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琉大 理工学研究科 物質地球科学専攻・物理系 専門(物理) 2026年度 院試 過去問 解答例・解説(解説4項目)

解説4項目の分野は電磁気学・回路1項目、熱・統計力学1項目、量子力学1項目です。解説はすべて、途中式と最終答は大問1問ぶんを公開しています。PDFの収録範囲は商品ページで確認できます。問題本文は含みません。

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第1問 — 2026年度 大問I 連成振動と転がり運動

問1 三本のばねと二質点

自然長が消える理由

L≠3l0L\neq3l_0 なら各ばねには予張力があるが、三本が同じためつり合い位置は三等分点になる。l0l_0 は定数エネルギー U0U_0 にだけ残る。

モードの形

uR=0u_R=0 は二質点が同位相で動く低周波モード、uG=0u_G=0 は逆位相で動く高周波モードである。

問2 斜面上を転がる一様円柱

静止時の摩擦

水平力は重心に加えられるため回転させない。摩擦がゼロでなければ円柱には未相殺のトルクが生じるので、静止できない。

転がり時の摩擦

静止摩擦は接触点で仕事をしないが、並進エネルギーの一部を回転へ振り分けるために必要である。

検算

求めた一定加速度に v2=2Asv^2=2As を用いると v2=4gssin⁡θ/3v^2=4gs\sin\theta/3 となり、エネルギー法と一致する。

解答

問1 三本のばねと二質点

(1) 力

三本のばねの伸びは順に xA−l0x_A-l_0、xB−xA−l0x_B-x_A-l_0、L−xB−l0L-x_B-l_0 である。右向きを正とすると FA=−k(xA−l0)+k(xB−xA−l0)=k(xB−2xA),FB=−k(xB−xA−l0)+k(L−xB−l0)=k(L+xA−2xB).\begin{align*} F_A&=-k(x_A-l_0)+k(x_B-x_A-l_0)=k(x_B-2x_A),\\ F_B&=-k(x_B-x_A-l_0)+k(L-x_B-l_0)=k(L+x_A-2x_B). \end{align*}

(2) つり合い位置

FA=FB=0F_A=F_B=0 を連立して xA0=L3,xB0=2L3.\begin{equation*} x_{A0}=\frac L3,\qquad x_{B0}=\frac{2L}{3}. \end{equation*}

(3) ポテンシャル

つり合いからの変位を使うと U=k2{(xA−l0)2+(xB−xA−l0)2+(L−xB−l0)2}=U0+k2{uA2+(uB−uA)2+uB2}=U0+k(uA2+uB2−uAuB),\begin{align*} U&=\frac{k}{2}\{(x_A-l_0)^2+(x_B-x_A-l_0)^2+(L-x_B-l_0)^2\}\\ &=U_0+\frac{k}{2}\{u_A^2+(u_B-u_A)^2+u_B^2\}\\ &=U_0+k(u_A^2+u_B^2-u_Au_B), \end{align*} ただし U0=3k(L/3−l0)2/2U_0=3k(L/3-l_0)^2/2 は運動に影響しない定数である。

(4) 重心・相対座標

uA=uG−uRu_A=u_G-u_R、uB=uG+uRu_B=u_G+u_R から T=m(u˙G2+u˙R2),U=U0+kuG2+3kuR2.\begin{equation*} T=m(\dot u_G^2+\dot u_R^2),\qquad U=U_0+ku_G^2+3ku_R^2. \end{equation*} したがって L=m(u˙G2+u˙R2)−kuG2−3kuR2−U0.\begin{equation*} \mathcal L=m(\dot u_G^2+\dot u_R^2)-ku_G^2-3ku_R^2-U_0. \end{equation*}

(5) 固有角振動数

Euler--Lagrange方程式は u¨G+kmuG=0,u¨R+3kmuR=0.\begin{equation*} \ddot u_G+\frac{k}{m}u_G=0,\qquad \ddot u_R+\frac{3k}{m}u_R=0. \end{equation*}

問2 斜面上を転がる一様円柱

(1) 慣性モーメント

面密度を一様とし、半径 rr、幅 drdr の同心円環の質量を dm=2mr dr/a2dm=2mr\,dr/a^2 とすると I=∫0ar2dm=2ma2∫0ar3dr=12ma2.\begin{equation*} I=\int_0^a r^2dm=\frac{2m}{a^2}\int_0^a r^3dr =\frac12ma^2. \end{equation*}

(2) 水平力で静止させる場合

重心まわりのトルクをつくるのは接触点の摩擦力だけである。静止条件から Fa=0Fa=0、よって F=0F=0。斜面方向と法線方向のつり合いは fcos⁡θ=mgsin⁡θ,N=mgcos⁡θ+fsin⁡θ.\begin{equation*} f\cos\theta=mg\sin\theta,\qquad N=mg\cos\theta+f\sin\theta. \end{equation*} したがって f=mgtan⁡θ,N=mgcos⁡θ,F=0.\begin{equation*} f=mg\tan\theta,\qquad N=\frac{mg}{\cos\theta},\qquad F=0. \end{equation*}

(3) 滑らない条件

接触点の速度がゼロなので、大きさについて v=aω.\begin{equation*} v=a\omega. \end{equation*}

(4) 距離 ss 転がった後

力学的エネルギー保存と I=ma2/2I=ma^2/2 を使うと mgssin⁡θ=12mv2+12Iω2=34mv2.\begin{equation*} mgs\sin\theta=\frac12mv^2+\frac12I\omega^2 =\frac34mv^2. \end{equation*} よって v=43gssin⁡θ,ω=1a43gssin⁡θ.\begin{equation*} v=\sqrt{\frac43gs\sin\theta},\qquad \omega=\frac1a\sqrt{\frac43gs\sin\theta}. \end{equation*}

(5) 転がり中の摩擦

斜面下向きの加速度を AA とし、摩擦は斜面上向きを正の大きさ FF とする。 mA=mgsin⁡θ−F,Fa=IAa=12maA.\begin{equation*} mA=mg\sin\theta-F,\qquad Fa=I\frac{A}{a}=\frac12maA. \end{equation*} これより A=2gsin⁡θ/3A=2g\sin\theta/3、F=mgsin⁡θ/3F=mg\sin\theta/3 である。

最終答

FA=k(xB−2xA),FB=k(L+xA−2xB),(xA0,xB0)=(L/3,2L/3),\displaystyle F_A=k(x_B-2x_A),\quad F_B=k(L+x_A-2x_B),\quad (x_{A0},x_{B0})=(L/3,2L/3), L=m(u˙G2+u˙R2)−kuG2−3kuR2−U0\displaystyle \mathcal L=m(\dot u_G^2+\dot u_R^2)-ku_G^2-3ku_R^2-U_0, ωG=k/m,ωR=3k/m\displaystyle \omega_G=\sqrt{k/m},\quad\omega_R=\sqrt{3k/m}.

I=ma2/2\displaystyle I=ma^2/2。静止時は f=mgtan⁡θ, N=mg/cos⁡θ, F=0\displaystyle f=mg\tan\theta,\ N=mg/\cos\theta,\ F=0。 転がりでは v=aω\displaystyle v=a\omega、 v=4gssin⁡θ/3\displaystyle v=\sqrt{4gs\sin\theta/3}、 ω=v/a\displaystyle \omega=v/a、摩擦力は斜面上向きに F=mgsin⁡θ/3\displaystyle F=mg\sin\theta/3.

第2問 — 2026年度 大問II 電磁気学

問1 同心導体球の静電場

容量による検算

同心球コンデンサーの容量は C=4πε0a(2a)/(2a−a)=8πε0aC=4\pi\varepsilon_0a(2a)/(2a-a)=8\pi\varepsilon_0a。U=Q2/(2C)U=Q^2/(2C) から同じ結果を得る。

問2 時間変化する磁場と円形導線

向き

起電力の負号はLenzの法則を表す。問題が大きさだけを求める場合は絶対値を示せばよい。

次元の確認

E2/R\mathcal E^2/R は電力、さらに周期相当の時間を掛けるため、最終式はエネルギーの次元になる。

問3 無限長円柱導体の磁場と放射

境界の検算

内側・外側の式へ r=Rr=R を代入すると、ともに μ0JR/2\mu_0JR/2 となる。

記述の要点

「電流が変化するから放射する」だけでなく、∂tB\partial_t\bm B が E\bm E を、∂tE\partial_t\bm E が B\bm B を生成する二つの式を示す。

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第3問 — 2026年度 大問III 量子力学

問1 ガウス波束と不確定性

位相因子の役割

eik0xe^{ik_0x} は確率密度 ∣ψ∣2|\psi|^2 を変えないため、位置の期待値には影響しない。一方、運動量の平均を ℏk0\hbar k_0 だけ移す。

この波束の検算

さらに計算すると Δx=σ/2\Delta x=\sigma/\sqrt2、Δp=ℏ/(2σ)\Delta p=\hbar/(\sqrt2\sigma) であり、積は ℏ/2\hbar/2。このガウス波束は等号を満たす。

問2 三次元無限深井戸

量子数ゼロを除く理由

nx=0n_x=0 では X(x)X(x) が恒等的にゼロとなり、波動関数にならない。各方向の量子数は1から始まる。

縮退の数え方

箱が立方体なので x,y,zx,y,z を入れ替えてもエネルギーが変わらない。次準位は「2を置く方向」の3通りである。

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第4問 — 2026年度 大問IV 熱力学・統計力学

問1 熱力学ポテンシャル

自然変数

U(S,V,n)U(S,V,n)、H(S,P,n)H(S,P,n)、F(T,V,n)F(T,V,n)、G(T,P,n)G(T,P,n) の順に並べると、各全微分の符号を再現しやすい。

問2 理想気体の自由エネルギーと混合

符号の検算

混合は一定温度で自発的に進むので ΔF<0\Delta F<0 でなければならない。log⁡x\log x と log⁡(1−x)\log(1-x) が負であることと整合する。

同種気体との違い

ここではA、Bが異なる種類なので、仕切りを外した後も粒子種を区別できる。与えられた式の範囲では正の混合エントロピーが得られる。

問3 並進分配関数

N!N! の役割

同種粒子の入れ替えを別状態として重複計数しないための因子であり、−Nlog⁡N-N\log N を生む。これにより自由エネルギーが示量性をもつ。

次元をもつ対数

厳密には V(2πmkT)3/2/h3V(2\pi mkT)^{3/2}/h^3 のような無次元の組を対数へ入れる。問題の指示に従って、変数に依存しない定数だけを最後にまとめている。

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年度別の解答例(3年度)

  • 2027年度(解説4項目)

    2027年度 大問I 連成振り子とうなり / 2027年度 大問II 電磁気学 / 2027年度 大問III 量子力学

  • 2026年度(このページ・解説4項目)

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  • 2025年度(解説4項目)

    2025年度 大問I 鉛直ばね二体系 / 2025年度 大問II 電磁気学 / 2025年度 大問III 量子力学

2026年度の出題内容

解説4項目

この4問の分野は電磁気学・回路1問・熱・統計力学1問・量子力学1問・力学1問です。

大問分野主題解説の小見出し最終答
第1問力学2026年度 大問I 連成振動と転がり運動自然長が消える理由 / モードの形あり
第2問電磁気学・回路2026年度 大問II 電磁気学容量による検算 / 向きあり
第3問量子力学2026年度 大問III 量子力学位相因子の役割 / この波束の検算あり
第4問熱・統計力学2026年度 大問IV 熱力学・統計力学自然変数 / 符号の検算あり

2026年度の解説には検算1件が付いています。

前年度(2025年度)との違い

大問数
2025年度 4問 → 2026年度 4問
2025年度の解答例

琉球大学の公式過去問

公開年度範囲
1999〜2026年実施分(2027年度入試まで)
公式の解答例
解答例の掲載なし
院試hubの最終確認
2026-09-05
琉球大学の公式過去問PDF