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京大 情報学研究科 知能情報学コース 2022年度 院試 過去問 解答例・解説(全10問)

全10問の分野は情報3問、線形代数1問、微分積分・解析1問です。フーリエ変換、ニューラルネットワーク、NP完全性が出ています。2021年度と共通するテーマはフーリエ変換です。解説はすべて、途中式と最終答は大問1問ぶんを公開しています。残りは解答PDFに収録しています。問題本文は含みません。

最終更新:

第1問 — F1-1 線形代数

LU分解の検算

この問題ではピボット交換なしで消去が進む。答案では消去過程を全部書くより,得られた L,UL,U と LU=ALU=A の確認方針を明示する方が読みやすい。四元数部分は,Q‾\overline{Q} を掛けると虚部が消えることが核心である。

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第2問 — F1-2 微分積分

対数極座標

u=log⁡ru=\log r と見ると,uu 微分は r∂/∂rr\partial/\partial r に対応する。したがって zuu+zvvz_{uu}+z_{vv} は通常のラプラシアンに r2=x2+y2r^2=x^2+y^2 を掛けたものになる。

解答

  1. n≥1n\ge1 とする。各関数の nn 階導関数は dndxnlog⁡x=(−1)n−1(n−1)!xn, \frac{d^n}{dx^n}\log x = (-1)^{n-1}\frac{(n-1)!}{x^n}, dndxnax=(log⁡a)nax, \frac{d^n}{dx^n}a^x = (\log a)^n a^x, dndxn(x2ex)=ex{x2+2nx+n(n−1)}, \frac{d^n}{dx^n}(x^2e^x) = e^x\{x^2+2nx+n(n-1)\}, dndxn1x2−1=(−1)nn!2{1(x−1)n+1−1(x+1)n+1}. \frac{d^n}{dx^n}\frac{1}{x^2-1} = \frac{(-1)^n n!}{2} \left\{ \frac{1}{(x-1)^{n+1}} - \frac{1}{(x+1)^{n+1}} \right\}. 最後の式では 1x2−1=12(1x−1−1x+1) \frac{1}{x^2-1} = \frac12\left(\frac{1}{x-1}-\frac{1}{x+1}\right) を用いた。
  2. x=eucos⁡v,y=eusin⁡v x=e^u\cos v,\qquad y=e^u\sin v なので,これは極座標 r=eu,θ=vr=e^u,\theta=v である。極座標のラプラシアンは zxx+zyy=zrr+1rzr+1r2zθθ. z_{xx}+z_{yy} = z_{rr}+\frac1r z_r+\frac1{r^2}z_{\theta\theta}. 一方, zu=rzr,zuu=rzr+r2zrr,zvv=zθθ. z_u=rz_r,\qquad z_{uu}=rz_r+r^2z_{rr},\qquad z_{vv}=z_{\theta\theta}. したがって zuu+zvv=r2(zxx+zyy)=(x2+y2)(zxx+zyy). z_{uu}+z_{vv} = r^2(z_{xx}+z_{yy}) = (x^2+y^2)(z_{xx}+z_{yy}).
  3. ガウス積分として ∫−∞∞e−x2 dx=π \int_{-\infty}^{\infty}e^{-x^2}\,dx=\sqrt{\pi} である。 また ∫0∞e−ax2 dx=12πa,∫0∞x2e−ax2 dx=π4a3/2 \int_0^\infty e^{-ax^2}\,dx=\frac12\sqrt{\frac{\pi}{a}}, \qquad \int_0^\infty x^2e^{-ax^2}\,dx=\frac{\sqrt{\pi}}{4a^{3/2}} を用いる。すると ∫0∞∫0∞(ax2+by2)e−(ax2+by2) dx dy=a(∫0∞x2e−ax2 dx)(∫0∞e−by2 dy)+b(∫0∞e−ax2 dx)(∫0∞y2e−by2 dy)=π8ab+π8ab=π4ab. \begin{aligned} &\int_0^\infty\int_0^\infty (ax^2+by^2)e^{-(ax^2+by^2)}\,dx\,dy\\ &= a\left(\int_0^\infty x^2e^{-ax^2}\,dx\right) \left(\int_0^\infty e^{-by^2}\,dy\right)\\ &\quad+ b\left(\int_0^\infty e^{-ax^2}\,dx\right) \left(\int_0^\infty y^2e^{-by^2}\,dy\right)\\ &= \frac{\pi}{8\sqrt{ab}}+\frac{\pi}{8\sqrt{ab}} = \frac{\pi}{4\sqrt{ab}}. \end{aligned}

最終答

(log⁡x)(n)=(−1)n−1(n−1)!/xn(\log x)^{(n)}=(-1)^{n-1}(n-1)!/x^n,(ax)(n)=(log⁡a)nax(a^x)^{(n)}=(\log a)^na^x,(x2ex)(n)=ex{x2+2nx+n(n−1)}(x^2e^x)^{(n)}=e^x\{x^2+2nx+n(n-1)\}, dndxn(x2−1)−1=(−1)nn!2{(x−1)−(n+1)−(x+1)−(n+1)}\frac{d^n}{dx^n}(x^2-1)^{-1}=\frac{(-1)^nn!}{2}\{(x-1)^{-(n+1)}-(x+1)^{-(n+1)}\}。 さらに zuu+zvv=(x2+y2)(zxx+zyy)z_{uu}+z_{vv}=(x^2+y^2)(z_{xx}+z_{yy}),積分値は π\sqrt\pi と π/(4ab)\pi/(4\sqrt{ab})。

第3問 — F2-1 アルゴリズムとデータ構造

部分集合DP

部分集合の個数を数えるときは,最後の要素 aia_i を「使わない」か「使う」かで完全に場合分けする。最適化ではなく個数計算なので,min⁡\min ではなく和になる点に注意する。

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第4問 — F2-2 アルゴリズムとデータ構造

Floyd-Warshallの考え方

頂点番号 kk までを中間頂点として許す,という制約を1つずつ緩める。新しく使えるようになった頂点 kk を通るか通らないかだけを比べるので,三重ループの単純な更新式になる。

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第5問 — S-1 認知神経科学・知覚認知心理学

定義・研究・関連事項の三点セット

用語説明では,定義だけで終わると設問要求を満たさない。代表的研究では「方法」と「結果」を分けて書き,最後に関連トピックを加えると,知識のつながりを示せる。

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第6問 — S-2 統計学

有意結果の事後確率

有意水準は偽の仮説が有意になる確率,検出力は真の仮説が有意になる確率である。事前オッズ R:1R:1 とこの2つを掛け合わせると,有意結果を観測した後の事後確率が出る。

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第7問 — S-3 パターン認識と機械学習

multi-labelとsoftmax

1つの入力が複数クラスに同時所属できる問題では,クラス確率を足して1にするsoftmaxは構造的に合わない。各クラスを独立な二値判定として扱うため,出力ごとにsigmoidとBCEを使う。

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第8問 — S-4 情報理論

禁止語を状態で記憶する

マルコフ情報源で禁止語を避けるには,次の出力を決めるために必要な最短の履歴を状態にする。1111 の禁止には直前が1かどうか,00000000 の禁止には連続する0の個数が3に達したかが必要になる。

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第9問 — S-5 信号処理

三角関数は矩形の畳み込み

三角形の関数は,左右にずれた矩形関数の畳み込みとして見ると簡単に扱える。畳み込みはフーリエ領域で積になるため,直接積分より見通しよく計算できる。

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第10問 — S-6 形式言語理論・計算理論・離散数学

SATから独立集合への変換

各節から1つのリテラルを選ぶことを独立集合の頂点選択に対応させる。節内を三角形にすることで同じ節から複数選べなくし,矛盾するリテラル間に辺を張ることで同時に選べなくする。

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年度別の解答例(5年度)

  • 2025年度(全10問)

    F1-1 線形代数 / F1-2 微分積分 / F2-1 アルゴリズムとデータ構造

  • 2024年度(全10問)

    F1-1 線形代数 / F1-2 微分積分 / F2-1 アルゴリズムとデータ構造

  • 2023年度(全10問)

    F1-1 線形代数 / F1-2 微分積分 / F2-1 アルゴリズムとデータ構造

  • 2022年度(このページ・全10問)

    F1-1 線形代数 / F1-2 微分積分 / F2-1 アルゴリズムとデータ構造

  • 2021年度(全10問)

    F1-1 線形代数 / F1-2 微分積分 / F2-1 アルゴリズムとハッシュ

2022年度の出題内容

全10問

この10問の分野は情報3問・線形代数1問・微分積分・解析1問です。

大問分野主題解説の小見出し最終答
第1問線形代数F1-1 線形代数LU分解の検算あり
第2問微分積分・解析F1-2 微分積分対数極座標あり
第3問情報F2-1 アルゴリズムとデータ構造部分集合DPあり
第4問情報F2-2 アルゴリズムとデータ構造Floyd-Warshallの考え方あり
第5問—S-1 認知神経科学・知覚認知心理学定義・研究・関連事項の三点セットあり
第6問—S-2 統計学有意結果の事後確率あり
第7問—S-3 パターン認識と機械学習multi-labelとsoftmaxあり
第8問情報S-4 情報理論禁止語を状態で記憶するあり
第9問—S-5 信号処理三角関数は矩形の畳み込みあり
第10問—S-6 形式言語理論・計算理論・離散数学SATから独立集合への変換あり

同じテーマを出した他大学・他年度

3テーマ

前年度(2021年度)との違い

大問数
2021年度 10問 → 2022年度 10問
両年度に出たテーマ
フーリエ変換
2022年度で新しく出たテーマ
ニューラルネットワーク・NP完全性
2021年度の解答例

京都大学の公式過去問

公開年度範囲
2021〜2025
公式の解答例
非公開(問題冊子のみ)
院試hubの最終確認
2026-09-26
京都大学の公式過去問PDF