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京都大学 院試 過去問 解答例

京大 情報学研究科 知能情報学コース 2023年度 院試 過去問 解答例・解説(全10問)

全10問。情報3問・線形代数1問・微分積分・解析1問。テーマタグは9件(固有値・固有ベクトル・重積分と極座標・フーリエ変換)。2021年度と共通のテーマは固有値・固有ベクトル・フーリエ変換・ラグランジュの未定乗数法。

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解説10問と大問1問の途中式・最終答(全10問)
解答PDFに収録
途中式と最終答(最終答つき10問)
問題本文
非収録

京大 知能情報学コース 2023年度 院試 過去問の出題内容(全10問)

この10問の分野は情報3問・線形代数1問・微分積分・解析1問です。

大問分野主題解説の小見出し最終答
第1問線形代数F1-1 線形代数射影として見るあり
第2問微分積分・解析F1-2 微分積分不等式の扱いあり
第3問情報F2-1 アルゴリズムとデータ構造降順入力でも速くならない理由あり
第4問情報F2-2 アルゴリズムとデータ構造4葉木はトポロジーを先に固定するあり
第5問—S-1 認知神経科学・知覚認知心理学共通点と相違点を両方書くあり
第6問—S-2 統計学Fisherの正確検定あり
第7問—S-3 パターン認識と機械学習分散比の見方あり
第8問情報S-4 情報理論容量は出力エントロピー最大化あり
第9問—S-5 信号処理DFT高速化の基本あり
第10問—S-6 形式言語理論・計算理論・離散数学閉包性の証明あり

2023年度の出題テーマと、同じテーマを出した他大学・他年度

この年度は7問に9テーマが出ています。

前年度(2021年度)との違い

大問数
2021年度 10問 → 2023年度 10問
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第1問 — F1-1 線形代数

射影として見る

後半の BB は抽象的な行列計算ではなく,直和分解に沿った射影である。射影では「一度取り出した成分をもう一度取り出しても変わらない」ため,B2=BB^2=B が自然に出る。相似標準形も,W1W_1 の基底を先に,W2W_2 の基底を後に並べればただちに得られる。

解答

  1. i\mathrm{i} を虚数単位とする。与えられた行列を D=12MD=\frac12 M と書く。MM の4本の列ベクトルを m1,…,m4m_1,\ldots,m_4 とすると,各列のノルムは ∥mj∥2=4(j=1,…,4) \|m_j\|^2=4 \qquad (j=1,\ldots,4) であり,異なる列どうしのエルミート内積はすべて 00 である。したがって DHD=14MHM=I4. D^{\mathrm H}D = \frac14 M^{\mathrm H}M = I_4. ゆえに DD はユニタリ行列である。
  2. DD がユニタリなので D−1=DHD^{-1}=D^{\mathrm H} である。したがって (DHGD)−1=DHG−1D. (D^{\mathrm H}GD)^{-1} = D^{\mathrm H}G^{-1}D. ここで G−1=diag⁡(1,−i,1,−i) G^{-1}=\operatorname{diag}(1,-\mathrm{i},1,-\mathrm{i}) であるから,直接計算して (DHGD)−1=(1−i201+i2001−i201+i21+i201−i2001+i201−i2). (D^{\mathrm H}GD)^{-1} = \begin{pmatrix} \frac{1-\mathrm{i}}2 & 0 & \frac{1+\mathrm{i}}2 & 0\\ 0 & \frac{1-\mathrm{i}}2 & 0 & \frac{1+\mathrm{i}}2\\ \frac{1+\mathrm{i}}2 & 0 & \frac{1-\mathrm{i}}2 & 0\\ 0 & \frac{1+\mathrm{i}}2 & 0 & \frac{1-\mathrm{i}}2 \end{pmatrix}.
  3. 次に,V=W1⊕W2V=W_1\oplus W_2 に対し,BB は x=x1+x2x=x_1+x_2 を x1x_1 に写す射影の行列である。 xx を x2x_2 に写す写像は x⟼x−x1 x\longmapsto x-x_1 なので,その行列は In−B I_n-B である。 また,射影を2回行っても結果は変わらない。実際, Bx=x1,B(Bx)=Bx1=x1 Bx=x_1,\qquad B(Bx)=B x_1=x_1 であるから,すべての x∈Vx\in V に対して B2x=BxB^2x=Bx となる。よって B2=B. B^2=B. 最後に,r=dim⁡W1r=\dim W_1 とし,W1W_1 の基底 u1,…,uru_1,\ldots,u_r と W2W_2 の基底 ur+1,…,unu_{r+1},\ldots,u_n を並べる。この nn 本は VV の基底である。これを列に持つ正則行列を P=(u1,…,un) P=(u_1,\ldots,u_n) とすれば,この基底で見た射影は W1W_1 成分を残し W2W_2 成分を消すから P−1BP=(Ir000) P^{-1}BP = \begin{pmatrix} I_r & 0\\ 0 & 0 \end{pmatrix} となる。

最終答

(DHGD)−1=DHG−1D(D^{\mathrm H}GD)^{-1}=D^{\mathrm H}G^{-1}D であり,上の行列になる。x↦x2x\mapsto x_2 の行列は In−BI_n-B,また B2=BB^2=B。適切な基底では BB は diag⁡(Ir,0)\operatorname{diag}(I_r,0) に相似である。

第2問 — F1-2 微分積分

不等式の扱い

log⁡(1+x)\log(1+x) の評価は,微分して単調性を見る方法と,積分表示 log⁡(1+x)=∫0x11+t dt \log(1+x)=\int_0^x\frac{1}{1+t}\,dt を使う方法が安定している。上界との差が ∫0xt3/(1+t) dt\int_0^x t^3/(1+t)\,dt になる形まで変形できれば,符号判定で迷わない。

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第3問 — F2-1 アルゴリズムとデータ構造

降順入力でも速くならない理由

降順配列はヒープ構築だけを見ると有利である。しかしヒープソート全体では,最大値を末尾へ送った直後に根へ小さい値が来る。そこから下へ落とす処理が各段階で起こるため,支配項は取り出し部分の O(nlog⁡n)O(n\log n) のままである。

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第4問 — F2-2 アルゴリズムとデータ構造

4葉木はトポロジーを先に固定する

4葉の根なし二分木は,どの2葉が同じ内部頂点側に付くかで3通りに尽きる。各トポロジーごとに枝長の一次方程式を立て,負の枝長や矛盾が出るものを捨てれば,重複なく列挙できる。

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第5問 — S-1 認知神経科学・知覚認知心理学

共通点と相違点を両方書く

用語説明では,一方ずつ定義するだけだと比較問題への答えとして弱い。各ペアについて「同じ大分類に属する理由」と「何が違うか」を明示すると,採点者が比較軸を確認しやすい答案になる。

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第6問 — S-2 統計学

Fisherの正確検定

周辺度数を固定すると自由に動くのは薬A群の「効果あり」人数 aa だけである。各表の確率を超幾何分布で並べ,観察表以下の確率を合計する,という順序で書くと両側 pp 値の定義に沿った答案になる。

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第7問 — S-3 パターン認識と機械学習

分散比の見方

クラス内平方和 WW は同じクラスに入れた点のまとまりを表し,クラス間平方和 BB はクラス中心の離れ具合を表す。全体の散らばりが同じなら,WW が小さく BB が大きい分類ほど分離がよい。

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第8問 — S-4 情報理論

容量は出力エントロピー最大化

今回の通信路では,各入力行のエントロピーが等しい。したがって I(X;Y)=H(Y)−H(Y∣X)I(X;Y)=H(Y)-H(Y\mid X) の最大化は,実質的に出力分布のエントロピー最大化になる。対称な行列では一様入力をまず試すのが最短である。

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第9問 — S-5 信号処理

DFT高速化の基本

実数列のDFTには共役対称性がある。2本の実数列を1本の複素列に詰める方法も,偶奇分解で 2N2N 点DFTを作る方法も,この対称性と W2N2kr=WNkrW_{2N}^{2kr}=W_N^{kr} を使っている。

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第10問 — S-6 形式言語理論・計算理論・離散数学

閉包性の証明

閉包性は「新しい開始記号を1つ足す」構成で示すのが基本である。一方,非閉包性は既知の非文脈自由言語 akbkcka^kb^kc^k に帰着する。今回の補集合と差は,この2つの型を組み合わせる問題である。

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京大 知能情報学コース 院試 過去問の収録3年度

  • 2025年度(全10問)

    F1-1 線形代数 / F1-2 微分積分 / F2-1 アルゴリズムとデータ構造

  • 2023年度(このページ・全10問)

    F1-1 線形代数 / F1-2 微分積分 / F2-1 アルゴリズムとデータ構造

  • 2021年度(全10問)

    F1-1 線形代数 / F1-2 微分積分 / F2-1 アルゴリズムとハッシュ