東大 工学系研究科 都市工学専攻 都市工学 専門科目 2024年度 院試 過去問 解答例・解説(全5問)
全5問です。マルコフ連鎖が出ています。解説はすべて、途中式と最終答は大問1問ぶんを公開しています。残りは解答PDFに収録しています。問題本文は含みません。
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第1問 — B-1--B-7 都市環境工学系 選択問題別解答例(2024)
答案の圧縮ルール
論点が多い科目群ほど、最初に骨格(守る対象→支配式→対策)を置き、枝葉は「例を1つ」だけに絞る。例を増やすより、因果(なぜ効くか)を1文で添える方が点になりやすい。
図の使いどころ
図は飾りではなく、採点者に「構造が見えている」ことを示す道具である。breakpoint曲線、MM曲線、負荷収支は短時間で理解されるため優先度が高い。
第2問 — B-8--B-15 都市計画系 選択問題別解答例(2024)
制度問題のコツ
制度名の暗記より、「何の失敗を是正する制度か(外部性、情報不足、合意形成コスト)」で語ると、多少の用語ミスがあっても答案が崩れない。
計画問題のコツ
地図や条件が与えられる計画問題は、最初に「骨格(拠点・軸・オープンスペース)」を描写し、次に「運用(誰が維持し、どう更新するか)」まで言及すると、単なる配置案で終わらない。
解答
B-8--B-15は、都市計画分野から選択する短答・論述・計算問題である。2024年度の各問題に対応して、答案で書くべき定義、制度の主体、数式、事例、計画上の含意を問題番号ごとに示す。
B-8 都市計画:地区計画
地区計画は、地区の特性に応じて建築物の用途、容積率・建ぺい率、壁面位置、高さ、形態意匠、垣・柵、地区施設(区画道路、小公園、広場など)を定め、良好な市街地環境を誘導する都市計画である。答案では、都市全体の用途地域だけでは拾いにくい地区レベルの課題を、地権者・住民との合意形成を通じて調整する制度、と位置づける。
策定プロセスは、地区の課題把握、素案作成、住民・地権者との協議、都市計画案の公告・縦覧、都市計画審議会、都市計画決定の順に書く。提案主体としては土地所有者等やまちづくり組織、決定主体としては市町村等の都市計画決定権者を明記する。街並み誘導型地区計画は、前面道路幅員による容積率制限や斜線制限を置き換え、壁面位置・高さ・工作物等を地区で定めることで、狭い道路沿いでも統一的な街並みと有効な建築更新を両立させる手法として説明する。
B-9 都市デザイン:概念、GSM、都市空間
概念説明は「何を良い都市空間とみなすか」と「それを実装する手段」に分ける。形態指標(例:D/Hのような比)は採光・通風・歩行環境の評価へつなぎ、グリーンインフラは雨水流出・暑熱・生態系の同時解決として述べる。
フォーマル/インフォーマルは、(i) フォーマル:地区計画、建築協定、ガイドライン、許認可、(ii) インフォーマル:社会実験、プレイスメイキング、暫定利用、イベント、運営組織(BID等)として列挙し、「実験→評価→制度化」の往復で結ぶ。
B-10 都市住宅学:住生活基本計画と住宅問題
老朽化・空家・管理不全は、背景(人口減少・所有者高齢化・合意形成コスト)→外部不経済(安全・景観・資産価値)→介入策(管理義務、除却支援、建替え・更新の誘導)で書くと短い。制度名を当てにいくより、何の失敗を是正する制度かで説明する。
B-11 都市防災:ハザードと脆弱性
防災はハザード(外力)と脆弱性(密集、市街地構造、避難行動)を分けて述べる。法制度は「対象災害」「強制力」「発動主体」をセットで書く。密集市街地の不燃化は、建築更新の誘導、道路・公園の骨格整備、延焼遮断帯の形成としてまとめる。
B-12 都市解析:2状態モデル
2地点回遊や2群の移動は、2状態のマルコフ連鎖として書けば崩れない。AからBへの遷移確率を 、BからAを とすると、比率 (A:B)に対して の形で更新でき、定常比 は を解けばよい。政策・設計へ接続するなら、遷移確率が「快適性」「混雑」「滞在価値」「安全」「接続性」で変わることを一文で述べる。
幾何確率の設問では、正方形を , , , と置き、, ( は一様)と表す。すると であり、期待値はそれぞれ , である。また は と同値なので、確率は となる。
B-13 都市交通計画:ロジット、公共交通、駅前広場
2項ロジットは、効用 、 と置き、 である。係数の符号は「効用が上がるか下がるか」、定数項は観測できない好みや利便性差を吸収する。費用係数と時間係数があれば、価値時間(VOT)は として解釈できる。
自動車時間弾力性は、直接弾力性 を用いる。, , より である。所要時間が1\%増えると、自動車選択確率は約0.66\%低下する、という解釈を書く。
B-14/B-15 地域計画・緑地計画:制度、評価、グリーンインフラ
再開発による人口・所得構成の変化は、更新投資→環境改善→地価上昇→低所得層の排除、のメカニズムで説明する。対策は、家賃補助、CLT、用途混在、地元事業者支援、段階導入、影響評価の制度化などから2つを挙げ、メリット・限界を添える。
緑地は機能を「生態系」「防災」「健康」「景観」「暑熱」「水循環」に割り当てて説明すると短くなる。量(面積)だけでなく連続性(コリドー)と管理(維持費・担い手)を入れると計画答案になる。
国土形成計画の正誤は、a) ×(別名ではない)、b) ×(全国計画と広域地方計画が軸)、c) ×(環境保全も基本的施策に含まれる)、d) ○(海域を含む国土の利用・保全を扱う)と判定する。グリーンインフラの空欄は、米国で重視された雨水流出管理・洪水緩和機能を入れる。OECMは保護地域以外で生物多様性保全に資する区域、日比谷公園は近代都市公園の代表、東京緑地計画は都市の環状緑地・防災・レクリエーションを統合した広域緑地構想として説明する。
最終答
都市計画系は、制度は外部性調整として説明し、数理は標準形(マルコフ・ロジット)を式で示し、最後に政策・設計へ接続する。列挙は機能束ね、住宅は外部不経済、防災は対象と強制力、地域・緑地はメカニズムと対策を二段で書く。
第3問 — C-1 計画・設計・論文(都市環境工学)(2024)
単位合わせが最重要
需要と負荷は単位の事故が最も多い。 を必ず に直し、有収率・負荷率が「割るのか掛けるのか」を言葉で補うと失点しにくい。
設計答案の最低限
計算結果だけで終わらず、(i) 安全側の仮定、(ii) 運転・維持管理での留意点、(iii) 代替案(連絡管、バックアップ水源)を1つだけ添えると、採点者に「計画として書けている」ことが伝わる。
第4問 — C-2 計画・設計(都市計画)(2024)
配点の取り方
計画問題は、細部の上手さより「整合性」で点が決まる。土地利用・交通・緑地が同じ骨格に乗っているか、周辺構想と地区計画が矛盾していないかを最後に必ず見直す。
図が描けないときの代替
図面が不得意でも、(i) 拠点・軸・面、(ii) 動線の優先順位、(iii) 緑地の連続性、の3点を文章で明確にすれば最低限の計画答案になる。
第5問 — C-3 論文(都市計画)(2024)
論文答案の書き方(整合性の作り方)
(2)の代替案と(3)の評価項目は1対1で対応させると、整合性が自動で生まれる。例えば拠点集約型なら「拠点外の公平性」が必ず論点になるため、評価項目と(5)の方策でフォローする。
データの具体性
「データが必要」と書くだけでは弱い。人口(将来推計)、施設立地、時刻表、移動速度、乗換ペナルティのように、分析で実際に使う入力を列挙し、比較指標(時間距離、到達圏、KPI)まで書くと説得力が上がる。
年度別の解答例(3年度)
B-1--B-7 都市環境工学系 選択問題別解答例(2026) / B-8--B-15 都市計画系 選択問題別解答例(2026) / C-1 計画・設計・論文(都市環境工学)(2026)
B-1--B-7 都市環境工学系 選択問題別解答例(2025) / B-8--B-15 都市計画系 選択問題別解答例(2025) / C-1 計画・設計・論文(都市環境工学)(2025)
2024年度(このページ・全5問)
B-1--B-7 都市環境工学系 選択問題別解答例(2024) / B-8--B-15 都市計画系 選択問題別解答例(2024) / C-1 計画・設計・論文(都市環境工学)(2024)
2024年度の出題内容
全5問
同じテーマを出した他大学・他年度
1テーマ
2024年度は1問に1テーマが出ています。
| テーマ | この年度 | 全体の出題実績 | 他大学の直近出題 |
|---|---|---|---|
| マルコフ連鎖 | 第2問 | 5大学・7問 |
東京大学の公式過去問
- 公開年度範囲
- 2024〜2026(直近3年)
- 公式の解答例
- 非公開(問題冊子のみ)
- 院試hubの最終確認
- 2026-08-13