院試hub

第1問 — 理想気体の混合の自発性・殻の最大電子数 2n^2・多経路緩和の分岐比

ln⁡x<0\ln x<0 が要

0<x<10<x<1 で対数が負になる、というだけの事実で証明が完結する。 微分して最小値を求める必要はない。

「任意のモル分率で」を明示

設問が「任意のモル分率で混合させたとき、必ず」と求めている。 特定の組成(xA=xB=0.5x_{\mathrm A}=x_{\mathrm B}=0.5 など)だけで示しても答えにならない。

駆動力はエントロピー

理想気体では分子間相互作用がないので ΔHmix=0\Delta H_{\text{mix}}=0。 ΔG=−TΔS\Delta G=-T\Delta S で、 ΔSmix=−R(xAln⁡xA+xBln⁡xB)>0\Delta S_{\text{mix}}=-R\left(x_{\mathrm A}\ln x_{\mathrm A}+x_{\mathrm B}\ln x_{\mathrm B}\right)>0。 混合が進むのは純粋に乱雑さが増えるからである。この物理的な解釈を添える。

最大は等モル

−(xln⁡x+(1−x)ln⁡(1−x))-\left(x\ln x+(1-x)\ln(1-x)\right) は x=12x=\dfrac12 で最大値 ln⁡2\ln2 をとる。 すなわち等モル混合で ΔG=−RTln⁡2\Delta G=-RT\ln2 が最も負になる。

実在気体では逆もある

相互作用があると ΔHmix≠0\Delta H_{\text{mix}}\ne0 で、 正に大きければ相分離(混ざらない)が起こる。 「理想気体だから必ず混ざる」という条件つきの結論であることを意識する。

(2) 主量子数 nn の殻に入る最大電子数が 2n22n^{2} であることの証明

奇数和の公式

∑ℓ=0n−1(2ℓ+1)=1+3+5+⋯+(2n−1)=n2\displaystyle\sum_{\ell=0}^{n-1}(2\ell+1)=1+3+5+\cdots+(2n-1)=n^{2}。 「軌道の数が n2n^{2} 個」というのがこの証明の中身で、 そこにスピンの2を掛けて 2n22n^{2} になる。

パウリの原理を明記

「1軌道に2個まで」の根拠はパウリの排他原理である。 これを書かないと係数2の理由が示せない。

具体例で検算

n=1n=1:2×1=22\times1=2(K殻)。n=2n=2:2×4=82\times4=8(L殻)。 n=3n=3:2×9=182\times9=18(M殻)。n=4n=4:3232。 周期表の周期の長さと対応する。

実際の周期は 2n22n^{2} とは限らない

第3周期が8元素なのは、3d3d が 4s4s より高いエネルギーにあるためで、 2n2=182n^{2}=18 とはずれる。 本問は「殻に入る最大数」を問うており、周期表の周期の長さとは別問題である。

(3) 経路 1→3→4→51\to3\to4\to5 で緩和する分子の割合 Φ\Phi

分岐比の定義

「その経路の速度定数」÷「その状態から出る全速度定数の和」。 並列一次過程の基本で、蛍光量子収率 Φf=krkr+knr\Phi_f=\dfrac{k_r}{k_r+k_{nr}} もまったく同じ形である。

分母に入れるのは「その状態から出る」ものだけ

状態1の分母に k34k_{34} や k45k_{45} を入れてはいけない。 また状態3の分母に k25k_{25} を入れてもいけない。 図の矢印の始点を1つずつ確認する。

k45k_{45} は現れない

状態4からの経路が1本しかないので分岐比は1になり、答に k45k_{45} は入らない。 k45k45=1\dfrac{k_{45}}{k_{45}}=1 と書いてもよいが、 「1本しかないから1」と述べるほうが明快である。

確率の積

各分岐は独立に起こるので、経路をたどる確率は各段階の確率の積になる。 足し算にしないこと。

全経路の和は1

1→2→51\to2\to5、1→3→4→51\to3\to4\to5、1→3→51\to3\to5、1→51\to5 の すべての分岐比を足すと1になる。 検算として使える。

解答

モル分率は 0<xA<1,0<xB<1,xA+xB=1 0<x_{\mathrm A}<1,\qquad 0<x_{\mathrm B}<1,\qquad x_{\mathrm A}+x_{\mathrm B}=1 を満たす(どちらか一方が0なら「混合」にならない)。

0<x<10<x<1 の範囲では ln⁡x<0 \ln x<0 である。したがって xA>0x_{\mathrm A}>0、xB>0x_{\mathrm B}>0 より xAln⁡xA<0,xBln⁡xB<0. x_{\mathrm A}\ln x_{\mathrm A}<0,\qquad x_{\mathrm B}\ln x_{\mathrm B}<0 . R>0R>0、T>0T>0 だから ΔG=RT[xAln⁡xA+xBln⁡xB]<0 \Delta G=RT\left[x_{\mathrm A}\ln x_{\mathrm A}+x_{\mathrm B}\ln x_{\mathrm B}\right]<0 が任意のモル分率について成り立つ。 定温定圧で ΔG<0\Delta G<0 の変化は自発的に進行するから、 理想気体AとBはどんな割合でも必ず自発的に混ざり合う。

主量子数 nn の殻に許される量子数は次のとおりである。

  • 方位量子数:ℓ=0,1,2,…,n−1\ell=0,1,2,\dots,n-1 の nn 通り。

  • 磁気量子数:各 ℓ\ell に対して mℓ=−ℓ,−ℓ+1,…,0,…,ℓ−1,ℓm_\ell=-\ell,-\ell+1,\dots,0,\dots,\ell-1,\ell の 2ℓ+12\ell+1 通り。

  • スピン量子数:各軌道に対して ms=±12m_s=\pm\dfrac12 の2通り。

パウリの排他原理より、4つの量子数 (n,ℓ,mℓ,ms)(n,\ell,m_\ell,m_s) の組が同じ電子は存在できないので、 1つの軌道 (n,ℓ,mℓ)(n,\ell,m_\ell) には最大2個の電子が入る。

したがって殻 nn に入る電子の最大数 NN は N=2∑ℓ=0n−1(2ℓ+1). N=2\sum_{\ell=0}^{n-1}\left(2\ell+1\right). 和を計算すると、これは初項1・公差2の等差数列の第 nn 項までの和だから ∑ℓ=0n−1(2ℓ+1)=2⋅(n−1)n2+n=n2−n+n=n2. \sum_{\ell=0}^{n-1}\left(2\ell+1\right) =2\cdot\frac{\left(n-1\right)n}{2}+n =n^{2}-n+n=n^{2}. (あるいは 1+3+5+⋯+(2n−1)=n21+3+5+\cdots+(2n-1)=n^{2} という奇数和の公式でもよい。)よって N=2n2. N=2n^{2}.

各状態からの緩和では、複数の経路が並列に競合する。 状態 ii からある特定の経路 i→ji\to j を通る分子の割合(分岐比)は、 その経路の速度定数を、状態 ii から出るすべての経路の速度定数の和で割った値 kij∑j′kij′ \frac{k_{ij}}{\displaystyle\sum_{j'}k_{ij'}} で与えられる。

状態1からの分岐 状態1からは k12k_{12}、k13k_{13}、k15k_{15} の3経路が出ている。 1→31\to3 を選ぶ割合は k13k12+k13+k15. \frac{k_{13}}{k_{12}+k_{13}+k_{15}} . 状態3からの分岐 状態3からは k34k_{34}、k35k_{35} の2経路が出ている。 3→43\to4 を選ぶ割合は k34k34+k35. \frac{k_{34}}{k_{34}+k_{35}} . 状態4からの分岐 状態4からは k45k_{45} しか出ていないので、 4→54\to5 を選ぶ割合は 11 である。

これらは独立な確率なので、経路全体をたどる割合はその積になる。 Φ=k13k12+k13+k15⋅k34k34+k35. \Phi=\frac{k_{13}}{k_{12}+k_{13}+k_{15}}\cdot\frac{k_{34}}{k_{34}+k_{35}} .

最終答

0<xA,xB<10<x_{\mathrm A},x_{\mathrm B}<1 では ln⁡x<0\ln x<0 なので xAln⁡xA<0x_{\mathrm A}\ln x_{\mathrm A}<0、xBln⁡xB<0x_{\mathrm B}\ln x_{\mathrm B}<0。 RT>0RT>0 より ΔG<0\Delta G<0 が任意の組成で成り立ち、 定温定圧では ΔG<0\Delta G<0 が自発性の条件だから必ず混ざり合う。

ℓ=0,…,n−1\ell=0,\dots,n-1、各 ℓ\ell に mℓm_\ell が 2ℓ+12\ell+1 通り、 各軌道にスピンで2個。よって N=2∑ℓ=0n−1(2ℓ+1)=2n2N=2\displaystyle\sum_{\ell=0}^{n-1}(2\ell+1)=2n^{2}。

Φ=k13k12+k13+k15×k34k34+k35\Phi=\dfrac{k_{13}}{k_{12}+k_{13}+k_{15}} \times\dfrac{k_{34}}{k_{34}+k_{35}}

第2問 — Slater則による有効核電荷・BF_3のVSEPR・逆蛍石型構造・Cu^+の不均化

「新しい殻に入る」が答えの核心

同じ周期の中では ZZ が1増えても遮蔽は 0.350.35 しか増えないので ZeffZ_{\text{eff}} は +0.65+0.65 ずつ上がる。 周期をまたぐと遮蔽係数が 0.35→0.850.35\to0.85(さらに 1.001.00)へ跳ね上がるため逆転する。 この対比を書くのが要点である。

与えられた例で係数を確かめる

Be と Mg の値から 0.350.35、0.850.85、1.001.00 が確認できる。 Slater則の係数を暗記していなくても、 与えられた3つの数値から逆算できる設計になっている。

「同じ殻の他の電子」を数える

Neの 2p2p 電子自身は数に入れないので 8−1=78-1=7 個である。 88 個としないこと。

Naでは同殻に他がいない

3s13s^{1} なので同じ殻に他の電子がなく、その項が0になる。 ここを見落とすと σ\sigma が大きくなりすぎる。

周期的性質との対応

ZeffZ_{\text{eff}} が小さい ⇒\Rightarrow 最外殻電子が緩く束縛される ⇒\Rightarrow 原子半径が大きく、イオン化エネルギーが小さい。 アルカリ金属が反応性に富む理由そのものである。

(2) VSEPRによるBF3_3の立体構造

孤立電子対がないことを示す

価電子24個を数え、3本の結合と9組のF上の孤立電子対で使い切ることを示す。 これでBに孤立電子対がないことが確定し、平面三角形が導ける。

オクテット則の例外

Bのまわりは6電子でオクテットに達していない。 そのためBF3_3は強いLewis酸として働き、 NHX3\ce{NH3} などと FX3B ⁣← ⁣NHX3\ce{F3B}\!\leftarrow\!\ce{NH3} の付加体を作る。 このときsp3sp^{3}混成となり四面体形に変わる。

π\pi結合の寄与

FからBへの pp--pp π\pi供与によりB--F結合は単結合より短い。 それでもσ\sigma骨格は3配位平面三角形のままである。

立体構造が分かるように描く

3本の結合を同一平面上に 120∘120^\circ 間隔で描く。 T\mathrm T 字形やピラミッド形に描くと誤りである。

(3) 逆蛍石型構造のLi2_2Oにおける(ア)(イ)

組成比から間隙の種類が決まる

面心立方格子の単位格子には格子点が4個、 四面体間隙が8個、八面体間隙が4個ある。 LiX2O\ce{Li2O} は Li:O=2:1\ce{Li}:\ce{O}=2:1 なので、 O\ce{O} 4個に対し Li\ce{Li} が8個必要である。 これは四面体間隙の数とちょうど一致する。八面体間隙(4個)では足りない。 この数え方が答えの根拠になる。

「すべての」という条件

四面体間隙を全部埋めるのが蛍石型・逆蛍石型である。 半分だけ埋めると閃亜鉛鉱(ZnS)型になる。

配位数

LiX+\ce{Li+} は4配位(四面体)、OX2−\ce{O^2-} は8配位(立方体)。 CaFX2\ce{CaF2} では CaX2+\ce{Ca^2+} が8配位、FX−\ce{F-} が4配位で、 配位数の比が組成比の逆になっている。

他の逆蛍石型

NaX2O\ce{Na2O}、KX2O\ce{K2O}、LiX2S\ce{Li2S} なども逆蛍石型をとる。 アルカリ金属の酸化物・硫化物に共通の構造である。

(4) Cu+^+の不均化反応が自発的に進行するか

どちらを還元・酸化に使うか

不均化では同じ化学種が酸化剤にも還元剤にもなる。 CuX+/Cu\ce{Cu+/Cu}(0.520.52)を還元側、CuX2+/CuX+\ce{Cu^2+/Cu+}(0.160.16)を酸化側にとる。 逆にすると Ecell∘<0E^\circ_{\text{cell}}<0 となり結論が反転する。

ΔG∘<0\Delta G^\circ<0 まで書く

「E∘>0E^\circ>0 だから自発的」で止めず、 ΔG∘=−nFE∘\Delta G^\circ=-nFE^\circ の関係と数値を示すと論証が完結する。

ラチマー図の一般則

CuX2+→0.16CuX+→0.52Cu\ce{Cu^2+}\xrightarrow{0.16}\ce{Cu+}\xrightarrow{0.52}\ce{Cu}。 中間種の右側の電位が左側より大きいとき、その中間種は不均化する。 一目で判定できる便利な規則である。

0.05920.0592 の由来

25 ∘C25\,^\circ\mathrm C で 2.303RTF=0.0592 V\dfrac{2.303RT}{F}=0.0592\,\mathrm V。 log⁡K=nE∘0.0592\log K=\dfrac{nE^\circ}{0.0592} の形で使う。

Cu(I)が存在できる条件

CuCl\ce{CuCl} や [Cu(NHX3)X2]X+\ce{[Cu(NH3)2]+}、CuI\ce{CuI} のように 難溶性塩や錯体にすればCu(I)は安定に存在できる。 「水和イオンとしては不安定」という限定を添えると精確である。

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第3問 — 反応機構5題:ピリジンのN-アルキル化・イミン生成・ラクトンへのGrignard・Markovnikov付加・Mannich反応

なぜ窒素で反応するか

ピリジンの窒素の孤立電子対は環平面内の sp2sp^{2} 軌道にあり、 π\pi系(芳香族性を担う6電子)とは別である。 だから求核剤として使っても芳香族性が壊れない。 ピロールの窒素(孤立電子対がπ\pi系の一部)とは対照的で、 ピロールは窒素上で求核性を示さない。

炭素側では反応しない

ピリジンは電子不足芳香環なので求電子置換を受けにくい。 求電子剤 CHX3I\ce{CH3I} に対しては窒素が圧倒的に反応性が高い。

SN2\mathrm{S_N2} である根拠

CHX3I\ce{CH3I} は1級(メチル)ハロゲン化物なのでカルボカチオンを作らず、 背面攻撃の一段階機構で進む。

メンシュトキン反応

アミン(第3級アミンやピリジン)とハロゲン化アルキルから 第4級アンモニウム塩を作る反応をメンシュトキン反応という。 極性溶媒中で加速される(遷移状態で電荷が生じるため)。

(2) シクロヘキサノン+アニリン,H+^+ →\to B

酸は「弱酸性」が最適

酸が強すぎるとアミンがプロトン化されて求核性を失い、 弱すぎると脱水段階が進まない。 最適pHは4〜5である。「最適な反応条件」という但し書きはこれを指す。

律速段階は脱水

付加は速く、カルビノールアミンからの脱水が律速になることが多い。 だから酸触媒が必要である。

1級アミンだからイミン

2級アミン(例:ピロリジン)なら窒素上にHが1個しかないので、 イミニウムからα\alpha炭素のHが外れてエナミンになる。 アミンの級数で生成物が変わることを押さえておく。

可逆反応

イミン生成は可逆で、水を除く(Dean--Stark装置など)ことで平衡を右に寄せる。 逆に水中では加水分解してケトンとアミンに戻る。

(3) γ\gamma-ブチロラクトン+CH3_3MgBr(2当量),H3_3O+^+ →\to C

エステルは2当量食う

1当量目でできるケトンはエステルより求電子性が高いので、単離できない。 「2当量」という但し書きはこのことを指している。

ラクトンだからジオールになる

鎖状エステルなら脱離したアルコキシドが別分子になるが、 ラクトンでは同じ分子内につながったまま残る。 だから生成物は1級OHと3級OHをもつジオールになる。

命名

HO−CHX2CHX2CHX2−C(CHX3)X2−OH\ce{HO-CH2CH2CH2-C(CH3)2-OH} の最長鎖は CHX3−C(OH)(CHX3)−CHX2CHX2CHX2−OH\ce{CH3-C(OH)(CH3)-CH2CH2CH2-OH} で5炭素(ペンタン)。 OHが2位と5位、メチルが2位。よって2-メチルペンタン-2,5-ジオール。

付加--脱離である

四面体中間体を経る。SN2\mathrm{S_N2}ではないので必ず中間体を描く。

ε\varepsilon-カプロラクトンとの比較

7員環ラクトンなら HO−(CHX2)X5−C(CHX3)X2−OH\ce{HO-(CH2)5-C(CH3)2-OH} になる。 環サイズが鎖の長さにそのまま反映される。

(4) (EE)-1-フェニルプロペン+HCl →\to D

ベンジルカチオンの共鳴

正電荷がベンゼン環のオルト位・パラ位に非局在化する共鳴構造を4つ書ける。 これが「なぜこの向きか」の直接の根拠なので、共鳴式を示すとよい。

Markovnikov則の本質

「Hは水素の多いほうの炭素に付く」という経験則ではなく、 「より安定なカルボカチオンを与える向きに付加する」が本質である。 本問はベンジル安定化が効くので、単純な置換度の比較では説明できない。

EE/ZZ は関係ない

中間体が平面カチオンなので、出発物の幾何異性は生成物に反映されない。 EE体でもZZ体でも同じラセミ体を与える。 すなわちこの反応は立体特異的ではない。

ラセミ体になる理由

カチオン炭素は sp2sp^{2} で平面。 ClX−\ce{Cl-} が上下どちらから来ても等確率なので (R)(R) と (S)(S) が等量できる。

転位は起こらない

最初からベンジル位という最も安定な位置にカチオンができるので、 転位する余地がない。

(5) 2-メチルフラン+ジメチルアミン+ホルムアルデヒド,H+^+ →\to E

イミニウムが求電子剤

Mannich反応の鍵はこの中間体である。 アルデヒドのカルボニル炭素が直接攻撃されるのではなく、 アミンと縮合してイミニウムになってから反応することを明示する。

なぜα\alpha位か

フランでは酸素の孤立電子対がπ\pi系に流れ込み、 2位・5位(α\alpha位)の電子密度が最も高くなる。 またα\alpha位で置換するとσ\sigma錯体の共鳴構造を多く書けて安定である。 3位(β\beta位)では共鳴構造が減り不利になる。

2位はふさがっている

2-メチルフランなので反応は5位に限られる。 位置選択性の議論として明記する。

フランは反応性が高い

フランはベンゼンよりはるかに電子豊富で、 穏和な求電子剤(イミニウムイオン)とも反応する。 反応性の序列はピロール >> フラン >> チオフェン >> ベンゼン。

Mannich塩基の用途

生成物(Mannich塩基)は加熱すると逆Mannich反応で α,β\alpha,\beta-不飽和カルボニル化合物を与えるので、 Michael受容体の前駆体として使われる。 医薬品合成での応用も広い。

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第4問 — 酢酸の中和滴定曲線・緩衝能・IR試料調製法・MSイオン化法・GC検出器

pH=pKa−log⁡C2\mathrm{pH}=\dfrac{\mathrm pK_a-\log C}{2}

[HX+]=KaC[\ce{H+}]=\sqrt{K_aC} の対数をとると pH=4.8+1.02=2.9\mathrm{pH}=\dfrac{4.8+1.0}{2}=2.9。指数のまま扱うと計算が速い。

近似の妥当性

[HX+]=10−2.9=1.3×10−3[\ce{H+}]=10^{-2.9}=1.3\times10^{-3} で C=0.10C=0.10 の約 1.3%1.3\%。 C−[HX+]≃CC-[\ce{H+}]\simeq C としてよい。 近似の検証を一言添えると丁寧である。

水の電離は無視できる

[HX+]=1.3×10−3≫Kw=10−7[\ce{H+}]=1.3\times10^{-3}\gg\sqrt{K_w}=10^{-7} なので、 水由来の HX+\ce{H+} は無視してよい。

強酸との違い

同じ 0.10 mol dm−30.10\,\mathrm{mol\,dm^{-3}} でも強酸なら pH=1.0\mathrm{pH}=1.0。 弱酸ではほとんど電離していないので、pHは約2桁高い。

(1)(i)② 滴下量 45 mL45\,\mathrm{mL} のpH

体積は効かない

酸と共役塩基が同じ溶液にあるので、希釈しても比は変わらない。 95 mL95\,\mathrm{mL} という総体積を使う必要はない。

log⁡9=2log⁡3\log9=2\log3

与えられた log⁡3.0=0.48\log3.0=0.48 から 0.960.96。 log⁡9\log9 を直接求めようとしないこと。

緩衝域

pH=pKa±1\mathrm{pH}=\mathrm pK_a\pm1(比が 1:101:10〜10:110:1)が実用的な緩衝域である。 本問の比 9:19:1 はちょうどその端にあたる。

半当量点との比較

25 mL25\,\mathrm{mL} 滴下(半当量点)なら比が1で pH=pKa=4.8\mathrm{pH}=\mathrm pK_a=4.8。 滴定曲線から pKa\mathrm pK_a を読み取る標準的な方法である。

(1)(i)③ 滴下量 50 mL50\,\mathrm{mL}(当量点)のpH

当量点は中性ではない

弱酸と強塩基の中和では、当量点で共役塩基だけが残るので塩基性になる。 pH=7\mathrm{pH}=7 と答えるのが最も多い誤りである。

希釈を忘れない

50 mL50\,\mathrm{mL} の滴下で総体積が倍になるので、 CHX3COOX−\ce{CH3COO-} の濃度は 0.100.10 ではなく 0.050 mol dm−30.050\,\mathrm{mol\,dm^{-3}}。 ここは体積が効く。

Kb=Kw/KaK_b=K_w/K_a

共役酸塩基対の関係。pKa+pKb=14\mathrm pK_a+\mathrm pK_b=14 でもよい。

指示薬の選択

当量点が pH≃8.8\mathrm{pH}\simeq8.8 なので、 変色域 8.08.0〜9.89.8 のフェノールフタレインが適する。 メチルオレンジ(3.13.1〜4.44.4)では早く変色して誤差が大きい。 実験と結びつけて述べられるとよい。

(1)(i)④ 滴下量 75 mL75\,\mathrm{mL} のpH

酢酸イオンの加水分解は無視できる

過剰の OHX−\ce{OH-} が 2.0×10−2 mol dm−32.0\times10^{-2}\,\mathrm{mol\,dm^{-3}} もあるのに対し、 ③で見たように加水分解由来の OHX−\ce{OH-} は 10−510^{-5} 台にすぎない。 共通イオン効果でさらに抑えられるので完全に無視してよい。

体積の合計

50+75=125 mL50+75=125\,\mathrm{mL}。もとの 50 mL50\,\mathrm{mL} を足し忘れない。

滴定曲線の形

0→2.90\to2.9、45→5.845\to5.8、50→8.850\to8.8、75→12.375\to12.3。 当量点付近で急激に立ち上がり、その前後は緩やかという 弱酸--強塩基滴定の典型的な S\mathrm S 字曲線が描ける。

強塩基が支配する領域

当量点を過ぎたら「過剰の強塩基の濃度」だけを見ればよい。 弱酸だったことは無関係になる。

(1)(ii) 滴下量 45 mL45\,\mathrm{mL} における緩衝能

β\beta の定義を書く

「pHを1変えるのに必要な強塩基の量」。 定義から始めないと、使った式の根拠が示せない。

ここでは体積が効く

(i)②では比だけでよかったが、 緩衝能は濃度そのものに比例するので総体積 95 mL95\,\mathrm{mL} が必要になる。 同じ滴定点でも問われる量によって扱いが変わる点に注意する。

最大値は半当量点

α(1−α)\alpha(1-\alpha) は α=0.5\alpha=0.5 で最大 0.250.25 をとる。 そのとき βmax⁡=0.576 C\beta_{\max}=0.576\,C。 本問の α=0.9\alpha=0.9 では 0.090.09 にとどまり、最大値の約 36%36\% しかない。 「緩衝域の端に来ている」ことが数値で確かめられる。

別式でも同じ

β=2.303 CKa[HX+](Ka+[HX+])2\beta=2.303\,C\dfrac{K_a[\ce{H+}]}{\left(K_a+[\ce{H+}]\right)^{2}} に [HX+]=10−5.76[\ce{H+}]=10^{-5.76}、Ka=10−4.8K_a=10^{-4.8} を入れても同じ値になる。

2.3032.303 の由来

ddpH=−2.303[HX+]dd[HX+]\dfrac{d}{d\mathrm{pH}}=-2.303[\ce{H+}]\dfrac{d}{d[\ce{H+}]} (常用対数から自然対数への変換)。この係数が必ず出る。

(1)(iii) 半当量点で中止し塩酸を加えたときのpH

強酸は「変換」を起こす

HX+\ce{H+} を加えると AX−\ce{A-} が HA\ce{HA} に変わる。 片方が減り、同じだけもう片方が増える。 この「∓0.5\mp0.5」の対称的な変化を書き下すのが要点である。

体積は再び効かない

比だけで決まるので 85 mL85\,\mathrm{mL} という総体積は不要。 (ii)の緩衝能とは対照的である。

緩衝作用の実感

0.5 mmol0.5\,\mathrm{mmol} の強酸を加えてもpHは 4.8→4.64.8\to4.6 と 0.20.2 しか下がらない。 純水(85 mL85\,\mathrm{mL})に同じ量を加えれば [HX+]=5.9×10−3[\ce{H+}]=5.9\times10^{-3}、pH=2.2\mathrm{pH}=2.2 まで下がる。 比較すると緩衝作用の効果が定量的に示せる。

緩衝能からの見積り

(ii)と同様に半当量点の β\beta を計算すると β=2.303×5.075×0.25=3.8×10−2\beta=2.303\times\dfrac{5.0}{75}\times0.25=3.8\times10^{-2}。 加えた酸の濃度は 0.585=5.9×10−3\dfrac{0.5}{85}=5.9\times10^{-3} なので ΔpH≃−5.9×10−33.8×10−2=−0.15\Delta\mathrm{pH}\simeq-\dfrac{5.9\times10^{-3}}{3.8\times10^{-2}}=-0.15。 厳密計算の −0.18-0.18 とよく合う。

(2)(i) 赤外分光法の試料調製法(2種類)

「名称・操作法・特徴」の3点セット

設問がこの3つを求めている。どれか1つでも欠けると減点される。

KBrを使う理由

イオン結晶で赤外領域に格子振動の吸収がなく(400 cm−1400\,\mathrm{cm^{-1}} 以上で透明)、 加圧により塑性流動して透明になる。この2点が選定理由である。

ATRの浸透深さ

dp=λ2πn1sin⁡2θ−(n2/n1)2d_p=\dfrac{\lambda}{2\pi n_1\sqrt{\sin^{2}\theta-(n_2/n_1)^{2}}} で、典型的には 0.50.5〜2 μm2\,\mathrm{\mu m}。 λ\lambda に比例するので低波数ほど深く入り、吸収が強く見える。

選ぶ組合せ

透過法(KBr錠剤・液膜)と反射法(ATR)を1つずつ選ぶと、 対比が書けて答案が締まる。

(2)(ii) 質量分析法のイオン化法(2種類)

ハードとソフトを1つずつ

EI(ハード)とESIまたはMALDI(ソフト)を対にして選ぶと、 両者の設計思想の違いが説明できて答案に厚みが出る。

70 eV70\,\mathrm{eV} の理由

この付近でイオン化効率が最大かつ安定で、 スペクトルの再現性が高いため国際的に標準化されている。 だからライブラリ検索が成立する。

多価イオンの利点

質量 50 kDa50\,\mathrm{kDa} のタンパク質でも 3030 価になれば m/z≃1700m/z\simeq1700 となり、通常の四重極でも測れる。 ESIが生命科学を変えた理由である。

イオン化法と分離法の組合せ

GC--MSにはEI、LC--MSにはESIやAPCI、 MALDIはTOFと組み合わせるのが定石である。 実務との対応にも触れられるとよい。

(2)(iii) ガスクロマトグラフィーの検出器(2種類)

汎用型と選択型を1つずつ

FID(汎用)とECD(選択)を対にすると、 検出器を使い分ける理由まで説明できる。 TCD(汎用・非破壊)とFID(汎用・破壊)の対比でもよい。

「原理・特徴」を必ず両方

設問が「検出の原理および特徴」を求めている。 名称だけ挙げて終わらせない。

FIDが炭素数に比例する意味

応答が炭素数にほぼ比例するので、 標準物質がなくても相対的な定量ができる(有効炭素数の考え方)。 これがFIDが定量に強い理由である。

ECDの感度の桁

FIDより 10310^{3} 倍高感度だが、応答するのは電子親和性の高い化合物だけ。 「感度」と「汎用性」がトレードオフになっていることを述べると理解が深く見える。

酢酸の中和滴定曲線・緩衝能・IR試料調製法・MSイオン化法・GC検出器の途中式・最終答をPDFで見る

第5問 — 二準位系のボルツマン分布と温度・蛍光の輻射/無輻射速度定数とモル吸光係数

問題文の「ln⁡2=0.301\ln2=0.301」は誤植

0.3010.301 はlog⁡2\log2の値であって ln⁡2\ln2 ではない。 問題文自身が与えている ln⁡x=2.303log⁡x\ln x=2.303\log x を使えば ln⁡2=2.303×0.301=0.693\ln2=2.303\times0.301=0.693 となる。 ln⁡2=0.301\ln2=0.301 をそのまま使うと ln⁡5=2.303−0.301=2.002\ln5=2.303-0.301=2.002 となり T=5.8 KT=5.8\,\mathrm K という別の答になってしまう。 ΔE\Delta E の仮数が 1.611.61(=ln⁡5=\ln5)に一致するよう作られていることからも、 ln⁡5=1.61\ln5=1.61 が意図された値であることが分かる。

ln⁡5=ln⁡10−ln⁡2\ln5=\ln10-\ln2

ln⁡10=2.303\ln10=2.303 は ln⁡x=2.303log⁡x\ln x=2.303\log x に x=10x=10 を入れれば得られる。 ln⁡5\ln5 を直接与えられていなくても、この分解で計算できる。

約分がきれいに効く

1.61×10−221.38×10−23×1.61=101.38\dfrac{1.61\times10^{-22}}{1.38\times10^{-23}\times1.61}=\dfrac{10}{1.38}。 1.611.61 が消えるように数値が選ばれている。 気づけば電卓なしで 7.257.25 が出る。

7 K7\,\mathrm K という低温の意味

ΔE=1.61×10−22 J\Delta E=1.61\times10^{-22}\,\mathrm J は波数にすると約 8 cm−18\,\mathrm{cm^{-1}} で、 分子の回転準位程度の非常に小さな間隔である。 室温(kBT≃4×10−21 Jk_{\mathrm B}T\simeq4\times10^{-21}\,\mathrm J)では N1/N0≃0.96N_1/N_0\simeq0.96 とほぼ等占有になる。 上準位の占有を 0.20.2 まで下げるには極低温が要る、という描像を持つとよい。

(2)(I) 輻射速度定数 krk_r と無輻射速度定数 knrk_{nr}

2式2未知数

τf=1kr+knr\tau_f=\dfrac{1}{k_r+k_{nr}} と Φf=krτf\Phi_f=k_r\tau_f の2本から krk_r と knrk_{nr} が決まる。 まずこの2つの定義式を書くことが出発点である。

Φf=krτf\Phi_f=k_r\tau_f は覚えやすい

「量子収率=輻射速度定数×寿命」。 kr=Φf/τfk_r=\Phi_f/\tau_f が直ちに出る。

Aは無輻射失活が支配的

Aでは knrk_{nr} が krk_r の約100倍で、 Φf=0.01\Phi_f=0.01 と小さい理由が数値で見える。 Bでは knr/kr=4k_{nr}/k_r=4 にすぎない。

krk_r は分子固有

krk_r は遷移の強さ(振動子強度)で決まる分子固有の量で、環境の影響を受けにくい。 一方 knrk_{nr} は溶媒・温度・剛直性などで大きく変わる。 だから τf\tau_f や Φf\Phi_f は測定条件に依存する。

単位に注意

ns=10−9 s\mathrm{ns}=10^{-9}\,\mathrm s。 10 ns=1.0×10−8 s10\,\mathrm{ns}=1.0\times10^{-8}\,\mathrm s と直してから割る。

(2)(II) モル吸光係数 ε\varepsilon が大きいのはどちらか

比べるのは krk_r

Φf\Phi_f でも τf\tau_f でもなく、krk_r を比べる。 Φf\Phi_f は knrk_{nr} にも依存するので吸収の強さの指標にならない。 ここを取り違えると答が逆になる。

吸収と発光は同じ遷移

S0↔S1\mathrm S_0\leftrightarrow\mathrm S_1 の行きと帰りなので、 遷移確率を決める行列要素は共通である。 これが「吸収が強い分子は発光も速い」という一般則の根拠である。

「遷移エネルギーが同一」の使い道

Strickler--Bergの式には ν~3\tilde\nu^{3} の因子が入る。 問題文がエネルギーを同一と仮定しているのは、 この因子を消して krk_r と ε\varepsilon を直接比較できるようにするためである。 仮定の意味を説明できると理解の深さが伝わる。

τf\tau_f が長い=弱い遷移とは限らない

Bは τf\tau_f が10倍長いが krk_r は2倍大きい。 τf\tau_f の長短は knrk_{nr} に強く支配されるので、 遷移の強さの指標にはならない。

許容遷移と禁制遷移

kr≃108 s−1k_r\simeq10^{8}\,\mathrm{s^{-1}} 級なら強い許容遷移(ε≃105\varepsilon\simeq10^{5})、 106 s−110^{6}\,\mathrm{s^{-1}} 級なら弱い遷移(ε≃103\varepsilon\simeq10^{3})。 本問の2つはいずれも比較的弱い遷移である。

二準位系のボルツマン分布と温度・蛍光の輻射/無輻射速度定数とモル吸光係数の途中式・最終答をPDFで見る

第6問 — [RuCl_2(bpy)_2]の異性体・K[FeCl_4]の磁気モーメント・3d と 4d の高低スピン・MLCT遷移

bpyはシス位にしか架橋できない

2つのピリジン環が直接C--C結合でつながった平面的な配位子で、 2つの窒素が同じ側を向いている。 トランス位(180∘180^\circ)にまたぐことは不可能である。 この制約が異性体の数を決めるので最初に述べる。

シス体だけがキラル

トランス体には対称面があるが、シス体は C2C_2 軸しかもたない。 [Co(en)X2ClX2]X+\ce{[Co(en)2Cl2]+} とまったく同じ構図である。

Δ\Delta/Λ\Lambda の記号を付ける

設問が「立体構造を表す記号を日本語名称に書くこと」と指定している。 シス体には必ず Δ\Delta/Λ\Lambda を付す。

命名

2005年勧告では ClX−\ce{Cl-} は「クロリド」。 配位子はアルファベット順(bipyridine << chlorido)だが、 日本語名では慣用的にジクロリドを先に置くことも多い。 倍数接頭語は配位子名が複雑なので「ビス」を使う。

実用上の重要性

シス-[RuClX2(bpy)X2]\ce{[RuCl2(bpy)2]} は [Ru(bpy)X3]X2+\ce{[Ru(bpy)3]^{2+}} 系錯体や 色素増感太陽電池用色素の合成前駆体として広く使われる。

(2) K[FeCl4_4]の 3d3d 電子配置と有効磁気モーメント

四面体は ee が下、t2t_2 が上

八面体(t2gt_{2g} が下)と逆である。 配位子が軸間方向から近づくため、 軸上に伸びた dz2,dx2−y2d_{z^{2}},d_{x^{2}-y^{2}} のほうが反発を受けにくい。 準位図を八面体と同じに描くのが最も多い誤りである。

四面体は必ず高スピン

Δt=49ΔO\Delta_{\mathrm t}=\dfrac49\Delta_{\mathrm O} と小さく、 電子対形成エネルギー PP を超えることがほぼない。 低スピン四面体錯体は実質的に存在しない。

d5d^{5} 高スピンは最大のスピン

不対電子5個で S=52S=\dfrac52。 遷移金属錯体としては最大の磁気モーメントで、 [FeClX4]X−\ce{[FeCl4]-} や [Fe(OHX2)X6]X3+\ce{[Fe(OH2)6]^{3+}}、[MnClX4]X2−\ce{[MnCl4]^2-} などが該当する。

与えられた \sqrt{} の精度

5=2.2\sqrt5=2.2、7=2.6\sqrt7=2.6 はいずれも2桁に丸めた値なので、 積 5.725.72 は真値 5.9165.916 から 3%3\% ずれる。 有効数字2桁の指示に従えば 5.75.7 だが、 厳密には 5.95.9 になることを断っておくと誠実である。

LFSEは0

高スピン d5d^{5} では ee に2個、t2t_2 に3個で 2×(−0.6Δt)+3×(+0.4Δt)=02\times(-0.6\Delta_{\mathrm t})+3\times(+0.4\Delta_{\mathrm t})=0。 配位子場安定化がゼロなので、幾何構造は静電的・立体的要因で決まる。 FeX3+\ce{Fe^3+} が四面体をとりやすい一因である。

(3) [Fe(OH2_2)6_6]3+^{3+}と[Ru(OH2_2)6_6]3+^{3+}のどちらが低スピンか

判定基準を書く

ΔO\Delta_{\mathrm O} と PP の大小比較。 これを書かずに「4dだから低スピン」とだけ答えると根拠が示せない。

2つの効果が同じ向き

ΔO\Delta_{\mathrm O} が増えるかつ PP が減る。 片方だけでなく両方に触れると議論が厚くなる。

HX2O\ce{H2O} は弱い配位子

分光化学系列で HX2O\ce{H2O} は中程度より弱い。 それでも 4d4d 金属なら低スピンになる、というのが本問の主張である。 金属の周期の効果が配位子の効果を上回る例といえる。

磁性で実験的に区別できる

高スピン d5d^{5} は μeff≃5.9 μB\mu_{\text{eff}}\simeq5.9\,\mu_B、 低スピン d5d^{5} は ≃1.7 μB\simeq1.7\,\mu_B。 磁化率測定で一目で判別できる。

反応性への影響

低スピンの t2g5t_{2g}^{5} は ege_g が空なので配位子交換が遅く、速度論的に不活性である。 Ru錯体が安定に単離できる一方、Fe(III)水和イオンは配位子交換が速い。 構造の違いが反応性に直結する例である。

(4) [Ru(bpy)3_3]2+^{2+}の強い可視吸収の帰属と ε\varepsilon が大きい理由

MLCTかLMCTか

金属が電子豊富(低酸化数・π\pi供与性)で 配位子が空の π∗\pi^{*} をもつときはMLCT。 逆に金属が高酸化数で配位子が電子豊富なら LMCT(配位子→\to金属、例:MnOX4X−\ce{MnO4-} の濃紫色)。 Ru(II)とbpy\ce{bpy} の組合せは典型的なMLCTである。

ε\varepsilon の桁で見分ける

dd--dd:11〜10210^{2}、電荷移動:10310^{3}〜10510^{5}。 ε\varepsilon の値そのものが帰属の手がかりになる。 問題文が ε\varepsilon を与えているのはこのためである。

Laporte則を明示する

「許容だから強い」だけでなく、 dd--dd がなぜ禁制なのか(g→gg\to g でパリティが変わらない)を書く。 この対比が説明の中心になる。

応用

[Ru(bpy)X3]X2+\ce{[Ru(bpy)3]^{2+}} はMLCT励起状態が長寿命(≃600 ns\simeq600\,\mathrm{ns})で 強い発光を示すため、光触媒・光化学的水分解・色素増感太陽電池・ 電気化学発光(ECL)イムノアッセイなどに広く使われる。 本問の吸収はその出発点である。

可視光を吸収する意味

452 nm452\,\mathrm{nm}(青)を吸収するので、錯体は補色の橙赤色を呈する。 太陽光を効率よく捕集できることが応用上の利点である。

[RuCl_2(bpy)_2]の異性体・K[FeCl_4]の磁気モーメント・3d と 4d の高低スピン・MLCT遷移の途中式・最終答をPDFで見る

第7問 — ニトロフェノールの酸性度・^1H NMRによる異性体の識別・Dieckmann縮合とBeckmann転位

共鳴式を書くよう指示されている

「必要に応じて共鳴式を書くなど具体的に説明すること」とある。 pp-ニトロフェノキシドで負電荷がニトロ基の酸素に乗る共鳴構造を 必ず1つは描く。これが2と3を分ける決め手である。

オルト・パラでは共鳴、メタでは誘起のみ

−M-\mathrm M 基(NOX2\ce{NO2}、CN\ce{CN}、C=O\ce{C=O})はオルト・パラ位にあるときだけ 共鳴で電子を引ける。この一般則は配向性の議論とも共通である。

比較するのは共役塩基

「フェノールのOHが引き抜かれやすいから」ではなく、 「引き抜いたあとのアニオンが安定だから」と説明する。 酸性度の議論の定石である。

数値を添える

pKaK_a の実測値(7.27.2、8.48.4、10.010.0)を書くと、 「パラの効果が大きく、メタは中間」という主張が定量的に裏づけられる。

オルト体はどうか

oo-ニトロフェノールは pKa=7.2K_a=7.2 でパラ体とほぼ同じだが、 分子内水素結合の影響で沸点や溶解性が大きく異なる。 本問には出てこないが、比較として知っておくとよい。

(2) 1^1H NMRによる化合物 4〜6 の識別

3つの情報を全部使う

設問が「化学シフト、積分強度比、分裂パターン」と3点を挙げている。 どれか1つでも欠けると要求を満たさない。

n+1n+1 則

隣接する等価な水素が nn 個なら n+1n+1 本に分裂する。 イソプロピル基の「二重線6H+七重線1H」は最も見分けやすい組合せである。

対称性が高いと一重線

メシチレンは3回対称なので3個のメチルも3個の芳香族Hも等価で、 しかも互いに隣接していないためカップリングしない。 シグナルが2本の一重線だけ、というのは強力な指紋である。

化学シフトの目安

芳香族H:6.56.5〜8.08.0。ベンジル位 CH\ce{CH}:2.32.3〜3.03.0。 通常のアルキル:0.80.8〜2.02.0。 環電流効果で芳香族Hが大きく低磁場シフトすることが鍵である。

分子式が同じでも区別できる

3つとも CX9HX12\ce{C9H12} で質量分析では分子イオンが同じ。 NMRが構造決定に不可欠である理由がこの問題に凝縮されている。

(3) 反応①(Dieckmann縮合)と反応②(Beckmann転位)の機構

①は5員環

炭素6個のジエステルなので C2\mathrm{C_2}--C6\mathrm{C_6} で閉じて5員環になる。 炭素7個なら6員環(2026年度夏季の問3(1))。 原料の炭素数から環サイズを数える習慣をつける。

②はアンチ転位

移動する基は脱離基とアンチの位置になければならない。 非対称ケトンのオキシムでは E/ZE/Z によって移動する基が変わり、 生成するアミドの構造が変わる。 本問は対称なので区別が要らないが、この立体特異性は必ず述べる。

カルボカチオン中間体はない

転位と脱離が協奏的に起こるので、 窒素上に正電荷をもつ「ニトレン様」中間体は生じない。 段階的に書くと立体特異性が説明できなくなる。

工業的重要性

ε\varepsilon-カプロラクタムはナイロン6の原料である。 シクロヘキサノン →\to オキシム →\to Beckmann転位という経路で 年間数百万トン生産されている。

環拡大

6員環ケトンのオキシムから7員環ラクタムへ。 窒素が炭素骨格に割り込むので環員数が1つ増える。 この「環拡大」の視点で覚えると生成物を間違えない。

ニトロフェノールの酸性度・^1H NMRによる異性体の識別・Dieckmann縮合とBeckmann転位の途中式・最終答をPDFで見る

第8問 — 共通イオン効果・Fe/Ceガルバニ電池と平衡定数・EDTAによるCa^2+とMg^2+の分別定量

「定量的に」が要求されている

現象の説明だけでなく、KspK_{\mathrm{sp}} を使った数値計算を必ず示す。 純水中と共通イオン存在下の2つの溶解度を計算して比を出すのが最短の答え方である。

s′≪Cs'\ll C の近似

AgCl\ce{AgCl} から溶ける ClX−\ce{Cl-}(10−910^{-9} 台)は 外から加えた 0.100.10 に比べて完全に無視できる。 この近似を明示すると論理が締まる。

KspK_{\mathrm{sp}} は変わらない

共通イオン効果で変わるのは溶解度であって溶解度積ではない。 KspK_{\mathrm{sp}} は温度だけで決まる平衡定数である。ここを混同しない。

塩効果(異種イオン効果)との違い

NaNOX3\ce{NaNO3} のように共通イオンを含まない塩を加えると、 イオン強度が上がって活量係数が下がり、逆に溶解度がわずかに増加する。 共通イオン効果とは向きが逆である。対比として述べられるとよい。

錯形成による再溶解

ClX−\ce{Cl-} をさらに増やすと [AgClX2]X−\ce{[AgCl2]-}、[AgClX3]X2−\ce{[AgCl3]^2-} が生じ、 溶解度は極小を経て増加に転じる。 「加えれば加えるほど沈む」わけではない点に触れると理解の深さが示せる。

(2)(i) ガルバニ電池の電池電圧

正極・負極の決め方

E∘E^\circ が大きいほうが電子を受け取りたがる(酸化力が強い)ので正極になる。 逆にすると起電力が負になり、電池として成立しない。

単位活量=標準状態

「単位活量の FeX3+\ce{Fe^3+} と FeX2+\ce{Fe^2+}」という条件により ネルンスト式の対数項が0になり、E=E∘E=E^\circ となる。 この確認を書くと丁寧である。

有効数字

1.611.61 が3桁、0.7710.771 が3桁。 差 0.8390.839 は小数第3位まで意味があるので 0.839 V0.839\,\mathrm V と書いてよい。

実用

CeX4+\ce{Ce^4+} による FeX2+\ce{Fe^2+} の滴定(セリメトリー)は 実際に使われる酸化還元滴定である。 EcellE_{\text{cell}} が大きいほど当量点での電位跳躍が鋭くなる。

(2)(ii) ガルバニ電池全体の全反応式

電子数をそろえる

本問は両方とも n=1n=1 なのでそのまま足せる。 nn が違う場合は最小公倍数にそろえてから足す。

電子が式に残らない

全反応式には電子を書かない。 両辺で相殺することを確認する。

方向

CeX4+\ce{Ce^4+} が酸化剤、FeX2+\ce{Fe^2+} が還元剤。 E∘E^\circ の大きいほうが酸化剤として働く、という原則どおりである。

電池式

Pt ∣ FeX2+,FeX3+ ∥ CeX3+,CeX4+ ∣ Pt\ce{Pt}\,\vert\,\ce{Fe^2+},\ce{Fe^3+}\,\Vert\,\ce{Ce^3+},\ce{Ce^4+}\,\vert\,\ce{Pt}。 左が負極、右が正極という慣習で書く。

(2)(iii) 全反応の平衡定数

2つの関係式をつなぐ

ΔG∘=−nFE∘\Delta G^\circ=-nFE^\circ と ΔG∘=−RTln⁡K\Delta G^\circ=-RT\ln K。 この2式を等置するのが定石である。

25 ∘C25\,^\circ\mathrm C なら 0.05920.0592

2.303RTF=0.0592 V\dfrac{2.303RT}{F}=0.0592\,\mathrm V を覚えていれば log⁡K=nE∘0.0592=0.8390.0592=14.2\log K=\dfrac{nE^\circ}{0.0592}=\dfrac{0.839}{0.0592}=14.2 と即座に出る。 与えられた定数から自分で計算しても同じである。

KK が巨大=定量的に進む

K≃1014K\simeq10^{14} なので反応はほぼ完全に右へ進む。 CeX4+\ce{Ce^4+} による FeX2+\ce{Fe^2+} の滴定が定量的に成立する根拠である。 一般に滴定に使えるのは K≳106K\gtrsim10^{6}(ΔE∘≳0.35 V\Delta E^\circ\gtrsim0.35\,\mathrm V)が目安。

有効数字

log⁡K=14.2\log K=14.2 の小数部が2桁しかないので、KK は2桁の 1.5×10141.5\times10^{14} が妥当。

形式電位に注意

実際の 1 mol dm−31\,\mathrm{mol\,dm^{-3}} 硝酸中では CeX4+\ce{Ce^4+} が硝酸イオンと錯形成するため、 形式電位は E∘E^\circ より小さい(≃1.61 V\simeq1.61\,\mathrm V は硝酸中の形式電位)。 本問は与えられた値をそのまま使えばよい。

(3) EDTAキレート滴定によるCa2+^{2+}とMg2+^{2+}の分別定量

分別の鍵はpHとマスキング

「安定度定数の差だけ」では log⁡K\log K が 10.710.7 対 8.78.7 と2しか違わず、 分別滴定には不十分である。 実際にはpH 12でMgを水酸化物として沈殿させるという操作で分ける。 ここを書けるかどうかが分かれ目である。

指示薬を変える理由

EBTはpH 12ではそれ自体が変色してしまい使えない。 高pH用のNN指示薬・ムレキシドに替える必要がある。 指示薬とpHはセットで覚える。

EBTがMgと結合する仕組み

EBTはCaよりMgと強く結合する。 Caだけの試料ではEBTの変色が鈍いので、 あらかじめ少量の Mg−EDTA\ce{Mg-EDTA} を加えて終点を鋭くすることがある。 実務的な工夫として述べられるとよい。

条件生成定数

K′=αYX4−KK'=\alpha_{\ce{Y^4-}}K。 pH 10 では α≃0.35\alpha\simeq0.35、pH 5 では ≃10−6\simeq10^{-6}。 低pHではEDTAがプロトン化して配位できないので、 緩衝液でpHを保つことが必須である。

1:1で反応する

EDTAは6座なので金属イオンの価数によらず1:1で錯形成する。 計算がきわめて簡単になるのがキレート滴定の利点である。

共通イオン効果・Fe/Ceガルバニ電池と平衡定数・EDTAによるCa^2+とMg^2+の分別定量の途中式・最終答をPDFで見る

年度別の解答例(6年度)

  • 2026年度 夏季(2025年7月実施)(全8問)

    標準燃焼熱と標準生成熱・箱の中の粒子の規格化・2次反応の積分形 / 水素様原子と有効核電荷・I_3^+のルイス構造とVSEPR・体心立方格子の原子半径 / 反応機構4題:Dieckmann縮合・ラクトンへのGrignard反応・芳香族ニトロ化・Wittig反応とエポキシ化

  • 2026年度 春季(2026年2月実施)(全8問)

    蒸発エントロピー・sp^3混成軌道の直交性・1次反応の積分形 / 水素様原子の軌道エネルギー・XeF_4のルイス構造とVSEPR・岩塩型結晶の融点 / 反応機構5題:インドールのアシル化・セミピナコール転位・アルドール縮合・アミド化・E2脱離

  • 2025年度 夏季(2024年7月実施)(全8問)

    ファンデルワールス気体の等温可逆膨張の仕事・水素1s軌道の〈 r〉・多経路緩和の分岐比 / ルチル型TiO_2の構造とバンドギャップ・Δ_rG^°からの標準電極電位・HSAB則 / 反応機構5題:Markovnikov付加・ピロールのBoc化・Michael付加・Wittig反応・Storkエナミンアルキル化

  • 2025年度 春季(2025年2月実施)(このページ・全8問)

    理想気体の混合の自発性・殻の最大電子数 2n^2・多経路緩和の分岐比 / Slater則による有効核電荷・BF_3のVSEPR・逆蛍石型構造・Cu^+の不均化 / 反応機構5題:ピリジンのN-アルキル化・イミン生成・ラクトンへのGrignard・Markovnikov付加・Mannich反応

  • 2024年度 夏季(2023年7月実施)(全9問)

    定圧熱容量と定容熱容量・水素原子3s軌道の節の位置・初速度から反応次数と速度定数を決める / ポーリングとマリケンの電気陰性度・BF_3がBCl_3より弱いルイス酸である理由・酸化還元反応のΔ G^°・Hessの法則によるSiO_2の昇華エンタルピー / ベンジル位カチオンを経るMarkovnikov付加・分子内Friedel--Craftsアシル化・S_NAr・Wittig反応・THP保護とWilliamsonエーテル合成

  • 2024年度 春季(2024年2月実施)(全8問)

    分圧を含む反応ギブズエネルギー・H_2とD_2の振動準位間隔・2次反応の初速度 / O_2の常磁性とMO・ポーリング則によるホスホン酸の構造・閃亜鉛鉱型構造・アルカリ金属水素化物の反応性 / 酸無水物の生成・活性メチンのアルキル化・S_NAr・ピナコール転位・分子内二重Friedel--Craftsアルキル化

2025年度 春季(2025年2月実施)の出題内容

全8問
大問主題解説の小見出し最終答
第1問理想気体の混合の自発性・殻の最大電子数 2n^2・多経路緩和の分岐比ln x<0 が要 / 「任意のモル分率で」を明示あり
第2問Slater則による有効核電荷・BF_3のVSEPR・逆蛍石型構造・Cu^+の不均化「新しい殻に入る」が答えの核心 / 与えられた例で係数を確かめるあり
第3問ピリジンのN-アルキル化・イミン生成・ラクトンへのGrignard・Markovnikov付加・Mannich反応なぜ窒素で反応するか / 炭素側では反応しないあり
第4問酢酸の中和滴定曲線・緩衝能・IR試料調製法・MSイオン化法・GC検出器pH=\dfrac{pK_a-log C}{2} / 近似の妥当性あり
第5問二準位系のボルツマン分布と温度・蛍光の輻射/無輻射速度定数とモル吸光係数問題文の「ln2=0.301」は誤植 / ln5=ln10-ln2あり
第6問[RuCl_2(bpy)_2]の異性体・K[FeCl_4]の磁気モーメント・3d と 4d の高低スピン・MLCT遷移bpyはシス位にしか架橋できない / シス体だけがキラルあり
第7問ニトロフェノールの酸性度・^1H NMRによる異性体の識別・Dieckmann縮合とBeckmann転位共鳴式を書くよう指示されている / オルト・パラでは共鳴、メタでは誘起のみあり
第8問共通イオン効果・Fe/Ceガルバニ電池と平衡定数・EDTAによるCa^2+とMg^2+の分別定量「定量的に」が要求されている / s&#x27;\ll C の近似あり

前年度(2024年度 夏季(2023年7月実施))との違い

大問数
2024年度 夏季(2023年7月実施) 9問 → 2025年度 春季(2025年2月実施) 8問
2024年度 夏季(2023年7月実施)の解答例

立教大学の公式過去問

公開年度範囲
2024〜2026年度の夏季・春季(計6回)
公式の解答例
一部の年度・科目のみ公開
英語の扱い
専攻ページに掲載されているのは専門科目「化学」の筆記試験問題のみ。英語の問題は大学本体の過去問題ページ側にあり、本文は著作権の関係で非掲載(出典のみ記載)の回がある。
院試hubの最終確認
2026-09-06
立教大学の公式過去問PDF