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京大 情報学研究科 システム科学コース 2022年度 院試 過去問 解答例・解説(全13問)

全13問の分野は数学4問、制御工学2問、電磁気学・回路1問です。固有値・固有ベクトル、重積分と極座標、留数定理などが出ています。2021年度と共通するテーマは固有値・固有ベクトル、重積分と極座標、留数定理です。解説はすべて、途中式と最終答は大問1問ぶんを公開しています。残りは解答PDFに収録しています。問題本文は含みません。

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第1問 — 数学I・Jacobi法

反復法は誤差伝播を見る

反復の収束性は en+1=Gene_{n+1}=Ge_n の G=P−1QG=P^{-1}Q で決まる。固有値が異なるため,固有値の絶対値がすべて 11 未満であることが必要十分になる。

解答

  1. 誤差を en=x−xne_n=x-x_n とおく。反復式 xn+1=P−1Qxn+P−1bx_{n+1}=P^{-1}Qx_n+P^{-1}b と 厳密解の関係 x=P−1Qx+P−1bx=P^{-1}Qx+P^{-1}b を引くと en+1=P−1Qen e_{n+1}=P^{-1}Qe_n である。P−1QP^{-1}Q の固有値がすべて異なるので対角化可能である。したがって任意の初期値に対して en→0e_n\to0 となるための必要十分条件は,すべての固有値の絶対値が 11 より小さいこと,すなわち ρ(P−1Q)<1 \rho(P^{-1}Q)<1 である。
  2. Jacobi法では P=(1200040004),Q=P−A=(04−3300−320). P=\begin{pmatrix}12&0&0\\0&4&0\\0&0&4\end{pmatrix}, \qquad Q=P-A= \begin{pmatrix} 0&4&-3\\ 3&0&0\\ -3&2&0 \end{pmatrix}. また P−1=(1/120001/40001/4). P^{-1}= \begin{pmatrix} 1/12&0&0\\ 0&1/4&0\\ 0&0&1/4 \end{pmatrix}.
  3. P−1Q=(01/3−1/43/400−3/41/20) P^{-1}Q= \begin{pmatrix} 0&1/3&-1/4\\ 3/4&0&0\\ -3/4&1/2&0 \end{pmatrix} である。この特性多項式は (λ−12)(λ−14)(λ+34) \left(\lambda-\frac12\right) \left(\lambda-\frac14\right) \left(\lambda+\frac34\right) であるから,固有値は 12,14,−34. \frac12,\quad \frac14,\quad -\frac34. したがって ρ(P−1Q)=34. \rho(P^{-1}Q)=\frac34.
  4. x0=0x_0=0 より x1=P−1b=(5/121/4−3/4). x_1=P^{-1}b = \begin{pmatrix} 5/12\\ 1/4\\ -3/4 \end{pmatrix}.
  5. 直接計算すると A−1=(8/635/63−2/212/2113/42−1/14−1/212/212/7). A^{-1}= \begin{pmatrix} 8/63&5/63&-2/21\\ 2/21&13/42&-1/14\\ -1/21&2/21&2/7 \end{pmatrix}. したがって x=A−1b=(11−1). x=A^{-1}b= \begin{pmatrix}1\\1\\-1\end{pmatrix}.

最終答

ρ(P−1Q)<1\rho(P^{-1}Q)<1。本問では P=diag⁡(12,4,4)P=\operatorname{diag}(12,4,4),Q=(04−3300−320)Q=\begin{pmatrix}0&4&-3\\3&0&0\\-3&2&0\end{pmatrix},固有値は 1/2,1/4,−3/41/2,1/4,-3/4,スペクトル半径は 3/43/4。x1=(5/12,1/4,−3/4)Tx_1=(5/12,1/4,-3/4)^\mathsf{T},真の解は (1,1,−1)T(1,1,-1)^\mathsf{T}。

第2問 — 数学I・非負対称確率行列

最大ノルムで押さえる

非負かつ行和1の行列は最大ノルムを増やさない。この性質だけで固有値の絶対値上界が出る。

数学I・非負対称確率行列の途中式・最終答をPDFで見る

第3問 — 数学II・極限と積分

端点と無限遠を分ける

f/gf/g の有界性は,無限遠では極限から,中央の有界区間では単調性から押さえる。

数学II・極限と積分の途中式・最終答をPDFで見る

第4問 — 数学II・楕円体

楕円体を単位球へ移す

座標を半径で割ると単位球上の最適化になる。対称性とCauchy--Schwarzで計算が整理できる。

数学II・楕円体の途中式・最終答をPDFで見る

第5問 — 論理回路

順序回路は両立集合で縮約する

出力が矛盾する状態対を除き,遷移先も両立するかを閉包的に確認する。極大両立集合を新状態にすると4状態まで減らせる。

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第6問 — 工業数学1・複素関数

係数の根判定

nn−1/n!n^{n-1}/n! はStirlingの公式により根の極限が ee になる。

工業数学1・複素関数の途中式・最終答をPDFで見る

第7問 — 工業数学2・内積とCauchy評価

実部は平面の内積

F(z,w)=Re⁡(z‾w)F(z,w)=\operatorname{Re}(\overline zw) は複素平面を R2\mathbb R^2 と見たときの内積である。

工業数学2・内積とCauchy評価の途中式・最終答をPDFで見る

第8問 — 基本ソフトウェア1・Shell sort

ギャップ付き挿入ソート

コードはShell sortである。通常の挿入ソートを,離れた要素どうしの部分列に対して先に行う。

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第9問 — 基本ソフトウェア2・スケジューリング

表はタイムスライス後に更新する

各時刻で最小の ptp_t を持つプロセスを1スライス実行し,その後に qt,ptq_t,p_t を更新する。

基本ソフトウェア2・スケジューリングの途中式・最終答をPDFで見る

第10問 — 確率統計1・正規母平均の検定

正規化して標準正規へ戻す

既知分散の正規標本平均なので,すべて標準正規分布の上側確率で書ける。

確率統計1・正規母平均の検定の途中式・最終答をPDFで見る

第11問 — 確率統計2・同時分布と混合正規

混合正規のスコアは事後重みで書ける

rir_i は観測 XiX_i が平均 μ\mu 側の成分から来た事後確率である。尤度方程式は重み付き平均の固定点になる。

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第12問 — 制御工学1・線形化とフィードバック安定性

平衡点での傾きがゼロ

sin⁡y\sin y の微分は cos⁡y\cos y であり,y=π/2y=\pi/2 では 00 になる。そのため線形化では復元項が消える。

制御工学1・線形化とフィードバック安定性の途中式・最終答をPDFで見る

第13問 — 制御工学2・位相進み補償

最大位相進みを交差周波数へ置く

位相を最も稼げる周波数 ωm\omega_m を指定された交差周波数に合わせ,ゲインは kk で合わせる。

制御工学2・位相進み補償の途中式・最終答をPDFで見る

年度別の解答例(5年度)

  • 2025年度(全12問)

    回転行列とノルム / 線形写像と正規直交基底 / 積分領域と反復対数

  • 2024年度(全12問)

    行列の冪零性と部分空間 / 歪対称行列の行列式 / 対数関数と数列

  • 2023年度(全14問)

    数学I・連立一次方程式と固有値和 / 数学I・行列式の最大値と平方根行列 / 数学I・直交射影

  • 2022年度(このページ・全13問)

    数学I・Jacobi法 / 数学I・非負対称確率行列 / 数学II・極限と積分

  • 2021年度(全13問)

    数学I・漸化式と行列の極限 / 数学I・内積空間と最小二乗近似 / 数学II・変数変換と漸近評価

2022年度の出題内容

全13問

この13問の分野は数学4問・制御工学2問・電磁気学・回路1問です。

大問分野主題解説の小見出し最終答
第1問数学数学I・Jacobi法反復法は誤差伝播を見るあり
第2問数学数学I・非負対称確率行列最大ノルムで押さえるあり
第3問数学数学II・極限と積分端点と無限遠を分けるあり
第4問数学数学II・楕円体楕円体を単位球へ移すあり
第5問電磁気学・回路論理回路順序回路は両立集合で縮約するあり
第6問—工業数学1・複素関数係数の根判定あり
第7問—工業数学2・内積とCauchy評価実部は平面の内積あり
第8問—基本ソフトウェア1・Shell sortギャップ付き挿入ソートあり
第9問—基本ソフトウェア2・スケジューリング表はタイムスライス後に更新するあり
第10問—確率統計1・正規母平均の検定正規化して標準正規へ戻すあり
第11問—確率統計2・同時分布と混合正規混合正規のスコアは事後重みで書けるあり
第12問制御工学制御工学1・線形化とフィードバック安定性平衡点での傾きがゼロあり
第13問制御工学制御工学2・位相進み補償最大位相進みを交差周波数へ置くあり

同じテーマを出した他大学・他年度

6テーマ

前年度(2021年度)との違い

大問数
2021年度 13問 → 2022年度 13問
2022年度で新しく出たテーマ
ラグランジュの未定乗数法・ボード線図
2021年度の解答例

京都大学の公式過去問

公開年度範囲
2021〜2025
公式の解答例
非公開(問題冊子のみ)
院試hubの最終確認
2026-09-26
京都大学の公式過去問PDF