,筒内速度 によるコリオリ加速度が現れる。
静的平衡点の意味
はばね自然長 ではない。回転しているため, 方向の見かけの遠心効果がばねの伸びを変える。特に が に近づくと分母が小さくなり,静的平衡点は遠方へ移る。
答案上の注意
垂直抗力 は向きを定義してから書く。接触力の大きさだけを問うと解釈する場合は,ここで得た成分の絶対値を取るが,運動方程式としては符号付き成分を提示するのが安全である。
第9問 — 転がり円柱のラグランジュ方程式
幾何の取り方
円柱中心は水平に動けないため,円筒面をもつ物体の水平変位が になる。円柱中心の鉛直変位は円弧の高さであり である。ここを逆にしてしまうと,運動エネルギーの と が入れ替わる。
転がり条件
転がり条件は円柱半径 ではなく,中心軌道の半径 を使って と書く。接触点が円筒面上を進む弧長は,円柱中心の円弧半径 で決まるためである。
線形化の検算
では となり,非線形な慣性係数の変化が消える。微小振動の式は単振子型で,長さに相当する量が になっていると見れば, の次元と傾向を確認できる。
第10問 — 回転棒による強制振動
重心運動で解く理由
棒はモータで強制的に回されるため,棒の回転方程式を立ててもモータトルクという未知量が入る。そこで系全体の 方向重心運動に注目すると,外力はばね力だけになり,モータトルクを消去できる。
符号の確認
棒が下向きのとき,棒の重心は 座標で にある。したがって である。これを とすると,強制力の符号が逆になる。
半回転後の条件
「瞬間に静止」は速度0の条件であり,「静止し続ける」はさらに変位0も必要である。棒を止めた後は回転による強制項が消えるので,ばねの静的平衡位置 にいない限り自由振動が始まる。
第11問 — 理想気体サイクル
線図の形
元のサイクルは、- 線図では断熱過程が鉛直線、等積受熱・放熱が右上がりまたは左下がりの曲線になる。新サイクルでは3から5まで断熱膨張を延長し、5から6は等積冷却、6から1は等圧冷却として戻る。
仕事比較の物理的意味
新サイクルは膨張を状態4で止めず、さらに状態5まで続けるため、追加の膨張仕事を得る。一方で6から1の等圧過程では負の仕事が必要になる。過程が成立する範囲では追加膨張仕事のほうが大きいため、正味仕事が増える。
熱効率の比較
受熱はどちらも同じ の等積受熱である。したがって効率比較は正味仕事比較に帰着する。 を再計算して別物として扱うと、答案が崩れやすい。
単位確認
は であり、 は無次元である。したがって と の式はいずれも単位質量あたりのエネルギーになっている。
第12問 — 発熱平板ヒーター
片面あたりの発熱量
全厚さは だが、対称性により片面へ出る熱は半分である。したがって となる。
平板を付けると中心温度が上がる理由
発熱量と対流条件が変わらないため、外へ出る熱流束は変わらない。追加した平板は熱抵抗を直列に加えるだけなので、その分だけ中心温度が上昇する。
単位確認
は 、 も である。
答案上の注意
温度分布図では、ヒーター内を直線にしないことが重要である。一様発熱がある領域は放物線、発熱のない平板は直線、対流熱抵抗は表面から空気温度への温度差として表す。
第13問 — 向流熱交換器
向流の端温度
横軸を高温流体入口から出口へ取ると、低温流体は逆向きに流れる。したがって高温流体入口側に対応する低温流体温度は、低温流体の出口温度である。この対応を取り違えると、対数平均温度差も誤る。
熱容量流量の使い方
温度変化は で決まる。熱容量流量が大きい流体ほど、同じ交換熱量に対する温度変化は小さい。条件(1-1)で低温流体の温度上昇が高温流体の3分の1になるのはこのためである。
変更後に低温出口が高温出口を上回る理由
向流熱交換器では、低温流体出口が高温流体出口より高くなることがある。比較すべき端は と 、および と であり、どちらの端でも温度差は正である。
単位確認
熱交換量の倍率、長さの倍率、対数平均温度差の比はいずれも無次元である。温度差は摂氏で計算しても、差だけを使うためケルビン差と同じ値になる。
第14問 — 噴流の運動量
速度の大きさ
大気圧の自由噴流を非粘性・重力無視で扱うため,台車に対して静止している壁面に沿う流れではベルヌーイの式から速度の大きさが保存される。問(4)では保存されるのは地面基準の速度ではなく,台車基準の相対速度 である。
流量の分配
衝突点と流路形状が対称なので,噴流は二つの出口へ半分ずつ分かれる。力を求めるときは速度だけでなく,この質量流量の半分係数を忘れない。
運動量収支の向き
まず「台車が流体に及ぼす力」を運動量変化として求め,最後に符号を反転して「流体が台車に及ぼす力」に直す。作用反作用の反転を途中で混ぜると,水平合力の条件の符号を誤りやすい。
第15問 — 水槽と管路損失
損失係数の数え方
水槽から円管へ入るところでは入口損失 を入れる。円管1が水槽Bへ出るときは,管内の速度水頭が大きな水槽内で失われるため,係数 の出口損失として扱う。円管2の大気開放端では,式の右辺の は出口速度水頭である。
弁損失の検算
円管2は円管1より長さが と短い。同じ流量で同じ水頭差 を消費するには,不足する摩擦損失 を弁で補えばよい。
非定常計算
水位差が小さくなると流量は に比例して小さくなる。水槽面積が管断面積の100倍であることを最後に入れると,係数の見落としを防ぎやすい。
第16問 — 水門の静水圧モーメント
モーメントで解く
ヒンジ反力はヒンジまわりのモーメントを持たない。したがって水圧とストッパー力,または水圧どうしのモーメントだけを比較すればよい。
水平扉の圧力
右扉は水平なので,扉全体が同じ深さにある。圧力分布は三角形ではなく一様であり,合力は中央に作用する。この点を鉛直板の公式と混同しない。
傾いた上扉
傾いた板では,圧力の大きさは水深 で決まり,モーメント腕は板に沿った距離 になる。上扉の濡れ長さが になることを先に書くと,積分範囲のミスを避けられる。