電気通信大学 院試 過去問 解答例
電通大 情報理工学研究科 基盤理工学専攻 専門科目(分子生物学・生物化学・細胞・神経生物学) 2024年度 院試 解答例・解説
電気通信大学 情報理工学研究科 基盤理工学専攻 専門科目(分子生物学・生物化学・細胞・神経生物学) 2024年度の院試 過去問について、設問ごとの解法方針と確認点を解説。全2問収録の解答・解説PDFと併用できます。問題本文は含みません。
最終更新:
設問ごとの解法方針と確認点を公開しています。
続きの途中式・最終答は解答・解説PDFに収録しています。問題本文は含まれません。
第1問 — 分子生物学・生物化学
翻訳図は向きと部位で採点される
この種の模式図補正では、絵の美しさよりも、mRNA の 方向、A/P/E 部位、tRNA の移動、ペプチド鎖の N 末端と C 末端を矛盾なく示すことが重要である。特に「3 つ目のアミノ酸が付く前後」では、前は P 部位にジペプチジル tRNA、A 部位にアミノアシル tRNA、後は A 部位にトリペプチジル tRNA と書けると、反応前後の物質収支が明確になる。
リン酸化は電荷と相互作用の制御
セリン、スレオニン、チロシンを選ぶ理由は、側鎖のヒドロキシ基がリン酸エステルを作れるからである。リン酸化を単なるオン・オフとして暗記するのではなく、負電荷導入、構造変化、結合相手の切り替え、局在変化を引き起こす可逆的な情報書き込みと見ると説明しやすい。
発酵の役割は NAD+ の再生
無酸素条件で乳酸発酵やアルコール発酵が重要なのは、ATP を追加で大量に作るためではなく、 を に戻して解糖系を止めないためである。この視点から考えると、再酸化が起こらない場合にグリセルアルデヒド 3-リン酸脱水素酵素の直前で流れが詰まることが自然に分かる。
FRET センサーは局在シグナルと可動部を分けて考える
ERsig と KDEL は測定原理そのものではなく、融合タンパク質を ER 内腔に置くための配列である。測定原理を担うのは CFP/YFP と CaM/CaMBP の部分で、Ca 結合により蛍光タンパク質同士の距離または配向が変わる。答案では局在化の説明と FRET 比変化の説明を分けると、設計意図が明確になる。
第2問 — 細胞・神経生物学
細菌と真核細胞の違いを核膜から整理する
細菌細胞に核がないことを出発点にすると、DNA の場所、転写と翻訳の近さ、膜小器官の有無をまとめて説明できる。ミトコンドリアは独自ゲノムを持つが、現在のミトコンドリア機能を担うタンパク質の多くは核ゲノムに移っているため、「すべてがミトコンドリア DNA 由来」とはならない。
シグナル伝達は距離と特異性で区別する
内分泌型は遠距離、パラクリン型は近距離、神経型はシナプスを介した高速かつ標的性の高い伝達、接触型は膜上分子同士の直接接触である。オートクリン型は距離分類に単純には入らず、分泌した細胞自身に戻る点が特徴である。
活動電位はチャネルの状態を書く
膜電位の上昇、下降、復帰を「Na が入る」「K が出る」だけで済ませると不十分である。Na チャネルの開口と不活性化、K チャネルの遅延開口と閉鎖をセットで書くと、鋭い立ち上がり、再分極、過分極、静止電位への戻りを一貫して説明できる。
筋疲労を Ca2+ 制御として書く
骨格筋の張力低下は、単にエネルギーがなくなるという言い方では粗い。Ca 放出が小さくなる、Ca 回収が変化する、トロポニン C や収縮装置の Ca 感受性が下がる、という複数の段階で説明すると、設問の「Ca 制御の側面」に対応した答案になる。