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京都大学 院試 過去問 解答例

京大 情報学研究科 システム科学コース 2025年度 院試 過去問 解答例・解説(全12問)

全12問。確率・統計2問・制御工学2問・線形代数2問。テーマタグは14件(伝達関数・フーリエ変換・固有値・固有ベクトル)。2024年度と共通のテーマは伝達関数・フーリエ変換・固有値・固有ベクトル。

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収録4年度分の解答PDF:京都大学 情報学研究科 システム科学コース(¥2,880・紙面見本あり)

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解説12問と大問1問の途中式・最終答(全12問)
解答PDFに収録
途中式と最終答(最終答つき12問)
問題本文
非収録

京大 システム科学コース 2025年度 院試 過去問の出題内容(全12問)

この12問の分野は確率・統計2問・制御工学2問・線形代数2問・複素解析2問・微分積分・解析1問です。

大問分野主題解説の小見出し最終答
第1問線形代数回転行列とノルム回転行列は角度を足す / 同時対角化の見方あり
第2問線形代数線形写像と正規直交基底階数と単射・全射 / 正規直交基底間の変換あり
第3問微分積分・解析積分領域と反復対数極角が2周している / 反復対数の積分あり
第4問—極値と近似対数微分が有効 / 級数近似の代入点あり
第5問複素解析複素関数論1指数関数に直す / 正則性は点ではなく領域で見るあり
第6問複素解析複素関数論2極は分母の零点から出る / 上辺の向きに注意あり
第7問確率・統計確率統計1逆数変換では不等号が反転する / 最大値は累積分布を累乗するあり
第8問確率・統計確率統計2共役性 / 予測分布あり
第9問制御工学制御工学1ラプラス変換で消去する / 速度フィードバックの寄与あり
第10問制御工学制御工学2図2(a)は内部モデル制御の形 / むだ時間の逆は実現できないあり
第11問—信号処理1左半平面の根を選ぶ / 直流利得で分子を決めるあり
第12問—信号処理2中心切片定理 / 正方形の変換は分離するあり

2025年度の出題テーマと、同じテーマを出した他大学・他年度

この年度は11問に14テーマが出ています。

テーマこの年度全体の出題実績他大学の直近出題
伝達関数第9・10・11問12大学・113問
フーリエ変換第6・12問14大学・91問
固有値・固有ベクトル第1問25大学・544問
線形空間・基底第2問21大学・152問
重積分と極座標第3問23大学・142問
留数定理第6問18大学・126問
ラプラス変換第9問12大学・56問
テイラー展開第5問18大学・45問
ヒルベルト空間第2問12大学・33問
ラグランジュの未定乗数法第4問12大学・33問
ベータ関数・ガンマ関数第8問12大学・23問
コーシーの積分定理第5問8大学・16問
フィードバック制御第10問3大学・15問
ベイズ推定第8問3大学・6問

前年度(2024年度)との違い

大問数
2024年度 12問 → 2025年度 12問
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第1問 — 回転行列とノルム

回転行列は角度を足す

この型の行列は通常の回転行列とは符号の置き方が逆だが,積で角度が加わる点は同じである。したがって,複数の行列積を一つの A(⋅)A(\cdot) にまとめるのが最短である。

同時対角化の見方

行列が互いに可換であることだけでは,常に同時対角化できるとは限らない。ここでは,すべての A(α)A(\alpha) に共通する二つの固有ベクトルを具体的に与えることで,同時対角化を直接示している。

ノルムは回転では変わらない

漸化式では回転の部分とスカラー倍の部分を分ける。回転はノルムを保存し,θt\theta^t だけが大きさを変えるため,極限は θ\theta と初期値のみによって決まる。

解答

  1. 行列 A(α)=(cos⁡αsin⁡α−sin⁡αcos⁡α) A(\alpha)= \begin{pmatrix} \cos\alpha & \sin\alpha\\ -\sin\alpha & \cos\alpha \end{pmatrix} については A(α)A(β)=A(α+β) A(\alpha)A(\beta)=A(\alpha+\beta) が成り立つ。右辺の行列は 12(11−11)=A(π4) \frac{1}{\sqrt2} \begin{pmatrix}1&1\\-1&1\end{pmatrix} =A\left(\frac{\pi}{4}\right) である。したがって左辺全体は A(−π3+π6+θ−16+13)=A(θ−π6+16) A\left(-\frac{\pi}{3}+\frac{\pi}{6}+\theta-\frac{1}{6}+\frac{1}{3}\right) =A\left(\theta-\frac{\pi}{6}+\frac{1}{6}\right) となるから, θ−π6+16=π4+2kπ(k∈Z). \theta-\frac{\pi}{6}+\frac{1}{6} =\frac{\pi}{4}+2k\pi \qquad (k\in\mathbb Z). よって θ=5π12−16+2kπ(k∈Z) \theta=\frac{5\pi}{12}-\frac{1}{6}+2k\pi \qquad (k\in\mathbb Z) である。
  2. 複素数体上で v+=(1i),v−=(1−i) v_+=\begin{pmatrix}1\\ i\end{pmatrix},\qquad v_-=\begin{pmatrix}1\\ -i\end{pmatrix} とおくと,任意の実数 α\alpha に対して A(α)v+=eiαv+,A(α)v−=e−iαv− A(\alpha)v_+=e^{i\alpha}v_+,\qquad A(\alpha)v_-=e^{-i\alpha}v_- である。v+,v−v_+,v_- は一次独立なので,これらは共通固有ベクトルの基底をなす。したがって,指定された三つの行列は同時対角化可能である。
  3. A(θ)A(\theta) は直交行列であるから,任意のベクトル xx について ∥A(θ)x∥=∥x∥ \|A(\theta)x\|=\|x\| が成り立つ。漸化式より x(t)=θtA(θ)tx(0) x(t)=\theta^t A(\theta)^t x(0) であるため, ∥x(t)∥=θt∥x(0)∥. \|x(t)\|=\theta^t\|x(0)\|. したがって,x(0)=0x(0)=0 ならすべての tt で ∥x(t)∥=0\|x(t)\|=0 である。x(0)≠0x(0)\ne 0 のときは lim⁡t→∞∥x(t)∥={0,0<θ<1,∥x(0)∥,θ=1,∞,θ>1. \lim_{t\to\infty}\|x(t)\|= \begin{cases} 0, & 0<\theta<1,\\ \|x(0)\|, & \theta=1,\\ \infty, & \theta>1. \end{cases}

最終答

(1) θ=5π12−16+2kπ (k∈Z)\theta=\dfrac{5\pi}{12}-\dfrac{1}{6}+2k\pi\ (k\in\mathbb Z)。 (2) 複素数体上で同時対角化可能。 (3) 上記の場合分けの通り。

第2問 — 線形写像と正規直交基底

階数と単射・全射

線形写像の単射性は核で,全射性は階数で判定する。定義域が3次元,終域が4次元の一つ目では,階数が3でも終域全体には届かない点に注意する。

正規直交基底間の変換

正規直交基底を列に並べた行列 E,FE,F は直交行列である。したがって同じベクトルの FF-座標は FTF^{\mathsf T} を掛けて得られる。基底 EE の座標から FF の座標へ移す行列が FTEF^{\mathsf T}E になる理由はこの関係にある。

線形写像と正規直交基底の途中式・最終答をPDFで見る

第3問 — 積分領域と反復対数

極角が2周している

積分領域の tt は 0≤t<4π0\le t<4\pi である。これは通常の極座標表示を2回数えるので,ヤコビアンを使うだけでなく,重複度2を忘れないことが重要である。

反復対数の積分

反復対数型の積分では,指数を反復して作った区間で分けると,各区間の寄与が一定になる。有限積になることと,その逆数の積分が収束することは別問題であり,ここでは後者は発散する。

積分領域と反復対数の途中式・最終答をPDFで見る

第4問 — 極値と近似

対数微分が有効

xxx^x を含む関数は直接微分してもよいが,正値関数なので対数をとると計算が短くなる。極値の種類は log⁡f\log f の増減で判定できる。

級数近似の代入点

log⁡2\log2 を与えられた関数で表すには,分数式が2になる xx を選ぶ。x=−1/3x=-1/3 は原点に近く,Maclaurin展開による近似に適している。

三角関数の制約

積の最大化では,正の内部解を探すために対数をとる。境界の確認を書いておくと,内部の停留点が局所解にとどまらず最大値であることが明確になる。

極値と近似の途中式・最終答をPDFで見る

第5問 — 複素関数論1

指数関数に直す

tanh⁡z\tanh z の方程式は,e2ze^{2z} についての一次方程式にするのが最も確実である。負の実数の対数をとるため,偏角に (2k+1)π(2k+1)\pi が現れる。

正則性は点ではなく領域で見る

Cauchy-Riemann方程式が一点で成り立つことと,開領域で正則であることは別である。ここでは x=0x=0 という直線上でしか第一条件が成り立たないため,正則な領域は作れない。

偶数次だけの指数級数

∑z2n/(2n)!\sum z^{2n}/(2n)! は cosh⁡z\cosh z である。指数関数由来の整関数なので,収束半径は無限大である。

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第6問 — 複素関数論2

極は分母の零点から出る

cosh⁡w=0\cosh w=0 は w=iπ(k+1/2)w=i\pi(k+1/2) である。今回は w=πzw=\pi z なので,極は虚軸上の半整数倍の点に並ぶ。矩形内にあるものだけを数える。

上辺の向きに注意

上辺は右から左へ進むため,単に e4πξe^{4\pi\xi} 倍するだけでなく,向きによるマイナスが付く。この符号を落とすと最終式が逆になる。

矩形積分の整理

閉曲線積分を下辺,上辺,垂直辺に分ける。垂直辺が消えるという条件のもとで,下辺の実軸積分だけが残り,留数和からFourier変換型の公式が得られる。

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第7問 — 確率統計1

逆数変換では不等号が反転する

XX は正なので,1/X≤y1/X\le y は X≥1/yX\ge1/y に変わる。ここで 1−FX(1/y)1-F_X(1/y) になる点が最も間違いやすい。

最大値は累積分布を累乗する

独立同分布の最大値では,すべてが zz 以下である確率を取る。したがって FX(z)nF_X(z)^n となる。

ピボットを作る

n(s/Z)αn(s/Z)^\alpha は未知パラメータ ss を含むが,その分布は ss に依存しない。このような量を作ると,信頼区間を機械的に導ける。

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第8問 — 確率統計2

共役性

ポアソン分布の尤度は e−nxx∑yie^{-nx}x^{\sum y_i} の形を持つ。ガンマ分布の密度に掛けると,形状パラメータに観測和が足され,率パラメータに観測数が足される。

予測分布

最後の確率は,ポアソン分布を事後ガンマ分布で混合したものである。結果は負の二項分布型になり,積分ではガンマ関数 ∫0∞xr−1e−λx dx=Γ(r)/λr\int_0^\infty x^{r-1}e^{-\lambda x}\,dx=\Gamma(r)/\lambda^r を使う。

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第9問 — 制御工学1

ラプラス変換で消去する

二つの微分方程式は,補助変数 zz を消去して Y/UY/U を求める。初期値0の伝達関数では,微分は単に ss 倍として扱える。

速度フィードバックの寄与

図の asas の経路は,プラント入力に対して負帰還で入る。共通分母に直すと 2as22as^2 が現れ,これが3次特性方程式の s2s^2 係数になる。

定常偏差

ランプ入力では R(s)=1/s2R(s)=1/s^2 なので,偏差を求めるときに (1−G)/s(1-G)/s の極限を計算する。安定性が仮定されているため,最終値定理が使える。

制御工学1の途中式・最終答をPDFで見る

第10問 — 制御工学2

図2(a)は内部モデル制御の形

Q=PQ=P と置ければ,外側に戻す信号 w=y−Quw=y-Qu が理想的に0になる。そのため F=1/PF=1/P が実現できるなら閉ループは1になる。

むだ時間の逆は実現できない

e−Lse^{-Ls} の逆は eLse^{Ls} であり,これは信号を LL 秒だけ先に進める作用を持つ。未来値が必要なため,通常の因果的制御器としては実現できない。

PIDへの変形

C=F/(1−FQ)C=F/(1-FQ) に指定された F,QF,Q を代入すると,分母の (As+1)(As+1) が消え,比例項,積分項,微分項の和になる。標準形と係数を対応させれば,比例ゲイン,積分時間,微分時間が読める。

制御工学2の途中式・最終答をPDFで見る

第11問 — 信号処理1

左半平面の根を選ぶ

Butterworth特性は振幅二乗を指定するため,安定な伝達関数を作るには対応する根のうち左半平面のものだけを H(s)H(s) の極として採用する。

直流利得で分子を決める

全極型なので,分子は定数である。分母に s=0s=0 を代入した値に合わせて分子を選べば,直流利得が1になる。

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第12問 — 信号処理2

中心切片定理

設問(1)と(2)は,投影の1次元Fourier変換が,元画像の2次元Fourier変換の原点を通る直線上の値に等しいことを示している。これはCT再構成などで使われる中心切片定理である。

正方形の変換は分離する

正方形領域は xx と yy の積の形に分離できるため,2次元Fourier変換も1次元の矩形関数の変換の積になる。

45度射影の形

θ=π/4\theta=\pi/4 では,正方形を対角方向に投影するため,投影関数は三角形になる。そのFourier変換が sinc⁡\operatorname{sinc} 型の二乗になることは,設問(2)の結果と一致する。

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京大 システム科学コース 院試 過去問の収録4年度

  • 2025年度(このページ・全12問)

    回転行列とノルム / 線形写像と正規直交基底 / 積分領域と反復対数

  • 2024年度(全12問)

    行列の冪零性と部分空間 / 歪対称行列の行列式 / 対数関数と数列

  • 2023年度(全14問)

    数学I・連立一次方程式と固有値和 / 数学I・行列式の最大値と平方根行列 / 数学I・直交射影

  • 2021年度(全13問)

    数学I・漸化式と行列の極限 / 数学I・内積空間と最小二乗近似 / 数学II・変数変換と漸近評価