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九州大学 院試 過去問 解答例

九大 工学府 機械工学専攻・水素エネルギーシステム専攻 機械工学 2023年度 院試 解答例・解説

九州大学 工学府 機械工学専攻・水素エネルギーシステム専攻 機械工学 2023年度の院試 過去問について、設問ごとの解法方針・部分点の置き所を解説。全16問収録の解答・解説PDFと併用できます。問題本文は含みません。

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設問ごとの解法方針・部分点の置き所を無料で公開しています。

完全な途中式・最終答は解答・解説PDFに収録しています。問題本文は含まれません。

1 — 固有値と逆行列

方針

この問題では、特性方程式を正確に因数分解することと、逆行列を直接計算しないことが重要である。第3小問は A1A^{-1} を求めてから A1IA^{-1}-I を作るよりも、固有値・固有ベクトルの関係を使う方が速く、計算ミスも少ない。

特性多項式の検算

固有値の候補が 2,3,52,3,5 と出たら、積は 235=30 2\cdot 3\cdot 5=30 である。一方 detA=30 \det A=30 なので、固有値の積と一致する。また和は 2+3+5=10 2+3+5=10 であり、これは trA=3+4+3=10\operatorname{tr}A=3+4+3=10 と一致する。特性多項式の符号を取り違えるとここで発見しやすい。

逆行列に関する典型ミス

Ax=λx Ax=\lambda x から A1x=1λx A^{-1}x=\frac{1}{\lambda}x とするには、まず左から A1A^{-1} を掛けて x=λA1x x=\lambda A^{-1}x を得る必要がある。特に A1x=λx A^{-1}x=\lambda x としてしまうのは誤りである。逆行列では固有値は逆数になる。

試験で書くべきポイント

第1小問では、固有値だけでなく各固有値に対応する固有ベクトルを明示する。第2小問では「AA が正則だから左から A1A^{-1} を掛けられる」と書く。第3小問では (A1I)x=(1λ1)x (A^{-1}-I)x=\left(\frac{1}{\lambda}-1\right)x を示せば、固有ベクトルが変わらない理由まで説明できる。

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2 — 楕円領域の重積分

方針

楕円領域では、最初から極座標を使うのではなく、楕円を円に直す変数変換を入れるのが自然である。この問題では 4x2+y24 4x^2+y^2\le 4 なので、xx 方向の半径は 11yy 方向の半径は 22 である。したがって x=rcosθ,y=2rsinθ x=r\cos\theta,\qquad y=2r\sin\theta と置くと計算が一気に単純になる。

最大値の見方

xy=r2sin2θ xy=r^2\sin2\theta となるので、最大値は境界 r=1r=1 上で生じる。内点で偏微分を使って探す方法もあるが、ここでは変数変換後の形から r21,sin2θ1 r^2\le 1,\qquad \sin2\theta\le 1 を使う方が短い。

曲面積での注意

第4小問では、曲面の高さ z=x2+y22 z=x^2+\frac{y^2}{2} を体積積分の被積分関数のように積分してはいけない。曲面積では 1+zx2+zy2 \sqrt{1+z_x^2+z_y^2} が現れる。さらに 4x2+y2 4x^2+y^2 が領域の式にも面積要素にも出るため、u=2x, v=yu=2x,\ v=y と置くと、領域も被積分関数も同時に整理される。

試験で書くべきポイント

ヤコビアン 2r2r を書かないと、重積分の答案としては大きな減点になる。また、概略図では正確な透視図よりも「底面が第1象限の楕円領域」「上面が z=x+yz=x+y」「高さが正である」という三点が伝わることが重要である。

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3 — 線形微分方程式

方針

第1小問は定数係数線形微分方程式である。斉次解は特性方程式から求め、非斉次項は ex×多項式,多項式 e^{-x}\times \text{多項式},\qquad \text{多項式} に分けて特殊解を作る。指数関数付き多項式には、演算子のシフト DD1 D\mapsto D-1 を使うと計算を整理しやすい。

重解の扱い

特性方程式に (r1)2(r-1)^2 が含まれるため、exe^x だけでなく xex xe^x も斉次解に入る。ここを落とすと一般解の任意定数が一つ不足する。

特殊解の検算

特殊解 4xex(x2+7x+332) 4x-e^{-x}\left(x^2+7x+\frac{33}{2}\right) のうち、4x4x は右辺の 4x4x に対応する。残りは ex(4x2+4x) e^{-x}(4x^2+4x) に対応している。計算後に、右辺の指数関数付き部分と多項式部分を別々に照合すると、符号ミスを見つけやすい。

一次線形方程式の注意

第2小問では、分母を (x+1)(x1)=x21 (x+1)(x-1)=x^2-1 とまとめてから y+2xx21y=sinxx21 y'+\frac{2x}{x^2-1}y=\frac{\sin x}{x^2-1} に直す。積分因子を求めるとき、本来は絶対値を含めて logx21 \log|x^2-1| が出るが、解は x=±1x=\pm1 をまたがない各区間で考えるため、積分因子は定数倍を無視して x21x^2-1 と取ってよい。

試験で書くべきポイント

一般解では任意定数の個数を確認する。三階方程式では C1,C2,C3C_1,C_2,C_3 の三つ、一次方程式では一つである。第2小問では、特異点 x=±1x=\pm1 をまたいで一つの解を考えるわけではないことも書いておくと答案が丁寧になる。

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4 — フーリエ変換

方針

この問題は正規化定数 12π \frac{1}{\sqrt{2\pi}} を落とさないことが最重要である。物理系の教科書では 2π2\pi の置き方が異なることがあるため、問題で与えられた定義に合わせて、順変換にも逆変換にも同じ係数を付ける。

不連続点と特別な周波数

第1小問の ω=0\omega=0、第2小問の ω=±1\omega=\pm1、第3小問の x=±1x=\pm1 では、計算途中の式に分母が現れる。しかし、元の積分は有限区間上の積分なので値は存在する。答案では「極限で定める」だけで済ませてもよいが、直接積分した値を明示すると安全である。

偶奇性の利用

第2小問では cosx\cos x が偶関数であり、虚部に対応する cosxsin(ωx) \cos x\sin(\omega x) は奇関数になる。そのためフーリエ変換は実数値になる。指数関数表示で計算してもよいし、偶奇性から実部だけを積分してもよい。

第3小問の絶対値の外し方

eiωe^{-i|\omega|}ω0\omega\ge 0ω<0\omega<0 で形が変わる。そのため [π,π]=[π,0][0,π] [-\pi,\pi]=[-\pi,0]\cup[0,\pi] に分けるのが確実である。ここで eiω=eiω(ω<0),eiω=eiω(ω0) e^{-i|\omega|}=e^{i\omega}\quad(\omega<0),\qquad e^{-i|\omega|}=e^{-i\omega}\quad(\omega\ge 0) となる点を取り違えない。

典型ミス

第2小問の台を片側無限区間と読んでしまうと、通常の意味のフーリエ変換として扱えない。ここではコンパクト台の関数として、台を [π,π][-\pi,\pi] と解釈する。また、第3小問では F(ω)F(\omega) が実関数ではなく複素数値であるため、逆変換の結果も一般に複素数値になる。実数になるはずだと思い込んで虚部を捨ててはいけない。

試験で書くべきポイント

積分範囲を先に明示し、分母がゼロになる点は別扱いにする。最後に定義と同じ正規化で答えを書けば、計算過程の符号や 2π2\pi の係数に関する減点を避けやすい。

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5 — 幾何剛性トラス

方針

この構造は,棒が初め水平であるため,一次の微小変位理論だけでは鉛直剛性が出ない。 鉛直変位によって棒がわずかに傾き,その二次の幾何伸びが軸伸び NL/EANL/EA と等しくなる,という幾何非線形を使うのが要点である。

なぜ三乗根になるか

軸伸びは δ2/l\delta^2/l のオーダーなので,軸力は EAδ2/l2EA\,\delta^2/l^2 に比例する。 鉛直成分はさらに傾き δ/l\delta/l を掛けるため,外力は PEAδ3l3 P \sim EA\frac{\delta^3}{l^3} となる。答えが PP に比例せず P1/3P^{1/3} に比例するのはこのためである。

検算

求めた δ\delta に対して R=EAδ22l2,Q=EAδ28l2 R=\frac{EA\delta^2}{2l^2},\qquad Q=\frac{EA\delta^2}{8l^2} であるから R=4QR=4Q となる。上側の短い棒の方が同じ鉛直変位に対して大きく伸びるので,軸力が下側の4倍になるのは自然である。 また,鉛直荷重の分担は S=2Rδl=89P,Qδl=19P S=2R\frac{\delta}{l}=\frac{8}{9}P,\qquad Q\frac{\delta}{l}=\frac{1}{9}P となり,和が確かに PP になる。

典型ミス

Δδ\Delta\simeq \delta としてしまうと,最終答えが PP に比例する線形解になってしまう。 水平棒の端点が鉛直に動くときの軸伸びは L2+δ2Lδ22L \sqrt{L^2+\delta^2}-L\simeq \frac{\delta^2}{2L} であり,ここを二次で残す必要がある。

試験で書くべきポイント

採点上は,δF,δG\delta_F,\delta_G と軸力の関係,点 F と点 G の力のつり合い,剛体棒による δF=δG\delta_F=\delta_G の三つを明示すればよい。 特に SS の作用方向を自分で定義し,同じ定義で二つのつり合い式を書くことが重要である。

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6 — 曲げ変形と適合条件

方針

この問題では,軸伸びを無視して曲げ変形だけを足し合わせる。 L形部材では,水平部材の荷重が節点 C に曲げモーメントを与え,そのモーメントで鉛直部材が回転する。 したがって点 A のたわみは「節点 C の移動・回転」と「水平部材自身の曲げたわみ」に分けると整理しやすい。

反力を求める考え方

(2) では点 A が剛支持ではなく,右側の弾性部材 AF を介して支えられている。 したがって反力 RR は静力学だけでは決まらない。 左側から計算した点 A の変位と,右側片持ち梁の先端変位を等しくする適合条件が必要である。

SFD・BMDの検算

求めた反力は R=17P/42<P/2R=17P/42<P/2 であるから,C に伝わるモーメント (P2R)l=421Pl (P-2R)l=\frac{4}{21}Pl は小さい正値になる。BMD が C からいったん下がって負側に入り,A でピン条件により零へ戻る形になることを確認しておくと,符号ミスを見つけやすい。

典型ミス

節点 C の回転による 2lθC2l\theta_C を落とすと,点 A の変位が大きくずれる。 また,(2) で右側部材 AF の変位を Rl3/(3EI)Rl^3/(3EI) と置くとき,これは「A に下向き荷重 RR が作用する片持ち梁」の変位であり,左側 CBA に作用する反力は上向きである。 力の作用反作用を混同しないこと。

試験で書くべきポイント

(1) は θC\theta_CδAx\delta_{Ax}δAy\delta_{Ay} の三つを,どの成分から足したか分かる形で書く。 (2) は反力 RR の向きを宣言し,左側変位と右側変位を等置する一行を必ず示す。 SFD・BMD は数式だけでなく,C,B,A の主要値を図中に書き込むと採点者に伝わりやすい。

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7 — 空間曲げとCastigliano

方針

点 D の反力は静力学だけでは決まらないので,ひずみエネルギーと適合条件を使う。 剛体棒 BD は変形しないが,反力 RR を点 B へ伝えるときに力だけでなくモーメントも伝える。 そのため,AB と OA の曲げモーメントには RR の腕の長さが入る。

内部モーメントの見方

BC を切ると自由端側には点 C の荷重 PP だけがあるので,BC には P(cs)P(c-s) の曲げだけが生じる。 AB を切ると,自由端側には点 C の PP と剛体棒先端 D の反力 R-R が含まれる。 したがって AB には P(bs)R(2bs) P(b-s)-R(2b-s) の曲げと,C の高さ cc によるねじり PcPc が生じる。 OA では,PPRRyy 方向の腕が曲げを作り,PP の高さ cc も別方向の曲げを作る。

検算

反力の係数は 12a+5b2(12a+7b) \frac{12a+5b}{2(12a+7b)} であり,正の a,ba,b に対して 0<R<P/20<R<P/2 となる。 これは,D が荷重 PP を一部だけ受け持ち,固定端 O も残りを受け持つことを意味しており,力の向きとして自然である。

典型ミス

ねじりエネルギー P2c2b/(2GIp)P^2c^2b/(2GI_p) を落としやすい。 この項は反力 RR の決定には現れないが,点 C の変位 δCx\delta_{Cx} には Pbc2GIp \frac{Pbc^2}{GI_p} として効く。反力だけを求めて安心すると,(2) で不足する。

試験で書くべきポイント

最初に RR の向きを明示すること。 そのうえで,部材ごとの曲げ・ねじりを表に近い形で整理し,U/R=0\partial U/\partial R=0U/P=δCx\partial U/\partial P=\delta_{Cx} の二つを使えば,計算の流れが明確になる。

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8 — ばね支持剛体系

方針

質量のない剛体棒では,棒そのものに運動方程式を立てるのではなく,棒のつり合いで質点の座標だけに整理する。 質量をもつ点や板については,回転角と指定変位の関係を先に書くと,慣性項とばね項を機械的に求められる。

(1)の有効剛性

左端と右端のばね定数が違うため,質点が xx だけ動いたとき,両端が同じ割合で動くわけではない。 静的つり合いから yL=x/3, yR=4x/3y_L=x/3,\ y_R=4x/3 となり,復元力はちょうど 2kx-2kx になる。 ここを単純に 2k+k=3k2k+k=3k と足すのは誤りである。

(3)の交差慣性が消える理由

右側の質点 mm と左側の質点 3m3m の質量・腕の長さの組合せにより, m(y˙+x˙)2+3m(y˙x˙3)2 m(\dot{y}+\dot{x})^2+3m\left(\dot{y}-\frac{\dot{x}}{3}\right)^2 x˙y˙\dot{x}\dot{y} 項が打ち消し合う。 そのため,指定された形のように慣性行列は対角になる。

検算

(3) で y=0y=0 と固定すると,棒上のばねだけが効き, 43mx¨+49kx=0 \frac{4}{3}m\ddot{x}+\frac{4}{9}kx=0 となる。これは (2) の mx¨+kx/3=0m\ddot{x}+kx/3=0 と同じ式である。 支点ばねを固定支持に戻した極限と一致している。

試験で書くべきポイント

各小問で,指定された座標と実際のばね変位の関係を最初に書く。 特に正方形板では,ばね取付点の支点からの距離が回転剛性を決めるので,(2l/3)q(2l/3)qlqlq を明記すること。

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9 — 二枚翼プロペラのジャイロモーメント

方針

この問題の本質は,二枚翼の慣性テンソルが軸対称ロータと違うことである。 単に IΩI\Omega の角運動量を旋回角速度 ω\omega で回すだけでは,二枚翼特有の周期変動を取り逃がす。 物体固定座標で M=(dHdt)body+ω×H \mathbf{M}=\left(\frac{d\mathbf{H}}{dt}\right)_{\mathrm{body}} +\boldsymbol{\omega}\times\mathbf{H} を使うのが安全である。

符号について

ここでは eη=sinϕex+cosϕey\mathbf{e}_\eta=-\sin\phi\,\mathbf{e}_x+\cos\phi\,\mathbf{e}_y と定義した。 η\eta 軸を逆向きに定義すると,η\eta 成分の符号は反転する。 答案では,最初に座標変換を明示してからモーメント成分を書くことが重要である。

検算

ω=0\omega=0 なら旋回がないので,求めたモーメントはすべて零になる。 また Ω=0\Omega=0 でも,主なジャイロ項は消え,残るのは旋回角速度だけに由来する ω2\omega^2 の小さい項である。 高速回転する風車では通常 Ωω\Omega\omega の項が支配的である。

典型ミス

二枚翼を円盤ロータのように扱い,慣性テンソルを diag(J,J,Jp) \operatorname{diag}(J,J,J_p) のような軸対称形にしてしまうと,Ωt\Omega t に依存する変動モーメントが出ない。 本問の考察では,まさにその変動が不都合として問われている。

試験で書くべきポイント

慣性テンソル,角速度成分,角運動量,時間微分の順に書く。 最後の考察では,「二枚翼では支柱・軸受に周期的なジャイロモーメントが入る」と具体的に書けば十分である。

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10 — 転がり円柱を含む二自由度振動

方針

円柱は並進だけでなく回転運動も持つが,転がり拘束により回転自由度は x2x_2 に消去できる。 その結果,円柱の有効質量は 2m+ma2a2=3m 2m+\frac{ma^2}{a^2}=3m となり,台車と円柱の質量行列がどちらも 3m3m になる。

基礎励振の扱い

座標 x1,x2x_1,x_2 は支持台に対する相対変位である。 したがって絶対加速度は x¨i+u¨\ddot{x}_i+\ddot{u} であり,右辺には Mu¨-M\ddot{u} が現れる。 u=UcosΩtu=U\cos\Omega t なので u¨=UΩ2cosΩt-\ddot{u}=U\Omega^2\cos\Omega t である。 この符号を落とすと強制項が逆になる。

モード分解の検算

剛性行列 (5222) \begin{pmatrix}5&-2\\-2&2\end{pmatrix} の固有値は 1,61,6 で,対応する固有ベクトル (12),(11/2) \begin{pmatrix}1\\2\end{pmatrix},\qquad \begin{pmatrix}1\\-1/2\end{pmatrix} は内積が零である。 質量行列が 3mI3m\mathbf{I} なので,通常の内積で直交性を確認できる。

典型ミス

円柱の運動方程式で質量を 2m2m のままにしてしまうミスが多い。 回転慣性 ma2ma^2 が転がり拘束を通じて mx¨2m\ddot{x}_2 として加わるため,最終的な慣性係数は 3m3m である。

試験で書くべきポイント

摩擦力 FF は運動方程式を立てるために必要だが,最後は転がり拘束により F=mx¨2F=-m\ddot{x}_2 として消去する。 滑り条件では,求めた定常解の振幅 X2X_2 を用いて mΩ2X22mgμs m\Omega^2|X_2|\le 2mg\mu_s と書けばよい。共振時は非減衰モデルでは定常振幅が有限に定まらないため,この式の範囲外である。

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11 — 等容・等温サイクル

方針

この問題は,等容過程の熱量 cvΔTc_v\Delta T と等温過程の熱量 RTln(vf/vi)RT\ln(v_\mathrm{f}/v_\mathrm{i}) を正負込みで整理すればよい。サイクルAでは等容加熱分が外部投入熱に含まれるが,サイクルBでは等容加熱・等容冷却が再生器内で相殺される点が核心である。

符号と放出熱量

熱力学の式では,気体が受け取る熱を正にすると 343\to4414\to1 の熱量は負になる。一方,設問の「放出される熱量」は正の大きさとして答えるのが自然である。そのため qA,out=(q34+q41) q_{A,\mathrm{out}}=-(q_{34}+q_{41}) としている。ここを符号付き熱量のまま書くと,効率計算で符号を落としやすい。

検算

正味仕事は等温膨張仕事と等温圧縮仕事の差だけでも求まる。 lA=RT3lnεRT1lnε=R(T3T1)lnε. l_A=RT_3\ln\varepsilon-RT_1\ln\varepsilon =R(T_3-T_1)\ln\varepsilon. 等容過程は体積変化がないため仕事をしない。この検算により,熱収支から得た lAl_A と一致する。

試験で書くべきポイント

v3=v4=εv1v_3=v_4=\varepsilon v_1v2=v1v_2=v_1T2=T3T_2=T_3T4=T1T_4=T_1 を最初に明記すると,後の対数の中身を迷わない。サイクルBでは「等容冷却で捨てる熱量」と「等容加熱で必要な熱量」がともに cv(T3T1)c_v(T_3-T_1) で等しいことを書いてから,外部投入熱を RT3lnεRT_3\ln\varepsilon とするのが採点上も明確である。

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12 — 発熱円柱の定常伝熱

方針

円柱内部の発熱問題では,まず全発熱量を表面積で割って表面熱流束を出すと,境界条件がすぐ決まる。温度分布を先に解いてもよいが,熱流束の式を使う方が計算が短く,符号の確認もしやすい。

中心条件

一般解には lnr\ln r の項が出る。しかし中心 r=0r=0 で温度が発散する解は物理的に許されないので,その係数は0である。この条件を書かない答案では,円柱座標の解として不完全に見える。

空気温度を変えた場合

支配方程式と境界での温度差条件は,絶対温度そのものではなく TTairT-T_\mathrm{air} に対して同じ形になる。したがって空気温度を一様に上げると温度分布全体が同じだけ上がるだけで,中心と空気の温度差は変わらない。

ふく射割合の考え方

ふく射の詳細式 σ(Tw4Twall4)\sigma(T_w^4-T_\mathrm{wall}^4) を使わなくても,中心温度差が10\%低下したという情報から割合を求められる。内部伝導の温度差 HR2/(4k)HR^2/(4k) は発熱量と材料で決まるため,ふく射で変わるのは表面から外部へ逃げる部分の分担である。

典型ミス

全発熱量 HπR2H\pi R^2 を表面積 2πR2\pi R で割るところを πR2\pi R^2 で割ってしまうと,熱流束の次元が合わない。また,ふく射ありの場合にも中心から表面までの伝導温度差を10\%小さくしてしまうと,エネルギー保存と矛盾する。

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13 — 向流熱交換器

方針

最初に熱容量流量 C=m˙cC=\dot m c を比較する。今回は両側とも 80 kW/K80\ \mathrm{kW/K} で等しいため,向流熱交換器では高温側と低温側の温度差が入口から出口まで一定になる。この性質に気づくと,温度分布と対数平均温度差が一気に決まる。

隔壁温度の位置

隔壁熱抵抗を無視すると,高温流体から隔壁までの熱流束と,隔壁から低温流体までの熱流束は同じである。 hW(TWTw)=hL(TwTL). h_W(T_W-T_w)=h_L(T_w-T_L). hW=6h_W=6hL=3h_L=3 なので,温排水側の温度落差は小さく,被加熱液体側の温度落差は大きい。したがって隔壁温度は中央ではなく,温排水側に寄る。

改善すべき側

全熱抵抗は 1U=1hW+1hL \frac{1}{U}=\frac{1}{h_W}+\frac{1}{h_L} である。元の抵抗は温排水側が 1/61/6,被加熱液体側が 1/31/3 で,被加熱液体側の方が大きい。大きい抵抗を下げる方が,同じ改善倍率で UU を増やしやすい。

典型ミス

面積を 5/65/6 倍にする条件を UU'5/65/6 倍と誤ると逆である。Q˙=UAΔTlm\dot Q=UA\Delta T_\mathrm{lm}Q˙\dot QΔTlm\Delta T_\mathrm{lm} が同じなら,面積を減らす分だけ UU6/56/5 倍にしなければならない。

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14 — 急拡大ダクトの運動量収支

方針

前半は,縮流部の連続式,入口から縮流部までのベルヌーイ式,急拡大部の運動量式を順に使う。後半の固定力は,ダクト内部だけでなく,ダクトによって周囲へ排除された流量も含めた全体の運動量収支で扱うのが自然である。

急拡大部の圧力差

p2p3p_2-p_3 が負になることに注意する。速度は V2>V3V_2>V_3 なので,急拡大により運動エネルギーの一部は失われるが,同時に静圧は回復する。式 p2p3=ρV3(V3V2) p_2-p_3=\rho V_3(V_3-V_2) は,この圧力回復を表している。

固定力の見方

ダクト出口流速が周囲流速より小さいため,ダクトを置かなかった場合に比べて運動量流束が不足する。その不足分に対応して,流体はダクトを下流向きに押す。固定力はその反力として上流向きに必要である。

検算

β=1/2\beta=1/2 では α(1α)=1/4 \alpha(1-\alpha)=1/4 となり,最大値をとる α=1/2\alpha=1/2 が得られる。さらに m=1+3m=1+\sqrt3 なので Ca=310.732C_a=\sqrt3-1\simeq0.732 であり,縮流係数として1未満の妥当な値である。

典型ミス

穴径は d=D/2d=D/\sqrt2 である。ここを D/2D/2 と読むと縮流係数が大きく変わる。また,断面2の速度面積は AcA_c であり,圧力は断面全体で一様とされているため,運動量式では圧力項に AA,流入運動量に AcA_c を使う。

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15 — 分岐管路の損失と流量調整

方針

この問題は,各出口までのエネルギー式を「同じ部分」と「階によって違う部分」に分けると見通しがよい。主管の速度は流量が減るたびに V,2V/3,V/3V,\,2V/3,\,V/3 と変わり,枝管速度は全階で同じ uu である。

3階弁が全開になる理由

等流量条件では,枝管側の摩擦損失と出口速度水頭は各階で同じである。違うのは,階の高さによる利用可能水頭と,下へ進む主管の追加摩擦損失である。高い3階は利用可能水頭が最も小さいため,ここで余計な弁損失を入れると全体流量の上限が下がる。したがって最大流量では3階弁を全開にする。

条件式の役割

与えられた λ12dV22g1 \lambda\frac{1}{2d}\frac{V^2}{2g}\le 1 は,1段下がることで得る位置水頭 hh が,追加の主管摩擦損失を上回ることを保証するための条件である。これにより,1階・2階では弁損失を正に増やして3階と流量をそろえられる。

典型ミス

主管の直径は 2d2d なので主管断面積は πd2\pi d^2 であり,枝管断面積は πd2/4\pi d^2/4 である。ここを同じ速度で扱うと,枝管側の速度水頭に現れる係数 161616/916/9 が出ない。また,出口は大気開放で縮流なしなので,出口損失係数ではなく速度水頭そのものの 11 を入れる。

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16 — 浮体の復元モーメント

方針

浮体問題では,まず排水面積から浮力を求める。モーメントは圧力分布を直接積分してもよいが,静水圧の合力は浮力であり,その作用線は排水部分の重心を通る。この性質を使うと計算が大幅に短くなる。

水中部分の形

長辺 3a\sqrt3 a,短辺 aa の長方形を 3030^\circ 回転させると,水平な水面はちょうど対角線になる。したがって下半分は三角形であり,浮心はその三角形の重心で求められる。ここを長方形の半分の重心と誤ると,xBx_B が0になってモーメントを失ってしまう。

モーメントの符号

浮心は x=a/6x=-a/6 にあり,浮力は上向きである。したがって正の yy 軸を図の向きにとると,水圧モーメントは正で My=xBFb>0 M_y=-x_BF_b>0 となる。物体Bはこれを打ち消す必要があるため,重力モーメント xmBgxm_Bg が負になる位置,すなわち x<0x<0 に置かれる。

検算

物体Aだけなら密度比は 1/31/3 なので,半分沈む状態では浮力が物体Aの重さより大きい。その余りが物体Bの重さであり, 1213=16 \frac12-\frac13=\frac16 から mB=(3/6)ρWa2m_B=(\sqrt3/6)\rho_Wa^2 が得られる。力のつり合いとモーメントのつり合いの両方を満たしていることを最後に確認するのが重要である。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

九州大学 機械工学 — 他の年度