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九州大学 院試 過去問 解答例

九大 工学府 機械工学専攻・水素エネルギーシステム専攻 機械工学 2025年度 院試 解答例・解説

九州大学 工学府 機械工学専攻・水素エネルギーシステム専攻 機械工学 2025年度の院試 過去問について、設問ごとの解法方針・部分点の置き所を解説。全16問収録の解答・解説PDFと併用できます。問題本文は含みません。

最終更新:

設問ごとの解法方針・部分点の置き所を無料で公開しています。

完全な途中式・最終答は解答・解説PDFに収録しています。問題本文は含まれません。

1 — 漸化式と固有値

対称形の漸化式

xn,ynx_n,y_n が対称に混ざる行列 (αββα) \begin{pmatrix}\alpha&\beta\\ \beta&\alpha\end{pmatrix} では、固有方向は必ず (1,1)T(1,1)^{\mathsf T}(1,1)T(1,-1)^{\mathsf T} になる。固有値はそれぞれ α+β,αβ\alpha+\beta,\alpha-\beta であり、この問題では α=2,β=5/3\alpha=2,\beta=5/3 である。

ノルム条件の読み方

初期ベクトルが (1,1)T(1,-1)^{\mathsf T} 方向だけなので、増大する固有値 11/311/3 はまったく寄与しない。ここを見落として一般式に代入し続けると計算が重くなる。

検算

n=4n=4 では a4=27/81=1/3\|a_4\|=27/81=1/3 であり,狭義不等号を満たさない。したがって境界の整数条件は n5n\ge5 と確認できる。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

2 — 発散と楕円体

発散定理の役割

rn\boldsymbol{r}\cdot\boldsymbol{n} の面積分は,閉曲面に対して体積の3倍になる。これは境界面の情報から体積を出す公式であり,係数は常に 1/31/3 である。

法線の正規化

f=(2x,8y,18z)\nabla f=(2x,8y,18z) をそのまま使っても向きは正しいが,単位法線にするには長さで割る必要がある。共通因子 22 を消すと (x,4y,9z)(x,4y,9z) の形になり,計算が軽くなる。

C(x,y)C(x,y) の意味

この設問では,直前で求めた表面積分表示 V=SϕdSV=\int_S\phi dS を,表面積要素公式で xyxy 平面上の積分へ直している。単に上下の曲面の高さの差を積分しても体積は出るが,ここで問われている流れでは ϕdS\phi dS の上下面の寄与を合わせた C(x,y)=836x24y2 C(x,y)=\frac{8}{\sqrt{36-x^2-4y^2}} を答えるのが自然である。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

3 — 微分方程式

(1) の置換

x+yx+y が三角関数の中にまとまっているので、u=x+yu=x+y と置くのが自然である。最後は x=(x+y)tanx+y2+C x=(x+y)-\tan\frac{x+y}{2}+C から xx を両辺で消し、ytan((x+y)/2)=Cy-\tan((x+y)/2)=C と整理する。 ただし 1+cosu=01+\cos u=0 の場合はこの積分操作から外れるため,直線解として別に確認しておく。

連立一次方程式

定係数連立方程式は、係数行列の固有値・固有ベクトルを使って指数関数解を作る。固有ベクトルの定数倍は任意なので、成分が整数になるものを選ぶと書きやすい。

(3) の積の微分

yy+(y)2yy''+(y')^2 を見たら (yy)(yy')' を疑う。このまとまりを見つけると、二階方程式が一階の分離形まで下がる。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

4 — フーリエ級数

関数の形

短い弧長は、角度を [π,π][-\pi,\pi] に折り返した絶対値である。面積はその2乗なので、基本区間では θ2\theta^2 になる。したがってグラフは、各区間で上に開く放物線を周期的につないだ形である。

偶関数の利点

SS は偶関数なので正弦係数はすべて0である。計算量を半分にするだけでなく、答えに sinnθ\sin n\theta が出てきたら符号や偶奇性を疑うべきである。

GG の定数項

不定積分には積分定数が残るため、GG のフーリエ係数のうち平均値だけは定数の取り方に依存する。一方、n1n\ge1 の係数は一意に決まり、Sπ2/3S-\pi^2/3 を項別積分して得られる。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

5 — 三角トラスの変位

力と変位を分ける

棒力は節点つり合いだけで決まる。変位は,その後に各棒の伸びを節点変位へ投影して求める。この順序にすると,支点 BB が「水平方向には動くが鉛直方向には動かない」ことを自然に式へ入れられる。

斜め荷重の成分

QQ の向きを逆に分解すると,RACR_{AC}RBCR_{BC} の符号がすべて崩れる。ここでは図の向きに従い,Qx=Q/2Q_x=-Q/2Qy=3Q/2Q_y=\sqrt3 Q/2 とした。

検算

求めた QQ は約 0.388P0.388P であり,指定範囲 0<Q<P/20<Q<P/2 に入る。範囲確認は,答えの符号だけでなく幾何条件の読み違いも発見しやすい。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

6 — 内部ヒンジ連続はり

変形の概形

AA は下向きに沈む。OAOA は固定端側で最大曲げモーメントを持ち,ヒンジ AA では曲げモーメントが0になる。右側の ABCABC は左張出し端 AA が沈み,支点 BB が上向きに,支点 CC が下向きに働く形で釣り合う。

内部ヒンジの扱い

内部ヒンジでゼロになるのは曲げモーメントであって,鉛直変位ではない。左右の部材は同じ vAv_A を持つため,左右を鉛直ばねとして並列に見れば荷重分担を簡潔に求められる。

SFD・BMDの描き方

集中荷重と反力の位置でSFDは段差を持ち,荷重のない各区間ではBMDは直線になる。特に MA=0M_A=0 は内部ヒンジ条件,MC=0M_C=0 は単純支持端条件であり,図示答案で必ず示すべき点である。

典型ミス

CC の反力を上向きと決め打ちすると符号を誤る。この構造では張出し端の下向き荷重を支えるため,支点 CC は下向きに押さえ込む反力を持つ。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

7 — 面外荷重フレーム

曲げとねじりの切り分け

面外荷重を受ける平面フレームでは,各部材に曲げとねじりが混在する。荷重点から横にずれた部材では,腕の長さに比例するねじりモーメントが生じるため,EIEI だけでなく GIpGI_p の項も必ず現れる。

ピン結合と連続フレームの違い

(1) は点 FF がピンで,左右の L 字部材が並列ばねのように働く。一方 (2) は中央部材が連続しており,中央断面の回転が対称条件で抑えられる。この拘束のため,TABT_{AB} は単純な (P/2)a(P/2)a にはならない。

検算

βb=EIb/(GIp)\beta b=EI\,b/(GI_p) が非常に大きい,すなわちねじりが柔らかい極限では TAB0|T_{AB}|\to0 となる。逆にねじりが非常に硬い極限では TABPa/4|T_{AB}|\to Pa/4 であり,中央断面の曲げモーメントが荷重モーメントの一部を負担することが分かる。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

8 — 回転座標のばね振動

遠心項とコリオリ項

η\eta 方向の式には Ω2η-\Omega^2\eta が入り,これがばねの復元力を弱める。したがって固有角振動数は k/m+Ω2\sqrt{k/m+\Omega^2} ではなく k/mΩ2\sqrt{k/m-\Omega^2} である。筒に垂直な ξ\xi 方向には,半径 RR による向心加速度と,筒内速度 η˙\dot\eta によるコリオリ加速度が現れる。

静的平衡点の意味

ηc\eta_c はばね自然長 ll ではない。回転しているため,η\eta 方向の見かけの遠心効果がばねの伸びを変える。特に Ω\Omegak/m\sqrt{k/m} に近づくと分母が小さくなり,静的平衡点は遠方へ移る。

答案上の注意

垂直抗力 NN は向きを定義してから書く。接触力の大きさだけを問うと解釈する場合は,ここで得た成分の絶対値を取るが,運動方程式としては符号付き成分を提示するのが安全である。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

9 — 転がり円柱のラグランジュ方程式

幾何の取り方

円柱中心は水平に動けないため,円筒面をもつ物体の水平変位が lsinαl\sin\alpha になる。円柱中心の鉛直変位は円弧の高さであり l(1cosα)l(1-\cos\alpha) である。ここを逆にしてしまうと,運動エネルギーの cos2α\cos^2\alphasin2α\sin^2\alpha が入れ替わる。

転がり条件

転がり条件は円柱半径 rr ではなく,中心軌道の半径 l=Rrl=R-r を使って rθ=lαr\theta=l\alpha と書く。接触点が円筒面上を進む弧長は,円柱中心の円弧半径 ll で決まるためである。

線形化の検算

κ=1\kappa=1 では κcos2α+sin2α+12=32 \kappa\cos^2\alpha+\sin^2\alpha+\frac{1}{2}=\frac{3}{2} となり,非線形な慣性係数の変化が消える。微小振動の式は単振子型で,長さに相当する量が 3l/23l/2 になっていると見れば,ωn2=2g/(3l)\omega_n^2=2g/(3l) の次元と傾向を確認できる。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

10 — 回転棒による強制振動

重心運動で解く理由

棒はモータで強制的に回されるため,棒の回転方程式を立ててもモータトルクという未知量が入る。そこで系全体の xx 方向重心運動に注目すると,外力はばね力だけになり,モータトルクを消去できる。

符号の確認

棒が下向きのとき,棒の重心は xx 座標で xlx-l にある。したがって xm=xlcosΩtx_m=x-l\cos\Omega t である。これを x+lcosΩtx+l\cos\Omega t とすると,強制力の符号が逆になる。

半回転後の条件

「瞬間に静止」は速度0の条件であり,「静止し続ける」はさらに変位0も必要である。棒を止めた後は回転による強制項が消えるので,ばねの静的平衡位置 x=0x=0 にいない限り自由振動が始まる。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

11 — 理想気体サイクル

線図の形

元のサイクルは、TT-ss 線図では断熱過程が鉛直線、等積受熱・放熱が右上がりまたは左下がりの曲線になる。新サイクルでは3から5まで断熱膨張を延長し、5から6は等積冷却、6から1は等圧冷却として戻る。

仕事比較の物理的意味

新サイクルは膨張を状態4で止めず、さらに状態5まで続けるため、追加の膨張仕事を得る。一方で6から1の等圧過程では負の仕事が必要になる。過程が成立する範囲では追加膨張仕事のほうが大きいため、正味仕事が増える。

熱効率の比較

受熱はどちらも同じ 232\to3 の等積受熱である。したがって効率比較は正味仕事比較に帰着する。qinq_{\mathrm{in}} を再計算して別物として扱うと、答案が崩れやすい。

単位確認

RT1RT_1J/kg\mathrm{J/kg} であり、ε,τ,α,κ\varepsilon,\tau,\alpha,\kappa は無次元である。したがって qqll の式はいずれも単位質量あたりのエネルギーになっている。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

12 — 発熱平板ヒーター

片面あたりの発熱量

全厚さは 2δh2\delta_h だが、対称性により片面へ出る熱は半分である。したがって qs=2δhq˙v/2=q˙vδhq_s=2\delta_h\dot{q}_v/2=\dot{q}_v\delta_h となる。

平板を付けると中心温度が上がる理由

発熱量と対流条件が変わらないため、外へ出る熱流束は変わらない。追加した平板は熱抵抗を直列に加えるだけなので、その分だけ中心温度が上昇する。

単位確認

q˙vδh2/kh\dot{q}_v\delta_h^2/k_h(W/m3)m2/(W/(mK))=K(\mathrm{W/m^3})\mathrm{m^2}/(\mathrm{W/(mK)})=\mathrm{K}q˙vδh/h\dot{q}_v\delta_h/hK\mathrm{K} である。

答案上の注意

温度分布図では、ヒーター内を直線にしないことが重要である。一様発熱がある領域は放物線、発熱のない平板は直線、対流熱抵抗は表面から空気温度への温度差として表す。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

13 — 向流熱交換器

向流の端温度

横軸を高温流体入口から出口へ取ると、低温流体は逆向きに流れる。したがって高温流体入口側に対応する低温流体温度は、低温流体の出口温度である。この対応を取り違えると、対数平均温度差も誤る。

熱容量流量の使い方

温度変化は Q/CQ/C で決まる。熱容量流量が大きい流体ほど、同じ交換熱量に対する温度変化は小さい。条件(1-1)で低温流体の温度上昇が高温流体の3分の1になるのはこのためである。

変更後に低温出口が高温出口を上回る理由

向流熱交換器では、低温流体出口が高温流体出口より高くなることがある。比較すべき端は 85854949、および 37372525 であり、どちらの端でも温度差は正である。

単位確認

熱交換量の倍率、長さの倍率、対数平均温度差の比はいずれも無次元である。温度差は摂氏で計算しても、差だけを使うためケルビン差と同じ値になる。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

14 — 噴流の運動量

速度の大きさ

大気圧の自由噴流を非粘性・重力無視で扱うため,台車に対して静止している壁面に沿う流れではベルヌーイの式から速度の大きさが保存される。問(4)では保存されるのは地面基準の速度ではなく,台車基準の相対速度 W2W_2 である。

流量の分配

衝突点と流路形状が対称なので,噴流は二つの出口へ半分ずつ分かれる。力を求めるときは速度だけでなく,この質量流量の半分係数を忘れない。

運動量収支の向き

まず「台車が流体に及ぼす力」を運動量変化として求め,最後に符号を反転して「流体が台車に及ぼす力」に直す。作用反作用の反転を途中で混ぜると,水平合力の条件の符号を誤りやすい。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

15 — 水槽と管路損失

損失係数の数え方

水槽から円管へ入るところでは入口損失 ζin\zeta_{\mathrm{in}} を入れる。円管1が水槽Bへ出るときは,管内の速度水頭が大きな水槽内で失われるため,係数 11 の出口損失として扱う。円管2の大気開放端では,式の右辺の 11 は出口速度水頭である。

弁損失の検算

円管2は円管1より長さが 2L/32L/3 と短い。同じ流量で同じ水頭差 LL を消費するには,不足する摩擦損失 λLdλ2L3d=λL3d \lambda\frac{L}{d}-\lambda\frac{2L}{3d} = \lambda\frac{L}{3d} を弁で補えばよい。

非定常計算

水位差が小さくなると流量は ΔH\sqrt{\Delta H} に比例して小さくなる。水槽面積が管断面積の100倍であることを最後に入れると,係数の見落としを防ぎやすい。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

16 — 水門の静水圧モーメント

モーメントで解く

ヒンジ反力はヒンジまわりのモーメントを持たない。したがって水圧とストッパー力,または水圧どうしのモーメントだけを比較すればよい。

水平扉の圧力

右扉は水平なので,扉全体が同じ深さにある。圧力分布は三角形ではなく一様であり,合力は中央に作用する。この点を鉛直板の公式と混同しない。

傾いた上扉

傾いた板では,圧力の大きさは水深 WssinθW-s\sin\theta で決まり,モーメント腕は板に沿った距離 ss になる。上扉の濡れ長さが W/sinθW/\sin\theta になることを先に書くと,積分範囲のミスを避けられる。

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