院試hub

琉球大学 院試 過去問 解答例

琉大 理工学研究科 物質地球科学専攻・物理系 専門(物理) 2025年度 院試 過去問 解答例・解説(全4問)

全4問。電磁気学・回路1問・熱・統計力学1問・量子力学1問。

最終更新:

このページで公開
解説4問/全4問(2,474字)
解答PDFに収録
途中式と最終答(最終答つき4問)
問題本文
非収録

琉大 専門(物理) 2025年度 院試 過去問の出題内容(全4問)

この4問の分野は電磁気学・回路1問・熱・統計力学1問・量子力学1問です。

大問分野主題解説の小見出し最終答
12025年度 大問I 鉛直ばね二体系符号の確認 / 座標の逆変換あり
2電磁気学・回路2025年度 大問II 電磁気学符号と大きさ / 接地の意味あり
3量子力学2025年度 大問III 量子力学等号条件 / 境界条件あり
4熱・統計力学2025年度 大問IV 熱力学・統計力学面積による検算 / 自由膨張の注意あり

この年度の解説には検算2件・失点しやすい点1件が付いています。

1 — 2025年度 大問I 鉛直ばね二体系

符号の確認

xD>0x_D>0 はばねが伸びた状態である。座標軸を下向きに取っているため、質点2が質点1から遠ざかるほど xDx_D は増える。

座標の逆変換

後の計算には x1=xGm2M(l+xD),x2=xG+m1M(l+xD)\begin{equation*} x_1=x_G-\frac{m_2}{M}(l+x_D),\qquad x_2=x_G+\frac{m_1}{M}(l+x_D) \end{equation*} が使える。

問2 ラグランジアン

採点上の要点

ばねの変位を x2x1x_2-x_1 とせず、自然長 ll を引く必要がある。また、下向き正のため重力項が LL の中では正になる。

問3 各質点の運動方程式

力の向き

ばねが伸びているとき、上側の質点1は下向き、下側の質点2は上向きに引かれる。二つのばね力は作用反作用の組で、加えると消える。

問4 重心運動と相対運動

物理的な分離

一様重力は両質点に同じ加速度を与えるため、差を取ると消える。重力は系全体の落下を決め、ばねは内部運動だけを決める。

問5 手を離した後の運動

初期振幅

保持中は下側の質点2だけの重さとばね力が釣り合うため、初期の伸びは m2g/km_2g/k である。手を離すと両質点が落下し始め、相対運動の平衡位置は自然長へ移る。

検算

xGx_G の式を2回微分すれば ggxDx_D の式を2回微分すれば ω2xD-\omega^2x_D となり、問4の式を満たす。

問6 相対運動の周期

極限の確認

m1m_1\to\infty では上端がほぼ固定され、T2πm2/kT\to2\pi\sqrt{m_2/k} となる。通常の一質点ばね振動に一致する。

2025年度 大問I 鉛直ばね二体系の途中式・最終答をPDFで見る

2 — 2025年度 大問II 電磁気学

符号と大きさ

領域1の電場は中心の負電荷へ向かう。領域3では QqQ-q の符号で向きが変わるため、「大きさ」だけなら Qq/(4πε0r2)|Q-q|/(4\pi\varepsilon_0r^2) とする。

接地の意味

接地は総電荷をゼロにする条件ではなく、導体の電位をゼロにする条件である。

問2 正六角形電流回路の磁場

検算

x=0x=0 を代入すると BP=BOB_P=B_O となる。また xax\gg a では BPx3B_P\propto x^{-3} となり、遠方の磁気双極子場の減衰と一致する。

失点しやすい点

軸上では各辺の磁場そのものを6倍するのではなく、軸方向成分を6倍する。軸に垂直な成分は対称性で消える。

問3 マクスウェル方程式と電磁波

導出の核

電場の時間変化が磁場の回転をつくり、磁場の時間変化が電場の回転をつくる。この連立が、物質のない真空でも波を自己維持させる。

次元の確認

μ0ε0\mu_0\varepsilon_0 の次元は速度の逆二乗であるから、1/μ0ε01/\sqrt{\mu_0\varepsilon_0} は速度の次元をもつ。

2025年度 大問II 電磁気学の途中式・最終答をPDFで見る

3 — 2025年度 大問III 量子力学

等号条件

等号は、ある実数 aa に対して (Δx^+iaΔp^)ψ=0(\Delta\hat{x}+ia\Delta\hat{p})\psi=0 となる状態で成立する。ガウス型波束はその代表例である。

境界条件

運動量演算子のエルミート性は部分積分の境界項が消えることに依存する。波動関数の減衰条件を書かずに積分の左右を入れ替えない。

問2 時間発展とハイゼンベルク方程式

保存されるもの

ユニタリー性により状態の内積と規格化が時間発展で保たれる。これは確率の総和が1のまま変わらないことに対応する。

符号の確認

i[H^,O^H]/i[\hat H,\hat O_H]/\hbari[O^H,H^]/-i[\hat O_H,\hat H]/\hbar は同じ式である。交換子の順序を変えると符号も変わる。

問3 WKB近似

振幅の意味

局所的な確率流は速度に比例する。pp が大きい領域で振幅が p1/2p^{-1/2} と小さくなることにより、各進行波の確率流が位置によらず一定になる。

適用条件

近似には p/p21|\hbar p'/p^2|\ll1 が必要である。p=0p=0 となる転回点ではこの形をそのまま使えない。

2025年度 大問III 量子力学の途中式・最終答をPDFで見る

4 — 2025年度 大問IV 熱力学・統計力学

面積による検算

PP--VV 図の閉曲線が囲む符号付き面積が WW である。V2>V1V_2>V_1 のとき、logr>11/r\log r>1-1/r より上式は正になる。

自由膨張の注意

「断熱」は Q=0Q=0、「自由」は外圧ゼロのため W=0W=0 を意味する。準静的な断熱膨張とは別の過程である。

問2 エネルギー等分配

自由度の数え方

二原子分子の分子軸まわりの慣性モーメントは点粒子近似で無視できるため、回転は3ではなく2自由度と数える。

問3 量子調和振動子の状態数と比熱

低温極限

x1x\gg1 では CVNkBx2exC_V\sim Nk_Bx^2e^{-x} となる。零点エネルギー Nhν/2Nh\nu/2 は温度によらないため、比熱には寄与しない。

高温極限

sinh(x/2)x/2\sinh(x/2)\simeq x/2 を使えば CVNkBC_V\to Nk_B が直ちに得られ、問2の古典的振動子と一致する。

2025年度 大問IV 熱力学・統計力学の途中式・最終答をPDFで見る

琉大 専門(物理) 院試 過去問の収録3年度

  • 2027年度(全4問)

    2027年度 大問I 連成振り子とうなり / 2027年度 大問II 電磁気学 / 2027年度 大問III 量子力学

  • 2026年度(全4問)

    2026年度 大問I 連成振動と転がり運動 / 2026年度 大問II 電磁気学 / 2026年度 大問III 量子力学

  • 2025年度(このページ・全4問)

    2025年度 大問I 鉛直ばね二体系 / 2025年度 大問II 電磁気学 / 2025年度 大問III 量子力学