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東北大情報科学研究科の院試過去問・解答|2025年数学の解説と受験条件

東北大情報科学研究科の院試過去問のうち、数学群の2020〜2025年の公式問題と解答例の場所、2025年8月の全4問の解答(図と途中式、証明つき)を載せました。1群の英語、2群の選択問題、3群の数学A・Bへの変更、6群の選択条件は2027年4月一般選抜の要項から書いています。

最終更新: 2026/10/17

情報科学研究科 情報基礎科学専攻 数学群の解答・解説PDF

収録:2020〜2025年度・6回分・解説24項目¥3,200

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情報科学研究科 2群 情報・生命系 基礎・専門科目の解答・解説PDF

収録:2023〜2026年度・7回分・解説60項目¥3,200

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情報科学研究科 3群 機械・知能系 数学・専門科目の解答・解説PDF

収録:2023〜2026年度・4回分・解説54項目¥2,580

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情報科学研究科 6群 心理・哲学 専門科目の解答・解説PDF

収録:2018・2021〜2025年度・6回分・解説72項目¥3,200

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東北大学の研究科別・公式過去問を見る

東北大情報科学研究科の院試は、志望する群で筆記も英語も口述も条件が変わります。このページで扱うのは1群数学、2群情報・生命系、3群機械・知能系、6群心理・哲学の4つ。公式過去問の場所と、実際の解答を載せています。

試験条件の出典は2027年4月入学一般選抜の募集要項(冊子5〜6・12〜14頁)です。この上期選抜はもう2026年8月に終わりました。推薦や下期、外国人留学生等特別選抜は条件が別で、次の入試に同じ日程が来るとも限りません。

1・2・3・6群の筆記試験と英語

群・分野一般選抜の筆記外部英語スコア
1群 数学3時間・4題全必須。微積分と線形代数を各2題一般選抜では提出対象外。外国人留学生等特別選抜とは異なる
2群 物理・情報系100分・6題から2題TOEFL iBTまたはTOEIC L&R公開テスト
2群 医学・生物系100分・3題から2題TOEFL iBTまたはTOEIC L&R公開テスト
3群 機械・知能系数学A・Bを各60分TOEFL iBTまたはTOEIC L&R公開テスト
6群 心理・哲学3時間・12問から4問。志望群から3問以上TOEFL iBTまたはTOEIC L&R公開テスト

2・3・6群で使えるのは、入試初日からさかのぼって2年以内に受けたスコアです。TOEFL ITPとTOEIC IPは使えません。TOEFLはTest Dateスコアで判定されます。

1群の一般選抜にはこの条件がかかりません。出願前に、自分の群の要項でスコアの出し方と到着期限を確かめてください。

1群:英語の数学問題を読み、日本語で証明する

4題のうち、微積分と線形代数の1題ずつが英語だけで書かれています。残りの2題は日本語と英語の併記。答案はどれも日本語で構いません。

点を分けるのは計算より根拠です。関数の定義域、固有空間の次元、極限の評価といった、結論を支える一行を書く練習をしてください。

口述は数学か卒業研究についての約10分の発表です。日本語の概要と英語の概要、入学後に取り組みたいテーマを書いた日本語の文書を、それぞれ5部用意するよう指定されています。発表の流れと資料は、筆答とは別に準備が要ります。

2群:物理・情報系と医学・生物系を区別する

物理・情報系の6題は、電磁気、回路、計算機ハードウェア、計算機ソフトウェア、物理、数学基礎。医学・生物系はバイオインフォマティクスと分子生物学と健康科学の3題です。出願する分野を先に決め、その問題で時間配分を試します。

物理・情報系の演習には電気・情報系の公式過去問が使えます。ただし同じ冊子を工学研究科と医工学研究科も使っていて、選ぶ題数が違います。表紙で情報科学研究科向けの指示を読んでから解いてください。

答案に残すものは分野で変わります。計算機なら論理回路の真理値表やアルゴリズムの計算量。電気なら境界条件と極性、基準電位まで書きます。

3群:2026年8月から数学A・Bへ変更

数学Aの範囲は微積分と線形代数、ベクトル解析。数学Bは常微分方程式、偏微分方程式、フーリエ解析、ラプラス変換です。2027年4月一般選抜では、AとBを60分ずつ解きました。

変更前は、熱力学や流体力学、材料力学、機械力学、制御工学から2科目を選ぶ形でした。その練習をそのまま新しい形式の模試に使うことはできません。

機械系の公式配布ページには、2026・2025・2024年度実施の問題があります。先に2026年の数学A・Bを解き、範囲の合う旧年度の数学問題で補ってください。計算機能や通信機能の付いた機器と電卓は持ち込めません。

口述は原則ありません。研究分野の配属を調整する必要があるときだけ、オンラインで行われます。

外部受験者は、第1志望の分野から受入承諾をもらう必要があります(2027年4月一般選抜では、東北大学の機械系5コースの卒業者と卒業見込者は例外)。英語スコアを出さないと0点で済まず、出願不受理か不合格になります。後回しにはできません。英語が母語の人の提出免除は、事前に教務係に問い合わせて認められた場合に限られます。

6群:4問すべてを志望群から選べる

心理群6問と哲学群6問、計12問から4問を選びます。志望群からは3問以上。心理志望なら、心理4問でも、心理3問と哲学1問でも構いません。

6群の公式ページに、過去問と2024・2025年度の出題意図が載っています。出題意図は答案の完成形ではありません。問われた概念の定義と論証は自分で書き、出題意図と見比べます。

口述は約20分。学習内容や卒業研究についての発表資料を5部用意するよう指定されています。

数学群の公式過去問・解答例:2020〜2025年実施

表の年は試験を行った年です。2025年8月の一般選抜は、2026年4月入学と2025年10月入学の人が受けた試験で、推薦の小論文とは問題が違います。2024・2025年の公式解答には、証明を省いた設問もあります。

情報科学研究科1群数学・実施年別の公式問題と解答
実施年上期一般・8月推薦小論文
20256月実施
20247月実施
20237月実施
20227月実施
20217月実施
20207月実施

2019年以前の分と下期の分は数学教室の公式一覧にあります。古い下期の問題には博士後期課程向けと書かれたものがあるので、修士の筆答と混ぜないでください。

2025年8月・第1問の解答:積分領域と逆正接の値域

公式問題1ページの第1問では、不等式から領域を描き、極座標で重積分を計算します。公式解答例の領域と値に至る途中を説明します。問題で指定されたarctanの値域が、極角θの範囲と異なることに注意します。

(1) 不等式をxの範囲とyの上下限に分ける

−1≤2x+1≤x+y≤0.-1\le2x+1\le x+y\le0.

左端の不等式からx≧−1、中央からy≧x+1、右端からy≦−xです。yの下限が上限を超えない条件x+1≦−xを加えると、x≦−1/2となります。領域Dは次の条件で表せます。

−1≤x≤−12,x+1≤y≤−x.\begin{gathered}-1\le x\le-\frac12,\\x+1\le y\le-x.\end{gathered}

境界直線x=−1、y=x+1、y=−xの交点は、(−1,0)、(−1,1)、(−1/2,1/2)です。不等号に等号を含むため、辺と頂点も領域に含めます。

積分領域の三角形と原点からの半直線領域Dは頂点(-1,0)、(-1,1)、(-1/2,1/2)を持つ境界込みの三角形。境界はx=-1、y=-x、y=x+1。原点から第2象限へ伸ばす半直線はy=x+1から領域に入り、x=-1で出る。xyO−1−1/211/2Dx=−1y=−xy=x+1rの方向
境界も領域に含めます。青線のうち、三角形に入っている部分が、角度θを固定したときのrの積分範囲です。

(2) 角度を固定し、半直線が領域へ入る位置を求める

領域は第2象限にあり、原点から見た両端はy=−xの方向と負のx軸です。したがって、3π/4≦θ≦πです。x=r cosθ、y=r sinθを境界の不等式に代入します。

y≥x+1⟺r(sin⁡θ−cos⁡θ)≥1,x≥−1⟺rcos⁡θ≥−1.\begin{aligned}y\ge x+1&\quad\Longleftrightarrow\quad r(\sin\theta-\cos\theta)\ge1,\\x\ge-1&\quad\Longleftrightarrow\quad r\cos\theta\ge-1.\end{aligned}

この角度ではsinθ−cosθが正、cosθが負です。後者をcosθで割ると不等号が逆になり、次の上下限を得ます。

3π4≤θ≤π,1sin⁡θ−cos⁡θ≤r≤−1cos⁡θ.\begin{gathered}\frac{3\pi}{4}\le\theta\le\pi,\\\frac1{\sin\theta-\cos\theta}\le r\le-\frac1{\cos\theta}.\end{gathered}

下限はy=x+1の辺、上限はx=−1の辺との交点です。θ=πでは上下限がともに1となり、頂点(−1,0)だけになります。原点はDに含まれず、rは常に正です。

(3) arctan(y/x)はθ−πになる

問題のarctanは、値域が−π/2より大きくπ/2より小さい逆関数です。3π/4≦θ≦πをそのまま返すことはありません。tanの周期がπであることを使うと、θ−πは指定された値域に収まります。

arctan⁡yx=arctan⁡(tan⁡θ)=θ−π.\arctan\frac yx=\arctan(\tan\theta)=\theta-\pi.

また、x²+y²=r²、面積要素dxdy=r drdθです。分母のr³と面積要素のrを合わせてr⁻²とします。

I=∫3π/4π∫1/(sin⁡θ−cos⁡θ)−1/cos⁡θθ−πr2 dr dθ.\begin{aligned}I&=\int_{3\pi/4}^{\pi}\int_{1/(\sin\theta-\cos\theta)}^{-1/\cos\theta}\frac{\theta-\pi}{r^2}\,dr\,d\theta.\end{aligned}

rの積分は−1/rです。上下限を代入するとcosθの項が消えます。

[−1r]1/(sin⁡θ−cos⁡θ)−1/cos⁡θ=cos⁡θ+(sin⁡θ−cos⁡θ)=sin⁡θ,I=∫3π/4π(θ−π)sin⁡θ dθ.\begin{aligned}\left[-\frac1r\right]_{1/(\sin\theta-\cos\theta)}^{-1/\cos\theta}&=\cos\theta+(\sin\theta-\cos\theta)\\&=\sin\theta,\\I&=\int_{3\pi/4}^{\pi}(\theta-\pi)\sin\theta\,d\theta.\end{aligned}

最後は部分積分です。

I=[−(θ−π)cos⁡θ+sin⁡θ]3π/4π=π42−12.\begin{aligned}I&=\left[-(\theta-\pi)\cos\theta+\sin\theta\right]_{3\pi/4}^{\pi}\\&=\frac{\pi}{4\sqrt2}-\frac1{\sqrt2}.\end{aligned}

値は約−0.151746です。Dではxが負、yが非負なのでarctan(y/x)も非正です。積分値が負であることは、元の被積分関数の符号と一致します。

2025年8月・第2問の解答:核を写した部分空間の共通部分

公式問題1ページの第2問の行列A・Bについて、核の基底を求め、B(Ker A)とA(Ker B)が非零ベクトルを共有する条件を導きます。以下の成分は列ベクトルとして扱います。

A=(12002400003300cc),B=(1010020410100102).\begin{aligned}A&=\begin{pmatrix}1&2&0&0\\2&4&0&0\\0&0&3&3\\0&0&c&c\end{pmatrix},\\B&=\begin{pmatrix}1&0&1&0\\0&2&0&4\\1&0&1&0\\0&1&0&2\end{pmatrix}.\end{aligned}

(1)(2) 行の依存関係を見て核の基底を作る

Ax=0で独立な条件はx₁+2x₂=0、x₃+x₄=0です。Aの第3行はcによらず非零なので、c=0でもこの条件は残ります。

ker⁡A=span⁡{(2−100),(001−1)}.\ker A=\operatorname{span}\left\{\begin{pmatrix}2\\-1\\0\\0\end{pmatrix},\begin{pmatrix}0\\0\\1\\-1\end{pmatrix}\right\}.

Bx=0で独立な条件はx₁+x₃=0、x₂+2x₄=0です。自由な2成分に対応して、次の2本を選べます。

ker⁡B=span⁡{(10−10),(020−1)}.\ker B=\operatorname{span}\left\{\begin{pmatrix}1\\0\\-1\\0\end{pmatrix},\begin{pmatrix}0\\2\\0\\-1\end{pmatrix}\right\}.

それぞれの2本は独立で、各核の一般のベクトルを線形結合で表せるので基底です。列空間の基底と取り違えず、行列を掛けて零になるベクトルを求めます。

(3) 核の基底を写してから共通部分を調べる

最初に、上で得たKer Aの2本へBを、Ker Bの2本へAを掛けます。核の共通部分そのものを求める問題ではありません。

B(ker⁡A)=span⁡{(2−22−1),(1−41−2)},A(ker⁡B)=span⁡{(12−3−c),(48−3−c)}.\begin{aligned}B(\ker A)&=\operatorname{span}\left\{\begin{pmatrix}2\\-2\\2\\-1\end{pmatrix},\begin{pmatrix}1\\-4\\1\\-2\end{pmatrix}\right\},\\A(\ker B)&=\operatorname{span}\left\{\begin{pmatrix}1\\2\\-3\\-c\end{pmatrix},\begin{pmatrix}4\\8\\-3\\-c\end{pmatrix}\right\}.\end{aligned}

前者の2本は独立で、第1・3成分が等しく、第2成分は第4成分の2倍です。後者の2本も、どのcに対しても独立で、第2成分が第1成分の2倍、第4成分が第3成分のc/3倍になります。

独立性は、前者の第1・4成分で作る2行2列の行列式が−3、後者の第1・3成分で作る行列式が9であることから確認できます。成分関係で定まる空間はそれぞれ2次元なので、これらの2本で全体を張れます。

B(ker⁡A)={(x,2w,x,w)T:x,w∈R},A(ker⁡B)={(x,2x,z,c3z)T:x,z∈R}.\begin{aligned}B(\ker A)&=\{(x,2w,x,w)^{\mathsf T}:x,w\in\mathbb R\},\\A(\ker B)&=\{(x,2x,z,\tfrac c3z)^{\mathsf T}:x,z\in\mathbb R\}.\end{aligned}

共通ベクトルなら第1・3成分が等しいのでz=xです。第2成分を比較するとw=xで、第4成分の比較からx=(c/3)xが必要です。したがって、

v=x(1211),(c−3)x=0.v=x\begin{pmatrix}1\\2\\1\\1\end{pmatrix},\qquad(c-3)x=0.

vが非零という条件はx≠0なので、c=3が必要です。逆にc=3なら、(1,2,1,1)ᵀは上の両方の集合に含まれます。よって求める値はc=3です。このとき共通部分はこのベクトルが張る1次元の空間で、c≠3なら零ベクトルだけになります。

2025年8月・第3問の解答:全微分可能だがC¹級でない関数

公式問題1ページの日本語の第3問(英訳は2ページ)を、偏微分、全微分可能性、C¹級の順に解きます。大学の解答例では、この3つの証明が省略されています。原点での性質と、平面全体での性質を分けるのが要点です。

f(x,y)=(x−y)(∣x∣+∣y∣+1).f(x,y)=(x-y)(|x|+|y|+1).

(1) 原点の偏導関数を定義から求める

x方向ではy=0、y方向ではx=0を固定して差商を計算します。f(0, 0)=0なので、次のようになります。

fx(0,0)=lim⁡h→0h(∣h∣+1)h=1,fy(0,0)=lim⁡h→0−h(∣h∣+1)h=−1.\begin{aligned}f_x(0,0)&=\lim_{h\to0}\frac{h(|h|+1)}h=1,\\ f_y(0,0)&=\lim_{h\to0}\frac{-h(|h|+1)}h=-1.\end{aligned}

(2) 線形部分を引いた誤差を、原点からの距離で割る

偏導関数が存在するだけでは全微分可能とはいえません。候補となる線形部分x−yを引き、残りが距離に比べて十分小さいことを示します。

R(x,y)=f(x,y)−(x−y)=(x−y)(∣x∣+∣y∣).\begin{aligned}R(x,y)&=f(x,y)-(x-y)\\&=(x-y)(|x|+|y|).\end{aligned}

ρ=√(x²+y²)と置きます。三角不等式と(|x|+|y|)²≦2(x²+y²)から、

0≤∣R(x,y)∣x2+y2≤(∣x∣+∣y∣)2ρ≤2ρ⟶0(ρ→0).\begin{aligned}0\le\frac{|R(x,y)|}{\sqrt{x^2+y^2}}&\le\frac{(|x|+|y|)^2}{\rho}\\&\le2\rho\longrightarrow0\quad(\rho\to0).\end{aligned}

したがって原点で全微分可能です。微分は、増分(h, k)をh−kへ写す線形写像になります。この評価は近づく方向によらないため、軸上だけでなく任意の経路を扱えています。

(3) (0, 1)で偏微分が存在しないことを示す

平面全体でC¹級なら、すべての点で偏導関数が存在して連続である必要があります。ここでは(0, 1)のx偏微分が存在しないことだけで反証できます。f(0, 1)=−2を使うと、

f(h,1)−f(0,1)h=(h−1)(∣h∣+2)+2h=∣h∣−∣h∣h+2.\begin{aligned}\frac{f(h,1)-f(0,1)}h&=\frac{(h-1)(|h|+2)+2}{h}\\&=|h|-\frac{|h|}{h}+2.\end{aligned}

h→0の右極限は1、左極限は3です。両者が一致せず、fₓ(0, 1)は存在しません。よってfはℝ²上でC¹級ではありません。絶対値を含むという見た目だけで判断すると、(2)で示した原点の全微分可能性を取り違えてしまいます。

2025年8月・第4問の解答:固有空間と圧縮行列の固有値

公式問題の第4問では、実対称行列Aの固有空間、二次形式の最大値、直交する2本のベクトルで作った行列の固有値を調べます。最後の証明は公式解答で省略されています。

A=(2000001101010110).A=\begin{pmatrix}2&0&0&0\\0&0&1&1\\0&1&0&1\\0&1&1&0\end{pmatrix}.

(1) 下側の3次元を、成分が等しい方向と和が0の方向に分ける

右下の3次正方行列は、全成分が1の行列J₃から単位行列I₃を引いたものです。J₃は(1, 1, 1)を3倍し、成分の和が0のベクトルを0へ写します。よってAの固有値は2と−1で、固有空間は次のとおりです。

E2=span⁡{(1000),(0111)},E−1=span⁡{(01−10),(001−1)}.\begin{aligned}E_2&=\operatorname{span}\left\{\begin{pmatrix}1\\0\\0\\0\end{pmatrix},\begin{pmatrix}0\\1\\1\\1\end{pmatrix}\right\},\\ E_{-1}&=\operatorname{span}\left\{\begin{pmatrix}0\\1\\-1\\0\end{pmatrix},\begin{pmatrix}0\\0\\1\\-1\end{pmatrix}\right\}.\end{aligned}

それぞれ2次元で、合わせて4次元を張るため、ほかの固有値はありません。固有ベクトルを答えるときは、各空間の非零ベクトルすべてが対象です。

(2) 平方和に直して最大値と等号条件を出す

零でない実ベクトルu=(a, b, c, d)ᵀについて、二次形式を展開します。

uTAu=2a2+2bc+2bd+2cd.u^{\mathsf T}Au=2a^2+2bc+2bd+2cd.
2∥u∥2−uTAu=(b−c)2+(b−d)2+(c−d)2≥0.\begin{aligned}2\|u\|^2-u^{\mathsf T}Au&=(b-c)^2+(b-d)^2\\&\quad+(c-d)^2\ge0.\end{aligned}

したがって、uᵀAu/‖u‖²の最大値は2です。等号はb=c=dのとき成立し、例えばu=(1, 0, 0, 0)ᵀで達成します。これは(1)の固有値2の固有空間と一致します。

(3) 2次元の固有ベクトルを4次元へ移して評価する

問題にある正規直交な2本を列に並べた4行2列の行列をSとすると、SᵀS=I₂です。B=SᵀASは実対称なので、その固有値λに対する零でない実固有ベクトルyを取れます。

By=λy,u=Sy,∥u∥2=yTSTSy=∥y∥2>0.\begin{gathered}By=\lambda y,\qquad u=Sy,\\\|u\|^2=y^{\mathsf T}S^{\mathsf T}Sy=\|y\|^2>0.\end{gathered}

ここでuが零でないこととノルムが等しいことを確認してから、(2)の評価を適用します。

λ=yTBy∥y∥2=(Sy)TA(Sy)∥Sy∥2=uTAu∥u∥2≤2.\begin{aligned}\lambda&=\frac{y^{\mathsf T}By}{\|y\|^2}=\frac{(Sy)^{\mathsf T}A(Sy)}{\|Sy\|^2}\\&=\frac{u^{\mathsf T}Au}{\|u\|^2}\le2.\end{aligned}

よってBのどの固有値も2以下です。Sは正方行列ではないため、BがAと相似だとして固有値を引き継ぐ議論は使えません。正規直交性による長さの保存と、二次形式の上限が証明の根拠です。

他大学から推薦選抜を受ける場合

他大学を2027年3月に卒業する見込みの人も、2027年4月入学の推薦入学特別選抜を受けられます。在籍大学の学部長などの推薦が要り、合格したら入学することを約束します。

1群の推薦は小論文と口述試験です。口述では、大学で学んだ数学について約20分発表します。一般選抜の筆答過去問を解くだけでは準備が足りません。

この年度の推薦の出願は2026年5月に締め切られました。出願資格や、推薦書と受入承諾書が誰に必要か、TAOと紙の書類の出し方は東北大の推薦選抜を使うための条件に書いています。出典は研究科の2027年4月推薦募集要項1〜4・8頁です。

販売中の解説集に収録する問題

公式の問題PDFと見比べて、要る年度と分野だけ選べます。試験の形式が変わった年と教材の収録年がずれている群があるので、表の右端を見てください。

教材収録範囲利用時の確認点
1群 数学2020〜2025年8月、6回24問上期一般の数学。推薦小論文は含まない
2群 基礎・専門科目2023年8月、2024年3・8月、2025年3・8月、2026年3月電気・情報系の問題。医学・生物系3題の教材ではない
3群 数学・専門科目2023〜2025年度実施、48問変更前の数学A・Bと専門科目。2026年問題は含まない
6群 心理・哲学2018・2021〜2025年度、72問各年の心理と哲学を両方収録。本番では志望群から3問以上を選ぶ

他大学の情報系入試と比較する

名古屋大 情報学研究科、阪大 情報科学、九大 情報数学、北大 情報科学と試験科目を比べるときは、必須か選択か、英語をどう扱うかを大学ごとに確かめてください。

答案例を読める解説

情報科学研究科の収録解説の分野(2018〜2026年度・210項目)

院試hubの収録解説20実施回・210項目の見出しを、分野ごとに数えました。設問を分けた項目や、公開資料の制約を説明する項目も入っているので、公式問題の大問数や完成答案の数とは合いません。いちばん多いのはで、137項目(全体の65%)。

分野項目数全項目に占める割合直近の連続出題最後に出た回
13765%1回連続2026年3月
数学2813%2回連続2026年3月
微分積分・解析157%—2025年8月実施
電磁気学・回路115%1回連続2026年3月
線形代数105%—2025年8月実施
情報21%—2023年3月実施
制御工学21%—2024年3月
力学21%—2024年3月

このほか1項目だけ収録した分野は 位相・幾何・熱・統計力学・微分方程式 です。

収録年度と解説項目数

院試hubに収録した4科目・23件の一覧です。1回あたりの解説見出しは4〜16項目です。

実施回科目解説項目数公開範囲
2026年3月2群 情報・生命系 基礎・専門科目6第1問の答案例
2026年度3群 機械・知能系 数学・専門科目6解法方針まで公開
2025年8月実施情報基礎科学専攻 数学群4第2問の途中式・最終答
2025年8月2群 情報・生命系 基礎・専門科目6第1問の答案例
2025年3月2群 情報・生命系 基礎・専門科目6第1問の答案例
2025年度3群 機械・知能系 数学・専門科目16第1問の途中式・最終答
2025年度6群 心理・哲学 専門科目12第12問の答案例
2024年8月実施情報基礎科学専攻 数学群4第2問の途中式・最終答
2024年8月2群 情報・生命系 基礎・専門科目6第1問の答案例
2024年3月2群 情報・生命系 基礎・専門科目12第1問の答案例
2024年度3群 機械・知能系 数学・専門科目16第1問の途中式・最終答
2024年度6群 心理・哲学 専門科目12解法方針まで公開
2023年8月実施情報基礎科学専攻 数学群4第1問の途中式・最終答
2023年8月2群 情報・生命系 基礎・専門科目12第1問の答案例
2023年3月実施2群 情報・生命系 基礎・専門科目12第3問の途中式・最終答
2023年度3群 機械・知能系 数学・専門科目16第1問の途中式・最終答
2023年度6群 心理・哲学 専門科目12解法方針まで公開
2022年8月実施情報基礎科学専攻 数学群4第2問の途中式・最終答
2022年度6群 心理・哲学 専門科目12解法方針まで公開
2021年8月実施情報基礎科学専攻 数学群4第1問の途中式・最終答
2021年度6群 心理・哲学 専門科目12解法方針まで公開
2020年8月実施情報基礎科学専攻 数学群4第1問の途中式・最終答
2018年度6群 心理・哲学 専門科目12解法方針まで公開

東北大 情報科学研究科の解答で立てた注意点(351件)

院試hubの解説で、その設問のためだけに立てた小見出しを集めました。「方針」「検算」のように どの問題にもある見出しは外し、新しい実施回から順に並べています。

微分積分・解析32件

線形代数26件

数学19件

電磁気学・回路16件

  • 2026年3月 第2問 二端子対回路縦続行列の向き / 共振点の計算
  • 2024年3月 第2問 交流回路と結合インダクタ誘導性・容量性は全インピーダンスの虚部で判定する
  • 2024年8月 第2問 共振回路と変圧器直列共振 / 変圧器の反映インピーダンス / LCステップ応答
  • 2024年3月 第9問 MOSFET増幅回路次段のバイアス抵抗は前段の交流負荷
  • 2024年3月 第10問 Dフリップフロップと順序回路次状態は「更新前の値」で計算する
  • 2023年8月 第2問 並列交流回路と結合インダクタ結合インダクタはドット端に入る電流で符号を決める

情報6件

  • 2023年3月実施 第4問 グラフの表現と探索アルゴリズム最小全域木の一意性 / なぜ右上から始めるのか / 別解との比較 / この設問が試していること
  • 2023年3月実施 第11問 形式文法とスタックによる式の評価曖昧性の判定で見るところ / 偶奇の場合分けを落とさない

微分方程式3件

  • 2025年8月実施 第3問 偏微分可能性と全微分可能性全微分可能性の核心 / 偏微分可能と全微分可能の違い / C^1 でない理由

熱・統計力学3件

  • 2025年3月 第5問 二準位系の統計力学独立粒子の分配関数 / 内部エネルギーの意味 / 熱容量の形

位相・幾何3件

  • 2025年8月 第6問 ラプラス変換と幾何有限区間のラプラス変換 / 周期シフト / 幾何と行列式

力学1件

制御工学1件

  • 2024年3月 第7問 制御系の安定限界と変圧器ボード線図は傾きの変化で零点・極を読む

頻出論点と、同じ論点を出す他大学

院試hubが解答した大問の論点を、他大学の出題と突き合わせました。併願先を探すとき、 どの大学と出題が重なるかを数で確かめられます。

論点この専攻での出題出題年度同じ論点を出す他大学全国の出題大学
固有値・固有ベクトル18問2026・2025・2024・2023・2022・2021・2020神戸大学・京都大学・東京大学・大阪大学・名古屋大学28大学
重積分と極座標8問2026・2025・2024・2023・2022・2021神戸大学・京都大学・大阪大学・名古屋大学・電気通信大学25大学
ラプラス変換6問2026・2025・2024・2023北海道大学・東京大学・東京科学大学・早稲田大学・名古屋工業大学15大学
テイラー展開5問2026・2025・2024・2023・2020京都大学・北海道大学・九州工業大学・東京大学・静岡大学19大学
伝達関数5問2025・2024・2023京都大学・九州大学・名古屋大学・東京大学・大阪大学13大学
正定値行列4問2024・2023名古屋大学・大阪大学・東京大学・九州工業大学・京都大学18大学
はりの曲げ4問2025・2024・2023東京大学・京都大学・名古屋大学・名古屋工業大学・東京科学大学13大学
線形空間・基底3問2024・2023神戸大学・名古屋大学・東京大学・北海道大学・九州工業大学23大学
ヒルベルト空間2問2025・2023大阪大学・名古屋大学・京都大学・東京科学大学・大阪公立大学12大学
偏微分可能性と連続性2問2025・2023九州大学・名古屋大学・東京科学大学・早稲田大学・東京大学9大学

東北大 公式の過去問の公開年度と公式解答例

公開されている年度
1998〜2025実施年の掲載分(上期筆答・下期筆答・推薦小論文を区別。下期の一部は博士後期課程向け)
公式の解答例
一部の年度・科目で公開
英語の扱い
2027年4月一般選抜の1群は外部英語スコアの提出対象外。外国人留学生等特別選抜の1群は提出対象。一般の数学は英語のみ2題・和英併記2題で、日本語解答可。
院試hubが最後にリンクを確認した日
2026-10-16
ページの内容
上期一般の数学は3時間4題全必須。公式一覧の年は試験実施年。2024・2025年8月は出題意図・解答例も併載するが、一部の証明は省略。

よくある質問

東北大情報科学研究科の過去問と公式解答はどこにありますか。

1群数学は数学教室の入試ページにあります。上期の筆答と推薦の小論文が載っていて、2024・2025年8月の分には公式の出題意図と解答例も付いています。2群の物理・情報系は電気・情報系のページ、3群は機械系のページ、6群は研究科の群別ページです。数学群の2025年8月の全4問は、このページで途中の計算と証明まで解いています。

1群数学の一般選抜でもTOEICやTOEFLが必要ですか。

要りません。2027年4月入学の一般選抜で、1群は外部英語スコアを出す対象から外れています。外国人留学生等特別選抜の1群は対象です。一般選抜の数学は3時間で4題すべて必須。2題は英語だけ、2題は日本語と英語の併記ですが、答案はどれも日本語で書けます。

2群は全員が6題から2題を選びますか。

分野で違います。物理・情報系は、電磁気、回路、ハードウェア、ソフトウェア、物理、数学基礎の6題から2題。医学・生物系は、バイオインフォマティクスと分子生物学と健康科学の3題から2題です(2027年4月一般選抜)。

3群は機械系の専門科目を2つ選ぶ試験ですか。

違います。筆記は2026年8月実施から数学Aと数学Bの各60分になり、専門科目を選ぶ形式はなくなりました。Aの範囲は微積分と線形代数、ベクトル解析。Bは常微分方程式、偏微分方程式、フーリエ解析、ラプラス変換です。2025年以前の専門科目選択は、今のルールではありません。

6群では心理と哲学の両方から選ぶ必要がありますか。

その必要はありません。12問から4問を選び、そのうち3問以上を志望する群(心理か哲学)から取る決まりです。4問とも志望群から選んでも構いません。

2025年第1問でarctan(y/x)をθに置き換えてよいですか。

そのままでは置き換えられません。この領域のθは3π/4以上π以下なのに、問題のarctanの値域は−π/2より大きくπ/2より小さい範囲だからです。arctan(y/x)=θ−πと置きます。面積要素のrも掛けて積分すれば、π/(4√2)−1/√2です。

第2問の共通部分には零ベクトルがあるので、cは任意ですか。

任意ではありません。設問が聞いているのは、非零ベクトルを含む条件です。B(Ker A)とA(Ker B)の共通ベクトルはx(1,2,1,1)ᵀの形で、(c−3)x=0を満たします。x≠0ならc=3。このとき共通部分は実際に1次元になります。

公式過去問と併用する解答・解説PDFを、東北大学の研究科・科目別に掲載しています。収録年度と価格は各ページで確認できます。

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情報科学研究科 6群 心理・哲学 専門科目の解答・解説PDF

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