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九州大学 院試 過去問 解答例

九大 工学府 機械工学専攻・水素エネルギーシステム専攻 機械工学 2025年度 院試 過去問 解答例・解説(全16問)

全16問。線形代数1問・微分積分・解析1問・微分方程式1問。テーマタグは4件(固有値・固有ベクトル・はりの曲げ・固有振動数と振動系)。2024年度と共通のテーマは固有値・固有ベクトル。

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解説16問と大問1問の途中式・最終答(全16問)
解答PDFに収録
途中式と最終答(最終答つき16問)
問題本文
非収録

九大 機械工学 2025年度 院試 過去問の出題内容(全16問)

この16問の分野は線形代数1問・微分積分・解析1問・微分方程式1問・力学1問です。

大問分野主題解説の小見出し最終答
第1問線形代数漸化式と固有値対称形の漸化式 / ノルム条件の読み方あり
第2問—発散と楕円体発散定理の役割 / 法線の正規化あり
第3問微分方程式—(1) の置換 / 連立一次方程式あり
第4問微分積分・解析フーリエ級数関数の形 / 偶関数の利点あり
第5問—三角トラスの変位力と変位を分ける / 斜め荷重の成分あり
第6問—内部ヒンジ連続はり変形の概形 / 内部ヒンジの扱いあり
第7問—面外荷重フレーム曲げとねじりの切り分け / ピン結合と連続フレームの違いあり
第8問力学回転座標のばね振動遠心項とコリオリ項 / 静的平衡点の意味あり
第9問—転がり円柱のラグランジュ方程式幾何の取り方 / 転がり条件あり
第10問—回転棒による強制振動重心運動で解く理由 / 符号の確認あり
第11問—理想気体サイクル線図の形 / 仕事比較の物理的意味あり
第12問—発熱平板ヒーター片面あたりの発熱量 / 平板を付けると中心温度が上がる理由あり
第13問—向流熱交換器向流の端温度 / 熱容量流量の使い方あり
第14問—噴流の運動量速度の大きさ / 流量の分配あり
第15問—水槽と管路損失損失係数の数え方 / 弁損失の検算あり
第16問—水門の静水圧モーメントモーメントで解く / 水平扉の圧力あり

この年度の解説には検算3件・典型ミス1件が付いています。

2025年度の出題テーマと、同じテーマを出した他大学・他年度

この年度は6問に4テーマが出ています。

前年度(2024年度)との違い

大問数
2024年度 16問 → 2025年度 16問
両年度に出たテーマ
固有値・固有ベクトル
2025年度で新しく出たテーマ
はりの曲げ・固有振動数と振動系・フーリエ級数
2024年度のページを見る

第1問 — 漸化式と固有値

対称形の漸化式

xn,ynx_n,y_n が対称に混ざる行列 (αββα) \begin{pmatrix}\alpha&\beta\\ \beta&\alpha\end{pmatrix} では、固有方向は必ず (1,1)T(1,1)^{\mathsf T} と (1,−1)T(1,-1)^{\mathsf T} になる。固有値はそれぞれ α+β,α−β\alpha+\beta,\alpha-\beta であり、この問題では α=2,β=5/3\alpha=2,\beta=5/3 である。

ノルム条件の読み方

初期ベクトルが (1,−1)T(1,-1)^{\mathsf T} 方向だけなので、増大する固有値 11/311/3 はまったく寄与しない。ここを見落として一般式に代入し続けると計算が重くなる。

検算

n=4n=4 では ∥a4∥=27/81=1/3\|a_4\|=27/81=1/3 であり,狭義不等号を満たさない。したがって境界の整数条件は n≥5n\ge5 と確認できる。

解答

an=(xnyn) a_n=\begin{pmatrix}x_n\\y_n\end{pmatrix} とおくと、漸化式は an+1=Aan,A=(25/35/32) a_{n+1}=Aa_n,\qquad A= \begin{pmatrix} 2&5/3\\ 5/3&2 \end{pmatrix} と表される。

固有値は det⁡(A−λI)=(2−λ)2−(53)2=0 \det(A-\lambda I) = (2-\lambda)^2-\left(\frac53\right)^2 = 0 より λ1=113,λ2=13. \lambda_1=\frac{11}{3},\qquad \lambda_2=\frac13. 対応する固有ベクトルは、例えば λ1=113:p1=(11),λ2=13:p2=(1−1) \lambda_1=\frac{11}{3}:\quad p_1=\begin{pmatrix}1\\1\end{pmatrix}, \qquad \lambda_2=\frac13:\quad p_2=\begin{pmatrix}1\\-1\end{pmatrix} である。

P=(111−1) P= \begin{pmatrix} 1&1\\ 1&-1 \end{pmatrix} とおけば A=P(11/3001/3)P−1. A=P \begin{pmatrix} 11/3&0\\ 0&1/3 \end{pmatrix} P^{-1}. したがって An=P((11/3)n00(1/3)n)P−1. A^n = P \begin{pmatrix} (11/3)^n&0\\ 0&(1/3)^n \end{pmatrix} P^{-1}. ここで P−1=12(111−1) P^{-1}=\frac12 \begin{pmatrix} 1&1\\ 1&-1 \end{pmatrix} なので An=12((11/3)n+(1/3)n(11/3)n−(1/3)n(11/3)n−(1/3)n(11/3)n+(1/3)n). A^n = \frac12 \begin{pmatrix} (11/3)^n+(1/3)^n&(11/3)^n-(1/3)^n\\ (11/3)^n-(1/3)^n&(11/3)^n+(1/3)^n \end{pmatrix}.

最後に a0=(272/2−272/2)=2722(1−1) a_0= \begin{pmatrix} 27\sqrt2/2\\ -27\sqrt2/2 \end{pmatrix} = \frac{27\sqrt2}{2}\begin{pmatrix}1\\-1\end{pmatrix} は λ2=1/3\lambda_2=1/3 の固有方向にある。したがって an=(13)na0 a_n= \left(\frac13\right)^n a_0 であり、 ∥an∥=(13)n(2722)2+(−2722)2=27(13)n. \|a_n\| = \left(\frac13\right)^n \sqrt{\left(\frac{27\sqrt2}{2}\right)^2+ \left(-\frac{27\sqrt2}{2}\right)^2} = 27\left(\frac13\right)^n. よって ∥an∥<13⟺27(13)n<13. \|a_n\|<\frac13 \quad\Longleftrightarrow\quad 27\left(\frac13\right)^n<\frac13. これは 3n>81=343^n>81=3^4 と同値である。非負整数 nn については,したがって n≥5 n\ge5 である。

最終答

A=(25/35/32),λ=113,13,p1=(11), p2=(1−1), A= \begin{pmatrix} 2&5/3\\ 5/3&2 \end{pmatrix},\quad \lambda=\frac{11}{3},\frac13,\quad p_1=\binom11,\ p_2=\binom1{-1}, An=12((11/3)n+(1/3)n(11/3)n−(1/3)n(11/3)n−(1/3)n(11/3)n+(1/3)n),∥an∥<13⟺n≥5. A^n= \frac12 \begin{pmatrix} (11/3)^n+(1/3)^n&(11/3)^n-(1/3)^n\\ (11/3)^n-(1/3)^n&(11/3)^n+(1/3)^n \end{pmatrix}, \qquad \|a_n\|<\frac13 \Longleftrightarrow n\ge5.

第2問 — 発散と楕円体

発散定理の役割

r⋅n\boldsymbol{r}\cdot\boldsymbol{n} の面積分は,閉曲面に対して体積の3倍になる。これは境界面の情報から体積を出す公式であり,係数は常に 1/31/3 である。

法線の正規化

∇f=(2x,8y,18z)\nabla f=(2x,8y,18z) をそのまま使っても向きは正しいが,単位法線にするには長さで割る必要がある。共通因子 22 を消すと (x,4y,9z)(x,4y,9z) の形になり,計算が軽くなる。

C(x,y)C(x,y) の意味

この設問では,直前で求めた表面積分表示 V=∫SϕdSV=\int_S\phi dS を,表面積要素公式で xyxy 平面上の積分へ直している。単に上下の曲面の高さの差を積分しても体積は出るが,ここで問われている流れでは ϕdS\phi dS の上下面の寄与を合わせた C(x,y)=836−x2−4y2 C(x,y)=\frac{8}{\sqrt{36-x^2-4y^2}} を答えるのが自然である。

発散と楕円体の途中式・最終答をPDFで見る

第3問 — 微分方程式

(1) の置換

x+yx+y が三角関数の中にまとまっているので、u=x+yu=x+y と置くのが自然である。最後は x=(x+y)−tan⁡x+y2+C x=(x+y)-\tan\frac{x+y}{2}+C から xx を両辺で消し、y−tan⁡((x+y)/2)=Cy-\tan((x+y)/2)=C と整理する。 ただし 1+cos⁡u=01+\cos u=0 の場合はこの積分操作から外れるため,直線解として別に確認しておく。

連立一次方程式

定係数連立方程式は、係数行列の固有値・固有ベクトルを使って指数関数解を作る。固有ベクトルの定数倍は任意なので、成分が整数になるものを選ぶと書きやすい。

(3) の積の微分

yy′′+(y′)2yy''+(y')^2 を見たら (yy′)′(yy')' を疑う。このまとまりを見つけると、二階方程式が一階の分離形まで下がる。

微分方程式の途中式・最終答をPDFで見る

第4問 — フーリエ級数

関数の形

短い弧長は、角度を [−π,π][-\pi,\pi] に折り返した絶対値である。面積はその2乗なので、基本区間では θ2\theta^2 になる。したがってグラフは、各区間で上に開く放物線を周期的につないだ形である。

偶関数の利点

SS は偶関数なので正弦係数はすべて0である。計算量を半分にするだけでなく、答えに sin⁡nθ\sin n\theta が出てきたら符号や偶奇性を疑うべきである。

GG の定数項

不定積分には積分定数が残るため、GG のフーリエ係数のうち平均値だけは定数の取り方に依存する。一方、n≥1n\ge1 の係数は一意に決まり、S−π2/3S-\pi^2/3 を項別積分して得られる。

フーリエ級数の途中式・最終答をPDFで見る

第5問 — 三角トラスの変位

力と変位を分ける

棒力は節点つり合いだけで決まる。変位は,その後に各棒の伸びを節点変位へ投影して求める。この順序にすると,支点 BB が「水平方向には動くが鉛直方向には動かない」ことを自然に式へ入れられる。

斜め荷重の成分

QQ の向きを逆に分解すると,RACR_{AC} と RBCR_{BC} の符号がすべて崩れる。ここでは図の向きに従い,Qx=−Q/2Q_x=-Q/2,Qy=3Q/2Q_y=\sqrt3 Q/2 とした。

検算

求めた QQ は約 0.388P0.388P であり,指定範囲 0<Q<P/20<Q<P/2 に入る。範囲確認は,答えの符号だけでなく幾何条件の読み違いも発見しやすい。

三角トラスの変位の途中式・最終答をPDFで見る

第6問 — 内部ヒンジ連続はり

変形の概形

点 AA は下向きに沈む。OAOA は固定端側で最大曲げモーメントを持ち,ヒンジ AA では曲げモーメントが0になる。右側の ABCABC は左張出し端 AA が沈み,支点 BB が上向きに,支点 CC が下向きに働く形で釣り合う。

内部ヒンジの扱い

内部ヒンジでゼロになるのは曲げモーメントであって,鉛直変位ではない。左右の部材は同じ vAv_A を持つため,左右を鉛直ばねとして並列に見れば荷重分担を簡潔に求められる。

SFD・BMDの描き方

集中荷重と反力の位置でSFDは段差を持ち,荷重のない各区間ではBMDは直線になる。特に MA=0M_A=0 は内部ヒンジ条件,MC=0M_C=0 は単純支持端条件であり,図示答案で必ず示すべき点である。

典型ミス

CC の反力を上向きと決め打ちすると符号を誤る。この構造では張出し端の下向き荷重を支えるため,支点 CC は下向きに押さえ込む反力を持つ。

内部ヒンジ連続はりの途中式・最終答をPDFで見る

第7問 — 面外荷重フレーム

曲げとねじりの切り分け

面外荷重を受ける平面フレームでは,各部材に曲げとねじりが混在する。荷重点から横にずれた部材では,腕の長さに比例するねじりモーメントが生じるため,EIEI だけでなく GIpGI_p の項も必ず現れる。

ピン結合と連続フレームの違い

(1) は点 FF がピンで,左右の L 字部材が並列ばねのように働く。一方 (2) は中央部材が連続しており,中央断面の回転が対称条件で抑えられる。この拘束のため,TABT_{AB} は単純な (P/2)a(P/2)a にはならない。

検算

βb=EI b/(GIp)\beta b=EI\,b/(GI_p) が非常に大きい,すなわちねじりが柔らかい極限では ∣TAB∣→0|T_{AB}|\to0 となる。逆にねじりが非常に硬い極限では ∣TAB∣→Pa/4|T_{AB}|\to Pa/4 であり,中央断面の曲げモーメントが荷重モーメントの一部を負担することが分かる。

面外荷重フレームの途中式・最終答をPDFで見る

第8問 — 回転座標のばね振動

遠心項とコリオリ項

η\eta 方向の式には −Ω2η-\Omega^2\eta が入り,これがばねの復元力を弱める。したがって固有角振動数は k/m+Ω2\sqrt{k/m+\Omega^2} ではなく k/m−Ω2\sqrt{k/m-\Omega^2} である。筒に垂直な ξ\xi 方向には,半径 RR による向心加速度と,筒内速度 η˙\dot\eta によるコリオリ加速度が現れる。

静的平衡点の意味

ηc\eta_c はばね自然長 ll ではない。回転しているため,η\eta 方向の見かけの遠心効果がばねの伸びを変える。特に Ω\Omega が k/m\sqrt{k/m} に近づくと分母が小さくなり,静的平衡点は遠方へ移る。

答案上の注意

垂直抗力 NN は向きを定義してから書く。接触力の大きさだけを問うと解釈する場合は,ここで得た成分の絶対値を取るが,運動方程式としては符号付き成分を提示するのが安全である。

回転座標のばね振動の途中式・最終答をPDFで見る

第9問 — 転がり円柱のラグランジュ方程式

幾何の取り方

円柱中心は水平に動けないため,円筒面をもつ物体の水平変位が lsin⁡αl\sin\alpha になる。円柱中心の鉛直変位は円弧の高さであり l(1−cos⁡α)l(1-\cos\alpha) である。ここを逆にしてしまうと,運動エネルギーの cos⁡2α\cos^2\alpha と sin⁡2α\sin^2\alpha が入れ替わる。

転がり条件

転がり条件は円柱半径 rr ではなく,中心軌道の半径 l=R−rl=R-r を使って rθ=lαr\theta=l\alpha と書く。接触点が円筒面上を進む弧長は,円柱中心の円弧半径 ll で決まるためである。

線形化の検算

κ=1\kappa=1 では κcos⁡2α+sin⁡2α+12=32 \kappa\cos^2\alpha+\sin^2\alpha+\frac{1}{2}=\frac{3}{2} となり,非線形な慣性係数の変化が消える。微小振動の式は単振子型で,長さに相当する量が 3l/23l/2 になっていると見れば,ωn2=2g/(3l)\omega_n^2=2g/(3l) の次元と傾向を確認できる。

転がり円柱のラグランジュ方程式の途中式・最終答をPDFで見る

第10問 — 回転棒による強制振動

重心運動で解く理由

棒はモータで強制的に回されるため,棒の回転方程式を立ててもモータトルクという未知量が入る。そこで系全体の xx 方向重心運動に注目すると,外力はばね力だけになり,モータトルクを消去できる。

符号の確認

棒が下向きのとき,棒の重心は xx 座標で x−lx-l にある。したがって xm=x−lcos⁡Ωtx_m=x-l\cos\Omega t である。これを x+lcos⁡Ωtx+l\cos\Omega t とすると,強制力の符号が逆になる。

半回転後の条件

「瞬間に静止」は速度0の条件であり,「静止し続ける」はさらに変位0も必要である。棒を止めた後は回転による強制項が消えるので,ばねの静的平衡位置 x=0x=0 にいない限り自由振動が始まる。

回転棒による強制振動の途中式・最終答をPDFで見る

第11問 — 理想気体サイクル

線図の形

元のサイクルは、TT-ss 線図では断熱過程が鉛直線、等積受熱・放熱が右上がりまたは左下がりの曲線になる。新サイクルでは3から5まで断熱膨張を延長し、5から6は等積冷却、6から1は等圧冷却として戻る。

仕事比較の物理的意味

新サイクルは膨張を状態4で止めず、さらに状態5まで続けるため、追加の膨張仕事を得る。一方で6から1の等圧過程では負の仕事が必要になる。過程が成立する範囲では追加膨張仕事のほうが大きいため、正味仕事が増える。

熱効率の比較

受熱はどちらも同じ 2→32\to3 の等積受熱である。したがって効率比較は正味仕事比較に帰着する。qinq_{\mathrm{in}} を再計算して別物として扱うと、答案が崩れやすい。

単位確認

RT1RT_1 は J/kg\mathrm{J/kg} であり、ε,τ,α,κ\varepsilon,\tau,\alpha,\kappa は無次元である。したがって qq と ll の式はいずれも単位質量あたりのエネルギーになっている。

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第12問 — 発熱平板ヒーター

片面あたりの発熱量

全厚さは 2δh2\delta_h だが、対称性により片面へ出る熱は半分である。したがって qs=2δhq˙v/2=q˙vδhq_s=2\delta_h\dot{q}_v/2=\dot{q}_v\delta_h となる。

平板を付けると中心温度が上がる理由

発熱量と対流条件が変わらないため、外へ出る熱流束は変わらない。追加した平板は熱抵抗を直列に加えるだけなので、その分だけ中心温度が上昇する。

単位確認

q˙vδh2/kh\dot{q}_v\delta_h^2/k_h は (W/m3)m2/(W/(mK))=K(\mathrm{W/m^3})\mathrm{m^2}/(\mathrm{W/(mK)})=\mathrm{K}、q˙vδh/h\dot{q}_v\delta_h/h も K\mathrm{K} である。

答案上の注意

温度分布図では、ヒーター内を直線にしないことが重要である。一様発熱がある領域は放物線、発熱のない平板は直線、対流熱抵抗は表面から空気温度への温度差として表す。

発熱平板ヒーターの途中式・最終答をPDFで見る

第13問 — 向流熱交換器

向流の端温度

横軸を高温流体入口から出口へ取ると、低温流体は逆向きに流れる。したがって高温流体入口側に対応する低温流体温度は、低温流体の出口温度である。この対応を取り違えると、対数平均温度差も誤る。

熱容量流量の使い方

温度変化は Q/CQ/C で決まる。熱容量流量が大きい流体ほど、同じ交換熱量に対する温度変化は小さい。条件(1-1)で低温流体の温度上昇が高温流体の3分の1になるのはこのためである。

変更後に低温出口が高温出口を上回る理由

向流熱交換器では、低温流体出口が高温流体出口より高くなることがある。比較すべき端は 8585 と 4949、および 3737 と 2525 であり、どちらの端でも温度差は正である。

単位確認

熱交換量の倍率、長さの倍率、対数平均温度差の比はいずれも無次元である。温度差は摂氏で計算しても、差だけを使うためケルビン差と同じ値になる。

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第14問 — 噴流の運動量

速度の大きさ

大気圧の自由噴流を非粘性・重力無視で扱うため,台車に対して静止している壁面に沿う流れではベルヌーイの式から速度の大きさが保存される。問(4)では保存されるのは地面基準の速度ではなく,台車基準の相対速度 W2W_2 である。

流量の分配

衝突点と流路形状が対称なので,噴流は二つの出口へ半分ずつ分かれる。力を求めるときは速度だけでなく,この質量流量の半分係数を忘れない。

運動量収支の向き

まず「台車が流体に及ぼす力」を運動量変化として求め,最後に符号を反転して「流体が台車に及ぼす力」に直す。作用反作用の反転を途中で混ぜると,水平合力の条件の符号を誤りやすい。

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第15問 — 水槽と管路損失

損失係数の数え方

水槽から円管へ入るところでは入口損失 ζin\zeta_{\mathrm{in}} を入れる。円管1が水槽Bへ出るときは,管内の速度水頭が大きな水槽内で失われるため,係数 11 の出口損失として扱う。円管2の大気開放端では,式の右辺の 11 は出口速度水頭である。

弁損失の検算

円管2は円管1より長さが 2L/32L/3 と短い。同じ流量で同じ水頭差 LL を消費するには,不足する摩擦損失 λLd−λ2L3d=λL3d \lambda\frac{L}{d}-\lambda\frac{2L}{3d} = \lambda\frac{L}{3d} を弁で補えばよい。

非定常計算

水位差が小さくなると流量は ΔH\sqrt{\Delta H} に比例して小さくなる。水槽面積が管断面積の100倍であることを最後に入れると,係数の見落としを防ぎやすい。

水槽と管路損失の途中式・最終答をPDFで見る

第16問 — 水門の静水圧モーメント

モーメントで解く

ヒンジ反力はヒンジまわりのモーメントを持たない。したがって水圧とストッパー力,または水圧どうしのモーメントだけを比較すればよい。

水平扉の圧力

右扉は水平なので,扉全体が同じ深さにある。圧力分布は三角形ではなく一様であり,合力は中央に作用する。この点を鉛直板の公式と混同しない。

傾いた上扉

傾いた板では,圧力の大きさは水深 W−ssin⁡θW-s\sin\theta で決まり,モーメント腕は板に沿った距離 ss になる。上扉の濡れ長さが W/sin⁡θW/\sin\theta になることを先に書くと,積分範囲のミスを避けられる。

水門の静水圧モーメントの途中式・最終答をPDFで見る

九大 機械工学 院試 過去問の収録4年度

  • 2026年度(全16問)

    数学 第1問(特異値分解) / 数学 第2問(微分方程式) / 数学 第3問(極限と積分)

  • 2025年度(このページ・全16問)

    漸化式と固有値 / 発散と楕円体 / 微分方程式

  • 2024年度(全16問)

    数学 第1問(射影行列) / 数学 第2問(重積分と曲面積) / 数学 第3問(常微分方程式)

  • 2023年度(全16問)

    固有値と逆行列 / 楕円領域の重積分 / 線形微分方程式