京都大学 院試 過去問 解答例
京大 情報学研究科 システム科学コース 2024年度 院試 解答例・解説
京都大学 情報学研究科 システム科学コース 2024年度の院試 過去問について、設問ごとの解法方針・部分点の置き所を解説。全12問収録の解答・解説PDFと併用できます。問題本文は含みません。
最終更新:
設問ごとの解法方針・部分点の置き所を無料で公開しています。
完全な途中式・最終答は解答・解説PDFに収録しています。問題本文は含まれません。
第1問 — 行列の冪零性と部分空間
ブロック下三角行列を見る
右上ブロックが零であるため,固有値は対角ブロックだけで決まる。冪零行列では固有値がすべて であることを使う。
Cayley--Hamiltonで十分性を示す
5次正方行列の特性多項式が なら,Cayley--Hamiltonの定理から が直ちに従う。
部分空間は零ベクトルを含む
は一般にはアフィン超平面である。線形部分空間になるのは,原点を通る の場合だけである。
第2問 — 歪対称行列の行列式
4次歪対称行列は平方になる
4次歪対称行列の行列式はPfaffianの二乗である。ここでは展開しても同じ式 が得られる。
奇数次では符号が反転する
であり,奇数次ではこれが になる。転置で行列式が変わらないことと合わせる。
第3問 — 対数関数と数列
は左端で0へ近づく
では だが, である。このため では二つの正の解を持つ。
逆関数の積分公式
は,面積の補完関係から導ける。ここでは を最後に代入する。
数列は一度負になってから単調に0へ近づく
を使うと が分かる。負の領域では かつ となるため,単調収束で処理できる。
第4問 — 距離と楕円領域の積分
楕円の距離は の二次関数
距離そのものではなく距離の二乗を最大化する。 の大きさにより,頂点が に入るかどうかが変わる。
超平面の距離は正射影
原点から超平面へ下ろした垂線は法線ベクトル の方向を向く。Cauchy--Schwarzで下限を出し,その下限を達成する点を与える。
楕円領域は円板へ移す
指数係数付きの楕円は,座標を で伸縮すれば円板になる。積分値は円板上の放物面体積にヤコビアンを掛けたものになる。
第5問 — 複素対数と複素冪
多価対数では代数法則に注意する
と は,多価関数としては一致しない。後者は前者の枝を一つおきに拾う形になる。
絶対値が枝に依存するかを見る
の値そのものが一価でなくても,絶対値だけが一価になる場合がある。枝番号 への依存は だけで決まる。
第6問 — 三角不等式とFresnel積分
単調性で三角不等式をまとめる
が で単調減少することを示せば,両端の値から不等式が一度に出る。
回転で振動積分を減衰積分に変える
とすると になる。これにより の積分と の積分が結びつく。
第7問 — 確率統計1
分散最小の重みは逆分散重み付き最小二乗
正規分布で分散が と異なるため,重みは に比例する。最尤推定量も同じ形になる。
設計点は情報量を最大化する
各観測点が加える情報量は である。区間内でこれを最大化する点をすべて選べばよい。
第8問 — 確率統計2
Pareto分布の対数は指数分布
とおくと下端 が消え,率 の指数分布になる。
の正規化という読み方
なので, は に比例する。最後に 自身を確率密度として正規化する。
KLとRenyi型エントロピー
を積分に代入すると, と だけで整理できる。
第9問 — 制御工学1
閉ループは
図では誤差 から の二つの経路が並列に出力へ入る。外乱は出力直前で加算されるため, からは , からは になる。
右半平面極は で判定する
の極をすべて右半平面へ置くことは, をHurwitz安定にすることと同じである。係数の正性だけで矛盾が出る。
第10問 — 制御工学2
ゲイン余裕を増やすにはゲインを下げる
位相交差周波数でのゲインがより低くなれば,0 dBまでの余裕が大きくなる。したがって 増やす操作は を 下げる操作である。
I-PDの効果は設定値応答に出る
外乱応答ではPIDと同じ一巡伝達関数になる。一方,設定値変化に対しては比例・微分動作が直接効かないため,操作量の急変を抑える効果がある。
第11問 — 信号処理1
支持区間は
は で1である。ここを と取り違えない。
直交性は周波数領域で見る
畳み込みは周波数領域で積になる。最後に を使うと,指数関数の積分が を含むため になる。
第12問 — 信号処理2
間引きは偶数番目を取り出す
と を足すと奇数番目の項が消え,偶数番目だけが残る。これが2分の1を掛ける理由である。
フィルタと間引きの交換条件
下段では と がそれぞれ , に掛かる。上段ではどちらにも同じ が掛かるため,係数比較で条件が出る。