京都大学 院試 過去問 解答例
京大 情報学研究科 知能情報学コース 2023年度 院試 解答例・解説
京都大学 情報学研究科 知能情報学コース 2023年度の院試 過去問について、設問ごとの解法方針・部分点の置き所を解説。全10問収録の解答・解説PDFと併用できます。問題本文は含みません。
最終更新:
設問ごとの解法方針・部分点の置き所を無料で公開しています。
完全な途中式・最終答は解答・解説PDFに収録しています。問題本文は含まれません。
第1問 — F1-1 線形代数
射影として見る
後半の は抽象的な行列計算ではなく,直和分解に沿った射影である。射影では「一度取り出した成分をもう一度取り出しても変わらない」ため, が自然に出る。相似標準形も, の基底を先に, の基底を後に並べればただちに得られる。
第2問 — F1-2 微分積分
不等式の扱い
の評価は,微分して単調性を見る方法と,積分表示 を使う方法が安定している。上界との差が になる形まで変形できれば,符号判定で迷わない。
第3問 — F2-1 アルゴリズムとデータ構造
降順入力でも速くならない理由
降順配列はヒープ構築だけを見ると有利である。しかしヒープソート全体では,最大値を末尾へ送った直後に根へ小さい値が来る。そこから下へ落とす処理が各段階で起こるため,支配項は取り出し部分の のままである。
第4問 — F2-2 アルゴリズムとデータ構造
4葉木はトポロジーを先に固定する
4葉の根なし二分木は,どの2葉が同じ内部頂点側に付くかで3通りに尽きる。各トポロジーごとに枝長の一次方程式を立て,負の枝長や矛盾が出るものを捨てれば,重複なく列挙できる。
第5問 — S-1 認知神経科学・知覚認知心理学
共通点と相違点を両方書く
用語説明では,一方ずつ定義するだけだと比較問題への答えとして弱い。各ペアについて「同じ大分類に属する理由」と「何が違うか」を明示すると,採点者が比較軸を確認しやすい答案になる。
第6問 — S-2 統計学
Fisherの正確検定
周辺度数を固定すると自由に動くのは薬A群の「効果あり」人数 だけである。各表の確率を超幾何分布で並べ,観察表以下の確率を合計する,という順序で書くと両側 値の定義に沿った答案になる。
第7問 — S-3 パターン認識と機械学習
分散比の見方
クラス内平方和 は同じクラスに入れた点のまとまりを表し,クラス間平方和 はクラス中心の離れ具合を表す。全体の散らばりが同じなら, が小さく が大きい分類ほど分離がよい。
第8問 — S-4 情報理論
容量は出力エントロピー最大化
今回の通信路では,各入力行のエントロピーが等しい。したがって の最大化は,実質的に出力分布のエントロピー最大化になる。対称な行列では一様入力をまず試すのが最短である。
第9問 — S-5 信号処理
DFT高速化の基本
実数列のDFTには共役対称性がある。2本の実数列を1本の複素列に詰める方法も,偶奇分解で 点DFTを作る方法も,この対称性と を使っている。
第10問 — S-6 形式言語理論・計算理論・離散数学
閉包性の証明
閉包性は「新しい開始記号を1つ足す」構成で示すのが基本である。一方,非閉包性は既知の非文脈自由言語 に帰着する。今回の補集合と差は,この2つの型を組み合わせる問題である。