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東大 工学系研究科 都市工学専攻 都市工学 専門科目 2025年度 院試 過去問 解答例・解説(全5問)

全5問です。境界層、中心極限定理、マルコフ連鎖が出ています。2024年度と共通するテーマはマルコフ連鎖です。解説はすべて、途中式と最終答は大問1問ぶんを公開しています。残りは解答PDFに収録しています。問題本文は含みません。

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第1問 — B-1--B-7 都市環境工学系 選択問題別解答例(2025)

答案の圧縮ルール

この科目群は論点が多い。必ず「(1) 何を守るか(健康、水質、温室効果ガス、資源)→(2) 支配式(L=QCL=QC、一次反応、物質収支)→(3) 操作可能な対策(設備・運用・制度)」の順に並べ、枝葉を削る。

図の使いどころ

図は飾りではなく、採点者に「構造が見えている」ことを示す道具である。breakpoint曲線、MM曲線、流域の物質収支は、短い時間で理解されるため優先度が高い。

B-1--B-7 都市環境工学系 選択問題別解答例(2025)の途中式・最終答をPDFで見る

第2問 — B-8--B-15 都市計画系 選択問題別解答例(2025)

制度問題のコツ

制度名を覚えるより、「何の失敗を是正する制度か(外部性、情報不足、合意形成コスト)」で語ると、多少の用語ミスがあっても答案が崩れない。

数理問題のコツ

導出で迷ったら、まず状態遷移(AとB、選択肢1と2)を明確にして、確率と比率を置く。式が出れば、最後に「政策として何を変えると確率が変わるか」を一文添えると点になりやすい。

解答

B-8--B-15は、都市計画法、都市デザイン、住宅、防災、都市解析、交通、地域計画、緑地計画に分かれる。以下では、2025年度の各選択問題に対応して、答案に必要な制度説明、式、判定理由、事例の書き方を問題番号ごとに示す。

B-8 都市計画法:都市施設と長期未整備

都市施設を列挙する問題では、交通(道路、鉄道、駅前広場、駐車場)、防災(河川・下水道、雨水貯留、消防、避難)、生活(公園、学校、医療・福祉、清掃)など、機能で束ねて思い出す。列挙後の短文説明は「外部性の調整(用地確保、ネットワーク整合、事業の予見可能性)」が核である。

区域内規制の説明は、(i) 将来の施設整備のための用地保全、(ii) 補償・権利調整の前提、(iii) 長期未整備が生む負担(建築制限の不利益)まで触れると厚みが出る。未整備が続く理由は、財源、合意形成、優先順位変更、需要変化、計画過大、事業主体の不在のいずれかに落とす。

B-9 都市デザイン:概念、手段、実例

概念説明は「何を良い都市空間と見なすか」と「それを決めるプロセス」に分ける。例えばD/Hのような形態指標は、採光、通風、密度、歩行環境の評価に使い、雨庭のようなグリーンインフラは、雨水流出と暑熱を同時に扱う手段である。オーセンティシティは、歴史や生活の連続性を価値として扱い、過度な均質化と対立する。

フォーマル/インフォーマルの問題は、(i) フォーマル:地区計画、建築協定、ガイドライン、許認可、(ii) インフォーマル:ワークショップ、社会実験、プレイスメイキング、イベント、暫定利用、運営組織(BID等)として列挙し、両者を「実験→評価→制度化」の往復で結ぶ実例を述べる。

B-10 都市住宅学:法制度と人口推計

制度の穴埋めは、条文名を当てにいくより、何を改善する改正かで覚える。管理不全の是正、修繕積立と合意形成、危険な外壁や耐震性、老朽化に伴う建替え・除却の促進が論点になる。背景説明は「老朽化」「所有者の高齢化」「空室」「合意形成コスト」「管理不全の外部不経済(安全・景観・資産価値)」を短文でつなぐ。

人口推計は、コーホート変化率法では、年齢階級を1期ずらし、変化率を掛けて将来人口を得る。出生は年齢別出生率を掛け、性比仮定に従い0--4歳へ配賦する。要因法との差は「移動・出生・死亡をモデル化するか」であり、大学立地や転入超過の大きい自治体などは要因法が有効になる。

人口推計の数値は、変化率を1階級ずらして掛ける。2025年の25--29歳女性は 8000×75008200≃7317 8000\times\frac{7500}{8200}\simeq7317 人、30--34歳女性は 7500×84008800≃7159 7500\times\frac{8400}{8800}\simeq7159 人である。0--4歳男児は、2020年時点の20--34歳女性から5年間に生まれる子を性比1:1で半分にするので、 12×5(8000×0.08+7500×0.10+8400×0.12)≃5995 \frac{1}{2}\times5(8000\times0.08+7500\times0.10+8400\times0.12) \simeq5995 人と置ける。

B-11 都市防災:制度の読み分け

法制度は「対象災害」「強制力」「発動主体」をセットで書く。再開発の歴史は、不燃化・防災・高度利用と、権利変換による事業成立の仕組みでまとめると短くなる。答案ではハザード(外力)と脆弱性(密集、市街地構造)を区別する。

B-12 都市解析:2状態モデルと統計

2地点回遊は、2状態のマルコフ連鎖として書けば崩れない。AからBへの遷移確率を pABp_{AB}、BからAを pBAp_{BA} とすると、比率 xtx_t(A:B)に対して xt+1=(1−pAB)xt+pBApABxt+(1−pBA) x_{t+1}=\frac{(1-p_{AB})x_t+p_{BA}}{p_{AB}x_t+(1-p_{BA})} の形で更新でき、定常比 x∗x_\ast は xt+1=xtx_{t+1}=x_t を解けばよい。改善案は、第三の状態(離脱)、時間帯で遷移確率を変える、店舗属性を入れる(エージェント化)、のどれかを具体的に挙げる。

アンケートの二値データは、支持率は m=1n∑ixim=\frac{1}{n}\sum_i x_i と書ける。大標本では中心極限定理により正規近似でき、比率検定が可能になる。ただし「有益か」を問うには、選択バイアス、質問文の誘導、行動変容の観測欠如、対照群不在などの欠点を指摘する。

B-13 都市交通計画:ロジットの読み方

2項ロジットは、効用 Uk=Vk+εkU_k=V_k+\varepsilon_k、Vk=β⊤xkV_k=\beta^\top x_k と置き、 P(k)=exp⁡(Vk)∑jexp⁡(Vj) P(k)=\frac{\exp(V_k)}{\sum_j \exp(V_j)} である。係数の符号は「効用が上がるか下がるか」を示す。p値は有意性、t値は推定値のばらつき、定数項は観測されない好みや利便性の差を吸収する。費用係数と時間係数があれば、価値時間(VOT)は −βtime/βcost-\beta_{\mathrm{time}}/\beta_{\mathrm{cost}} として解釈できる。

正誤設問は、(1) ○(MNLの誤差項は独立なGumbel分布を仮定する)、(2) ○(選択肢固有定数を入れると一階条件により集計シェアを再現しやすい)、(3) ×(p値は統計的有意性であり実質的重要性ではない)、(4) ×(時間係数は効用への限界効果であり、選択確率への影響は確率水準にも依存する)、(5) ×(最終対数尤度だけでなくヌルモデル、尤度比、AIC等との比較が必要)と判定する。

B-14 地域計画:ジェントリフィケーション

再開発による人口・所得構成の変化は、更新投資→環境改善→地価上昇→低所得層の排除、のメカニズムで説明する。問題は社会的排除、文化的置換、通勤距離増大、地域の自律性低下である。対策は、家賃補助、コミュニティ・ランド・トラスト、用途混在、地元事業者の保護、段階導入、影響評価の制度化などを二つ挙げ、メリット・限界を添える。

B-15 緑地計画:用語と機能

用語問題は、緑地の機能を「生態系」「防災」「健康」「景観」「暑熱」「水循環」に割り当てて答えると短くなる。環境デザインは、単一の植栽量ではなく、連続性(コリドー)、管理(維持費)、利用(安全・滞在)、多機能化(雨水貯留、遮熱)へ接続して述べる。

人口減少政策の正誤は、2024年4月時点の資料に照らし、(1) ○(東京都内では消滅可能性自治体ではなくブラックホール型に分類される区が主に問題となった)、(2) ○(同時点では東京都内で立地適正化計画の策定済み自治体は確認しにくく、検討・支援段階と整理する)、(3) ×(グローバルサウス全体が人口減少へ転じたとはいえない)、(4) ○(米国は移民を含む社会増が人口増を支える)と答える。用語説明では、メガシティは人口規模の大きい巨大都市圏、テクノポリスは先端技術産業の地方展開政策、公共施設等総合管理計画は公共施設の長寿命化・統廃合・更新費管理の計画と説明する。

最終答

都市計画系は、制度は外部性調整として説明し、計算・モデルは式で骨格を示し、解釈は政策・設計へ接続する。列挙は機能束ね、住宅は老朽化と合意形成、防災は対象と強制力、回遊・交通はマルコフとロジットの標準形、地域・緑地はメカニズムと対策を二段で書く。

第3問 — C-1 計画・設計・論文(都市環境工学)(2025)

計算の見せ方

この科目は「正しい式」と同じくらい「単位が合っているか」を見られる。L=QCL=QC の単位を必ず一度書き、g/day\mathrm{g/day} と m3/day\mathrm{m^3/day} を揃えて mg/L\mathrm{mg/L} に戻す流れを明示する。

論述の見せ方

ヒト・モノ・カネに分けたら、最後に「広域化」「データ」「需要側(熱・資源の利用先)」へつなぐと、単なる課題列挙ではなく設計・計画の答案になる。

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第4問 — C-2 計画・設計(都市計画)(2025)

設計答案の評価軸

この課題では、施設名の羅列よりも、リスク(氾濫・暑熱)への応答、駅前と商店街の回遊連結、交通(バス動線)の整合が見られる。各要素に「なぜそこに置くか」を1行ずつ添えると、図面が説明として成立する。

図面に落とすときの注意

答案用紙では、北(駅前)、南(河川)、東(商店街)、西(幹線道路)の役割を明確にし、水害・暑熱対策の線(貯留、風、緑陰、回遊)を太線で示すと、条件読解が伝わりやすい。

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第5問 — C-3 論文(都市計画)(2025)

採点者が見たい関係の書き方

単に「老朽化」「財政難」と書くのではなく、「人口が減ると固定費の単位負担が増える」「密度が下がると公共交通・商業が成立しにくくなる」という因果を明示する。これが問われている「増加/減少とメカニズムの関係」である。

対策を2つにするコツ

片方を運用・管理(更新優先、料金、広域化)、もう片方を空間・土地利用(集約、転用、撤退)に振り分けると、重複せずに厚い答案になる。

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年度別の解答例(3年度)

  • 2026年度(全5問)

    B-1--B-7 都市環境工学系 選択問題別解答例(2026) / B-8--B-15 都市計画系 選択問題別解答例(2026) / C-1 計画・設計・論文(都市環境工学)(2026)

  • 2025年度(このページ・全5問)

    B-1--B-7 都市環境工学系 選択問題別解答例(2025) / B-8--B-15 都市計画系 選択問題別解答例(2025) / C-1 計画・設計・論文(都市環境工学)(2025)

  • 2024年度(全5問)

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2025年度の出題内容

全5問
大問主題解説の小見出し最終答
第1問B-1--B-7 都市環境工学系 選択問題別解答例(2025)答案の圧縮ルール / 図の使いどころあり
第2問B-8--B-15 都市計画系 選択問題別解答例(2025)制度問題のコツ / 数理問題のコツあり
第3問C-1 計画・設計・論文(都市環境工学)(2025)計算の見せ方 / 論述の見せ方あり
第4問C-2 計画・設計(都市計画)(2025)設計答案の評価軸 / 図面に落とすときの注意あり
第5問C-3 論文(都市計画)(2025)採点者が見たい関係の書き方 / 対策を2つにするコツあり

同じテーマを出した他大学・他年度

3テーマ

前年度(2024年度)との違い

大問数
2024年度 5問 → 2025年度 5問
両年度に出たテーマ
マルコフ連鎖
2025年度で新しく出たテーマ
境界層・中心極限定理
2024年度の解答例

東京大学の公式過去問

公開年度範囲
2024〜2026(直近3年)
公式の解答例
非公開(問題冊子のみ)
院試hubの最終確認
2026-08-13
東京大学の公式過去問PDF