京大 情報学研究科 知能情報学コース 2024年度 院試 過去問 解答例・解説(全10問)
全10問の分野は情報2問、線形代数1問、微分積分・解析1問です。固有値・固有ベクトル、フーリエ変換、動的計画法などが出ています。2023年度と共通するテーマは固有値・固有ベクトル、フーリエ変換、動的計画法です。解説はすべて、途中式と最終答は大問1問ぶんを公開しています。残りは解答PDFに収録しています。問題本文は含みません。
最終更新:
第1問 — F1-1 線形代数
Householder変換として見る
は 方向だけ符号を反転し, に直交する超平面上では点を動かさない反射である。この見方を使うと,対称性,直交性,固有値,行列式が一度に分かる。
解答
- とおく。 はスカラーであり, である。したがって は対称行列である。
- とおくと, である。よって なので ,すなわち は直交行列である。
- 方向では である。一方, なら なので である。したがって固有値は である。
- 固有値の積より
- とおき, と取る。仮定より である。このとき だから したがって は の定数倍になる。
- であるから, も と可換である。よって
- まず Sylvester の行列式恒等式より であるから, は正則である。また が成り立つ。左右から逆行列を掛ければ を得る。
最終答
は対称かつ直交,固有値は ,。 とするには と取ればよい。行列恒等式は可換性と から従う。
第2問 — F1-2 微分積分
剰余を整数に挟む
の無理性証明では,有限和との差を階乗倍して「整数だが0と1の間」という矛盾を作る。剰余の上界が 未満になるように評価するのが核心である。
第3問 — F2-1 アルゴリズムとデータ構造
最大直径は三角形の鎖で作る
各頂点が直前2頂点へ接続する形にすると,局所的には三角形を作りながら全体として細長いグラフになる。新しい頂点が2つの過去頂点へ接続する制約の下では,これが直径を最も伸ばす典型構成である。
第4問 — F2-2 二分探索木と動的計画法
同種を区別しない数え上げ
では品物 を使わない場合と,少なくとも1個使う場合に分ける。後者は1個取り除いた残りを再び で作るので になる。
第5問 — S-1 統計学
対応ありと対応なしで標準誤差が違う
対応ありでは差 の一標本問題になり,共分散 が標準誤差に入る。対応なしでは二標本問題としてプール分散を使う。
第6問 — S-2 パターン認識と機械学習
ナイーブベイズの形
各成分が条件付き独立なので,クラスごとの尤度は3つのベルヌーイ確率の積になる。正規化定数 はクラス比較では共通なので,事前確率と尤度の積だけ比較すればよい。
第7問 — S-3 情報理論
弱対称通信路の容量
行が互いに置換で列和が一定なら,容量は 行エントロピーで与えられる。入力を一様にすると出力も一様になるためである。
第8問 — S-4 信号処理
標本化は周波数領域で複製を作る
時間領域で櫛型関数を掛けると,周波数領域では元のスペクトルが一定間隔で複製される。間隔が狭いと隣の複製が基底帯域へ重なり,これがエイリアシングである。
第9問 — S-5 形式言語理論
10進表記は余りの更新で読める
現在の余りが のとき数字 を1文字読むと,新しい数は 倍して を足したものなので,余りは になる。
第10問 — S-6 認知神経科学・知覚認知心理学
単独計測では落ちる情報を補う
fMRI だけでは速い処理順序が見えにくく,EEG だけでは発生源定位が不安定である。同時計測の価値は,単に二つのデータを取ることではなく,同じ試行・同じ認知イベントに対して時間軸と空間軸を結びつける点にある。
年度別の解答例(5年度)
F1-1 線形代数 / F1-2 微分積分 / F2-1 アルゴリズムとデータ構造
2024年度(このページ・全10問)
F1-1 線形代数 / F1-2 微分積分 / F2-1 アルゴリズムとデータ構造
F1-1 線形代数 / F1-2 微分積分 / F2-1 アルゴリズムとデータ構造
F1-1 線形代数 / F1-2 微分積分 / F2-1 アルゴリズムとデータ構造
F1-1 線形代数 / F1-2 微分積分 / F2-1 アルゴリズムとハッシュ
2024年度の出題内容
全10問
この10問の分野は情報2問・線形代数1問・微分積分・解析1問です。
| 大問 | 分野 | 主題 | 解説の小見出し | 最終答 |
|---|---|---|---|---|
| 第1問 | 線形代数 | F1-1 線形代数 | Householder変換として見る | あり |
| 第2問 | 微分積分・解析 | F1-2 微分積分 | 剰余を整数に挟む | あり |
| 第3問 | 情報 | F2-1 アルゴリズムとデータ構造 | 最大直径は三角形の鎖で作る | あり |
| 第4問 | — | F2-2 二分探索木と動的計画法 | 同種を区別しない数え上げ | あり |
| 第5問 | — | S-1 統計学 | 対応ありと対応なしで標準誤差が違う | あり |
| 第6問 | — | S-2 パターン認識と機械学習 | ナイーブベイズの形 | あり |
| 第7問 | 情報 | S-3 情報理論 | 弱対称通信路の容量 | あり |
| 第8問 | — | S-4 信号処理 | 標本化は周波数領域で複製を作る | あり |
| 第9問 | — | S-5 形式言語理論 | 10進表記は余りの更新で読める | あり |
| 第10問 | — | S-6 認知神経科学・知覚認知心理学 | 単独計測では落ちる情報を補う | あり |
同じテーマを出した他大学・他年度
6テーマ
前年度(2023年度)との違い
- 大問数
- 2023年度 10問 → 2024年度 10問
- 両年度に出たテーマ
- 固有値・固有ベクトル・フーリエ変換・動的計画法
京都大学の公式過去問
- 公開年度範囲
- 2021〜2025
- 公式の解答例
- 非公開(問題冊子のみ)
- 院試hubの最終確認
- 2026-09-26