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立教大学 理学研究科 化学専攻の院試過去問|6回49問の傾向と解き方

立教大学理学研究科化学専攻の院試(化学)を、2024〜2026年度の夏季・春季6回49問で分析。必答4問と選択1問の分野、120分の配分、失点しやすい設問、各回問1の無料解答、2026年度に大学が公開した解答例の所在を案内します。

最終更新: 2026/10/28

理学研究科 化学専攻 博士課程前期課程 化学の解答・解説PDF

収録:2024〜2026年度・6回分・解説49項目¥3,200

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立教大学大学院理学研究科化学専攻(博士課程前期課程)の一般入試では、専門科目「化学」の筆記を120分で受けます。試験は7月の夏季と翌年2月の春季の年2回で、どちらも同じ入学年度の選抜です。このガイドでは、2024〜2026年度の夏季・春季6回・49大問を公式の問題冊子と院試Hubの解答PDFから読み、出題分野の配分、120分の使い方、失点しやすい設問をまとめました。

問題は化学専攻の入試問題ページで、2024年度夏季から2027年度夏季までの7回分が公開されています(2026年10月28日確認)。大学による解答例があるのは2026年度の夏季・春季の2回だけです。院試Hubの解答PDFは2024〜2026年度の6回・49大問を収録し、各回の問1は年度別ページで無料で読めます。次の試験は2027年度春季で、2027年2月24日に行われます。

試験形式:120分で必答4問と選択1問

問題冊子の表紙の指示は、6回とも同じ形です。問1〜4の基礎問題4問がすべて必答で、問5〜8の選択問題から1問を選び、合計5問に答えます。6問以上答えることは禁じられています。選択問題は2024年度夏季だけ問5〜9の5問でした。解答用紙は1問につき1枚で、左上に「問1」のように問題番号を書きます。2026年7月12日に実施された2027年度夏季の冊子も、同じ指示です。

2027年度一般入試の時間割
時間科目内容
9:00〜11:00化学基礎問題4問(必答)と選択問題1問。専門科目は日本語で出題される。
11:30〜12:30英語英和・和英の語学辞書を使える。用語辞典と電子辞書は使えない。
15:00〜口頭試問筆記試験と口頭試問の成績を総合して選考する。

時間割は2027年度理学研究科入試要項(PDF15ページ)によります。日程は同じ要項のPDF5ページにあり、夏季は2026年7月12日に実施済みです。春季は、出願が2027年1月12日0時〜15日23時59分59秒(書類のアップロードを含む)、試験が2月24日(水)、合格発表が3月3日(水)11時です。要項には科目別の配点、合格最低点、倍率の記載はありません。

5問を120分で解くので、1問あたりの平均は24分です。問3は4〜5種類の反応それぞれについて巻き矢印と生成物の構造式を書くので、時間がかかりやすい問です。問4は滴定の計算と機器分析の記述が組み合わさる回が多いので、計算だけで時間を使い切らないようにします。例えば最初の5分で選択問題を読んで解く1問を決め、短い小問が並ぶ問1・問2を先に片づけると、問3の構造式に時間を残しやすくなります。試験室には時計がないので、時間を計る機能だけの時計を持参するよう要項(PDF14ページ)が求めています。

出願の区分、英語の筆記、教員との面談

化学専攻の募集人員は20名で、夏季と春季の合計です。入試は一般・社会人・外国人の3区分で、化学専攻は3区分とも実施します。物理学専攻と数学専攻は外国人入学試験を行いません。社会人と外国人の区分には化学の筆記がなく、英語と口頭試問で選考します。この2区分は出願前に受験資格審査を受ける必要があり、春季分の書類受付は2026年11月25日〜27日です(要項PDF5ページ、16ページ)。社会人区分の職歴の条件と手続きは、社会人入試の受験資格のガイドで立教理学を例に説明しています。

一般入試の受験者も、出願前に研究指導を希望する教員と連絡をとって面談します。面談はオンラインでもよく、教員の連絡先が分からない場合は学部事務3課にメールで問い合わせるよう要項に書かれています(PDF7ページ、10ページ)。筆記試験の免除制度は、夏季入試の学内受験者だけが対象です。

大学の2026年度入試結果では、化学専攻の一般入試は夏季(2025年7月)が志願者29名・合格者24名、春季(2026年2月)が志願者6名・合格者5名でした。学外からの志願者は夏季1名・春季2名で、合格者は春季の1名です。夏季の人数には、学内の筆記試験免除者(志願者19名・合格者19名)が含まれます(同資料の注記)。社会人と外国人の区分は、夏季・春季とも志願者がいませんでした。

英語は3区分すべてにある60分の筆記で、TOEICなどの外部スコアで代える仕組みは要項に書かれていません。過去の英語問題は大学本体の過去問題ページにあり、2025年度入試(春季)はPDF、2026年度入試はGoogleドライブで公開されています。著作権の都合で本文を載せず、出典だけを示している問題もあります。

2024〜2026年度6回の出題テーマ

院試Hubの解答PDFの見出しから、各問のテーマを短くまとめました。年度は入学年度で、括弧内が実施した年月です。

基礎問題(問1〜4、必答)

立教大学化学専攻の基礎問題の出題テーマ
実施回問1 物理化学問2 無機化学問3 有機化学(反応機構)問4 分析化学
2026年度春季
(2026年2月)
蒸発エントロピー、sp³混成軌道の直交性、1次反応の積分形水素様原子とHeの軌道エネルギー、XeF₄のVSEPR、NaClとMgOの融点インドールのアシル化、セミピナコール転位、アルドール縮合、アミド化、E2脱離KMnO₄による酸化還元滴定、電位差測定、当量点の電位
2026年度夏季
(2025年7月)
燃焼熱と生成熱、箱の中の粒子の規格化、2次反応の積分形He⁺とHeの軌道エネルギー、I₃⁺のVSEPR、体心立方格子の鉄の原子半径Dieckmann縮合、ラクトンへのGrignard試薬、p-シメンのニトロ化、Wittig反応とエポキシ化Na₂HPO₄水溶液のpH、GCの内部標準法
2025年度春季
(2025年2月)
理想気体の混合の自発性、殻の最大電子数2n²、多経路緩和の分岐比Slater則の有効核電荷、BF₃のVSEPR、逆蛍石型構造、Cu⁺の不均化ピリジンのN-メチル化、イミン生成、ラクトンへのGrignard試薬、Markovnikov付加、Mannich反応酢酸の滴定曲線と緩衝能、IR・MS・GCの3題から2題
2025年度夏季
(2024年7月)
ファンデルワールス気体の仕事、水素1s軌道の⟨r⟩、多経路緩和の分岐比ルチル型TiO₂、ΔrG°からの標準電極電位、HSAB則Markovnikov付加、ピロールのBoc化、Michael付加、Wittig反応、Storkエナミン合成酢酸水溶液の[H⁺]の一般式、pKb、Rf値と保持係数
2024年度春季
(2024年2月)
反応ギブズエネルギー、H₂とD₂の振動準位、2次反応の初速度O₂の常磁性、H₃PO₃の構造、閃亜鉛鉱型構造、アルカリ金属水素化物酸無水物の生成、活性メチンのアルキル化、SNAr、ピナコール転位、二重のFriedel-Craftsアルキル化イオン強度を指定したリン酸緩衝液、Lambert-Beerの法則
2024年度夏季
(2023年7月)
熱容量、水素3s軌道の節、初速度法による反応次数電気陰性度の定義、BF₃とBCl₃のルイス酸性、ΔG°、Hessの法則Markovnikov付加、分子内Friedel-Craftsアシル化、SNAr、Wittig反応、THP保護弱酸の滴定曲線と緩衝能

基礎問題の分野は6回とも固定されています。問1は物理化学の小問3つで、熱力学・量子化学・反応速度から1題ずつ出ます。反応速度は6回すべての問1(3)に出ており、2024年度は初速度と反応次数、2025年度の2回は多経路の緩和の分岐比、2026年度の2回は2次反応と1次反応の積分形と半減期でした。2025年度の夏季と春季の分岐比は、同じ速度定数の組(k₁₂、k₁₃、k₁₅、k₃₄、k₃₅、k₄₅)をもつ5準位の緩和で、問われた経路だけが違います。

問2は無機化学で、原子の電子構造、分子の形、結晶構造、電気化学・熱化学から3〜4題です。He⁺とHeの1s軌道エネルギーの比較は、2026年度の夏季・春季の両方にほぼ同じ形で出ました。VSEPRによる分子の形は2025年度春季(BF₃)、2026年度夏季(I₃⁺)、2026年度春季(XeF₄)の3回、結晶構造は閃亜鉛鉱型・ルチル型・逆蛍石型・体心立方格子・岩塩型の5回です。

問3は反応機構の問題で、4〜5種類の反応について巻き矢印と生成物(A〜Gのように記号で指定)を書きます。Wittig反応は夏季の3回すべての(4)に出ました。HClのMarkovnikov付加(2024年度夏季(1)、2025年度夏季(1)、2025年度春季(4))、ラクトンへのGrignard試薬2当量の付加(2025年度春季(3)、2026年度夏季(2))、SNAr(芳香族求核置換、2024年度の夏季・春季の(3))も繰り返し出ています。

問4は分析化学で、酸塩基平衡や滴定の計算に機器分析の記述が組み合わさります。弱酸50 mLを0.10 mol/LのNaOHで滴定し、滴定曲線上の複数の点のpHと緩衝能を求める問題は、2024年度夏季と2025年度春季に出ました。リン酸は2024年度春季(緩衝液の調製)と2026年度夏季(Na₂HPO₄水溶液のpH)、酸化還元滴定は2026年度春季です。

選択問題(1問を選ぶ)

選択問題は、物理化学・無機(錯体)・有機・分析から1題ずつ並ぶ回が5回です。2024年度夏季だけは物理化学が問5と問6の2題で、錯体が問7、有機が問8、分析が問9でした。下の表は分野ごとに列をそろえ、2024年度夏季には問題番号を添えています。

立教大学化学専攻の選択問題の出題テーマ
実施回物理化学(問5)無機・錯体(問6)有機化学(問7)分析化学(問8)
2026年度春季
(2026年2月)
ヒュッケル法(エチレンとブタジエン)[CoCl₂(en)₂]⁺の異性体、[Ni(NH₃)₆]²⁺の磁気モーメント、Cu⁺の不均化ベンジル位の酸性度とフェニル基の数、立体特異性と立体選択性精度と偶然誤差、標準添加法、IRと¹H NMR
2026年度夏季
(2025年7月)
dGの全微分と等温変化、角運動量演算子の交換関係[Co(gly)₃]の異性体、[CoF₆]³⁻の磁気モーメント、配位子と標準電極電位E1とE2の生成物、酸の種類で変わるFriedel-Crafts反応、Robinson環化酢酸緩衝液のpH、蛍光分析と吸光分析の感度、ボルタンメトリー
2025年度春季
(2025年2月)
二準位系のボルツマン分布、蛍光の速度定数とモル吸光係数[RuCl₂(bpy)₂]の異性体、[FeCl₄]⁻の磁気モーメント、4d錯体の低スピン、MLCTニトロフェノールの酸性度、¹H NMRによる異性体の識別、Dieckmann縮合とBeckmann転位共通イオン効果、Fe/Ceの電池と平衡定数、EDTAによるCaとMgの分別定量
2025年度夏季
(2024年7月)
2次元の箱とポルフィリンのπ電子、群論による禁制則fac-[MnBr(CO)₃(bpy)]の構造、d-d遷移の禁制、LMCT、Mn(II)の磁気モーメント、Jahn-Teller効果4-アミノピリジンの塩基性、ニトロ化とインドールの臭素化、重合禁止剤平衡定数が大きい反応の残存濃度、分光光度計と原子吸光、X線の発生
2024年度春季
(2024年2月)
1次元の箱の中の粒子(導出から準位間隔まで)[Ni(en)₃]²⁺の命名と異性体、逐次生成定数、[Ni(CN)₄]²⁻の構造、MLCTDiels-Alder反応の逆合成、HBrのラジカル付加、¹H NMRの化学シフト標準電極電位からAgClの溶解度積、質量分析計、LC-MSのイオン化
2024年度夏季
(2023年7月)
問5:COの換算質量と同位体置換。問6:N原子の電子配置、β-カロテン、H₂の原子価結合法問7:K₃[Co(ox)₃]の命名と異性体、分光化学系列、置換不活性問8:SN1の反応性、アンチ付加とシン付加、カチオン重合の連鎖移動問9:Fe(OH)₂が沈殿するpH、見かけ電位、均一沈殿法

錯体の問題(2024年度夏季は問7、ほかは問6)は6回すべてで錯体の立体構造を問い、ΔとΛの記号まで求めたのは5回です。スピンのみの有効磁気モーメントの計算は、2025年度夏季から4回続いています。物理化学の選択問題は量子化学が中心で、箱の中の粒子(2024年度春季、2025年度夏季は2次元)、群論、角運動量の交換関係、ヒュッケル法が出ました。有機と分析の選択問題は、理由の説明や装置の原理を書かせる記述の比重が大きい構成です。

分野ごとの最初の一手と失点しやすい設問

以下の例は、院試Hubの解答PDFが注意点として取り上げた箇所です。完全な解答は解答PDFと年度別ページに載せ、ここでは考え方と確認の手順だけを示します。

物理化学(問1・問5)

最初に、使う定義式を答案の1行目に書きます。反応ギブズエネルギーなら標準反応ギブズエネルギーと反応商の式、分岐比なら「その経路の速度定数を、その状態から出る速度定数の和で割る」こと、期待値なら被積分関数と体積要素です。式を決めてから数値と条件を入れると、次のような失点を防げます。

  • 2024年度夏季の問1(2):3s軌道の節は、無次元の変数ρの2次方程式から求めます。設問はrを求めているので、ρのまま答えずにrへ戻します。
  • 2024年度春季の問1(1):反応商に入れる分圧は、標準圧p°で割って無次元にします。lnの中に圧力の単位が残る式は成り立ちません。
  • 2025年度夏季の問1(2):1s軌道の動径距離の期待値は、体積要素のr²を含めるので被積分関数がr³になります。|ψ|²の指数はψの指数の2倍です。どちらかを落とすと、値が大きくずれます。
  • 2025年度夏季の問5(1):22個のπ電子を2次元の箱に詰める設問です。準位の順はnxとnyの2乗の和で比べ、縮退を数えながら詰めます。(1,4)と(3,3)の上下は取り違えやすい組で、設問はエネルギーの等しい準位をすべて書くよう求めています。
  • 2025年度春季の問5(1):問題文は「ln 2=0.301」としていますが、0.301はlog 2の値です。問題文自身が示すln x=2.303 log xからln 2を出し直して使います。0.301をそのまま使うと温度が別の値になり、解答PDFは両方の計算を示しています。
  • 2026年度夏季の問1(3)と春季の問1(3):2次反応の半減期は初濃度に反比例し、1次反応の半減期は初濃度によりません。2026年度夏季は2A→Xの反応を−d[A]/dt=k[A]²の形で定義しているので、量論係数の2を別に掛けません。

無機・錯体(問2・問6)

最初に数えるのは、価電子の数、中心金属の酸化数とd電子の数です。分子の形も錯体の電子配置も、この数で決まります。

  • 2026年度夏季の問2(2):I₃⁺は陽イオンなので、ヨウ素3個の価電子21個から1を引きます。陰イオンのI₃⁻と同じ数で数えると電子対の数が変わり、予想される形も変わります。
  • 2026年度春季の問2(3):NaClとMgOの融点の比較で、設問は覚えている融点の値で答えることを求めていません。同じ岩塩型でイオン間距離が同程度という条件から、格子エネルギーの式のどの因子が違うかを説明します。
  • 2025年度春季の問2(1):問題文はHe・Be・Mgの有効核電荷を例に示していますが、Heの1.65は1s電子どうしの遮蔽を0.35として計算した値で、Slater則の0.30とは合いません。遮蔽の係数は、BeとMgの例で確かめてから使います。
  • 錯体の異性体(2025年度春季・2026年度夏季・2026年度春季の問6(1)):二座配位子が2個の[RuCl₂(bpy)₂]や[CoCl₂(en)₂]⁺では、シス体とトランス体のそれぞれについて、対称面があるかどうかでキラルかを判定します。非対称な二座配位子が3個つく[Co(gly)₃]では、面型・経型の幾何異性と、ΔとΛの光学異性の両方を調べます。設問は名称にΔ・Λの記号を付けるよう指定しています。

磁気モーメントは、d電子の配置から不対電子の数nを決めて、スピンのみの式で計算します。

μeff=n(n+2)  μB\mu_{\mathrm{eff}}=\sqrt{n(n+2)}\;\mu_{\mathrm{B}}

問題には平方根の近似値が添えられています。2025年度の2回は√5=2.2、√7=2.6のような2桁の値で、2025年度春季には有効数字2桁の指定もあります。2026年度夏季は√2=1.41、√3=1.73で、有効数字3桁の指定です。指定の近似値で計算すると、平方根を正確に計算した値とは答えの末尾の数字が変わります。2026年度の大学の解答例も、指定の近似値で計算した値を載せています。答案は指定どおりの値で書き、厳密な値との違いは必要なら括弧で添えます。

有機(問3・問7)

最初に、求核剤と求電子剤、途中にできる中間体(四面体中間体、カルボカチオン、σ錯体、エノラート)を決めます。巻き矢印は電子対の出発点から行き先へ書き、中間体を省きません。

  • 2024年度夏季の問3(1)、2025年度春季の問3(4):フェニル基をもつアルケンへのHClの付加は、ベンジル位にカチオンができる向きに進みます。新しい不斉炭素は平面のカチオンが両面から攻撃されてできるので、生成物の立体化学まで書きます。
  • 2025年度春季の問3(3)、2026年度夏季の問3(2):ラクトンにGrignard試薬を2当量使う反応です。1当量目で開環してできたケトンに2当量目が付加するので、ケトンで止めると誤りになります。生成物は2つの水酸基をもちます。
  • 2026年度夏季の問3(1)と2025年度春季の問7(3):どちらもDieckmann縮合で、原料の炭素数が1つ違うので環の員数も1つ違います。原料の炭素に番号を付け、どの炭素どうしが結合するかを数えてから環を描きます。
  • 2026年度春季の問3(5)、2026年度夏季の問7(1):E2脱離は、脱離するHとBrがアンチペリプラナー、シクロヘキサンでは両方アキシアルの配座からしか進みません。trans-1,2-二置換体では、この条件のために置換度の高いアルケンにならない場合があります。いす形配座を描き、どの水素が使えるかを図で示します。
  • 2024年度夏季の問3(2)(3):分子内Friedel-Craftsアシル化でAlCl₃が当量必要な理由、SNArでアミンを2当量使う理由(生じる酸の中和)まで書くと、反応条件の意味を説明した答案になります。

分析(問4・問8)

滴定の問題では、最初にその点が滴定のどの段階かを決めます。滴定前は弱酸だけ、途中は緩衝液、当量点は共役塩基の加水分解、当量点の後は過剰の強塩基がpHを決めます。そのうえで、その時点の全体積を確認します。

  • 2024年度夏季の問4(2)、2025年度春季の問4(1):当量点では同じ体積のNaOHを加えているので、共役塩基の濃度は半分になります。0.10 mol/Lのまま計算すると当量点のpHがずれます。当量点が中性にならないことも、指示薬の選び方と合わせて押さえます。
  • 2024年度春季の問4(1):イオン強度には、HPO₄²⁻の電荷の2乗(4)と、Na₂HPO₄から出るNa⁺の2個分が入ります。2価を1価として数えたり、対イオンを落としたりすると、量りとる塩の質量が変わります。
  • 2025年度夏季の問4(1)(ii):簡略式[H⁺]=√(CKa)が使える最低濃度を求めると、問題文が示す濃度範囲の上限を超えます。範囲内では(i)で導いた2次方程式の解が必要だ、という点まで読み取れるかが問われています。
  • 2025年度春季の問4(2):IR・MS・GCの3題から2題を選ぶ指示があり、3題すべてに答えると無効になります。
  • 2026年度春季の問4(2):KMnO₄溶液のファクター0.997と、MnO₄⁻とFe²⁺の物質量比1:5の両方を使います。

緩衝能は次の式で求めます。CTは弱酸と共役塩基の合計濃度、αは共役塩基の割合です。

β=dCbd pH=2.303 CT α(1−α)\beta=\frac{\mathrm{d}C_{\mathrm{b}}}{\mathrm{d\,pH}}=2.303\,C_{\mathrm{T}}\,\alpha(1-\alpha)

緩衝域のpHは酸と共役塩基の物質量の比で決まり、体積は約分されます。緩衝能はCTに比例するので、その時点の全体積で濃度を出し直します。2024年度夏季の問4(4)と2025年度春季の問4(1)(ii)は、どちらも滴定の途中の緩衝能を求める問題で、全体積の扱いで値が変わります。解答PDFは2024年度夏季について、希釈を入れない場合の値も並べています。

練習の順番と参考書

  1. 2026年度春季から、基礎4問と選択1問を120分で解きます。選択問題は解く1問だけでなく全問に目を通し、どれなら24分前後で書き切れるかを判断する練習にします。
  2. 2026年度の2回は、大学の解答例で最終的な値と構造が合っているかを確かめ、途中式と反応機構は解答PDFで確認します。
  3. 2024・2025年度の4回は大学の解答例がないので、解答PDFで照合します。物理化学・無機・有機・分析のどの問で時間を使いすぎたかを、回ごとに記録します。
  4. 6回を終えたら、2027年度夏季(2026年7月実施)の問題を120分の模擬試験に使います。この回には大学の解答例がなく、院試Hubの解答PDFにも入っていません。

参考書は、分野ごとに学部の標準的な教科書を1冊決め、過去問に出た論点を読み直す使い方をします。例えば物理化学は『アトキンス物理化学』(東京化学同人)で熱力学の基本式、反応速度の積分形、箱の中の粒子と水素原子、ヒュッケル法を確認します。無機・錯体は『シュライバー・アトキンス無機化学』(東京化学同人)で、VSEPR、イオン結晶の構造と格子エネルギー、配位子場理論と電子スペクトル、錯体の異性体を確認します。

有機は『クレイデン有機化学』(東京化学同人)で、カルボニル化合物への付加と置換、エノラートの反応、脱離反応の立体化学、芳香族の置換反応を確認します。分析は『クリスチャン分析化学』(丸善出版)で、酸塩基平衡と緩衝能、酸化還元滴定と電位差測定、クロマトグラフィー、質量分析を確認します。教科書を読んだ後は、問7・問8のような記述の設問を、教科書を閉じて書き直します。定義を1文、式か図を1つ、成り立つ条件を1つ添える形にそろえると、限られた時間でも答案の骨組みが崩れません。

無料解答、解答PDF、大学の解答例の使い方

年度別ページでは、6回とも問1の解答と解説を無料で読めます。問1は必答の物理化学の小問集合なので、どの選択問題を選ぶ人にも使えます。

大学の解答例は、大学本体の過去問題ページから開ける理学研究科のGoogleドライブにあります。化学専攻のフォルダには、2026年度夏季と春季の「出題の意図・解答例」が化学と英語の別に入っています(2026年10月28日確認)。化学の資料は夏季が5ページ、春季が7ページです。出題の意図は、化学専攻で学ぶのに必要な基礎知識を問うという1文で、問題ごとの説明はありません。解答は最終的な値、構造式、記述の解答例を短く並べたもので、記述式の設問には別解がありうると注記されています。計算問題の多くは途中式がなく、値だけが載っています。

2026年度の2回は、まず大学の解答例で値と構造を確かめ、合わない箇所や途中式を追えない箇所を解答PDFで確認します。2024・2025年度の4回は、解答PDFだけで照合します。公式の問題PDFへの入口は、立教大学の過去問ページにもまとめています。

院試Hubの化学の解答・解説PDFは、2024〜2026年度の夏季・春季6回について、選択問題を含む49大問を表紙込み210ページの1冊にまとめたもので、価格は3,200円です。問題文と原図は収録していないので、化学専攻のページから問題PDFを開いて並べて使います。2027年度夏季(2026年7月実施)は収録していません。PDFには、2025年度春季の問5にある「ln 2」の誤植や、磁気モーメントで指定の近似値を使った値と厳密な値の違いなど、原題の数値条件についての注記もあります。

立教大学理学研究科のほかの解答PDFは、理学研究科のページで確認できます。同じ理学研究科の物理学専攻と数学専攻の院試は、物理学専攻のガイドと数学専攻のガイドで扱っています。

途中式と最終答まで読める解説

化学の収録解説の分野(2024〜2026年度・49項目)

院試hubの収録解説6実施回・49項目の見出しを分野別に数えたものです。設問を分割した項目や、公開資料の制約を説明する項目を含むため、公式問題の大問数や完成答案数とは一致しません。が45項目(全体の92%)で最多。は6実施回すべてに出ています。

分野項目数全項目に占める割合直近の連続出題最後に出た回
4592%6回連続2026年度 夏季(2025年7月実施)
力学48%—2024年度 夏季(2023年7月実施)

収録年度と解説項目数

立教大学 化学の解答で立てた注意点(889件)

院試hubの解説で、その設問だけに立てた小見出しです(「方針」「検算」のような全問共通の 見出しは除いています)。新しい実施回から並べています。

  • 2026年度 春季(2026年2月実施) 第1問 蒸発エントロピー・sp^3混成軌道の直交性・1次反応の積分形Δ G=0 が出発点 / T は絶対温度 / 単位の指示 / トルートンの規則との比較 / 符号 / 「直交」=内積が0 / 交差項が消える理由を先に書く / 係数を (+,+,+,+) 等のベクトルと見る / 1/2 の由来 / 直交=独立な結合をつくれる / 半減期が初濃度によらない / k の単位 / ln プロットが直線 / 指示された文字だけを使う
  • 2026年度 夏季(2025年7月実施) 第1問 標準燃焼熱と標準生成熱・箱の中の粒子の規格化・2次反応の積分形係数4と5を落とさない / O2 の生成熱は0 / H2O は液体 / 符号 / C4H10O の正体 / 積分範囲は箱の中だけ / sin の項が消える理由 / C は n によらない / C>0 の指定 / 次元の確認 / 半減期が初濃度に反比例 / \dfrac{1}{[A]} プロットが直線 / k の単位 / 2A\toX の係数 / 4分の1になる時間
  • 2026年度 春季(2026年2月実施) 第2問 水素様原子の軌道エネルギー・XeF_4のルイス構造とVSEPR・岩塩型結晶の融点定数の塊を 13.6 eV に置き換える / n にしか依存しない / 有効数字 / イオン化エネルギーとの関係 / Z^2 に比例 / He^+ は厳密に水素様 / イオン化エネルギー / 「遮蔽」と「電子間反発」は同じことの2つの言い方 / Z_{eff} を数値で出すと強い / 1s 電子の遮蔽は弱い / イオン化エネルギーと混同しない / 電子数の勘定を必ず書く / Xeの孤立電子対を忘れない / オクテット則の例外 / 形式電荷はすべて0 / 2段階で考える / 反発の大小関係を書く / 電子対配置と分子形は別物 / 同族の例 / 立体構造が分かるように描く / 設問の意図は「推定の筋道」 / 「d が同程度」というヒントの使い方 / マーデルング定数が共通 / 約4倍という定量性 / 共有結合性への言及
  • 2026年度 夏季(2025年7月実施) 第2問 水素様原子と有効核電荷・I_3^+のルイス構造とVSEPR・体心立方格子の原子半径Z^2 に比例 / He^+ は厳密に水素様 / 実測との一致 / 平方根を開かなくてよい / n=1 を忘れない / 遮蔽定数 / Z_{eff}<Z の意味 / ②の結果を使って定量的に語る / イオン化エネルギーとの混同を避ける / 1s電子どうしの遮蔽は弱い / 陽イオンなので電子を1個引く / どのIが中心か / 超原子価は不要 / 形式電荷の計算 / I_3^- は直線形 / 電子対配置と分子形を区別 / 反発の序列 / 立体構造が分かるように描く / 等電子=価電子数が同じ / 数え方の確認 / H2O を挙げるときは注意 / 等電子種は構造が同じ / bccは体対角線で接触 / 単位格子あたり2原子 / 単位の換算 / 立方根は開かなくてよい / 妥当性の確認 / 充填率
  • 2026年度 春季(2026年2月実施) 第3問 インドールのアシル化・セミピナコール転位・アルドール縮合・アミド化・E2脱離なぜC3なのかを必ず書く / N上での反応との比較 / 芳香族求電子置換の型 / 塩基は酢酸イオン / 無水酢酸が求電子剤である理由 / どちらのOHが抜けるか / 移動するのはヒドリド / 駆動力はC=Oの生成 / ピナコールとの対比 / 分子内脱水との区別 / なぜ自己縮合しないか / 脱水まで進む理由 / E1cb機構であること / Claisen縮合との区別 / E選択性 / 付加--脱離の2段階 / 窒素で反応する理由 / 2当量必要 / 反応性の序列 / アミドの平面性 / ジアキシアル配座を描くことが必須 / C2のHが使えない理由 / cis体との対比 / かさ高い塩基の役割 / さらに脱離すると
  • 2026年度 夏季(2025年7月実施) 第3問 Dieckmann縮合・ラクトンへのGrignard反応・芳香族ニトロ化・Wittig反応とエポキシ化何員環ができるかを数える / 最後の脱プロトン化が駆動力 / 塩基はエトキシド / アルドールとの違い / 逆反応(レトロDieckmann) / エステルは2当量食う / ラクトンだから分子内に両端が残る / 付加--脱離である / 1当量で止める方法 / 命名 / NO2+ の生成を書く / 電子効果では決まらない / σ錯体の共鳴を書く / ジニトロ化は起こらない / p-シメンの由来 / Wittigは位置が確定する / Ph3P=O が駆動力 / 非安定化イリドは Z 選択的 / m-CPBAは協奏的 / スピロ環になる / m-CPBAの選択性

力学63件

  • 2024年度 春季(2024年2月実施) 第1問 分圧を含む反応ギブズエネルギー・H_2とD_2の振動準位間隔・2次反応の初速度p^° で割るのを省かない / 単体の Δ_fG^° はゼロ / 係数は指数に入る / 平衡との関係 / 準位間隔は v によらない / 等核分子の μ は質量の半分 / 重い同位体ほど低波数 / 零点エネルギーと同位体効果 / k_f が同じ根拠 / 次数がそのまま指数になる / 「2次反応」の意味を確認 / 初速度を使う理由 / 実験的な次数決定
  • 2024年度 春季(2024年2月実施) 第5問 波動関数の導出・存在確率密度・エネルギー準位・準位間隔の変化量子化は境界条件から出る / A=0 を除く理由を書く / 規格化積分の値 / 節の数 / ψ ではなく |ψ|^2 / 節の位置 / 古典極限との対比 / 節でも粒子は移動できる / n^2 に比例 / L^2 に反比例 / 零点エネルギーの意味 / 3次元への拡張 / 相対的な間隔は小さくなる / 他の系との対比 / 共役系の吸収
  • 2024年度 夏季(2023年7月実施) 第5問 COの換算質量と振動吸収波数・同位体置換によりヘム鉄への結合原子を決める分光実験換算質量の意味 / 極限を確認する / 同種原子なら m/2 / \tildeν\proptoμ^-1/2 / 単位の断りを書く / 実測値 / 非調和性 / 「動かない原子は μ に効かない」 / k_f 不変の仮定を使う / 実際のミオグロビンはC結合 / 現実の系ではどちらも少し動く / 測定手段 / 生理的意義
  • 2024年度 夏季(2023年7月実施) 第6問 窒素原子の2s・2p電子配置・CとNの電子親和力の違い・N_2とO_2のイオン化に伴う結合距離変化・β-カロテンの吸収・原子価結合法によるH_2の波動関数3つの規則を明示する / Hundの規則の物理的理由 / 2s<2p の理由 / 半閉殻 / 2つの理由をそろえる / 周期表の例外 / Oが第2周期最大でない理由 / 符号の約束 / 結合次数を数値で示す / s--p 混成による順序の逆転 / 振動数でも確認できる / 同じ論理の応用 / 1/L^2 でなく 1/L / π電子数の数え方 / 見える色は補色 / モデルの限界 / シアニン色素 / 交換項が結合の源 / 符号と多重度 / イオン項を加えると精度が上がる / MO法との関係 / VB法の利点

rikkyo-university 公式の過去問の公開年度と公式解答例

公開されている年度
2024〜2027年度(2027年度夏季までの計7回)
公式の解答例
一部の年度・科目で公開
英語の扱い
専攻ページに掲載されているのは専門科目「化学」の筆記試験問題のみ。英語の問題は大学本体の過去問題ページ側にあり、本文は著作権の関係で非掲載(出典のみ記載)の回がある。
院試hubが最後にリンクを確認した日
2026-10-17
ページの内容
「博士課程前期課程筆記試験問題(化学)」として、夏季試験(前年7月実施)と春季試験(当該年度2月実施)のPDFを年度ごとに掲載。2024〜2027年度夏季までの7回分が公開されている。出題は基礎問題 問1〜4(必答)と選択問題から1問を選ぶ計5問で、選択問題は通常 問5〜8 の4問だが、2024年度(夏季)のみ 問5〜9 の5問が用意され、この回だけ大問が9問ある。解答例は回次によって扱いが異なる:大学は「2025年度に実施した試験(2026年度入試)から、解答または解答例および出題の意図も公開」しており、化学専攻でも2026年度夏季・春季の2回分が大学本体の過去問題ページ(Googleドライブ)で公開されている。ただし内容は最終解答と短い理由を並べた数ページの「解答の一例」で、導出過程の詳細な解説ではない。2024年度夏季・2024年度春季・2025年度夏季・2025年度春季の4回については解答例は公開されていない。

よくある質問

立教大学化学専攻の院試は、何分で何問を解きますか。

化学の筆記は120分です。2027年度入試要項の時間割は9時〜11時で、問題冊子の指示は、問1〜4の基礎問題4問が必答、問5〜8の選択問題から1問の計5問です。6問以上の解答は認められていません。2024年度夏季だけは選択問題が問5〜9の5問でした。英語の筆記が11時30分〜12時30分、口頭試問が15時からです。

化学専攻の過去問と大学の解答はどこで入手できますか。

化学専攻の入試問題ページに、2024年度夏季から2027年度夏季までの7回の問題PDFがあります(2026年10月28日確認)。大学本体の過去問題ページでは2026年度入試から解答例と出題の意図をGoogleドライブで公開しており、化学専攻の分は2026年度夏季・春季の2回です。2024・2025年度の4回に大学の解答例はありません。

2027年度春季入試の日程を教えてください。

出願はWebで2027年1月12日〜15日(書類のアップロードを含む)、試験は2月24日(水)、合格発表は3月3日(水)11時です。一般入試でも、出願前に研究指導を希望する教員と連絡をとって面談します。社会人入試と外国人入試は、2026年11月25日〜27日の受験資格審査を先に受ける必要があります。

選択問題はどの分野から選べますか。

2024年度春季以降の5回は、問5が物理化学、問6が錯体を中心とする無機化学、問7が有機化学、問8が分析化学でした。2024年度夏季は物理化学が問5・問6の2題で、問7が錯体、問8が有機、問9が分析です。当日は選択問題をすべて読んでから、最後まで書き切れる1問を選びます。

院試Hubの解答PDFには何が入っていますか。

2024〜2026年度の夏季・春季6回について、選択問題を含む49大問の解答と解説を、表紙込み210ページの1冊にまとめています。価格は3,200円です。問題文と原図、2027年度夏季の問題は含みません。各回の問1は年度別ページで無料で読めます。

英語の試験はどのような形式ですか。

一般・社会人・外国人のどの区分にも、11時30分〜12時30分の英語の筆記があります。英和・和英の語学辞書は使えますが、用語辞典と電子辞書は使えません。過去の英語問題は大学本体の過去問題ページで公開されており、著作権の都合で出典だけを示している問題もあります。

公式過去問と併用する解答・解説PDFを、立教大学の研究科・科目別に掲載しています。収録年度と価格は各ページで確認できます。

立教大学の解答PDF一覧で、立教大学の研究科・専攻・科目をまとめて確認できます。

院試対策ガイド一覧(大学別)

理学研究科 化学専攻 博士課程前期課程 化学の解答・解説PDF

収録:2024〜2026年度・6回分・解説49項目¥3,200

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